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2011年5月7日改訂

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「ペレアスとメリザンド」より「シチリアーノ」:フォーレ Sicilienne

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2002年3月27日制作

新西宮ヨットハーバーの夕焼け

新西宮ヨットハーバーの夕焼け(兵庫県西宮市)

俳句「海の風景」目次 褌の俳句 海の俳句百選

001

瀬戸潮の渦に吸はれて冴返る

河東碧梧桐
せとしおの うずにすわれて さえかえる
冴返る:いったん春らしくなってから再び寒気がぶりかえすことをいう。

002

春寒や碇泊船のうす煙

中村汀女
はるさむや ていはくせんの うすけむり
春寒:春が立ってから来る寒さ。

003

香港の春暁の船皆動く

高浜虚子
ほんこんの しゅんぎょうのふね みなうごく
春暁:春の暁闇(ぎょうあん)のころをいい、春の朝というより時間的に早い。

004

海近く住み潮の香に夏近し

稲畑汀子
うみちかく すみしおのかに なつちかし
夏近し:春が闌(た)けて木々の緑や日差しに夏の近いことが感じられる頃。

005

旅さびし汐満つ音と春の星

中村汀女
たびさびし しおみつおとと はるのほし
春の星:春の夜空にまたたく星。冬空にきらめく鋭い星と違って、朧にうるんだ星。

006

春雨や小磯の小貝ぬるるほど

蕪 村
はるさめや こいそのこがい ぬるるほど
春雨:春の到来を告げる雨。土を潤し、若芽を育て、暖かさをもたらす。

007

春雷の鳴りすぐるなり湾の上

高浜虚子
しゅんらいの なりすぐるなり わんのうえ
春雷:春に鳴る雷。夏の雷のような激しさはなく、二つ三つで終わることが多い。

008

海に沿ふ一筋町や鳥曇

高浜虚子
うみにそう ひとすじまちや とりぐもり
鳥曇:春、渡り鳥が北へ帰るころの曇天をいう。

009

春の海終日のたりのたりかな

蕪 村
はるのうみ ひねもすのたり のたりかな
春の海:荒々しい冬の海とは変わり、のどかな春の海をいう。凪の日が続き、穏やかである。

010

島々に灯をともしけり春の海

正岡子規
しまじまに ひをともしけり はるのうみ

011

春潮といへば必ず門司思ふ

高浜虚子
しゅんちょうと いえばかならず もじおもう
春潮:春の海水。春と共に潮の色は次第に藍色となり、明るく澄んだ色に変わってくる。

012

流氷や宗谷の門波荒れやまず

山口誓子
りゅうひょうや そうやのとなみ あれやまず
流氷:寒帯の海で凍った海氷が風や海流で漂流しているもの。

013

蒼海の色尚存す目刺かな

高浜虚子
そうかいの いろなおそんす めざしかな
目刺:鰯などの小魚に塩を振り、数匹ずつ一列にして藁や竹串で目を刺し通し干した食品。

014

海を見て十歩に足りぬ畑を打つ

夏目漱石
うみをみて じっぽにたりぬ はたをうつ
田打:田植えの準備として、春先に田の土を起す作業。 畑打:畑を耕すこと。

015

底泥に流るる水や汐干潟

高浜虚子
そこどろに ながるるみずや しおひがた
潮干(汐干):陰暦三月三日ころの大潮は、一年中で干満の差が最も大きく、干潮時は、はるか沖まで干潟が続く。これを潮干(しおひ)という。

016

磯遊び二つの島のつづきをり

高浜虚子
いそあそび ふたつのしまの つづきおり
磯遊び:春の大潮のころ、遠く潮の退いた磯辺に出て遊ぶこと。

017

岩の間に手をさし入れて磯遊び

山口誓子
いわのまに てをさしいれて いそあそび

018

塩田のゆふぐれとなる遍路かな

山口誓子
えんでんの ゆうぐれとなる へんろかな
遍路:四国八十八か所の霊場を巡拝すること。白装束・菅笠(すげがさ)・金剛杖・納札箱・珠数・鈴などを持ち、ご詠歌をうたって霊場を巡る。

