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祈祷殿を後にした一行は、道場の南の隅に設けられた阿字1門（あじもん）
から入場し、柴燈護摩の修法が始まった。大勢の観衆に見守られながら次々と式次第がこなされてゆく。
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阿字門（あじもん）
《道場の開門にあたって衆生の心の曼茶羅（まんだら）2を開く。》 道場の入口に竹の棒をＸ形に組んだ門である。
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大導師招待
《修行の大導師を修法壇場へ案内する。》
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床堅（とこがた）
《菩提心の大地を結界し堅固ならしめる。》
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笈3私（おいわたし）
《先達から道具を次の先達に伝える。》 僧（写真右端）が背負った笈（おい）を祭壇に供える。
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1
阿字：
梵語の第1字母。密教で「阿」字は万物の根源であり、不生不滅の原理を象徴的に表現するとされる。
2
曼茶羅：
一定の方式に基づいて、諸仏・菩薩・神々を網羅して描いた図。
3
笈：
仏具・衣服・食器などを入れて背に負う脚付きの箱。
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柴燈護摩は、修験者が行う屋外の護摩で、理源大師聖宝（りげんだいし・しょうぼう）（832〜909）が始めたものといわれる。宇多天皇（867〜931）の頃、修験道の霊地大和国（奈良県）金峰山（きんぷせん）には毒蛇が多く生息していて入峰の修験者を悩ましていたので、聖宝が天皇の命を受け、山中の柴薪（さいしん しばとたきぎ）を集めて供養し、毒蛇を結界して行者に危害が加わらないようにしたことにはじまるという。
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祭場はカラフルな注連縄（しめなわ）で結界が三重に張られている。カメラ位置は、南に向かって設置された北の祭壇の直ぐ東側である。中央には、長方形の木枠に檜（ひのき）の葉を積み上げた巨大な柴燈護摩壇（さいとうごまだん）が築かれている。
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斧を持った山伏は、祭壇の前の私の目の前で儀式に使う斧の鞘（さや）を外し始めた。鞘にも黄金の舵輪のような寺紋が描かれていた。この紋は、山伏の結袈裟（ゆいげさ）につけられているものと同じである。
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拡大写真（1400x1000）229KB 【E-1
28mm F8.0 1/320秒 ISO200】
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菅笠と大導師
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柴燈護摩（さいとうごま）の主宰者・大導師は、北の祭壇に向かって護摩壇の南側に立ち、手を合わせた。
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向かって左の従者が菅笠（すげがさ）を手にしている。これは、護摩壇の火勢が最強となったとき、大導師の顔前にかざして防火壁とするためである。 |
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祭 壇 |
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手を合わす大導師 |
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拡大写真（1200x900）248KB 【E-1
28mm F9.0 1/400秒 ISO200】
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拡大写真（1200x900）191KB 【E-1
316mm F5.6 1/500秒 ISO200】
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会場全景
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パノラマ写真（3000x740）329KB 【E-1
28mm F7.1 1/250秒 ISO200】
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青年僧 |
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熟年僧 |
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拡大写真（1024x768）107KB 【E-1
330mm F5.0 1/250秒 ISO200】
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拡大写真（1024x768）92KB 【E-1
566mm F5.6 1/320秒 ISO200】
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《秘密神力の斧にて一切の煩悩の賊を切り払う。》 いかにも力がありそうな弁慶のような斧先達（おのせんだつ）が渾身の力を込めて斧を打ち下ろす姿は、迫力満点である。上下左右から念入りに煩悩を切り払っていた。
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拡大写真（1200x900）176KB 【E-1
234mm F5.0 1/320秒 ISO200】
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《神力加持の法弓を持って生死の悪魔を破る。》 若いハンサムな法弓先達が呪文を唱えながら道場の四隅から矢を放つ。一番時間をかけた儀式である。
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手際の良い作法は、見ていて惚れぼれする。弓を持つ左手は手っ甲をして手首に珠数を巻いている。矢を持つ右手は素手である。 |
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矢を弓につがえる |
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弓を引き絞る |
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拡大写真（1200x900）173KB 【E-1
140mm F5.6 1/320秒 ISO200】
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拡大写真（1200x900）243KB 【E-1
140mm F5.6 1/320秒 ISO200】
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矢を放つ！
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拡大写真（1200x900）164KB 【E-1
208mm F4.5 1/500秒 ISO200】
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次の位置に移動する |
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悪魔をねらう |
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拡大写真（1024x768）111KB 【E-1
400mm F5.0 1/400秒 ISO200】
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拡大写真（1024x768）78KB 【E-1
566mm F5.6 1/250秒 ISO200】
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《本尊に道場への降臨を乞い祈願の旨を奉上する。》 法螺を吹きながら大導師を先導していた祭文先達が和紙の巻物に書かれた祭文を読み上げた。紫の上衣や大きな房のついた結袈裟などから察するに、大導師に次ぐ地位にある高僧とみえる。
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拡大写真（1200x900）125KB 【E-1
566mm F5.6 1/320秒 ISO200】
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《清浄の大慈悲の水を洒いで衆生の心地を潤す。》 阿伽先達により、阿伽が護摩壇に注がれる。阿伽とは水のことで、今でも海事用語で船底に溜まった海水（ビルジ）をあかという。
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拡大写真（1200x900）238KB 【E-1
140mm F5.0 1/250秒 ISO200】
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