ホームページお知らせお便りコーナー徒然日記俳句・海の風景ホームページ奮闘記作者のプロフィールリンク
 

Wa☆Daフォトギャラリー

 旅紀行日本の裸祭り

2013年3月5日改訂

今 日

昨 日

♪太鼓メドレー

拡大写真(1400x1425)235KB

蘇民祭畑の中の裸押し  北舟

2007年3月11日制作

審判が取主から蘇民袋を受け取る決定的瞬間!

審判が取主から蘇民袋を受け取る決定的瞬間!(黒石寺蘇民祭/岩手県奥州市水沢区)

 

天下一の奇祭

黒石寺・寺紋

黒石寺蘇民祭

 

取主

 
   2月25日(日)午前5時36分頃、蘇民袋争奪戦の渦は本堂外陣(げじん)の外に出た。石段から参道を下って門前道に出、そこから西(右)に進んで国道343号に向かった。

門前の道路に出た渦

門前の道路に出た渦

拡大写真(1400x1140)177KB

   門前道が国道343号に交わるところに妙見山黒石寺と大きく書かれた案内塔あり、裸の集団が国道に入る前にクレーンに使われる吊り上げ用の丈夫なベルトが登場し、渦を取り囲み、その進行方向をコントロールし始めた。

渦を規制するベルトの登場

渦を規制するベルトの登場

拡大写真(1400x920)175KB

 
最終決戦場
 ベルトで規制された裸の集団は、その中で揉み合いを続けながら国道343号を西に進み、あらかじめ決まっている決戦場に向かった。最終決戦地は、黒石寺西方約800mの国道南側にある畑地である。

ベルトの中で揉み合う裸の集団

ベルトの中で揉み合う裸の集団

拡大写真(1400x1050)205KB

   昔はソミヒキと呼ばれ、争奪戦の渦が東に向かうか西に向かうかで、新年の作柄を占う*という要素があったが、車道を進むことになると、警察による交通規制が必要となり、行事許可を得るために経路指定をしなければならないので、事前に最終決戦地を決めておくことになったものと思われる。毎年変更するのも警備上大変なので、固定されたものであろう。
*新年の作柄を占う:寺より東側になれば東側の地区が豊作となり、西側なら西側の地区が豊作となる。

車道で揉み合い湯気が立つ渦の中心

車道で揉み合い湯気が立つ渦の中心

拡大写真(1400x1175)179KB

 

 消防団員たちがベルトを引っ張って渦を目的地に誘導するので、渦の後部の力士はベルトで背中や腰を圧迫されて、「イタイ、イタイ」と悲鳴をあげる人もいた。

 やがて夜が明け、あたりが明るくなってきた頃、いつもの終着地である畑に下り、最後の決戦が始まった。

畑の中の最終決戦

畑の中の最終決戦

拡大写真(1400x1050)307KB

  蘇民祭畑の中の裸押し  北舟 

そみんさい はたけのなかの はだかおし

   私は渦の後方から撮影していたが、既に先行して場所取りをしている人が殆ど。ところが、畑から土手の方に渦がUターンし、私の目の前に渦が現れた。そのお陰で、低い土手の斜面から覗き込むようにして高見の見物をする格好となり、決定的なシーンを撮影することができた。

大詰めの攻防!

大詰めの攻防!

拡大写真(1400x1050)285KB

勝負あった!!

勝負あった!!

拡大写真(1400x980)222KB

 
取主とりぬし の判定
 取主の判定のために、次のような規定がある。
(1) 自力で他を振り払い、袋を御護所(鐘楼堂一階の警備本部)に届けた者(取主)
(2) 最後まで袋の締め口を持ち続けた者(取主)
(3) 最後まで取主の次を持ち続けている者(準取主若干名)
(4) 最後まで袋の一部分を持ち続けた者のうち締め口に近い方から順位が決められる。(三位以下)
(5) 種々の事情で判定困難なときは審判団で協議して決定される。
(6) 順位の番号札は口にくわえさせる。

幾重にも折り重なる人の層をはがしながら判定作業を行う審判たち

           ↓審判         ↓審判

幾重にも折り重なる人の層をはがしながら判定作業を行う審判たち

拡大写真(1600x1200)294KB

審判が取主から蘇民袋を受け取る決定的瞬間!

    ↓審判   

審判が取主から蘇民袋を受け取る決定的瞬間!

拡大写真(1400x1425)235KB

 
蘇民袋争奪戦の 取札とりふだ
 ポスターの昇ちゃんがくわえているのは取札の空札(からふだ)で5cmx2cmx5mmほどの木札である。蘇民袋争奪戦に最後まで加わり、判定時に袋に触っていた者や触れなくても最後まであきらめずに重なっていた者に、審判がお前は取主(とりぬし)ではないからもうあきらめろと言って、上に重なっている者から順に口に押し込んでくれる。

取札とりふだ

をくわえた昇ちゃん
               ↓昇ちゃん
取札をくわえた昇ちゃん

拡大写真(990x1400)252KB

   空札(からふだ)は何も書いておらず、空札をくわえた時点で争奪戦の渦から体を離さなければならない。蘇民袋の締め口の部分を最後まで握っていた取主には、蘇民袋と引替えに取主を証する取札が口に押し込まれる。
 最後まで渦に残った人は、番号のない空札(からふだ)が与えられるが、最近は人数が多いので、札が無くても警備本部にいって申告すれば、参加賞がもらえる。記念に空札を持ち帰る人もいて、札が足らなくなっているという。
 表彰は、鐘楼堂の警備本部で行われる。取主には米俵一俵などの賞品があるほか、準取主や最後まで渦に残った力士たちにも取札(とりふだ)と交換に参加賞として記念品が与えられる。

取札とりふだ

を手に引き返す力士たち

黒石寺に引き返す力士たち

拡大写真(1400x1050)329KB

 

 今年の争奪戦は午前6時33分に取主が決定し、蘇民祭の5行事全てが終わった。約2時間にわたる争奪戦を戦い抜いた力士たちは、精進小屋で着替えた後、警備本部に集合し、ゴマと焼き味噌のおにぎり2個と漬け物の入った弁当をもらって、朝食をとった。希望者には清酒が振る舞われた。

警備本部で清酒とおにぎり弁当の朝食

警備本部で清酒とおにぎり弁当の朝食

拡大写真(1400x1050)222KB

 

取主とりぬし

の表彰

 午前7時10分、藤波住職がマイクを握って賞状を読み上げ、取主と準取主の表彰が行われた。住職のマイクを持つ手が寒冷地の徹夜のお勤めで真っ赤になっていたのが印象的だった。