019

浜風に色の黒さよ誕生仏

一 茶
はまかぜに いろのくろさよ たんじょうぶつ
誕生仏:四月八日、釈迦の誕生を祝って諸寺で行う仏生会(ぶっしょうえ)に安置される仏の像。参詣人が甘茶を注ぐ。

020

砂の上曳ずり行くや桜鯛

高浜虚子
すなのうえ ひきずりゆくや さくらだい
桜鯛:春、産卵のため内海にやってくる真鯛。ちょうど花時に当たることから俗に桜鯛・花見鯛と呼ばれる。

021

飯蛸や膳の前なる三保の松

夏目漱石
いいだこや ぜんのまえなる みほのまつ
飯蛸:マダコ科に属し、全長25cmほど。三月ころ産卵。抱卵した雌を煮ると腹に飯粒が詰まったように見えることからこの名がある。

022

明ぼのやしら魚白きこと一寸

芭 蕉
あけぼのや しらうおしろき こといっすん
白魚(しらうお):シラウオ科に属する回遊魚で体長6〜10cm。細長く半透明。黒眼が鮮やか。ハゼ科の白魚(しろうお)とは別種。

023

洗ひたる花烏賊墨を少し吐き

高浜虚子
あらいたる はないかすみを すこしはき
花烏賊:学名甲烏賊()。胴長18cmほど。背中に石灰質の舟形の甲羅を持つ。桜の咲くころ、産卵のため沿岸にくることからこの名がある。

024

舌やいて焼蛤と申すべき

高浜虚子
したやいて やきはまぐりと もうすべき
蛤:浅海の砂泥中に生息する二枚貝。風味が良く、日本では昔から馴染まれている。

025

海手より日は照りつけて山ざくら

蕪 村
うみてより ひはてりつけて やまざくら
桜:バラ科サクラ属の総称。山桜・染井吉野など自生種・園芸種合わせて数百種と、その品種は極めて多い。

026

白浜の牡丹桜に名残あり

高浜虚子
しらはまの ぼたんざくらに なごりあり

027

灯台は光の館桜の夜

山口誓子
とうだいは ひかりのやかた さくらのよ

028

灯台を花の梢に見上げたり

高浜虚子
とうだいを はなのこずえに みあげたり
:単に花といった場合は、桜の花をさす。

029

藤垂れて今宵の船も波なけん

高浜虚子
ふじたれて こよいのふねも なみなけん
藤:藤は晩春に長い房を垂らして咲く。色は紫が多いが、白もある。

030

海女とても陸こそよけれ桃の花

高浜虚子
あまとても くがこそよけれ もものはな
桃の花:中国原産のバラ科の落葉高木。淡紅色・緋色・白などの花が葉に先立って咲く。

031

菜の花や昼ひとしきり海の音

蕪 村
なのはなや ひるひとしきり うみのおと
菜の花:菜種油をとるために栽培される油菜の花で、薹(とう)の先端に黄色の十字花をたくさん開く。司馬遼太郎が好んだ。

032

菜の花や灯台にある明り窓

山口草堂
なのはなや とうだいにある あかりまど

033

日をのせて浪たゆたへり海苔の海

高浜虚子
ひをのせて なみたゆたえり のりのうみ
海苔:苔状海藻の総称。一般に食用紅藻類の甘海苔をさす。江戸時代から養殖が行われている。

034

新潟の初夏はよろしや佐渡も見え

高浜虚子
にいがたの しょかはよろしや さどもみえ
初夏:夏を初・仲・晩と分けて夏の初めのころ。入梅前の木々の緑も新しいさわやかな季節。

035

我船のすすむばかりや梅雨の海

高浜虚子
わがふねの すすむばかりや つゆのうみ
梅雨:6月11〜12日の入梅の日から約一月間の雨期で、梅が熟するころの雨。じめじめしてものが黴やすいので、黴雨(ばいう)ともいう。

