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 旅紀行日本の祭り

2006年9月4日改訂

♪島の祭り KasedaMusicLabo

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2004年4月30日制作

流鏑馬(鶴岡八幡宮/神奈川県鎌倉市)

流鏑馬(鶴岡八幡宮/神奈川県鎌倉市)

 第46回鎌倉まつりの最終日となった2004年4月18日(日)、鶴岡八幡宮の流鏑馬馬場で祭りのフィナーレを飾る流鏑馬神事が行われたので、再び鎌倉を訪れた。

流鏑馬やぶさめ

 騎射の一種で、馬場に並行して方板の的を数間おきに3個並べ、射手が馬場を馳せながら射る。犬追物(いぬおうもの)、笠懸(かさがけ)と共に騎射三物(きしゃみつもの)と呼ばれ、中世武士の武芸鍛錬の代表的なものであった。
   矢は鏑矢(かぶらや)*を用い、その装束は一般に行縢(むかばき)**に綾藺笠(あやいがさ)***を着け、重 藤(しげどう)の弓を持つ。流鏑馬の語は矢馳馬(やはせうま)あるいは矢伏射馬(やぶさめ)の転化したものといわれる。
*
鏑矢(かぶらや): 先に鏑をつけた矢。空中を飛ぶ時、鏑の孔に風が入って響きを発する。(鏑: 木・竹の根または角つので蕪かぶらの形に作り、中を空にし、数個の孔を穿って矢の先に付けるもの。)
**行縢(むかばき): 足の部分にまとう旅行具。長途の歩行用として布帛(ふはく)類を細長く裁って足首から膝の下にかけて巻きつける形式。
***綾藺笠(あやいがさ): 藺を編んで造り、裏に絹をはった笠。中央に突出部がある。武士の狩装束で、遠行または流鏑馬用。
 
 鎌倉時代に広く行われた流鏑馬も室町期以降衰退し、現在では神事の儀式としてその名を残すのみとなった。

流鏑馬神事の会場

流鏑馬神事の会場

やぶさめ太鼓

 午前11時30分から鶴岡八幡宮の境内において流鏑馬太鼓保存会によるやぶさめ太鼓が披露された。 流鏑馬神事や古風な太鼓に対して現代風の斬新な衣装は、勇壮な流鏑馬をイメージしたデザインなのだろう。

やぶさめ太鼓

やぶさめ太鼓

拡大写真(1600x860)290KB 【E-1 38mm  F8.0 1/320秒 ISO200】

 春の空流鏑馬太鼓高らかに  北舟 

武田流流鏑馬たけだりゅうやぶさめ

 文治3年(1187)8月15日 、鶴岡八幡宮放生会に際して、源頼朝が流鏑馬を催行したことに始まるといわれる流鏑馬神事は、 鶴岡八幡宮では、春秋2回奉納される。
 流鏑馬には武田・小笠原・三浦の三流派があるが、春は、大日本弓馬会 武田流司家 金子四郎家教一門 の流鏑馬が奉納される。武田流は、昭和9年(1934)以来射手として奉仕してきた金子四郎家教さんが第35代司家を維承し 、高度な伝統技術を今に伝えている。

流鏑馬馬場

奉射の的

流鏑馬馬場   奉射の的

拡大写真(1200x900)248KB 【E-1108mm  F5.6 1/320秒 ISO200】

拡大写真(800x600)93KB 【E-1 28mm  F5.6 1/160秒 ISO200】

 今年も午後2時から流鏑馬に不向きな競争馬を功みに馭(ぎょ)して流鏑馬馬場を疾走する武田流の古式流嫡馬神事の妙技が被露され、 大勢の観客の喝采を浴びた。 武田流流鏑馬

馬場を行進する武田流の射手たち

馬場を行進する武田流の射手たち

拡大写真(1200x750)219KB 【E-1 100mm  F3.2 1/160秒 ISO200】

流鏑馬神事

 流鏑馬神事は、直線120間(約218m)の馬場に的を3個並べ、騎乗して的を射る騎射(きしゃ)が奉納される。騎射には、奉射(ほうしゃ)と競射(きょうしゃ)がある。
奉射: 式の的は一尺八寸(48.5cm)四方で、板を網代にあみ、その上に白紙を張リ、青黄赤白紫の5色で丸的をあらわし、的の後には四季の花を添える。射手は一番手、二番手の2組に分かれて、それぞれ重藤(しげどう)の弓を持ち、三つ的を全速カでかけ抜けながら3回9本の失を射る。
競射: 的は土器2枚を合せ中に5色の切紙を入れた三寸(9.1cm)の小的で 、命中すると土器は砕け、中の五色紙は吹雪の如く飛び散る。競射の出馬資格は、9本の式之的を7本以上的中した者である。

司家・金子四郎家教さんの勇姿

司家・金子四郎家教さんの勇姿

拡大写真(1200x900)253KB 【E-1 100mm  F3.2 1/125秒 ISO200】

いざ出陣! 騎士の晴れ姿

いざ出陣! 騎士の晴れ姿

拡大写真(1200x900)274KB 【E-1 82mm  F4.0 1/125秒 ISO200】

出発の合図

出発の合図

疾走する射手

疾走する射手

拡大写真(1200x900)209KB 【E-1 566mm  F4.9 1/500秒 ISO200】

狙いを定めて!

狙いを定めて!

