|
|
|
|
|
《火生1三昧2(かしょうざんまい)の功徳(くどく)をのべる。》 いよいよメインイベントの火生三昧といわれる山伏の火渡り(ひわたり)がはじまった。
|
|
|
山伏がこの行をおこなうのは、激しい不動信仰(煩悩を焼き尽くす不動明王を尊ぶ信仰)による菩提心3(ぼだいしん)を表すためという。塩をまいたあと、先達が巻物を読み上げた。
|
|
|
1
火生: 不動明王が三昧に入って身から火焔を出し、その火で悪魔を焼滅すること。
2
三昧: 心が統一され、安定した状態。
3
菩提心: 悟りを求め仏道を行おうとする心。密教で、悟りの根源的な心。
|
|
|
|
|
|
|
|
塩をまく僧 |
|
火生表白 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
熊手の長いようなもので地ならしして2本の通路が完成。山伏たちは地下足袋を脱ぎ、スタート位置に集まった。
|
|
|
|
|
|
|
|
地ならし |
|
裸 足 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
《大菩提心を振い起こして火中に入り、自他一切の成仏*を願う。》 出発位置は、南にある二ヵ所の門で、紅白のテープが巻かれた2本の棒の間に、筵(むしろ)に盛られた塩が置いてある。先達が塩が盛られた八方を持ち、先頭に立つ。後に渡火する方が楽なので、渡火先達は一番大変な役である。
|
|
|
*
成仏:
密教は即身成仏を目指す。人間が肉身のままで究極の悟りを開き仏になることで、真言宗・天台宗・日蓮宗などで説かれる。浄土宗や浄土真宗のように念仏を唱えて極楽浄土への往生を願う宗教とは異なる。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
拡大写真(1600x1200)308KB 【E-1
100mm F6.3 1/640秒 ISO200】
|
|
|
|
|
|
|
渡火先達が出発ゲートの塩を踏んだ後、前に進み、まだ煙と炎がくすぶる中を塩をまきながら渡火を始めた。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
拡大写真(1200x750)287KB 【E-1
62mm F5.0 1/200秒 ISO200】
|
|
|
|
|
|
拡大写真(1200x900)276KB 【E-1
114mm F6.3 1/640秒 ISO200】
|
|
|
|
|
|
|
《大智火にふれることに依り一切の罪障を焼き滅ぼす。》 山伏の渡火のあと参詣信徒一同の渡火が始まった。最初は白装束に身を固めた男女の信者たちである。腰に手を当てて歩く者、合掌して歩く人など、様々である。
|
|
|
鉢巻の上に頭襟(ときん)をしている本格的な信者もみえる。足元に白く見えるものは、燃え残ったなで木である。燃えていなくても、冷めるまではかなりの高温で熱いという。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
拡大写真(1024x1000)174KB 【E-1
86mm F10.0 1/500秒 ISO200】
|
|
|
|
|
|
|
道場に入場を許されている白装束の信徒は、渡火のあと、山伏同様に場内で地下足袋を履く。白装束の背中に南無大師遍照金剛・同行二人の文字がみえる。遍路装束のようであり、大師信仰と修験道が融合している。
|
|
|
|
|
|
|
|
白装束の信徒の渡火 |
|
地下足袋を履く信徒 |
|
|
|
拡大写真(1200x900)221KB 【E-1
38mm F10.0 1/320秒 ISO200】
|
|
拡大写真(1024x768)182KB 【E-1
38mm F10.0 1/250秒 ISO200】
|
|
|
|
|
|
|
一般の信者や火行希望者の渡火がはじまった。お年寄りや身障者などには僧侶がサポートしてくれる。
|
|
|
|
|
|
|
|
一般信者の渡火
|
|
拡大写真(1200x900)138KB 【E-1
152mm F8.0 1/400秒 ISO200】
|
|
|
|
渡火の順番を待つ長蛇の列
|
|
|
|
塩を踏んで出発!
|
|
|
|
心頭滅却すれば・・・。
|
|
拡大写真(1200x800)150KB 【E-1
194mm F7.1 1/640秒 ISO200】
|
|
|
梵天を手に、外人さんもトライ!
|
|
拡大写真(1200x900)205KB 【E-1
140mm F6.3 1/400秒 ISO200】
|
|
|
お母さんと一緒
|
|
拡大写真(1200x800)170KB 【E-1
140mm F6.3 1/400秒 ISO200】
|
|
|
塩を踏んでフィニッシュ! |
|
無事に渡火を終えた人たち |
|
|
|
|
|
注:文中の表記は全て35mm換算によるもので、
「28mm」はフォーサーズシステム対応レンズの14mmで撮影したという意味です。
|
|
|
|
《 2004年3月14日撮影
》
OLYMPUS E-1
14-54mm
50-200mm EC-14
500万画素
1,400枚 1,560MB
|
|
高尾山薬王院による火渡り祭は、internetで調べた限りでは、これほど大規模なものは他に見当たらず、文字通り日本最大級の「大火渡り祭」といえる。 |
真言密教に修験道が結びついた仏教文化は、独特の専門用語が多く、解説は大変だったが、簡潔かつ大胆にまとめた。 |
細かな点はともかく、薬王院の僧侶に直接電話し、確認をとったので、大きな間違いはないと思う。懇切丁寧な説明を頂いた薬王院に心より御礼申し上げたい。〈合掌〉 |
|
|
|
|
|
|
|
|
日頃見慣れない山伏姿の僧侶による迫力ある火焔の荒行を見学させていただいたお陰で、密教と修験道の生きた体験をすることができ、大精細画面によるカラー写真と解説文により、古来より今に伝わる厳しい火行の様子を生々しく記録することができたと思う。 |
|
|
帰宅して気がついたのだが、コートの背中に2ヵ所、煙草の火を押しつけたような焼け焦げの跡があった。火渡り祭の飛び火による勲章である。不動明王が私に要求した授業料であろう。コート1着がお釈迦になったのは痛いが、今年1年、きっと御利益があるに違いない。(^^; 〈
完 〉 |
|
|
|
|
|
|