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山幸彦の話をしたからには、縁結び、安産の杜(もり)として知られる鵜戸神宮を切り離すことはできない。青島神社から南方約18kmに鎮座する鵜戸神宮は、「鵜戸さん」と愛称され、創建は崇神天皇(すじんてんのう)の御代と伝えられる。 |
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その後延暦元年(782)に天台宗の僧、光喜坊快久(こうきぼう・かいきゅう)が神殿を再興し、同時に寺院も建立して初代別当となり、勅号「鵜戸山大権現吾平山仁王護国寺(うどさんだいごんげん・あひらさん・みおごこくじ)」を賜って、両部神道の道場として栄えたという。 |
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明治になって廃仏毀釈により寺院が廃止され、鵜戸神社、さらに鵜戸神宮と改称されて現在に至っている。 |
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風光明媚な国定公園日南海岸の鵜戸崎突端にある東西32m、南北38mの洞窟の中に、鮮やかな朱塗りの社(やしろ)が祀られており、全国でも珍しい神社である。 |
この洞窟は、主祭神である鵜葺屋葺不合命(うがやふきあえずのみこと)(神武天皇の父)の産殿(うぶどの)の跡と伝えられる霊地で、およそ三百坪(約1,000m2)ほどの広さがある。 |
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山幸彦は、兄・海幸彦から借りた釣針を探すため、塩椎神(しおつちのかみ)の助言に従って綿津見神(わたつみのかみ)の宮へ行き、そこで綿津見神の娘である豊玉姫(とよたまひめ)を妻とする。 |
山幸彦は釣針を取り戻して陸に戻るが、山幸彦の子を身籠もっていた豊玉姫が出産にやってくる。鵜戸神宮本殿が鎮座する洞窟に鵜の羽を用いた立派な産屋(うぶや)が用意されるはずだったが、完成が間に合わず、そのことから生まれた子は鵜葺屋葺不合命(うがやふきあえずのみこと)と名付けられた。 |
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豊玉姫は、出産の時には本来の姿に戻らなくてはならず、その醜い姿を見られたくないことから、「出産の際は産屋の中を覗かぬように」と山幸彦に言ったが、心配する山幸彦は、中を覗いてワニの姿に戻って出産する姫の姿を見てしまう。 |
それを悲しんだ豊玉姫は海原の国へ戻ってしまったが、姫は子のために乳房(ちぶさ)を置いていったと伝えられる。また、山幸彦ひとりで子を育てるのは大変だろうと、豊玉姫は妹の玉依姫(たまよりひめ)を乳母(うば)として地上に送る。 |
やがて成長した鵜葺屋葺不合命(うがやふきあえずのみこと)は玉依姫を妻とする。二人の間に生まれた子の中に、後の神武天皇がいる。この産湯の跡が本殿裏、洞窟の一番奥にある。 |
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産湯跡の隣には、竜宮に帰った母君の豊玉姫が乳房を残して行ったと伝えるお乳岩がある。お乳岩から出る水を使って飴をつくり、祭神を育てたと伝えられるのがお乳水。 |
今も絶え間なく玉のような岩清水(いわしみず)を滴(したた)らせて、安産や育児を願う人々の信仰の拠り所となっている。この水でつくる「おちちあめ」は鵜戸の名産で、女性に人気がある。 |
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本殿前の海岸には、豊玉姫が竜宮から乗ってきたと伝わる長さ約8mの亀石がある。その甲羅の部分に約50cm四方の枡形の穴があり、円形の注連縄が張られて、霊石として祀られている。 |
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古くから、参拝者は、亀石の枡形穴に向かってお金を投げ入れる風習があったが、昭和27年(1952)頃、落ちたお金を取りに危険な崖を降りて磯に出た子がいて問題となった。 |
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そのため、賽銭に代わるものを鵜戸小学校と鵜戸神宮で開発した結果、粘土を丸め「運」の字を押し、素焼きにした「運玉」が誕生した。以来、地元の子供たちが作り続ける運玉は、亀石に投げられ、願いと夢と喜び・楽しみを与えてくれている。運玉は、直径2cm程の素焼きの玉で、5個100円で本殿横の社務所で購入できる。 |
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昔はこのあたりの新婚夫婦は必ず鵜戸さんにお参りするという風習があった。新婦を馬に乗せ、新郎は手綱(たづな)を引いて参詣の街道を辿(たど)った。馬の首に付けられた鈴をシャンシャンと鳴らしながらの道中だったことから「シャンシャン馬」と呼ばれるようになり、その名は今も広く知られている。 |
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この風習は元禄の頃から始まったもののようで、大正初期頃まで続いた後に途絶え、今は鵜戸神宮儀式殿で3月末に行われる「しゃんしゃん馬道中唄全国大会」にあわせ、県内外の新婚カップルを募集して道中の一部を再現し、往時を偲ばせている。 |
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