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第46回鎌倉まつりの最終日となった2004年4月18日(日)、鶴岡八幡宮の流鏑馬馬場で祭りのフィナーレを飾る流鏑馬神事が行われたので、再び鎌倉を訪れた。 |
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騎射の一種で、馬場に並行して方板の的を数間おきに3個並べ、射手が馬場を馳せながら射る。犬追物(いぬおうもの)、笠懸(かさがけ)と共に騎射三物(きしゃみつもの)と呼ばれ、中世武士の武芸鍛錬の代表的なものであった。 |
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矢は鏑矢(かぶらや)*を用い、その装束は一般に行縢(むかばき)**に綾藺笠(あやいがさ)***を着け、重
藤(しげどう)の弓を持つ。流鏑馬の語は矢馳馬(やはせうま)あるいは矢伏射馬(やぶさめ)の転化したものといわれる。
*鏑矢(かぶらや):
先に鏑をつけた矢。空中を飛ぶ時、鏑の孔に風が入って響きを発する。(鏑:
木・竹の根または角つので蕪かぶらの形に作り、中を空にし、数個の孔を穿って矢の先に付けるもの。)
**行縢(むかばき):
足の部分にまとう旅行具。長途の歩行用として布帛(ふはく)類を細長く裁って足首から膝の下にかけて巻きつける形式。
***綾藺笠(あやいがさ):
藺を編んで造り、裏に絹をはった笠。中央に突出部がある。武士の狩装束で、遠行または流鏑馬用。 |
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鎌倉時代に広く行われた流鏑馬も室町期以降衰退し、現在では神事の儀式としてその名を残すのみとなった。 |
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流鏑馬神事の会場
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やぶさめ太鼓 |
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午前11時30分から鶴岡八幡宮の境内において流鏑馬太鼓保存会によるやぶさめ太鼓が披露された。
流鏑馬神事や古風な太鼓に対して現代風の斬新な衣装は、勇壮な流鏑馬をイメージしたデザインなのだろう。 |
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やぶさめ太鼓
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38mm F8.0 1/320秒 ISO200】
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文治3年(1187)8月15日
、鶴岡八幡宮放生会に際して、源頼朝が流鏑馬を催行したことに始まるといわれる流鏑馬神事は、
鶴岡八幡宮では、春秋2回奉納される。 |
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流鏑馬には武田・小笠原・三浦の三流派があるが、春は、大日本弓馬会 武田流司家 金子四郎家教一門 の流鏑馬が奉納される。武田流は、昭和9年(1934)以来射手として奉仕してきた金子四郎家教さんが第35代司家を維承し 、高度な伝統技術を今に伝えている。 |
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流鏑馬馬場 |
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奉射の的 |
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拡大写真(800x600)93KB 【E-1
28mm F5.6 1/160秒 ISO200】
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今年も午後2時から流鏑馬に不向きな競争馬を功みに馭(ぎょ)して流鏑馬馬場を疾走する武田流の古式流嫡馬神事の妙技が被露され、
大勢の観客の喝采を浴びた。 武田流流鏑馬 |
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馬場を行進する武田流の射手たち |
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100mm F3.2 1/160秒 ISO200】
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流鏑馬神事 |
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流鏑馬神事は、直線120間(約218m)の馬場に的を3個並べ、騎乗して的を射る騎射(きしゃ)が奉納される。騎射には、奉射(ほうしゃ)と競射(きょうしゃ)がある。 |
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奉射:
式の的は一尺八寸(48.5cm)四方で、板を網代にあみ、その上に白紙を張リ、青黄赤白紫の5色で丸的をあらわし、的の後には四季の花を添える。射手は一番手、二番手の2組に分かれて、それぞれ重藤(しげどう)の弓を持ち、三つ的を全速カでかけ抜けながら3回9本の失を射る。 |
競射:
的は土器2枚を合せ中に5色の切紙を入れた三寸(9.1cm)の小的で
、命中すると土器は砕け、中の五色紙は吹雪の如く飛び散る。競射の出馬資格は、9本の式之的を7本以上的中した者である。 |
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司家・金子四郎家教さんの勇姿
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100mm F3.2 1/125秒 ISO200】
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いざ出陣! 騎士の晴れ姿
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拡大写真(1200x900)274KB 【E-1
82mm F4.0 1/125秒 ISO200】
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出発の合図 |
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疾走する射手
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566mm F4.9 1/500秒 ISO200】
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狙いを定めて!
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478mm F4.7 1/320秒 ISO200】
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的に向かう鏑矢 |
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400mm F5.6 1/400秒 ISO200】
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馬上の射手 |
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的に向かって |
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566mm F4.9 1/500秒 ISO200】
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拡大写真(800x600)124KB 【E-1
566mm F4.9 1/500秒 ISO200】
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赤丸に当たり!
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224mm F7.1 1/250秒 ISO200】
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弓を引く射手
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見事に的中!
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凱陣する射手たち
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拡大写真(1200x900)288KB 【E-1
70mm F4.5 1/125秒 ISO200】
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流鏑馬終了の神事 |
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武田流によると、騎射が終わった後に凱陣之式(がいじんのしき)と呼ばれる儀式が行われる。流鏑馬そのものが、世の邪悪退治をも意味しているため、退治した邪悪の「首実験」の意味も込められているという。 |
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拡大写真(1600x1000)247KB 【E-1
28mm F7.1 1/250秒 ISO200】
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競射の最多的中者は、式之的を持ち奉行の前に進み出で跪座(きざ)する(ひざまずいてすわる)。奉行は、扇を開き骨の間より的を検分する。次に扇を畳み、太刀の鯉口を切った時、太鼓方は、陣太鼓を三打する。 |
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奉行は、鬨の声を「えい、えい、えい」と上げ、射手、所役一同はすかさず「おー」と唱和、これを三回繰り返し勝鬨を上げる。 |
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司家の威厳と風格 |
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舞殿の武将 |
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拡大写真(1200x900)170KB 【E-1
166mm F3.2 1/250秒 ISO200】
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拡大写真(1200x900)184KB 【E-1
100mm F6.3 1/500秒 ISO200】
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舞殿の上で、凱陣之式に添った神事が行われ、流鏑馬神事が終了した。司家による太刀の鯉口を切る動作など、興味深いしきたりを見ることができた。 甲斐の武田菱の衣装も素晴らしかった。 |
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太刀の鯉口を切る司家
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拡大写真(1200x900)208KB 【E-1 400mm F3.5 1/200秒 ISO200】
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注:文中の表記は全て35mm換算によるもので、 400mmはフォーサーズシステム対応レンズの200mmで撮影したという意味です。
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《 2004年4月11・18日撮影
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OLYMPUS E-1
11-22mm
14-54mm 50-200mm
500万画素
1,670枚 1,870MB
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2度にわたって鎌倉に足を運び、800年前から伝わる素晴らしい伝統文化を切り取ることができた。撮影枚数も一つのテーマとしては過去最高となり、大作となった。 |
鎌倉は、古都という言葉に象徴される伝統文化が今に息づいており、独特の雰囲気が町中に漲っている。私はすっかり鎌倉ファンになってしまった。 |
今回の作品は、長勝寺の寒の荒行に続く、鎌倉もの第二弾ということだが、古刹も多く、今後も鎌倉に足繁く通い、その魅力を紹介してゆきたいと思う。〈
完 〉 |
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