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再び、箱根湯本駅から登山電車に乗り、強羅を目指した。箱根登山鉄道では、新型車両をあじさい電車と名付
けて走らせているが、昼間はそうでない電車と特段の違いは無く、どの電車からも沿線の紫陽花を楽しむことが出
来る。 |
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夜間は紫陽花がライトアップされ、全車指定席のあじさい電車が運行される。途中で止まってくれるので、下車して撮影できるというが、既に予約で満席状態だった。夜走る一般電車でも鑑賞できるが、特別なサービスはない。 |
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先頭車両から運転手の頭越しに進行方向を撮影。仁ノ平踏切でカメラを構えて待ちかまえている人が二人いた。この辺は線路の両脇に紫陽花が咲いており、見頃を迎えた赤白青の紫陽花がとても綺麗だった。(写真上) |
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箱根湯本駅からスイッチバックを三度行い、三つ目の宮ノ下駅に到着した。この駅には紫陽花が沢山咲いており、駅のホームから電車と紫陽花を同時に撮影することが出来る。 |
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富士箱根伊豆国立公園にある箱根温泉は、神奈川県足柄下郡箱根町にある温泉の総称であり、箱根火山の麓から中腹まで、あちこちに温泉街が点在している。豊臣秀吉が難攻不落の小田原城を攻めるため、全国の武士を集めて長期滞陣した際、その無聊を慰めるために温泉に入ったことから全国に知られるようになったといわれる。 |
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江戸時代は五街道の一つである東海道に沿った温泉として繁栄、箱根七湯として知られた。この頃の箱根七湯は、湯本、塔ノ沢、堂ヶ島、宮ノ下、底倉、木賀、芦之湯。開湯は古いが街道から大きく外れていた姥子(うばこ)の湯を入れて、箱根八湯という場合もあった。 |
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宮ノ下駅では、電車が通り過ぎる毎に、ホームに植えられた紫陽花が電車の窓に映り、まさにこれぞ紫陽花電車という風情であった。 |
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BGMに流れる歌曲は、明治34年(1901)中学唱歌として発表されて以来、親しまれてきた歌曲「箱根八里」。作曲は滝廉太郎(たき・れんたろう 1879−1903)、作詞は鳥居忱(とりい・まこと 1853-1917)。箱根八里の難所を見事に歌いあげている。 |
滝廉太郎 |
1879.8.24 - 1903.6.29 |
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東京生まれで、明治の西洋音楽黎明期における代表的な音楽家の一人。明治34年(1901)二人目の日本人音楽家として渡欧し、ドイツのライプツィヒ王立音楽院に留学。ピアノや対位法などを学んだが、わずか二月後に肺結核を発病し、一年で帰国。父親の故郷である大分県で療養したが、明治36年(1903)23歳の若さで死去した。 |
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安政2年(1853)生まれ。作詞家・教育者。東京音楽学校(現、東京芸大)教授。唱歌教育の先駆者。代表作に「箱根八里」、「秋のあわれ」など。大正6年(1917)に死去。享年64歳。 |
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第一章 昔の箱根 |
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箱根の山は 天下(てんか)の険*1(けん)
函谷関*2(かんこくかん)も物(もの)ならず
万丈(ばんじょう)の山 千仞(せんじん)の谷
前に聳(そび)え後(しりえ)に支(さそ)う
雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
昼猶闇(ひるなおくら)き杉の並木(なみき) |
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羊腸(ようちょう)の小径*3(しょうけい)は苔(こけ)滑(なめら)か
一夫関(いっぷかん)に当るや 万夫(ばんぷ)も開くなし*4
天下に旅(たび)する 剛毅(ごうき)の武士(もののふ)
大刀(だいとう)腰(こし)に足駄(あしだ)がけ*5
八里(はちり)の岩(いわ)ね 踏(ふ)み鳴らす
斯(か)くこそありしか 往事(おうじ)の武士(もののふ) |
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第二章 今の箱根 |
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箱根の山は 天下(てんか)の阻*6(そ)
蜀*7(しょく)の桟道*8(さんどう)数(かず)ならず
万丈(ばんじょう)の山 千仞(せんじん)の谷
前に聳(そび)え後(しりえ)に支(さそ)う
雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
昼猶闇(ひるなおくら)き杉の並木(なみき) |
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羊腸(ようちょう)の小径(しょうけい)は苔(こけ)滑(なめら)か
一夫関(いっぷかん)に当るや 万夫(ばんぷ)も開くなし
山野に狩する 剛毅(ごうき)の壮士(ますらお)
猟銃肩に草鞋(わらじ)がけ
