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白糸の滝
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前原(まえばる)市は、福岡市の西隣に位置する。白糸(しらいと)の滝は、前原市南部の背振(せぶり)山地の羽金山(はがねやま
標高900m)の北斜面を流れる長野川の源流にかかる落差24m、幅12mの優雅な滝である。流れる水が白い絹糸のように見えることから、この名がある。
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前原市の白糸地区にある熊野神社では、毎年年末に氏子たちが白糸の滝の清水が流れる長野川で水垢離をとる「白糸の寒みそぎ」と呼ばれる神事が行われる。 |
この神事は、室町時代に疫病や大火に見舞われ、この地が寂れかけていたため、これを立て直そうと山伏が始めた荒行が起源とされ、現在は住民らによって受け継がれている。 |
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熊野神社
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熊野さまを祀る神社は全国で3,273社あるという(神社本庁「祭礼データ」の祭神名検索の結果による)。熊野神社は、主に家津御子神(けつみこのかみ=素盞鳴命)、熊野速玉男神(くまのはやたまおのかみ=伊邪那岐命)、熊野夫須美神(くまのふすみのかみ=伊邪那美命)を祀る。
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ちなみに、熊野三山とは、東牟婁郡本宮町(ひがしむろぐんほんぐうちょう)の熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ
本宮)、新宮市の熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ
新宮)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ
那智)の三社の総称である。 早春の熊野三山
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寒みそぎ
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熊野神社の「寒みそぎ」は、五穀豊穣などを祈願する神事であるが、奇祭として知られる。この裸祭りは、既に400年も前から続いている伝統行事で、前原市の冬の風物詩となっている。
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12月18日午前0時、一番太鼓を合図にふんどし一丁になった男たちが神社境内に集合し、二番太鼓でお祓いとお神酒で無事に行事が終わるように祈る。
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三番太鼓を合図に、提灯と松明を持った男を先頭に、新米の奉納米が入った桶(おけ)を担いだ未婚の年男3人があとに続く。
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総勢約100人が約200mをひた走り、長野川に設けられた「みそぎ場」に入る。年男たちが奉納米を研ぐ間、氏子たちは滝から流れ落ちてきた身を切るように冷たい清水で身を清める。「オイサ、オイサ」と掛け声をかけながら激しく水をかけ合う姿は圧巻である。
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氏子たちの衣装は、白晒の越中ふんどしに地下足袋か裸足である。白タオルを後ろ鉢巻に締めている人もいる。ふんどしは各自が用意するようで、まちまちの寸法だ。子供たちも大人の締める越中ふんどしをしており、大きすぎてもてあまし気味のようだ。 |
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高張り提灯を先頭に、竹を束ねた松明が続き、桶を担いだ3人の年男が川の土手を下る。
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寒さを紛らすためか、次第に激しい揉み合いが始まる。中には勢い余って転ぶ男もいる。激しい運動と水の抵抗でふんどしが乱れているが、男たちは気にもとめない様子だ。越中ふんどしは激しい揉み合いには不向きだが、神社の禊ぎ用の伝統衣装として定着している以上、六尺ふんどしには替えられないのだろう。 |
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