賞状を読み上げる藤波住職

賞状を読み上げる藤波住職

   今年の取主となった鈴木長一さん(48歳)に藤波住職から賞状が授与され、30kgの米が入った米俵1俵と参加賞の記念品などが青年部役員から手渡された。

警備本部で藤波住職による取主の表彰

警備本部で藤波住職による取主の表彰

拡大写真(1400x1050)212KB

   見事取主の栄誉に輝いた鈴木さんは、岩手県遠野市(とおのし)宮守町下鱒沢(みやもりちょう・しもますざわ)の方で、鐘楼の前でマスコミの取材を受けていたので、終わった後、我々の小屋の前で記念写真を撮らせていただいた。
 遠野市は、岩手県内陸部にあり、日本の民俗学の草分けである柳田國男の名作「遠野物語」や河童や座敷童子(ざしきわらし)で有名な「遠野民話」などで全国的に知られる町である。

見事取主となった鈴木長一さん

見事取主となった鈴木長一さん

 
今年の参加賞
 最後まで争奪戦の渦に残った力士たちに渡された参加賞は、「寺志」と書かれた白封筒に収められた御札(おふだ)とゴブラン織だった。御札は、長さ19cmの和紙に「家内安全」と「五穀豊穣」の間に「薬師護摩供之札 黒石寺」と書かれて朱印が押されていた。
 ゴブラン織りは縦 28cm x 横 30cm のサイズで、亥年(いどし)にふさわしいイノシシのデザイン。壁掛け・壁飾り、テーブルクロス、花瓶の下敷きなどに使える。以前は、蘇民袋を切り分けて配られていたという。
 写真は記念に山さんからプレゼントされたもので、今年還暦を迎えた筆者には嬉しい贈り物である。
御札
招福十二支ゴブラン織
御札 招福十二支ゴブラン織

和田義男

 
撮影
2007年2月24-25日(土-日)
  
★★★

OLYMPUS

E-330  E-500

11-22mm 14-54mm


800万画素 2200枚 3.5GB
 

天下一の奇祭

 今日は黒石寺蘇民祭が終わってから丁度二週間目の日曜日。その間、速報版を仕上げ、祭りの感動が冷めやらないうちに、完成版の編集に連日深夜まで作業を続けた。
 寝なくてはいけないと思っても眠たくないし、寝ても早朝目覚めてしまう。これほど気合いが入った作品は初めてで、この「黒石寺蘇民祭」は、現在私の持てる全ての力を結集して創り上げた感動の超大作である。
 黒石寺の蘇民祭は、それほどまでに素晴らしい魅力があり、天下一の奇祭と折り紙をつけるにふさわしい千年祭である。

編集後記

 二刀流で夢中で撮影した結果、一晩で800万画素2200枚3.5メガを切り取っていた。フラッシュ撮影が主となることから、予備電池を沢山持参した。予想外に消耗が激しかったが、何とか間に合った。
 先日、DVDに全ての原画を焼いて藤波住職にお送りしたところ、「DVD、確かに頂戴いたしました。ありがとうございました。よくぞ長時間にわたり、これだけの枚数を撮ったものだと感歎するばかりです。その執念と根性に完全に脱帽です。ゆっくりと活用させていただきます。」とお礼のメールを頂いて、恐縮してしまった。
 夜は-8℃に冷え込むなど、厳しい環境だったが、やっているときは、カッカしており、ホカロンなどを持参し、防寒の備えが十分だったので、寒さはそれほど感じなかった。精進小屋も炭火が強力で温かく、無料で使わせてもらったので、大変助かった。水洗トイレも完備しており、売店や食堂、自動販売機もあり、不自由はない。
 今年正月の金沢での裸放水の取材は、暴風雨の洗礼を受けた厳しい取材だったが、それを思うと、蘇民祭は案ずるより産むが易しで、徹夜の長時間取材ではあったが、きついと思ったことはなく、取材環境はとても良かった。今年撮影できなかったところがあるので、来年も取材して、更に完璧を期したいと思っている。

参考文献

1 「みちのくの古刹 天台宗妙見山黒石寺」 監修:妙見山黒石寺 三十九世 藤波洋香 制作・発行:光陽美術   
                            初版 2006.2.8 定価:1000円

2 「蘇民将来子孫門戸☆」(黒石寺パンフレット) 解説・写真:末武保政 水沢印刷 1983.4 非売品

3 「東奥の奇祭 妙見山 黒石寺蘇民祭のすべて」 黒石寺蘇民祭保存協力会 解説:佐藤東吉 写真:佐々木 
                                 稔 発行:1982.1

(筆者注:文献3は、「フンドシをつけた全裸で」と「全裸で」との表現があり、褌をしていても全裸としているので、「全裸で」と書かれていても、丸裸なのか、褌着用なのかが分からないところがあり、惜しまれる。私の本作品で素裸とあるのは、褌もしていない丸裸(全裸、赤裸)のことである。)

本作品の要目

日本の裸祭り第34集(実質第54集)「黒石寺蘇民祭」

平成19年(2007)
作品:第10作 画像:(大103+小36) 頁数:10 総ファイル数:286 ファイル容量:44.3MB

平成12年(2000)〜平成19年(2007)
作品数:301 頁数:1,047 ファイル数:26,693 ファイル容量:3,568MB

謝 辞

 この取材の成功は、山本さんたちをご紹介いただいた三木芳樹さんのお陰であり、最初にお礼申し上げます。そして、山さんこと山本啓一さんや昇ちゃんこと長谷川昇司さんなど、密着取材させていただいた方々のご指導とご支援のたまものであり、心からお礼申し上げます。また、黒石寺の藤波洋香住職や黒石寺蘇民祭保存協力会青年部幹部の皆様方から並々ならぬご配慮を賜り、大変お世話になりました。
 特に、藤波住職からは、解説の誤りをご指摘頂き、懇切丁寧なご指導を賜ったお陰で、最新の正確な説明を加えることができました。また、3月13日には黒石寺公式ホームページのリンク集にWa☆Daフォトギャラリー(黒石寺蘇民祭)のリンクを収録して頂いたことは夢のようで、誠に光栄に思います。
 末筆ではありますが、日本の民俗文化の誇りである黒石寺蘇民祭の変わらぬ伝統の存続と発展を衷心より祈念申し上げ、今後とも微力ではありますが、影ながら応援させて頂きたいと思っています。これからもどうか宜しくお願い申し上げます。有り難うございました。  2007.3.14 〈 合掌 〉

山さんたちと記念写真

山さんたちと記念写真

拡大写真(1100x1030)212KB

■■■    所 感    ■■■

青年部と個人グループの貢献

 参加者がせいぜい100人程度の小さな地方の祭りが、これほどまでに有名になって全国に認知されるようになったのは、30年前に黒石寺蘇民祭保存協力会青年部ができ、廃れかけていた千年余の歴史ある伝統行事の保存伝承に立ち上がったことが大きい。
 今年は青年部発足30周年の節目に当たり、青年部が3月7日に地元の胆江(たんこう)日日新聞の胆江日日文化賞を受賞されたことを、心からお喜び申し上げたい。
 しかし、今年で28回目の参加となる山さんは、青年部がわずか5人ほどの勢力で発足して間もなく初参加し、素朴で大らかな蘇民祭の魅力に惹かれ、爾来、青年部に協力して伝統の復活に尽力してきたというから、青年部の幹部が彼を大事にするのは当然であり、それに賛同して協力してきた昇ちゃんやKUMAちゃんなど個人グループの貢献も高く評価したいと思う。

