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 旅紀行日本の裸祭り

2010年9月30日改訂

今 日

昨 日

♪納曽利 高麗小乱声〜当曲急

 

秋めくや納曽利の翳す銀の桴  北舟

 

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Early autumnal air,
Nasori the dancer raising a silver drumstick.

2010年9月24日制作

雅楽「納曽利」の一人舞
 

雅楽「納曽利」の一人舞/虎柏神社(東京都青梅市)

神紋:丸に違い鷹の羽   虎柏神社   神紋:丸に違い鷹の羽
 

奉納相撲

納曽利

はじめに

 
 平成22年(2010)8月27日(金)28日(土)の両日、東京都青梅市根ヶ布(おうめし・ねかぶ)に鎮座する虎柏神社(とらかしわ・じんじゃ)で宵宮祭と例大祭が開催され、宵宮の奉納雅楽と例大祭の奉納相撲を取材した。  

★☆★彡

 
▼ 虎柏神社は、JR青梅線・東青梅駅から成木(なるき)街道を徒歩で20分ほど北上すると右手にある神社で、その奥には青梅ゴルフ倶楽部がある。筆者は青梅市河辺町(かべまち)の自宅から自転車で片道20分ほどの距離だったので、往復とも自転車を利用した。  

 

【凡例】  ▲:上の画像の説明文  ▼:下の画像の説明文  〈画像の左クリック〉:別窓に拡大写真を表示

虎柏神社とらかしわじんじゃ

の位置

虎柏神社の位置

Google Earth
▼ 8月27日(金)の夕刻、虎柏神社の社務所に電話(0428-23-1718)し、奉納相撲の取材をお願いすると共に日程を確認したところ、午後6時半から雅楽が奉納されると聞き、フラッシュ撮影を許可して頂いたので、千載一遇のチャンスとばかり、直ぐに自転車に飛び乗って神社に赴いた。  
JR東青梅駅から

虎柏神社とらかしわじんじゃ

への道

JR東青梅駅から虎柏神社への道

Google Earth
  ▲▼ 神社の境内に入ると地元の根ヶ布(ねかぶ)囃子連による居囃子(いばやし)の奉納が行われており演奏に合わせてひょっとこが剽軽(ひょうきん)な踊りを見せてくれた。  
地元青梅市 根ヶ布ねかぶ

居囃子いばやし

 2010.8.27. 18:10

地元青梅市根ヶ布の居囃子

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虎柏神社とらかしわじんじゃ

 
▼ 延喜式内社(えんぎしき・ないしゃ)の社格を有する虎柏(とらかしわ)神社の創立年代は良く分からないが、弥生時代に当たる崇神(すじん)天皇のころ神地を賜ったと伝えられている。祭神は、大年御祖神(おおとしみおやのかみ)と惶根神(かしこねのかみ)。平安時代に諏訪神社を勧請(かんじょう)し、諏訪宮(すわのみや)と呼ばれるようになったが明治維新の際、虎柏神社という古名に戻したという。その関係で、バス停は「諏訪神社前」となっている。  
赤屋根の虎柏神社 18:20

赤屋根の虎柏神社 18:20

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▲▼ 本殿は、正徳(しょうとく)3年(1713)に再建された三間社切妻造(さんげんしゃきりづまづくり)。幣殿(へいでん)、拝殿覆舎(はいでん・ふくしゃ)は明治18年(1885)の再建で、拝殿の回廊は昭和26年(1951)に設けられた。  
   虎柏神社の本殿は昭和46年(1971)に東京都から有形文化財に指定されている。また平成5年(1993)に虎柏神社境域が東京都から史跡に指定された。  
虎柏神社の拝殿

虎柏神社の拝殿

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鉦鼓しょうこ
鞨鼓かっこ
鉦鼓 鞨鼓

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日本伝統の調べ「

雅楽ががく

 
▲▼ 大陸から我が国に伝来して以来、その姿を守り続け、千年の時を越えて現在も天皇家や寺社の祭事の音楽として演奏される伝統の調べが雅楽(ががく)である。BGMに流れる曲は納曽利(なそり)の舞につけられた「高麗小乱声(こまこらんじょう)」と「当曲急(ときょくきゅう)」のメドレーで、いずれもデジタル収録された名曲である。  

管弦かんげん

の調べ 18:42
 
しょう

龍笛りゅうてき

篳篥ひちりき

鉦鼓しょうこ
鞨鼓かっこ

管弦の調べ 18:42

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▲▼ 今宵の演奏は、さいたま市大宮区に鎮座する武蔵一ノ宮・氷川神社(ひかわじんじゃ)氷川雅楽会の10人の皆さん。以前から虎柏神社の要請を受けて宵宮に雅楽を奏上している貴重なプロ集団である。  

しょう

(左)と

鉦鼓しょうこ

笙(左)と鉦鼓

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管 弦かんげん

 
▲▼ 鞨鼓(かっこ)・太鼓(たいこ)・鉦鼓(しょうこ)(しょう)篳篥(ひちりき)龍笛(りゅうてき)楽箏(がくそう)・楽琵琶(がくびわ)という打楽器菅楽器弦楽器で演奏する曲を管弦(かんげん)といい、そのリード役は管が請け負っている。龍笛を吹く今宵の解説者(リーダー)によると日本ではオーケストラのことを管弦楽団と訳しているが、リードするのは第一バイオリンなので、弦管楽団と訳すべきだったという。  

龍笛りゅうてき

(横笛、左)と

篳篥ひちりき

(縦笛)