036

暑き日を海に入れたり最上川

芭 蕉
あつきひを うみにいれたり もがみがわ
暑し:夏をつうじての暑さで幅があるが、溽暑(じょくしょ)は、梅雨の頃のむしむしした暑さ。

037

船涼し左右に迎ふる対馬壱岐

高浜虚子
ふねすずし さゆうにむかうる つしまいき
涼し:夏の暑さの中で感じる朝夕の涼しさ、水辺の涼しさ、星や露の涼しさは格別。

038

航海やよるひるとなき雲の峰

高浜虚子
こうかいや よるひるとなき くものみね
雲の峰:夏空に巨大な山の形に湧く雲で、入道雲のこと。しばしば驟雨(しゅうう)や突風を伴う。

039

雨降りて南吹くなり港町

高浜虚子
あめふりて みなみふくなり みなとまち
南風:夏の季節風。海から吹く南風で気温・湿度が高い。

040

夕立が始まる海のはづれ哉

小林一茶
ゆうだちが はじまるうみの はづれかな
夕立:夏の午後などに局地的に激しく降る雨で、雷を伴う時が多いが、すぐに止む。

041

夕焼の色を残して海静か

稲畑汀子
ゆうやけの いろをのこして うみしずか
夕焼:日没の際、西の空が燃えるように赤く染まる現象で、四季の中で夏の夕焼けは殊に壮観。

042

天草の島山高し夏の海

高浜虚子
あまくさの しまやまたかし なつのうみ
夏の海:輝く太陽の下に広がる紺碧の海。マリン・スポーツの若者たちで溢れる。

043

夏山や一足づつに海見ゆる

一 茶
なつやまや ひとあしづつに ううみみゆる
夏山:緑に蔽われた夏の山。昼なお暗い夏山・雪渓の残る高山・溶岩の山も含まれる。

044

目には青葉山ほととぎす初鰹

山口素堂
めにはあおば やまほととぎす はつがつお
初鰹:毎年、黒潮に乗って沿岸に回遊してくる、青葉の頃とれた走りの鰹を初鰹と称し、珍重される。

045

鎌倉を生きて出でけん初鰹

芭 蕉
かまくらを いきていでけん はつがつお

046

鯖の旬即ちこれを食ひにけり

高浜虚子
さばのしゅん すなわちこれを くいにけり
鯖:初夏の産卵期に群れをなして日本近海に回遊して来る体長30cm位の青緑色の魚。

047

海亀の帰る卯浪の道ありて

稲畑汀子
うみがめの かえるうなみの みちありて
海亀:熱帯・亜熱帯の海岸に棲み、6〜7月頃日本の太平洋岸に来て、穴を掘って数十個から百数十個の卵を産む。

048

妹が口海酸漿の赤きかな

高浜虚子
いもがくち うみほおづきの あかきかな
海酸漿:天狗螺(てんぐにし)・長螺(ながにし)・赤螺(あかにし)などの貝類の卵嚢(らんのう)で、着色して縁日などで玩具として売る。産卵期は6〜7月。

049

船虫の波に洗はれあとも無し

高浜虚子
ふなむしの なみにあらわれ あともなし
船虫:3〜5cm位の草鞋型の虫で岩礁、岸壁、舟底などに群がっている。船底などをかじって穴を開けることもある。

050

海荒れに汐汲む海女や栗の花

山口誓子
うみあれに しおくむあまや くりのはな
栗の花:梅雨の頃、黄白色の小花を穂状に垂らし、特有の青臭い匂いを放つ。雌雄異花で目立つのは雄花。

051

海士の顔先づ見られるやけしの花

芭 蕉
あまのかお まずみられるや けしのはな
罌粟(けし)の花:東欧・西アジア地方原産の一、二年草。初夏の頃直立した茎の頂きに薄い四弁の花びらをもつ花を開く。

052

大汐や昼顔砂にしがみつき

一 茶
おおしおや ひるがおすなに しがみつき
浜昼顔:海辺の砂地に自生する蔓草。砂の上を這う茎に丸くて厚く光沢のある葉を互生する。五、六月頃、葉の脇に長い柄を出し、その先に昼顔に似た淡紅色の花を開く。単に昼顔ともいう。

053

初秋や海も青田も一みどり

芭 蕉
はつあきや うみもあおたも ひとみどり
初秋:秋の初め頃で陽暦八月に当たるまだ暑さはきびしいが、いつとはなく涼しくなり、秋の気配が感じられる。
054

八月や楼下に満つる汐の音

正岡子規
はちがつや ろうかにみつる しおのおと
八月:秋に入る月で、夏から秋に移り変わる月である。まだ残暑はきびしいが、下旬には秋の気配がただよってくる。
055

秋寒し此頃あるる海の色

夏目漱石
あきさむし このころあるる うみのいろ
秋寒:秋も半ばから末にかけて、ようやく覚える寒さ。
056 蛤のふたみに別れ行く秋ぞ
芭 蕉
はまぐりの ふたみにわかれ いくあきぞ
行く秋:秋が過ぎ去ろうとするのをいうが、それを惜しむ感慨がある。
057