これからも存続する蘇民祭

 internetで黒石寺蘇民祭を検索すると、色々なサイトで蘇民祭について書かれた記事を目にするが、そのなかで、「黒石寺蘇民祭が存亡の危機にある」という記事を目にした。確かに、数えで7歳の鬼子がなかなか見つからなかったり、外部からの参加で支えられている側面があるが、人手不足は東京の三社祭などでもみな同じ状況にある。
 それだけの理由では、誰も存続の危機に瀕しているなどとは思わない。特に蘇民祭の場合は、人望の厚い藤波住職のもとで、盤石の実行部隊である青年部40人のほか、山さんなど伝統を守るグループがしっかりと根付いており、国から指定を受けた「記録保存すべき無形民俗文化財」であるこの蘇民祭が廃れるようなことはあり得ない。

昇ちゃんの蘇民祭

 私が心配するのは、このおおらかな祭りが、変質してゆくということである。数年前から素裸で参加することを自粛する動きがみられ、今年、素裸で裸参りをした人は、昇ちゃんを含めて僅か二人であった。昇ちゃんは、伝統に従って三巡目で素裸になり、その後柴燈木(ひたき)に上がって素裸で山内節を披露した。

昇ちゃんの熱唱!「山内節」

昇ちゃんの熱唱!「山内節」

画像をクリックすると山内節が聞けます!

 しかし、事後、昇ちゃんは警察から褌を締めるよう注意を受けた。藤波住職が健全な蘇民祭を永続させるために苦渋の決断をしていたことを知った昇ちゃんは、ショックを隠しきれないでいたが、住職の意を酌んで、来年から素裸を止めることにした。そのため、来年の蘇民祭から素裸で参加する人はいなくなり、褌だけの裸祭りになる。
 全裸ということで奇祭といわれ、全国的に知られるようになった黒石寺の蘇民祭は、その弊害として興味本位の参加者が増え、風紀が乱れ、全裸ビデオが流れて、アダルトサイトなどで悪用されるなど、公序良俗に反する弊害が指摘されてきた。藤波住職もこれ以上伝統文化だとして固持できないと判断されたものと思われる。
 記録保存すべき国の無形民俗文化財であるだけに、私ばかりでなく、蘇民祭の伝統を守るために献身してきた山本グループや有識者たちは、日本の祭りのおおらかな原点が失われることの重大性に鑑みれば、どうしても割り切れない気持ちが残ることはいなめない。地元にも賛否両論がある。
 しかし、時代の変遷による価値観の多様化や映像文化の発達などに伴い、伝統文化も時代の要請に合わせて変質してゆかざるを得ない状況にあり、黒石寺住職の決断は、現実的選択と思われる。
 私の予測では、今後、鬼子を背負う人、袋出しをする人、袋に刀を入れる人などの「役持ち」は素裸の伝統を保持し、観衆の面前で裸参り・柴燈木登・蘇民袋争奪戦に参加する者には褌が義務づけられるものと見られる。
 愛知県稲沢市(いなざわし)國府宮はだか祭 では、最後に全裸の神男(しんおとこ)が現れるが、9千人のはだか男は全員褌を着用しており、黒石寺蘇民祭もそのような形になるものと思われる。ともあれ、一般参加者の素裸が無くなったとしても、それ以外の伝統文化は大手を振って存続させることができるわけで、蘇民祭を末代まで健全に伝えてゆけることが約束されたともいえよう。
 そして、昇ちゃんは、蘇民祭千余年の歴史の中で、柴燈木の上で素裸で山内節を唄った最後の男として、永遠に語り継がれてゆくことになる。昇ちゃん、長い間ご苦労さま、そして、おめでとう! これからは、褌を締め直して誰に憚ることなく山内節を唄って欲しい。

蘇民褌そみんふんどし

下帯したおび
 黒石寺蘇民祭の参加者は、以前は全裸も許容されていたが、現在は「下帯」が義務づけられ、蘇民袋争奪戦では「下帯・足袋」の着用となっている。ここでいう下帯は、白晒し木綿の六尺褌のことで、前袋式に締めている。裸参りや柴燈木登では、前垂れ式に締めている人がいるが、ごく少数である。売店では、「黒石寺蘇民祭」の朱印が押された白晒木綿の褌と地下足袋が1セット2000円で売られている。
 25年前に黒石寺蘇民祭保存協力会が発行した「東奥の奇祭 妙見山 黒石寺蘇民祭のすべて」には、「フンドシ」と表現されており、その後、いつの間にか「下帯」という言葉に変わっている。国指定無形民俗文化財の祭りであってみれば、「下帯」という表現は伝統の変質であり、正しい「褌」という呼称に戻して欲しい。正確に表現すれば、「白色木綿地の六尺褌」とし、朱印を入れた正規のものを「蘇民褌」という呼称にすることをお勧めする。
 「下帯」は褌を婉曲に表現する言葉であるが、曖昧な表現であり、江戸時代の文献によると、一般大衆はみな褌と呼び、「褌を締めてかかる」や「人の褌で相撲を取る」などの比喩は今でも使われている生きた言葉である。
 現在、褌が健康肌着として静かなブームを呼んでいるが、インターネットやデパートなどでも、褌、六尺褌、越中褌などとして売られており、下帯として売られている例は殆ど見あたらない。
 かつては、NHKなど、一部のマスコミが褌を望ましくない放送用語として扱い、「下帯」や「締め込み」などという曖昧な表現を使っていた。いわば、一部のマスコミが作り出した偏見であったが、最近はNHKも由緒ある「ふんどし」を使う例が増え、正しい日本語が復活している。

NHKの「ふんどし」報道

NHKの「ふんどし」報道

 今年8年ぶりに西大寺会陽の後に黒石寺蘇民祭が開催されたたため、西大寺会陽のまわし姿で参加した岡山のグループがいたが、違和感を感じたので、青年部に問い合わせてみたところ、来年から「まわし」は禁止するということであった。祭り衣装のあり方は、表現も含めて、代々黒石寺に伝わる伝統文化を維持して頂きたい。

苛酷な蘇民祭

 暖冬で雪は無いとはいえ、-8℃の深夜に褌一丁で三度境内を巡回して水垢離をし、柴燈木登で火の粉や煙を浴び、早朝には2時間にわたって蘇民袋争奪戦を繰り広げる蘇民祭は、とても苛酷な祭礼である。参加者に聞いてみると、無傷の人は皆無で、足の痺(しびれ)れや痛みは共通しており、精進小屋の炭火で温めて感覚が戻るかどうかといったところである。
 山本グループで一番ダメージが大きかったのがKUMAちゃん。足の凍傷が一番酷く、水沢江刺駅ではびっこを引き、電車を待つ間、足のマッサージをしていた。そのほかに柴燈木登で身体のあちこちに火傷を受け、飛び降りたときの打撲や擦り傷・切り傷があり、争奪戦では筋肉痛になったそうで、回復に1週間ほどかかったという。
 KUMAちゃんの他にびっこを引く人は見かけなかったが、足のダメージは共通しており、程度の差はあっても軽い凍傷にかかるようである。祭りの最中は興奮しているので、感覚がないが、終わってから感覚が戻ってくると、痛みや痺れを感じるようで、KUMAちゃんも争奪戦が終わるまではびっこを引いていなかったのに、終わってからびっこを引くようになった。それでも翌年には参加するので、彼らは毎度のことと意に介していないようである。

