ホームページお知らせお便りコーナー徒然日記俳句・海の風景ホームページ奮闘記作者のプロフィールリンク
 

Wa☆Daフォトギャラリー

 旅紀行日本の裸祭り

2008年12月12日改訂

今 日

昨 日

桜川  水の宮

2003年12月29日制作

豊北町ほうほくちょう

豊北町マップ

画像をクリックすると拡大図が現れます。

 山口県豊浦郡豊北町(2005年2月13日、下関市と合併)は、山口県の西端に位置し、面積約169Ku、人口1万3千人余りで、農林水産業を主体とした美しい自然環境に恵まれた町である。
 海岸線が北長門(きたながと)海岸国定公園に指定されており、コバルトブルーの海に囲まれた角島(つのしま)や環境省による日本の水浴場88選に選ばれた土井ヶ浜海水浴場など、海との関わり合いの強い町である。 豊北町公式サイト

二見夫婦岩ふたみめおといわ

 響灘(ひびきなだ)を望む古くからの漁師町・二見にある夫婦岩は、国道191号線脇の海岸べりに立っている。古来より神聖な岩として信仰され、二つの岩をつなぐしめ縄は、毎年正月に地元二見自治会の若者たちの手で張り替えられる。
 響灘に夕日が沈む頃、夫婦岩と海と太陽があいまって作り出す風景は、神秘的でおごそかな気持ちにさせられるという。

二見若宮神社ふたみわかみやじんじゃ

 毎年正月2日、航海の安全と豊漁を祈り、地元二見の若者たちが厳寒の響灘で身を清め、大注連縄(おおしめなわ 長さ約30m、重さ約120kg)を張る光景は男の力強さと勇ましさを感じさせ、ふるさとの伝統文化を守る若い力がある。
 このしめ縄張りの行事は、地元の氏神を祀る二見若宮神社の新年恒例の神事である。現地へはJR山陰本線長門二見(ながとふたみ)駅下車、徒歩15分。豊北町漁業協同組合二見支所(Tel0837-82-1003)が窓口となっている。

大注連縄おおしめなわ

 神事当日の朝7時から二見漁港のそばで大注連縄作りが始まる。玉縄(たまなわ)と呼ばれる藁縄(わらなわ)の束15玉を用意し、3時間掛かりで長さ26.5m、重さ120kgの大注連縄が作られる。材料に使われた藁縄の長さは4kmにもなるという。

二見夫婦岩

大注連縄

大注連縄の制作

二見夫婦岩

大注連縄

大注連縄の制作

氏 子うじこ

 氏子たちは、神事の始まる前に白晒木綿のふんどしと鉢巻きを締め、裸足になる。ふんどしは前垂れ式に締める六尺ふんどしで、胴の部分を幾重にも巻き、後褌(うしろみつ 背の交わる部分)で結んで止めている。

 氏子らは、新しい大注連縄を車に積み込んで二見の海岸まで運び、大勢のアマチュア写真家たちが見守る中、人力で夫婦岩の側まで運ぶ。準備が整うと、大役を担う氏子たち13人が輪になって気合いを入れ、午前10時頃、しめ縄張りの神事が始まった。

みそぎ

 厳寒のこの日、波の華が飛んでくるほど風が強く、体感温度は気温よりもかなり低い。氏子たちは全員歯を食いしばって響灘の荒波に揉まれながら身を清める。見るからに寒そうで、白波の中で禊をしたあと、走って引き返して来た。

 寒垢離や褌に暖をたくするに  北舟 

かんごりや ふどしにだんを たくするに

しめ縄張り

 氏子らは身を清めた後、暖をとることもなく、直ちにしめ縄張りの作業に入った。背に若宮という文字の入った半纏を羽織っている人たちは老年組で、若者たちの危険な岩場の作業を支援する。

 氏子らは荒波の打ち寄せる岩場に登り、打ち合わせた手順と役割分担に従って、淡々と作業を進める。

 彼らが身につけているのはふんどしと鉢巻だけで、命綱をつけておらず、極めて危険な作業である。強風にあおられれば転落する恐れもある。
 冬の裸祭りでは、飲酒により身体を暖めて参加することがよくあるが、この岩場の神事では、酩酊していてはとても危険で作業は行えない。
 風だけでなく、寒さで手足の感覚が麻痺すると大変である。岩場の下に転落すれば、大怪我は必至で、打ち所が悪ければ命を落としかねない。
 これが企業活動であれば、直ちに労働基準監督署から警告・指導を受けるところだろうが、神事ということで許されるのだろう。氏子たちに神のご加護があることを祈る。

ふんどしの前垂れが強風ではためいている。強風と寒さに晒されながらの作業である。

 二見夫婦岩の伝説

 伝説によると、毎年9月の末から10月の初めにかけて、馬地山から大蛇があらわれ、夫婦岩から出発して、鯖釣岬の外れにある饅頭のような形をした壁島(龍宮岩)に参拝し、夫婦岩を目標に帰るという。大蛇が参拝を終わると、夫婦岩の注連縄が切れると伝えられている。

伊勢の夫婦岩

 二見の夫婦岩といえば、伊勢の二見町にある二見ヶ浦の夫婦岩が有名である。朝日の遥拝所として知られ、5月・9月・12月の年3回行われるしめ縄張りの光景は、写真やテレビでもよく見かける。
 しかし、しめ縄張りを厳寒の正月に、しかも裸の氏子が行うというのは、豊北町の二見だけである。

 1時間足らずの作業で無事に大注連縄を張り終えた若者達は、夫婦岩を慎重に降りてくる。

 氏子たちは冷え切った身体を焚き火で暖めながら、竹筒に入ったお神酒を竹の盃に注ぎ、一気に飲み干して神事を終えた。無事に大役を果たして引き揚げてきた氏子たちは、みな安堵の表情を浮かべていた。

大注連縄が張られた二見夫婦岩

大注連縄が張られた二見夫婦岩

 山口新聞の報道によると、二見夫婦岩のしめ縄張りは、約160年前から続く伝統の神事だという。
 二見若宮神社では、毎年10月21日に秋期大祭が催され、神輿を担いで海に入る海上御渡がある。多くの観客が見守るなか、煙火を合図に、しめ縄張り神事と同様のふんどし・鉢巻き姿の氏子たちが次々と海に飛び込むさまは壮観で、海の幸に恵まれた二見の秋の風物詩となっている。
 豊北町公式サイトの中野修町長の挨拶が印象的だ。「本町の目指すべき方向は、元気をおこすまちづくりであり、住民や各種団体など、多様な主体による町づくりを展開することが必要であります」 と。豊北町では、地域住民により、日本古来の伝統文化が脈々と育まれていることを嬉しく思った。〈 完 〉

注:本稿は、匿名の提供者によるビデオから静止画キャプチャした画像を編集したものである。

  フォトギャラリーへ 特集!旅紀行目次へ 世界の名城 感動写真集目次へ  
旅紀行ジャパン目次へ   多摩川紀行
旅紀行日本の祭り 旅紀行日本の裸祭り 旅紀行日本の花目次へ
Wa☆Daフォトギャラリー

今 日

 和田フォトギャラリー

昨 日

 Copyright (C) 2000-2006 Yoshio Wada. All Rights Reserved. 

ホームページお知らせお便りコーナー徒然日記俳句・海の風景ホームページ奮闘記作者のプロフィールリンク