八里(はちり)の岩(いわ)ね 踏(ふ)み破る
斯(か)くこそありけれ 近時(きんじ)の壮士(ますらお) |
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*1
険:山がけわしいこと。けわしい所。
*2
函谷関:中国・河南省(かなんしょう)の北西部にある交通の要地。古関と新関の二つの関所が置かれた。東西
8kmにわたって深い谷がつづき、両岸は切り立ち、樹木は陽光をさえぎって昼なお暗く、ちょうど函(はこ)の中を進むのに似ているところから、この名がつけられた。
*3
羊腸の小径:ヒツジの腸のように曲がりくねった小道
*4
一夫関に当るや万夫も開くなし:けわしい地勢の地にある関所は、一人の男が守備に当るだけで、万人の兵が
攻めても陥落することが無い。きわめて要害堅固な地形をいう。[李白、蜀道難詩]
*5
足駄掛け:足駄(雨天に用いる高い二枚歯のついた下駄。たかげた。)をはいて行くこと。泥道のためか。
*6
阻:山のけわしいこと。
*7
蜀:中国の地名。今の四川省の別称。古くから富饒の地として知られ、劉備が蜀漢を建国したのをはじめ、この地に割拠した支配者は少なくない。
*8 桟道:山のきりたった崖などに棚のように設けた道。絶壁から絶壁にかけ渡した橋の道。
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幸運にも強羅公園(ごうらこうえん)で「あじさい展」が開催されており、早速入場。珍しいあじさいの花が名札とともに展示されていたので、どういう名の紫陽花かよく分かった。 |
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質素で素朴な紫陽花は日本固有の花で、万葉集にも名が見えるほど古くから知られる。日本人の感性によく似合う花なので、鎌倉時代以降は園芸品種としても栽培されたが、余りにもありふれた花であるために、紫陽花の名所が生まれたのは戦後になってからだという。 |
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写真下の柏葉(かしわば)あじさい「ハーモニー」は、葉っぱが柏(かしわ)の葉に似ている珍しい紫陽花である。 |
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紫陽花の別名は手鞠花、刺繍花、七変化など。花言葉を調べてみると、青や紫に色を変えることから、「移り気」「浮気」「変節」など、あまり芳しくない言葉が並ぶ。 |
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Hydrangeas,
inconstant in love
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しかし、フランスでは、1ヵ月以上も咲き続けることから、紫陽花の花言葉は「辛抱強い愛」だという。いかにもフランス人らしいロマンチックなネーミングである。 |
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Hydrangeas,
constant in love
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紫陽花は、色々な種類があるが、多様な姿形(すがたかたち)と、日本人の感性に合った微妙な色合いが美しい。写真下の「城ヶ崎」はとても美しく、一目で見分けがつく花である。紫陽花は、雨にうたれると、より一層生き生きとして輝きを増すのが素晴らしいところである。 |
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万葉歌人・橘諸兄(たちばなのもろえ)は、紫陽花の花が幾重にも咲くことから「とわに」という想いを歌に託している。 |
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あぢさゐの八重さくごとくやつ世にをいませ吾背子見つつ偲はむ (万葉集 巻20-4448) |
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箱根は、登山鉄道沿線を中心に、紫陽花の名所として、これからも多くの人々の目を楽しませてくれることだろう。 |
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撮 影
2007年6月29-30日
OLYMPUS
E-410 E-330
14-54mm
11-22mm
1000万画素 850枚 1.82GB
800万画素 160枚 230MB
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今年は空梅雨で水不足が心配されているという報道のあと、一転、長雨となり、西日本では集中豪雨による被害が発生している。異常気象の影響とあれば心配である。 |
集中豪雨は困るが、梅雨は恵みの雨であり、「水と安全はタダで当然」という日本文化が育まれてきたともいえる。 |
梅雨といえば紫陽花。日本原産のこの花は何処にでも咲いていて、子供の頃から親しんできた。水のように有り難みが薄れているが、この時期、一幅の絵として、梅雨空の下で清楚な姿を見せてくれるのが嬉しい。 |
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旅紀行日本の花第18集(実質第29集) 「箱根の紫陽花」 |
制作・撮影 : 和田義男 |
平成19年(2007)7月8日 作品:第19作 画像:(大22+小4) 頁数:2 ファイル数:61 ファイル容量:15MB
平成12年(2000)〜平成19年(2007) 作品数:251 頁数:844 ファイル数:27,846 ファイル容量:3,810MB |
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