感動の蘇民祭

 2001年10月、友人から誘われて、初めて兵庫県姫路市の灘のけんか祭りを見て、男らしい裸祭りの素晴らしさに魅了された私は、それ以来、全国の裸祭りの取材を続け、次々に作品を発表し、日本の裸褌文化を紹介してきた。
 まだ7年しか経っていないが、これまでに最高の感動を受けたのが、この蘇民祭である。天台密教や修験道などが習合し、東北のこの地で独自の文化を育んできた蘇民祭は、梵鐘、法螺、太鼓、角燈、手木などを用い、僧侶や信者たちが列をなして独特の作法や呪文で魔を払いながら境内を巡る。特に山の神や農神であるともいわれる鬼子の登場は奇抜である。
 何といっても素晴らしいのは、裸の男たちが厳寒の中で雪解け水を浴び、柴燈木(ひたき)に上って火の粉や煙を浴びて身を清めつつ声高らかに山内節を唄い、蘇民袋を求めて裸のぶつかり合いを見せることである。
 厳寒地の深夜に行われる蘇民祭は、奇祭といわれるにふさわし魅力が沢山あるが、とりわけ、日本の祭祀のおおらかな原点が残されており、千年余もの歴史を刻んで今日に存続してきた重みがある。参加者たちは、徹夜の行事の合間に精進小屋の炭火を囲んで酒を酌み交わし、歓談しながら苦楽をともにする。こゝには男たちの裸の交流があり、都会に住む現代人が失ってしまった感動とロマンがある。〈 完 〉  2007.03.11 和田義男

黒石寺・寺紋

■■■  徒然日記:「黒石寺蘇民祭」完成!  ■■■
2007年3月13日(火)晴 3月11日(日)夜、新年第10作目の作品をアップした。

 ○ 日本の裸祭り/第33集(実質第53集)「黒石寺蘇民祭」

 撮影・原作・監修:和田義男  http://wadaphoto.jp/maturi/somin1.htm

 この作品は、2月24日(土)夜から25日(日)朝にかけて岩手県奥州市にある天台宗妙見山(みょうけんざん)黒石寺(こくせきじ)で催行された日本三大奇祭の一つである蘇民祭(そみんさい)を徹夜で激写したもので、800万画素2200枚3.5ギガの画像の中から厳選して作成した10頁139枚の感動超大作である。

蘇民袋の切り口を開けるために短刀をくわえて飛び込む素裸の親方

蘇民袋の切り口を開けるために短刀をくわえて飛び込む素裸の親方

拡大写真(1600x1040)234KB

 夕べ、完成版を藤波住職にご案内したところ、何箇所か誤りの部分の指摘を受け、全て訂正した。住職に作品を気に入っていただき、黒石寺公式ホームページのリンクのページに私の「黒石寺蘇民祭」をリンクして頂いた。まるで夢のようで嬉しかった。私もリンク集の「日本の祭り」のページに黒石寺ホームページに解説されている「蘇民祭」をリンクした。

  黒石寺公式ホームページ のトップページ

黒石寺公式ホームページのトップページ

  黒石寺公式ホームページ からWa☆Daフォトギャラリー(黒石寺蘇民祭)へのリンク

黒石寺ホームページからWa☆Daフォトギャラリー(黒石寺蘇民祭)へのリンク

スライドショーCD「黒石寺蘇民祭」完成!

国指定無形民俗文化財 日本三大奇祭

岩手県奥州市水沢区 妙見山(みょうけんざん)黒石寺(こくせきじ) 2007年2月24・25日

 
このたび、岡山「西大寺会陽」と大阪「四天王寺どやどや」と共に日本三大奇祭のひとつに数えられる「黒石寺蘇民祭」のスライドショーCDが完成しました。奇しくも取材した平成19年(2007)が素っ裸の参加者が見られる最後の年で、翌2008年からは警察当局の介入により一般参加者は褌を外すことが禁止されました賛否両論がありますが、江戸時代から続く裸祭の伝統がゆがめられたと思うのが筆者らの立場です。藤波洋香住職の苦渋の決断でしたが、その後も親方の全裸だけは続けられています。
 
拡大写真(2400X2000)685KB
素裸で飛び込む渦や裸押し  北舟
 
渦の中心を指示する親方と山さん(黒石寺蘇民祭/岩手県奥州市水沢区)

黒石寺蘇民祭

〜名作アニメーション〜/黒石寺蘇民祭(岩手県奥州市)
  ▼ このCDは黒石寺蘇民祭が先祖代々受け継いできた古き良き時代の裸文化を完全記録した最後の写真集で、原画を紐解いて再編集した貴重な作品です。後世に真実を伝えたいという思いで全力を注いで作成しました。

 現在、internetにアップしている画像は140枚ほどしかありませんが、未発表画像と解説画像をあわせて389枚の大作となりました。 山伏、山内節、鬼太鼓などのBGMが流れるなか、高精細画像がディスプレー一杯に展開し、5秒ごと切り替わるスライドショーとなっており、上映時間は33分です。画像の合間にホームページに掲載している解説画像を挿入していますので、そこで停止し、祭の内容を把握しながら観賞できるようになっています。

 付録として、翌年の2008年に発生した「蘇民祭セクハラポスター騒動」の顛末を掲載していますので、裸祭ファンにとって絶対に外せない愛蔵版となりました。個人で楽しむ限り、自由にプリントアウトして構いません。最大A4サイズ程度までプリントできます。
 1枚2000円でお分けしますので、希望される方は、Wa☆Daフォトギャラリー事務局 master@wadaphoto.jp 宛に送付先(郵便番号・住所・氏名)・CD名・枚数をお知らせ下さい。折り返し送料無料にて郵送させていただきます。
  煙たつ柴燈木の上の七日かな  北舟 

【24】 黒石寺蘇民祭

【24】黒石寺蘇民祭

黒石寺・寺紋

■■■  読者からのお便り   ■■■

黒石寺蘇民祭

2013年3月5日(火)晴  藤波洋香  様より 岩手県奥州市からのお便り

CD「黒石寺蘇民祭」、ありがとうございました 「黒石寺蘇民祭」、拝受いたしました。わずか6年の間に、人も世の中も随分と変わったような気がします。懐かしい映像をどうもありがとうございました。1部は阿部新治さんに届けておきます。

(^o^)(^o^)(^o^)(^o^)(^o^)(^o^)