からからと貝殻庇秋過ぎぬ

一 茶
からからと かいがらびさし あきすぎぬ
058

秋晴の岬や我れと松一つ

渡辺水巴
あきばれの みさきやわれと まつひとつ
秋晴:秋空が澄んで晴れ渡ること。遠くの山まで見晴らすことができ、天高く感じられる。
059

あら海や波をはなれて秋の雲

暁 台
あらうみや なみをはなれて あきのくも
秋の雲:秋の空は澄んでいるので雲が美しい。代表的な秋の雲は鰯雲や鯖雲である。
060

名月や門にさしくる潮がしら

芭 蕉
めいげつや かどにさしくる しおがしら
名月:陰暦8月15日の中秋の満月である。一年中でこの月がもっとも澄んで美しい。
061

渚なる白浪見えて良夜かな

高浜虚子
なぎさなる しらなみみえて りょうやかな
良夜:月光くまなく明るい名月の夜(十五夜)の意。陰暦9月13日の後の月の夜(十三夜)もいう。
062 十六夜や海老煎る程の宵の闇
芭 蕉
いざよいや えびにるほどの よいのやみ
十六夜:陰暦8月16日の夜。またその夜の月をいう。
063

十六夜や鯨来初めし熊野浦

蕪 村
いざよいや くじらきそめし くまのうら
064

荒海や佐渡に横たふ天の川

芭 蕉
あらうみや さどによこたう あまのがわ
天の川:一年中空にかかっているが、天の川が特に美しく明らかに見えるのは秋。
065

秋風や干魚掛けたる浜庇

蕪 村
あきかぜや かんぎょかけたる はまひさし
秋風:秋に吹く風。爽やかさと同時に、どことなく寂しく、空しい感じを伴う。
066

秋風や甲羅をあます膳の蟹

芥川龍之介
あきかぜや こうらをあます ぜんのかに
067

海をみて佇てば海より秋の風

久保田万太郎
うみをみて たてばうみより あきのかぜ
068 台風の浪見て墨を磨りにけり
山口誓子
たいふうの なみみてすみを すりにけり
台風:昔は野分といっていたが、今はタイフーンに台風の漢字を当てて用いる。
069

稲妻の一網打つや伊勢の海

蕪 村
いなづまの ひとあみうつや いせのうみ
稲妻:空中で電気が放電する際に発する稲光・稲妻をいう。夏の夕立の多いときに多い現象で雷鳴を伴う。稲妻は稲の夫(つま)の意で、稲妻によって稲が実るという俗説から秋の季題となっている。
070

灯台に低く霧笛は峙てり

高浜虚子
とうだいに ひくくむてきは そばだてり
霧:地上の空気が冷やされ、水滴となって浮遊し一面に立ちこめる。春と秋に多い現象で、春は霞、秋は霧という。
071

寂しさや須磨に勝ちたる浜の秋

芭 蕉
さびしさや すまにかちたる はまのあき
浜の秋:夏の間、海水浴で賑わった浜辺も秋になると人気も絶え、静けさを取り戻す。
072 門を出て十歩に秋の海広し
正岡子規
もんをでて じっぽにあきの うみひろし
秋の海:秋空の下に広がる爽やかに澄んだ海。寄せては返す波も夏に比べて清澄である。
073

初潮や旭の中に伊豆相模

蕪 村
はつしおや あさひのなかに いずさがみ
初潮:陰暦8月15日の大潮。2月とともに8月の満月の日は潮の干満の差が最大となる。春の大潮は昼に最大となるが、秋の大潮は夜に最大となり、名月の月見の頃が満潮となる。
074 ゆるやかに帆船はひりぬ秋の汐
高浜虚子
ゆるやかに はんせんはいりぬ あきのしお
秋の潮(汐):春潮と同様に干満の差が激しい。動きや光が爽やかに澄んだ感じがする。
075

大雨や月見の舟も見えて降る

一 茶
おおあめや つきみのふねも みえてふる
月見:陰暦8月15日と9月13日の月を見ることをいう。芒(すすき)や団子などを供えて月見をする。
076

鯊釣の日和になりぬ葉鶏頭

正岡子規
はぜつりの ひよりになりぬ はけいとう
鯊釣:河口や海岸で潮の差してくるときが釣り時。貧食の魚で、面白いように釣れる。
077

ひらひらと釣られて寂し今年鯊

高浜虚子
ひらひらと つられてさびし ことしはぜ
078

秋寂し綸を下ろせばすぐに釣れ

久保田万太郎
あきさびし いとをおろせば すぐにつれ
秋寂し(秋思):秋のものわびしい気持。杜甫の詩「秋思(しゅうし)雲髻(うんけい)を抛(なげう)ち、腰肢宝衣に勝る」から出た言葉。
079 この海の供養にともす燈籠かな
河東碧梧桐
このうみの くようにともす とうろうかな
灯籠:盆灯籠をいい、精霊(しょうりょう)供養のために灯して軒に掲げる。新盆の家では数日前から灯す。
080

