宝木は、取り主(拾い主 最後に宝木を得た者)によって境内を抜け、宝木仮受所に指定されている西大寺商工会議所に持ちこまれると、白米を盛った一升桝で仮受けの後、検分役の寺僧が宝木削り(宝木の原木から宝木を削る行事)のときに切り放した元木と一升桝の宝木の木理(もくり 木目のこと)が合致するかどうかを判定する。真正なものであれば、取り主は晴れて福男に認定されるとともに、宝木は祝い主が用意した祝い込みの場所まで運ばれる。(近年、祝い主は、会陽奉賛会により事前に決められる。) |
寺から赴いた山主は、宝木を朱塗りの丸形の厨子に納め、祈願して祝い主に渡す。かくして宝木は祝い主のものとなる。祝い主は45cm×120cmの白い額行灯(がくあんどん 横長の額の形に似た行灯)に御福頂戴と大書し、山主(住職)や取り主などを迎えてお祝いをする。宝木は1年で御利益がなくなるわけではないが、祝い主は毎年会陽の始まる前に宝木を寺に持ち込んで祈祷を受け、新たな気持ちで年を迎えるという。 |
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裸の交流
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資料 |
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西大寺会陽に毎年出場している「林グループ」(林昭二郎代表、約40人)が、2003年2月15日夜から岡山市西大寺の西大寺観音院で開かれた会陽に岩手県の裸祭・蘇民祭(そみんさい)の保存会メンバーを招待。一緒に出場し、祭りの保存と盛り上げを目指して”裸の交流”を深めた。 |
裸祭り同士の有効を図ろうと、林グループが1999年、岩手県各地で開かれている蘇民祭に参加して以来、交流が続いており、蘇民祭のメンバーが参加するのは二年連続三度目。 |
招待された5人はいずれも岩手県内では名人クラス。林グループのメンバーと本堂横の四本柱付近で裸の渦に入ったリーダー格の会社員菊池長太郎さん(48)は「蘇民祭は個人技で西大寺はグループ戦術だが、ぜひ宝木(しんぎ)を狙いたい」。 |
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林グループは今回、還暦を迎えるメンバー6人が赤いまわしで出場。加えて、蘇民祭だけでなく、国府宮(こうのみや)神社(愛知県稲沢市)のはだか祭りのメンバーも招待していたが、13日の転倒事故で急きょ不参加が決まった。
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林グループの斎藤雅之さん(31)は「残念だが参加者の飲酒など抱えている問題は同じ。来年はぜひ参加してもらい、一緒に祭りの将来を考えたい」と話していた。(山陽新聞より抜粋)
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裸祭りの様子を描いた『備前金陵山西大寺会陽之図』は、江戸時代に作成されたもので、現在、国立歴史民俗博物館に保存されている。
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西大寺会陽では、約100束の串牛(くしご)と一対2本の宝木(しんぎ)を9千人の裸男が争うので、手にする確率は宝くじよりも低い。一旦宝木を手にしてもラグビーのように大勢が奪いに来て押しつぶされるので、一人で持ち出すのは至難の業である。グループを作り、バトンタッチしながら、どこにあるか分からないようにするのがポイントだという。
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宝木を拾う福男になるには、よほどの運の良さと体力が勝負だ。宝木には地元のスポンサーにより賞金がついているそうで、争奪戦にも熱が入る。規模といい、内容といい、知名度といい、これはどう見ても天下の奇祭だ。 |
(写真は資料画像) |
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