   〠023-0101 岩手県

奥州市水沢区黒石町字山内17

 黒石寺住職 藤波 洋香

  kokusekiji@e-tera.jp

 ☎0197-26-4168(fax4303)

(^o^)(^o^)(^o^)(^o^)(^o^)(^o^)
 
こんばんは。お便りありがとうございました。全国に例を見ない水沢オリジナルの蘇民祭、世代は交代して行きますが、日本の普遍的な文化としてこれからも永遠に輝き続けられるよう記念しております。お送りしたCDは、2007年というある意味で節目の年のありのままの記録として、永久保存していただければ幸いです。有り難うございました。

追伸:facebookにも黒石寺蘇民祭をアップしております。日本古来の裸文化の華として世界中の注目を集めています。http://www.facebook.com/yoshio.wada.12
2013年3月1日(金)晴  長谷川昇司  様へ  和田義男からの送信

謹呈「黒石寺蘇民祭」 こんにちは。昨日、スライドショーCD「黒石寺蘇民祭」が完成し、メーリングリスト登録者300名にお知らせしたところですが、本日、長谷川さんに3部お送りしますので、ご笑納下さい。1枚は山本啓一さんのご遺族へ、もう1枚はKUMAちゃんへ差し上げて下さい。山さんのご遺族の方には、宜しくお伝え下さい。御霊前に捧げていただければ、光栄です。
 

黒石寺蘇民祭

今回、熊ちゃんから山本さんの訃報をお聞きし、追悼の意味で制作しました。昇ちゃんの全裸が見られた最後の年に取材できたので、今振り返れば、本当に幸運だったと思います。このCDは、黒石寺蘇民祭の完全記録版として後世に残る作品だと自負しています。これも山さん、昇ちゃんのお陰です。有り難うございました。

追伸:別途、藤波住職に2部お送りします。1部は青年部にお渡し頂くよう、お願いしたいと思っています。今回のCDには新尺さんも登場しますので、新ちゃんにも一部送ります。

おはようございます、和田様、お気遣いをありがとうございます、CDはクマちゃんと山さんの親戚へお送りします、あの年が全裸で参加できる最後でしたか、振り返れば、感慨深いです、

3月3日はつつこ引き祭です、皆と楽しく、真摯にご奉仕をして来ます。

------------------------------------------------------------------------------------------------------

今年の蘇民祭から2週間が経ちました、洋香様、お疲れ様でした、そしてありがとうございました、我々のリーダーの山さんはご逝去されましたが、山さんの意思を引き継ぎ、伝統を守ることの大切さを、一緒に参加をする若い世代に少しづつ教えています、

和田様、洋香様だけでなく、阿部様へのご配慮も嬉しく感謝をいたします、隣の炭に陣取る紫波町の、高橋吉見様とは長年のお付き合いをさせて頂いております、吉見様は一時行方のわからなくなった妙見様を発見されて、お堂に帰された方です、

数年前から、蘇民祭の始まりに、妙見様を階段を登った妙見堂にお納めする役をご一緒させていただいております、妙見様を本堂に降ろして収めるお役は、蘇民袋争奪戦の真っ最中で、今までは争奪戦に参加をして、お役をしておりませんでしたが、今年からは吉見様のご指導の下で、お役をさせて頂いております、これからもこのお役は続けたいと思っております。

------------------------------------------------------------------------------------------------------

おはようございます、つつこ引き祭は昨日無事終わりました、祭から帰ると、スライドCDが届いており、ありがとうございます、1枚は明日にでもクマちゃんへ郵送します、山さんのぶんは後日、山さんの晩年の面倒を見てくれた友人に送り、親族様へお送りすることをお願いします、和田さんのフォトは記念以上の作品で、大切にして拝見させていただきます、長谷川昇司

2007年3月11日(日)雨  Y. I. 様より

蘇民祭 私は昨年の夏頃に、三回ほど貴殿にメールを差し上げた愛知県在住のY. I.と申します。その時は、貴殿の大ファンのあまり、失礼なメールを送り付けましたが、どうぞお許しください。もし、許して頂けるのなら、少々私の話を聞いてください。

今年の、岩手県水沢市の蘇民祭りの取材には行かれましたでしょうか。その祭りですが、奇異ともいえる為に、ルーツが語られる事があまりないようです。私が思うには、黒石寺は格式の高い寺院のように見受けられ、檀家も限られた人々ではないでしょうか。

それで、当時、頻繁に起こった冷害が基で百姓一揆が勃発して、「糞くらえっ!」と、ばかりに、武器を持たない彼らは、格調高い場所に相反する全裸によるデモンストレーションで自分達の存在を示す。如何でしょうか。

蘇民祭の写真、映像ですが、最近は肖像権、個人情報の漏洩等、法的な規制がある為か、そこに写っている人達は半プロのようなモデルで、今ひとつ迫力に欠けます。地元の議員、教師、青年団であったなら違和感はないでしょう。和田様はお持ちでしょうか。宜しくお願いします。

今晩は。お便り有り難うございました。去年の夏のお便り、保存していますので、読ませていただきました。昔、蘇民祭をご覧になって、衝撃を受けたという内容でしたね。このたび、遂に取材し、ホームページにアップしましたので、どうかごゆるりとご覧下さい。

「黒石寺蘇民祭」 http://wadaphoto.jp/maturi/somin1.htm

黒石寺は、格式が高いかどうかは知りませんが、檀家の数も少なく、小さなお寺です。それだけに、住職が中心となって、檀徒や部外協力者による手作りのお祭りで、とても親しみが持てます。

蘇民祭の発祥は、蘇民信仰に基づくもので、百姓一揆による全裸の反抗だというのは勝手な憶測で、失礼ですが、妄想です。そのような反社会勢力に立派な天台宗の住職が協力するはずがありません。ご意見を述べられるときは、文献や確かな根拠に基づいて発言されることをお勧めします。

蘇民祭は、地元の方々だけでなく、何十回と参加されている部外の賛同者たちが祭りを支えています。半プロやモデルで今ひとつ迫力に欠けるとのことですが、そのような方々は一人もいません。みんな手弁当で参加しており、報酬を得る方はいません。完全なボランティアによる社会奉仕活動です。アダルトサイトに出回っている全裸ビデオを見て、そのような偏見をお持ちなら、残念でなりません。

蘇民祭の素朴さ、素晴らしさに感動して参加されている人たちばかりです。常連ですから、あちこちで顔をあわせますが、それで迫力が欠けるとは少しも思いません。褌を締め慣れているために、かえって頼もしく、美しい姿です。素人の方が締めた褌は、格好が悪く、サマになりません。

地元の議員、教師、青年団だとなぜ違和感がないのでしょうか。それ以前に、裸祭りは裸一貫の祭りで、議員や教師などの肩書きを外し、1個の人間として参加しますので、肩書きが分かるはずもなく、おっしゃる意味が分かりません。

2007年3月12日(月)晴  宮嶋 茂   様より  感動写真集/宮嶋茂

Re: 天下一の奇祭「黒石寺蘇民祭」完成! 「黒石寺蘇民祭」の完成おめでとうございます。早速拝見させていただきました。私は今までクライマックスの画面を見ていただけで、このような祭りの全貌を拝見したのは今回が初めてです。本当に見応えがありました。大変なご努力だったと感服いたしております。