龍笛(横笛、左)と篳篥(縦笛)

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管弦は唐の時代に中国から日本に伝えられたため、唐楽(とうがく)ともいい、壱越調(いっこちょう)・平調(ひょうじょう)・双調(そうじょう)・黄鐘調(おうしきちょう)・盤渉調(ばんしきちょう)・太食調(たいしきちょう)の六つの調子があるという。  
 今回は、平調(ひょうじょう)の唐楽を打楽器と管楽器のみで演奏した。曲目は「平調 音取(ひょうじょうのねとり)」と「陪臚(ばいろ)」の二曲。前者は楽器の音律を整えるとともに演奏の雰囲気をつくるための短い曲。後者は、陪臚破陣楽(ばいろはじんがく)とも呼ばれる有名な武舞(ぶまい)の曲。この曲は武人の間で愛好され中でも八幡太郎義家は出陣毎にこれを奏して士気を高め、大勝を得たという。  
雅楽「 納曽利なそり 」の一人舞

雅楽「納曽利」の一人舞

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  秋めくや納曽利の翳す銀の桴  北舟 

あきめくや なそりのかざす ぎんのばち

Early autumnal air, Nasori the dancer raising a silver drumstick.

銀色の ばち 翳す 納曽利なそり

銀色の桴を翳す納曽利

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舞 楽ぶがく

 
▲▼ 解説者によると舞楽 dance music には中国系の左舞(さまい)(唐楽 とうがく/からがく)と朝鮮系の右舞(うまい)(高麗楽 こまがく、日本古来の国風舞(くにぶりまい)の三種があるという。左舞は約30曲、右舞は20余曲あり舞の形式や内容によって、文舞(ぶんまい)、武舞(ぶまい)、走舞(はしりまい)、童舞(どうまい)などに分類される。今宵は、納曽利(なそり)と胡蝶(こちょう)が奉納された。  
納曽利なそり 」の

「納曽利」の面

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納曽利なそり

 
▲▼ 納曽利(なそり)は高麗楽(こまがく)・走舞(はしりまい)当たるもので、名称の由来は不明だが、朝鮮の地名からつけられたものといわれている。舞人(ぶにん)は、長い牙のついた恐ろしい獣の面をつけ、青地金襴(あおじ・きんらん)の帽子をかぶり、右手に細い銀の桴(ばち)を持つ。通常は二人で舞うが、ときには一人のこともある。  
拝殿正面に歩み出た「 納曽利なそり

拝殿正面に歩み出た「納曽利」

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納曽利(なそり)所作は、二匹の龍が楽しげに舞い踊る様子をあらわしたもので、元気があって面白く、活発な中にもどこか荘重(そうちょう)な感じのある深い舞である。なお、納曽利(なそり)と陵王(りょうおう)は、番舞(つがいまい)となっている。 納曽利(なそり)の曲目解説  
   すべての楽曲は対応する左右に分けられておりこれを番舞(つがいまい)と呼ぶ。左楽(さがく)は、唐楽(とうがく / からがく)といい、赤の装束を着用する。これに対して右楽(うがく)は、高麗楽(こまがく)といい、緑の装束になる。  
雅楽を楽しむ人たち

雅楽を楽しむ人たち

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胡蝶こちょう 」の

「胡蝶」の舞

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胡 蝶こちょう

 
▲▼ 蝶々が舞い遊ぶさまを表現した胡蝶(こちょう)は、高麗楽(こまがく)・童舞(どうまい)当たるもので、宇多上皇(うだじょうこう)(867-931)が童相撲を御覧のときに、藤原忠房(ふじわらのただふさ)が楽を付け、宇多上皇の第八皇子・敦実親王(あつみしんのう)(893-967)が舞を作ったといわれている。  
汗だくで舞う 胡蝶こちょう

汗だくで舞う胡蝶

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▲▼ 舞人は、絹白地の袴の上に、緑系統の地色に蝶を散らした尻長の紗(さらさ)の袍(ほう)を着て、手には山吹(やまぶき)の枝を持つ。足には絲鞋(しかい)を履き、背と胸に牛革又は重ね貼りした和紙に胡粉(ごふん)を引き、紅や緑青で蝶の羽を描いた翼と胸当てをつける。  
   頭に鍍金(めっき)した唐草模様の宝冠(雅楽では、山形の額飾りと側頭部に二本の剣形の飾りを備えた金属製のヘッドバンド)をつけて二本の山吹の枝をはさむ。図画資料では、髪は下の輪のみの角髪に結うことが多い。化粧は稚児と同様の白塗りの厚化粧が原則となるが、しない場合や薄化粧の場合もある。  
   源氏物語の「胡蝶」などを見ると、宴会の際に、この衣装をつけさせた童子に舟を漕がせることなども行われていたようである。  
御前での胡蝶の舞

御前での胡蝶の舞

資料:フリー百科事典

迦陵頻(かりょうびんが)

▲▼ 現在、童舞(どうまい)は、右舞(高麗楽)の「胡蝶」と左舞(唐楽)の迦陵頻(かりょうびんが)の二曲のみが伝承されており、舞は可愛らしく、可憐である。
 ちなみに、迦陵頻(かりょうびんが)(左図)は、上半身が人で、下半身が鳥の仏教における想像上の生物。サンスクリットの kalavinka の音訳。阿弥陀経では、共命鳥とともに極楽浄土に住むとされる。
 
可憐な 胡蝶こちょう の舞

可憐な胡蝶の舞

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