Kyoto Shimbun 2001.10.22 News
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 満行 9日間不眠不臥、断食断水
 比叡山 千日回峰行者藤波さん

 今月十三日から比叡山・無動寺谷の明王堂(滋賀県大津市)で断食断水、不眠不臥(が)の荒行「堂入り」に挑んでいた千日回峰行者藤波源信さん(42)=延暦寺宝珠院住職=が九日目の二十一日未明、無事満行し、出堂した。堂入りの満行は九年ぶりで戦後十二人目。

 午前一時、白装束姿の藤波さんが不動明王に供える最後の水くみに堂の裏側から姿を現した。ほおはこけ、極度の衰弱で足取りはおぼつかない。桶(おけ)をつるした天びん棒を肩に、つえをつき、腰を支えられながら百数十メートル先の閼伽井(あかい)へ。信者約五百人が唱える不動真言には涙声も混じった。

 明王堂に戻って最後のお勤めを終えた藤波さんは、井深観譲延暦寺長老が堂入り結願の証明を読み上げた後、断食後初めて薬湯の「朴(ほお)の湯」を口にした。よろめきながらも自力で本尊の周りを三周し、行を終えた。

 午前二時四十分、正面の扉が開かれ、鐘の音が響き渡る中、出堂。長く急な階段を大勢の僧侶に担がれて下りた後、山かごで宝珠院へ戻った。

 「堂入り」は、七百日の回峰を終えた行者が堂にこもって不動真言を唱え、不動明王と一体となることを目指す行。千日回峰行で最大の難関とされる。


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