これで和田フォトギャラリーにまた素晴らしいページが増えましたね。時の流れはまさに無常ですが、こういった伝統がいつまでも伝承されていくことを陰ながらお祈りしています。日本精神の根本だと思っておりますので。では、どうもありがとうございます。

おはようございます。早々に「黒石寺蘇民祭」をご覧いただき、有り難うございました。これまでで一番感動した裸祭りですので、一気に仕上げました。これだけの大作を二週間でやり遂げたのは、今も残る感動以外の何物でもありません。それほど、素晴らしく、美しい裸祭りでした。今年撮り得なかったアングルがありますので、来年も是非取材したいと思っています。有り難うございました。
2007年3月12日(月)晴  三木芳樹   様より

蘇民祭本編完成おめでとうございます 
和田さん、蘇民祭の本編完成おめでとうございます。昨晩ご連絡頂き、早速いっきに拝見しました。速報番では取り上げられてなかった、青年部の方達の祭りのこまごまとした準備の様子、精進小屋、食堂、売店など手作りの素朴な佇まい、水垢離場や本堂、参道、庫裏の位置関係など、これまでビデオやインターネットでは全く取り上げられなかったような細部まで取材され、この作品が貴重な民俗資料として後世まで語り継がれるものと確信しました。

私のつたない知識の中では、蘇民祭と言えば水垢離と柴燈木登、蘇民袋の争奪戦くらいしか知りませんでしたが、別当登、鬼子登といった宗教行事を含む壮大な祭りであることを初めて知りました。祭りの流れを逐一拝見し、私も見物に加わっていたかのような感動を覚えました。

東北、北海道は昨晩から寒波が襲来し大雪のようです。東京はこのまま桜の開花便りが聞こえて来ることでしょうが、どうぞお元気で、次の感動作品制作に向けおからだご自愛ください。
 
今晩は。早々に「黒石寺蘇民祭」をご覧いただき、有り難うございました。三木さんにご紹介いただいたお陰で、交流の輪が広がり、蘇民祭の日本一の作品ができあがりました。何度お礼を言っても足らない位です。

蘇民祭は、おっしゃるように、夜の部だけの写真が殆どで、裸ばかりが出てくるサイトばかりですので、最初から昼の部を是非撮りたいと思っていました。結果は、昼の部に3頁を費やすことになりました。10頁の大作になりましたが、これで、黒石寺とその夜祭りの全貌が明らかになりました。

そして、藤波住職や、山さん、昇ちゃん、KUMAちゃんの個人の顔が入り、より踏み込んだ作品になったと思います。中でも昇ちゃんの最後の素裸は、貴重な映像で、来年からは見ることが出来ません。(^^; これからもこのような密着取材により、踏み込んだ作品を創りたいと思っています。有り難うございました。

2007年3月12日(月)晴  蓮野 渉   様より  感動写真集/蓮野渉

Re: 天下一の奇祭「黒石寺蘇民祭」完成! 黒石寺蘇民祭。菰囲い、筵、藁、俵、炭火、畑地、地下足袋、等・・その素朴さ!氷点下、褌一丁、禊、裸参り、争奪等・・その厳しさ荒々しさ!そして柔和な住職のお姿。昨夜前半今朝後半、10ページにもわたる大作労作拝見いたしました。有難うございました。

今晩は。早々に「黒石寺蘇民祭」の完成版をご覧いただき、有り難うございました。ご指摘のように、昔懐かしい光景の中で、夜を徹して営まれる素朴な祭りですが、心を打たれるものがありました。

都会に暮らす我々が失ってしまったものが残されているからでしょうか。千年の伝統を親から子へ、子から孫へと受け継いで行く重みも実感しました。一人一人が相互依存しながら精一杯生きている生への悦びも感じました。地方にいる人それぞれがそれぞれの環境で素晴らしい人生を営んでおられることが分かりました。有り難うございました。
2007年3月13日(火)晴  大森保武   様より  感動写真集/大森保武 

天下一の奇祭「黒石寺蘇民祭」拝見しました 凄い作品になりましたね 庫裏の周辺のたたずまい、行ってみたくなる所ですね
驚いたのは裸の渦の中に小刀を口にくわえ飛び込む光景、この種のお祭りで見たのは初めてです 他にはないのでは? 神様の加護があるから、怖さ感じないのでしょうね 私のお気に入り、やはり水飛沫です 

いろいろお疲れ様でした 満足感一杯の疲労ですね 有難うございました  ではまた
 
今晩は。お便り有り難うございました。感動が強かったせいか、本当に二週間、のめり込んで編集しました。今日、最後の推敲を終わり、ドッと疲れが出ました。今日は、祝杯のスコッチのロックのあと、早めに寝ます。(^^; 土曜日は山さん、昇ちゃん、KUMAちゃんと打ち上げ会をすることになりました。もうすっかり意気投合です。

黒石寺の藤波住職ともメールをやりとりし、今日、黒石寺のホームページに私の作品をリンクして頂きました。夢のような交流です。 http://kokusekiji.e-tera.jp/link.html 

今回、一人で全てのシーンを切り取るのは矢張り難しく、鬼子登の薬師堂外陣での松明の儀式や外陣の争奪戦の模様が撮れていません。来年は、外陣の屋根裏に上がって撮影し、欠けているシーンを補充したいと思っています。

素裸の親方が小刀を口にくわえて渦に飛び込む迫真のシーンも屋根裏からだと上手く撮れると思いますので、ご期待下さい。今年の裸祭りを締めくくるにふさわしい蘇民祭でした。有り難うございました。

黒石寺・寺紋

■■■  読者からのお便り   ■■■

蘇民祭速報!「海外からのお便り」

2007年2月28日(水)晴  K. L.   様より  香港の中国人男性からのお便り

Somin Rituals Dear Yoshio,
Sorry that I can only write in English.

I've reading your website for a few years and your photos on Japanese rituals are very very very nice and beautiful.I found there are some discussions about the somin rituals photos posted in your blog. What happened to them? The photos are very well-taken and full of dynamics.

A Happy Chinese New Year to you. Cheers,  K.L.  (A Chinese man in Hong Kong)

筆者仮訳:蘇民祭 よしおさん、英語しか書けないことをお許し下さい。私は数年間貴ウェブサイトを見せていただきましたが、日本の祭りはとてもとてもとても素晴らしくビューティフルです。貴方のブログの蘇民祭の画像について何か議論がなされていることを知りました。その画像に何があったのでしょうか。それらの画像は、とても良く撮れており、躍動感に満ちあふれています。

旧正月おめでとうございます。有り難うございました。  K. L(香港在住の中国人男性)

Dear K.,

Thank you for your sending me a e-mail from Hong Kong. I'm very glad you liked my website especially on Japanese rituals since a few years ago. My Somin ritual photos including naked men and t-back loincloth posted in my blog are no problem at all.