拡大写真(900x1200)213KB 【E-1 478mm  F4.7 1/320秒 ISO200】

 春日和馬上の武者の弓撓る  北舟 

的に向かう鏑矢

的に向かう鏑矢

拡大写真(1200x900)208KB 【E-1 400mm  F5.6 1/400秒 ISO200】

 流鏑馬の鏑矢の音風光る  北舟 

馬上の射手

的に向かって

馬上の射手   的に向かって

拡大写真(1200x900)216KB 【E-1 566mm  F4.9 1/500秒 ISO200】

拡大写真(800x600)124KB 【E-1 566mm  F4.9 1/500秒 ISO200】

赤丸に当たり!

赤丸に当たり!

拡大写真(1024x768)175KB 【E-1 224mm  F7.1 1/250秒 ISO200】

弓を引く射手

弓を引く射手

拡大写真(1200x900)201KB 【E-1 566mm  F4.9 1/500秒 ISO200】

見事に的中!

見事に的中!

拡大写真(1200x800)239KB 【E-1 400mm  F5.2 1/380秒 ISO200】

 春の馬場的を射抜きし音高し  北舟 

凱陣する射手たち

凱陣する射手たち

拡大写真(1200x900)288KB 【E-1 70mm  F4.5 1/125秒 ISO200】

流鏑馬終了の神事

 武田流によると、騎射が終わった後に凱陣之式(がいじんのしき)と呼ばれる儀式が行われる。流鏑馬そのものが、世の邪悪退治をも意味しているため、退治した邪悪の「首実験」の意味も込められているという。

流鏑馬終了の神事

拡大写真(1600x1000)247KB 【E-1 28mm  F7.1 1/250秒 ISO200】

凱陣之式がいじんのしき

 競射の最多的中者は、式之的を持ち奉行の前に進み出で跪座(きざ)する(ひざまずいてすわる)。奉行は、扇を開き骨の間より的を検分する。次に扇を畳み、太刀の鯉口を切った時、太鼓方は、陣太鼓を三打する。
 奉行は、鬨の声を「えい、えい、えい」と上げ、射手、所役一同はすかさず「おー」と唱和、これを三回繰り返し勝鬨を上げる。

司家の威厳と風格

舞殿の武将

司家の威厳と風格   舞殿の武将

拡大写真(1200x900)170KB 【E-1 166mm  F3.2 1/250秒 ISO200】

拡大写真(1200x900)184KB 【E-1 100mm  F6.3 1/500秒 ISO200】

 舞殿の上で、凱陣之式に添った神事が行われ、流鏑馬神事が終了した。司家による太刀の鯉口を切る動作など、興味深いしきたりを見ることができた。 甲斐の武田菱の衣装も素晴らしかった。

太刀の鯉口を切る司家

太刀の鯉口を切る司家

拡大写真(1200x900)208KB 【E-1 400mm  F3.5 1/200秒 ISO200】

注:文中の表記は全て35mm換算によるもので、 400mmはフォーサーズシステム対応レンズの200mmで撮影したという意味です。

和田義男

 
《 2004年4月11・18日撮影 》
 
OLYMPUS E-1

 
11-22mm 14-54mm 50-200mm

500万画素


 1,670枚  1,870MB
 

 2度にわたって鎌倉に足を運び、800年前から伝わる素晴らしい伝統文化を切り取ることができた。撮影枚数も一つのテーマとしては過去最高となり、大作となった。
  鎌倉は、古都という言葉に象徴される伝統文化が今に息づいており、独特の雰囲気が町中に漲っている。私はすっかり鎌倉ファンになってしまった。
  今回の作品は、長勝寺の寒の荒行に続く、鎌倉もの第二弾ということだが、古刹も多く、今後も鎌倉に足繁く通い、その魅力を紹介してゆきたいと思う。〈 完 〉

■■■ 流鏑馬の写真が画家の絵に! ■■■

2006年4月9日(日) 2005年9月中旬、廣田憲治さんからお便りをいただいた。廣田さんは 絵で見る日本の祭り を主催されている新進気鋭の民俗文化画家で、日本の祭りの絵を独自の筆致で描かれている。
 鎌倉祭りの流鏑馬を取材したが良い写真が撮れず、困っていたところ、私の写真を発見して、「これしかない!」と思い、メールされたという。「・・・被写体等の色合いは私のイメージで変えることにしますが、全体的なバランスは和田様がお撮りになった構図でいこうと思います。誠に勝手なお願いとは思いますが、私の画家としての大切な1作品に仕上げたいと思っていますので、何卒宜しくお願いいたします。」ということで、了解していたものである。

廣田憲治さんの流鏑馬の絵

流鏑馬の写真 鎌倉まつり(流鏑馬)

 

廣田憲治さんの流鏑馬の絵 流鏑馬の写真/鎌倉祭り

拡大写真(600x828)174KB

拡大写真(1200x900)153KB

 先ほど、「・・・流鏑馬の絵がついに完成いたしました。http://www.artkenji.com/yabusame.html 是非ともご覧ください。私なりに少し変えてみたりしましたが、気合をいれて描いてみました。いつも和田様のHP楽しく拝見させていただいております。今後とも素敵な写真を撮り続けてくださいね。楽しみにしております。これからも宜しくお願いいたします。ありがとうございました。」というお便りをいただいた。

 早速アクセスして見せていただいたところ、鎌倉まつり(流鏑馬)のページの狙いを定めて!という写真が見事な絵になっていた。実際の絵の大きさはP20号で、縦 727mm x 横 530mm。祇園祭や阿波踊りなど、著名な祭の絵の中に、この絵が並んでいるのを見ると、なんだか嬉しくなってきた。私の写真は旅の写真であり、その手法は報道写真のジャンルに入るが、中にはこのような名作もあるということをプロの画家から認められたということで、大変光栄である。

 
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