大漁や鰯こぼるる浜の道

正岡子規
たいりょうや いわしこぼるる はまのみち
鰯:回遊魚で体長は生後2年で15cm位。濃藍色で腹は銀白色、体側に七つ星と俗称される黒点がある。初夏から秋冬にかけて近海に押し寄せる。秋が旬で味も良い。
081

打よする波をふまへて鰯引く

高浜虚子
うちよする なみをふまえて いわしひく
082

海士の屋は小海老にまじる
いとどかな

芭 蕉
あまのやは こえびにまじる いとどかな
竃馬(いとど):黄褐色で海老のように身体が曲がっていて、長い触角と大きな後肢をもっていてよくはねる。床下やかまどの近くに棲む。
083 切通し柿の色づく漁港かな
中村汀女
きりとおし かきのいろづく ぎょこうかな
柿:柿は古くから栽培されている果樹で、種類も多い。
084

早稲の香や分け入る右は有磯海

芭 蕉
わせのかや わけいるみぎは ありいそかい
早稲:8月初めに花が咲き、9月上旬には収穫される成熟期の早い稲。
085 撫子や海の夜明けの草の原
河東碧梧桐
なでしこや うみのよあけの くさのはら
撫子:秋の七草の一つ。茎の高さ30cm位。淡紅色の可憐な花で、白色もある。
086

門前に船つなぎけり蓼の花

正岡子規
もんぜんに ふねつなぎけり たでのはな
蓼の花:蓼類の花全てをさす。種類が多く、初秋に可憐な濃淡の紅色花を穂状につけるものが多い。
087

秋刀魚焼く煙の中の妻を見に

山口誓子
さんまやく けむりのなかの つまをみに
秋刀魚:体長30cm余り、背は鉛青色の細長い魚で、9月頃から寒流に乗って南下を始め、10月頃九十九里浜沖まで来る。

088

かくれけり師走の海の鳰
芭 蕉
かくれけり しわすのうみの かいつぶり
師走:1年の最終月で年も押しつまった感が深く、町も人も急に気ぜわしく見えてくる。

089

塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店

芭 蕉
しおだいの はぐきもさむし うおのたな
寒し:寒さといっても、肉体に感じるものと心理的なものとがあり、その程度も色々。

090

舟漕いで海の寒さの中をゆく

山口誓子
ふねこいで うみのさむさの なかをゆく

091

水枕ガバリと寒い海がある

西東三鬼
みずまくら がばりとさむい うみがある

092

大船や帆綱にからむ冬の月
高浜虚子
おおぶねや ほづなにからむ ふゆのつき
冬の月:冬の月は青白く冴えて冷たい感じがする。

093

冬凪といふと雖も浪の音

高浜虚子
ふゆなぎと いうといえども なみのおと
冬凪:強い海風が風向きによってははたと止み、忘れたように凪ぐことがある。

094

木がらしや目刺にのこる海の色

芥川龍之介
こがらしや めざしにのこる うみのいろ
凩(木枯):冬の初めに吹く強い北西の季節風。木の葉を吹き落として枯木にしてしまうところから木枯という。

095

潮じみて重ね着したり海女衣

高浜虚子
しおじみて かさねぎしたり あまごろも
重ね着(着ぶくれ):寒さを防ぐために着物を何枚も重ねて着るため、身体がふくれて見える。

096

乾鮭の切口赤き厨かな
正岡子規
からざけの きりくちあかき くりやかな
乾鮭(干鮭):塩を振らずに陰干しにしてつくる。薫製に似て美味なものができる。

097

牡蠣をむく火に鴨川の嵐かな

高浜虚子
かきをむく ひにかもがわの あらしかな
牡蠣むく:堅い殻を被っているので剥いて食用にする。貝殻の隙間へ鉄の剥き棒を差し込んでこじ開ける。

098

鷹一つ見つけてうれし伊良古崎

芭 蕉
たかひとつ みつけてうれし いらこざき
鷹:鷲につぐ猛禽で飛ぶことが非常に迅い。

099

水鳥の低う飛ぶ江に入日かな

芭 蕉
みずとりの ひくうとぶえに いりひかな
水鳥:生活の大部分を水上でくらす鳥。秋から冬にかけて渡ってくる鳥が多い。

100

舟に据ゑ海へ供へし鏡餅
山口誓子
ふねにすえ うみへそなえし かがみもち
鏡餅:神仏に供える正月の餅。大小の丸餅を重ねたもので、形が鏡に似ていることから鏡餅という。
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