However, a nude performer at Somin ritual were warned by police to wear t-back loincloth instead of nude. The nude performance has been a traditional practice in Somin ritual since one thousand years ago. The performer learned later the chief priest of Kokuseki temple had decided to prohibit the nude performance in Somin ritual this year.

So, he determined to wear t-back loincloth instead of nude in the next ritual in 2008. It is obvious the nude performance corrupts public morals. Althogh I feel pity to change the ritual of one thousand
year's history in quality, I cannot choose but admit the chief's choice to prohibit nude. Thank you again.

香港から私にメールをお送りいただき有り難うございました。数年前から私のウェブサイト、特に、日本の祭りを気に入って頂き大変嬉しく思います。私のブログにある全裸や褌を含む蘇民祭の写真は、全く問題ありません。

しかしながら、蘇民祭に全裸で参加した人が全裸ではなく褌を着用するよう警察から警告を受けました。蘇民祭では、千年の昔から全裸での参加が慣行となっています。その全裸の人は、後刻、黒石寺住職が今年の蘇民祭で全裸を禁止すると決断していたことを知りました。

それで彼は2008年の次の蘇民祭には全裸の代わりに褌を着用する決心をしました。全裸での参加は、風紀を乱すことは明白です。千年の祭りを変質させることはとても残念に思いますが、住職が全裸を禁止する決断をしたことに賛同せざるをえません。有り難うございました。
 
Dear Yoshio,

Thanks very very much for your reply, and it's really good that we can communicate in English.

It's a rather sad case to hear about this change of nude practice for Somin ritual. I must say these kind of ancient Japanese rituals are very well preserved and there are very few places which have ritual practices well preserved for so long (I think many ancient Chinese rituals are heavily modernised now, Koreans are doing better in this.)

Actually I'd guess some of the photos you've posted are also edited to avoid showing the frontal part of nude males.

btw, I am really pleased to know somebody like you who can write very fluent English, since I always think the general English level of Japanese is not good enough for basic communication. I had an experience with a Japanese friend who later stopped send emails to me because he found headache in writing English...

Cheers,  K.

筆者仮訳:よしおさん、ご返事大変有り難うございました。英語でやりとりできるなんてとても良いですね。

蘇民祭の全裸がなくなると聞きましたが、これはむしろ悲しい事例ですね。この種の日本古来の祭祀は大変よく保存されており、そのように長い間保存されてきた祭祀は非常に例が少ないことを是非お伝えしたいと思います。(多くの中国の祭礼は今甚だしく近代化されています。韓国人は、この点、上手くやっています。)

貴方が掲載されたいくつかの画像は、明らかに全裸男性の前の部分を表示しないよう編集されていると思われます。

ところで、私は貴方のような流暢な英語を書かれる方がいらっしゃることを本当に嬉しく思いました。というのは、常々、日本人の一般的な英語レベルは基本的なコミュニケーションにも支障があると思っているからです。ある日本の友人が英語を書くと頭が痛くなることが分かったため、その後私にメールを送るのを止めてしまったという経験があります。

それでは。
 
Dear K,

Thank you for your prompt reply. How wonderful it is to communicate immediately to you in Hong Kong through internet sitting in the living room of my house in Japan!

I really understand your point of view that preservation of traditional culture must be grave. To tell the truth, Somin ritual is a very valuable national cultural property in the field of fork customs. I suppose there will be a lot of discussions about this case in Japan, especially among knowledgeable persons. Thank you.


Yoshio WADA


素早いご返事、有り難うございました。日本の我が家の居間に居ながらにして香港におられる貴方とお互いにインターネットで直ちに連絡できることは、とても素晴らしいですね!

伝統文化の保存がとても重大な事柄であるという貴方の視点はよく理解できます。実を言いますと、蘇民祭は、国の大変価値ある民俗文化財なのです。日本では、この問題について特に有識者の間で多くの議論がなされるものと思われます。有り難うございました。

2007年3月2日(水)晴  Billy Mak   様より  外国人男性からのお便り

Somin Rituals Dear Yoshio-san,

I read the comments from Mr. K. from Hong Kong and if I may, I would like to join in the discussion. I also have enjoyed your beautiful images around the world for some time now. The ones on Japan give me an insight of history and rituals of the country and people.

I was lucky enough to be in Okayama one time when the Saidaji Matsuri took place. It was a spectacular event, especially when the lights went out and the crowd cheered. However, many participants were not Japanese, and I found their behavior disrespectful. As I understand, Matsuri is ancient religious ritual that takes place in a temple. People need to be reminded of the purpose of festival. People can enjoy the festivities but remember that it is also about respect for history and tradition.

I agree ritual dating back thousands of years should be preserved. I am sad to see so many things in life being modernized. Whoever we are and wherever we live, we lose a little more of our heritage and history everyday.

Just my opinion and thank you for reading it.

Billy

筆者仮訳:蘇民祭 よしおさん、香港のK.さんのコメントを読ませていただき、もし宜しければ私も討議に参加させていただきたいと思います。私もまた貴方の世界を巡る美しいイメージを暫し楽しませていただきました。日本の映像は、地方や人々の歴史と祭礼について理解を深めることができました。

以前、西大寺会陽が開かれたとき、岡山でたっぷりと過ごさせていただきました。それとても壮大なイベントで、特にライトが消され、群衆が歓声を上げたときは最高でした。しかしながら、参加者の中には外国人も多くいて、彼らの振るまいが尊敬すべきものではありませんでした。私の理解では、祭りとはお寺の中で催される古代の宗教的な祭礼です。人々は祭りの目的を知る必要があります。人々は祭りを楽しむことができますが、祭りは歴史と伝統の尊敬でもあるということを想起すべきです。

千年の歴史ある祭礼は保存されるべきであると、私も思います。人生の中で本当に多くの事柄が近代化されつつあり、悲しくなります。私たちが誰であれ、何処に住んでいようとも、我々は毎日何らかの遺産や歴史を失っているのです。

私の意見を述べさせていただきました。お読み頂き、有り難うございました。 ビリー

Dear Billy-san,

Thank you for your e-mail about your opinion on Somin and Saidaiji
rituals. Many foreigners interest in Japanese rituals, and want to join them. It is true that some of them join for fun without understanding the meaning of the rituals. They should listen humbly to the guidance of priests and follow the tradition. In Saidaiji ritual, some of them look slovenly due to loosen t-back loincloth. Japanese friends should check them and tighten their t-back loincloths.

 I agree with your opinion that ritual dating back thousands of years should be preserved. However everything is evanescent more or less and nothing is certain in life as Buddha said. Thank you.

ビリーさん、蘇民祭と西大寺会陽に関するご意見をメールしていただき、有り難うございました。多くの外国人が日本の祭祀に興味を持ち、参加を求めます。彼らの中には祭祀の意味を理解せずに興味本位で参加する人がいることは確かです。彼らは僧侶の指導に謙虚に耳を傾け、伝統に従うべきです。西大寺会陽で、外人の中には褌が緩んでだらしない格好をしている人がいます。日本の友人は彼らをチェックして褌をしっかり締めてやるべきです。

千年の歴史ある祭礼は保存されるべきであるという貴方の意見に賛成します。しかしながら、釈迦が言ったように、多かれ少なかれ、全ては移り変わり、そして人生は無常です。 有り難うございました。
 

Dear Wada-san.

Thank you for your reply. I would like to visit another Matsuri again. Do you recommend one that is still very tradional?

Best Regards. Billy


筆者仮訳:和田さん、ご返事有り難うございました。私は再度別の祭りを見に行きたいと思います。今も伝統を残している祭りをお勧めいただけませんか。
 
Dear Mak san,

Thank you for your e-mail again. I recommend Kounomiya hadaka ritual held in Feb. at Nagoya Japan. Thousands of people join the ritual with t-back loincloth only. At the final stage, Shin otoko (God man) appears naked. You can enjoy it on my homepage. http://wadaphoto.jp/maturi/kouno1.htm 


Mak さん、再度メールを頂き有り難うございました。二月に名古屋で開かれる国府宮はだか祭りをお勧めします。数千人の人々が褌一丁で祭りに参加します。最後の段階で、神男が全裸で現れます。私のホームページで楽しむことができます。
http://wadaphoto.jp/maturi/kouno1.htm 有り難うございました。
 
Dear Wada-san.

Thank you for your reply. I have never been to Nagoya so this is a good chance for me to visit.

Honestly speaking, your good work on the website gives me much pleasure to view places and festivals that I have never seen. Thank you again for sharing these with us.

Best Regards.  Billy


筆者仮訳:和田さん、ご返事有り難うございました。名古屋には行ったことがありませんので、これは私にとって訪問するのに良いチャンスです。正直に申し上げて、ウェブサイトの貴方の素晴らしい作品がこれまで見たこともない場所や祭りを見る悦びを沢山与えてくれました。この悦びをともに分かち合うことができましたことに、再度、お礼申し上げます。これからも宜しくお願いします。 ビリー

2007年3月6日(火)晴  K. L.   様より  香港の中国人男性からのお便り

Re: Somin Rituals Dear Yoshio-san,

Actually I am interested to know what started your interest in photographing nude rituals? And why there are so many nude rituals in Japan? (At least I can't see too many such rituals in Chinese...) I understand that some of the winter nude rituals (from temples especially) are about the cleansing of one's soul, but some of them with very large crowds, especially in summer, seemed to have various purposes.

The 15th day of Lunar New Year just over last night, thus the Chinese New Year Festival just came to an end...

Cheers,  K.

筆者仮訳:蘇民祭について よしおさん、実際、貴方が裸祭りの写真を撮るようになったのはどういう興味がおありだったのか知りたいですね。そして日本にはなぜ裸祭りが多いのでしょうか?(少なくとも、中国ではそのような祭礼は殆ど見かけません。)特にお寺の冬の裸祭りは、あるものは魂を浄化するためだと理解していますが、あるものは特に夏期に凄い人数が繰り出しますが、種々の目的があるように思えます。

旧暦の正月15日が夕べで終わり、中国の新年祭りは終わりを迎えました。それでは。  K.

Dear K.,

Thank you for your reply again. I was deeply impressed to see Nada kenka ( portable shrine fighting ) ritual in Himeji city Hyogo pref. six years ago when I was living at Kobe city due to my occupation. One thousand people wearing t-back loincloth without exception look manly and wonderful just matching Japanese traditional culture and shrine itself. I determined there to take pictures like them and open to the public on my websight.    

Purification of body and soul at a shrine or a temple just before or after New Year's Day in order to meet new year with clean body and spirit is one of Japanese tradition. Men and women in old good days bath with flesh water naked or only with loincloth.

The climate Japan features high temperature and high humidity so that our ancestors worked outside  semi nude,  especially farmers, fishermen, artisans and many other outside men workers  only with fundoshi the t-back loincloth in summer. Originally fundoshi was a men's underwear, then it was used as a working uniform and later became the uniform of rituals. So you can see fundoshi nowadays in Japan, everywhere at various kinds of nude festivals or rituals all the year round.

Thank you again.  Yoshio WADA

再度のお便り有り難うございました。6年前神戸に赴任していたとき、兵庫県姫路市の「灘のけんか(神輿のぶつかり合い)祭り」を見て感動しました。千人もの人々が例外無しに褌をしており、男性的で日本の伝統文化や神社にとてもマッチしていました。そこで私はこのような写真を撮影し、ホームページに発表しようと思い立ったのです。

綺麗な身体と心で新年を迎えるために、元旦の前後に神社やお寺で心身を浄化することが日本の伝統の一つとなっています。古き良き時代の男女は全裸か腰巻だけで清水を浴びていたのです。

高温多湿が特徴の日本の気候のため、我々の先祖は殆ど裸で働きました。特に、百姓、漁夫、職人その他多くの男性の屋外労働者たちは、夏には褌しか身につけていませんでした。もともと褌は男性の下着でしたが、仕事着となり、祭りのユニフォームになりました。そのため、日本では
今日でも一年中色々な祭りや祭祀で褌を目にすることができます。

2007年3月8日(木)晴  Rich    様より 

Re: My thanks Dear Wada-san.

Thank you for providing so many fine pictures of Japanese rituals which we could not see otherwise. I have greatly enjoyed the email discussion about the rituals as well. What you are doing is a great service to better understanding.

Thank you.
 Rich

筆者仮訳:有難う 和田さん、私たちが他では目にすることが出来ないとても沢山の素晴らしい日本の祭礼の写真をアップしていただき、有り難うございます。そしてまた、祭礼に関するEメールの討論をとても楽しませていただきました。貴方がなされていることは、より良い理解を深めるためにとても凄い奉仕活動だと思います。有り難うございました。

  リッチ

Dear Rich-san,

Thank you for your e-mail applauding my works on Japanese rituals. I'm very glad many foreigners visit my homepage so that enjoy Japanese culture especially in the field of rituals. I hope mutual understanding will deeply develop further.
Thank you again. 

Yoshio WADA

日本の祭礼に関する私の作品をお褒めいただくメールをお送りいただき、有り難うございました。多くの外国人が私のホームページを訪問され、特に祭礼の分野における日本文化を楽しんでいただいていることを大変嬉しく思っています。これからも相互理解が更に深まることを望んでいます。有り難うございました。
  フォトギャラリーへ 特集!旅紀行目次へ 世界の名城 感動写真集目次へ  
旅紀行ジャパン目次へ   多摩川紀行
旅紀行日本の祭り 旅紀行日本の裸祭り 旅紀行日本の花目次へ
Wa☆Daフォトギャラリー

今 日

 和田フォトギャラリー

昨 日

 Copyright (C) 2000-2012 Yoshio Wada. All Rights Reserved. 

ホームページお知らせお便りコーナー徒然日記俳句・海の風景ホームページ奮闘記作者のプロフィールリンク