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若衆組が乗り組む2隻の和船は、この地に伝わる櫂伝馬と呼ばれる伝馬船(てんません)である。「かいでんま」又は「かいてんま」といい、片舷6本づつ、両舷12本の櫂(かい)を取り付けた手漕ぎ船である。 |
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船出し |

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若衆たちは赤い法被を羽織り、坂越の浜を出港していった。法被の丈は短いので、下半身が丸見えである。 |
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櫂伝馬右舷(うげん)の漕ぎ手たちは、船首から五番手までは坐って漕ぐが、六番手は立ったまま漕いでいる。櫂本来の漕ぎ方である。一番手から五番手までの漕ぎ方は、オールのように櫂を前後に動かして水をかく。 |
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音頭取り |
右舷六番手の後部に両手に撥(ばち)を持って太鼓を叩いている男が音頭取りで、櫂を漕ぐリズムを取る。早く叩けば早く漕ぎ、ゆっくり叩けばゆっくり漕ぐ。太鼓のリズムでスピードが制御される。古代ローマの軍艦(ガレー船)とまったく同じやりかたである。 |
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船漕ぎ競争 |

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櫂伝馬の船尾には、シデ振りと呼ばれる派手な振り袖姿の女形(おんながた)が乗っている。音頭取りのテンポに合わせて両手のシデを振り廻し、漕ぎ手を鼓舞する役割である。ソデ(袖?)振りともいわれる。 |
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男の神聖な労働の場である船に女人を乗せないという掟は、日本全国に見られる。坂越でも同様であり、その代わりに男性が女装してシデ振りを務める。昔は瀬戸内の何処にでも見られた風習であったという。 |
シデ棒 |
色とりどりの和紙でつくったシデを棒の先端に取り付けたものをシデ棒と呼び、魔よけのアイテムとして灘のけんか祭りをはじめ兵庫県の秋祭りではお馴染みであるが、この船祭りにも使われていた。シデを振り回すことで厄を祓い、豊漁を祈願する趣旨なのだろう。 |
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力漕! |

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舵取り |
櫂伝馬の左舷(さげん)は、船首から五番手までが漕ぎ手で、右舷と同じように坐って漕ぐ。六番手は、舵取りと呼ばれ、ひときわ大きな櫂を操り、船の進路を定める重要な役割を持つ。 |
船 頭 |
舵取りは船長(ふなおさ)の船頭が立つこともあるが、船頭は音頭取りの左手に座って指揮をとる。船頭は、紅白縞模様で丈が膝くらいの着物に矢車の神紋の入った前掛けをしている。船の総指揮官として風格と威厳がある。 |
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大きな櫂で梶を取る船頭 |

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坂越の浜では、茣蓙(ござ)の上で獅子舞が演じられていた。牡丹の鉢が置かれており、唐獅子牡丹*とでもいう演目なのだろうか。 |
獅子舞は毎年上高谷(かみたかや)が務める。代々上高谷の氏子たちがその芸を受け継いできたからである。 |
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唐獅子牡丹 |

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*唐獅子牡丹:百獣の王である獅子と百花の王である牡丹を並べた図柄。江戸時代後期になると、浮世絵の隆盛で刺青(いれずみ)が流行し、鳶(とび)や火消たちが唐獅子牡丹の文様を身体に刻み込んだりした。 |
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拍手を送る男たち |

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昼飯時となった若衆組の男たちは、ひとまず坂越の浜に戻り、獅子舞を楽しみながら、腹ごしらえをした。 |
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獅子舞の熱演 |

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茣蓙の上の昼食 |

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褌を締め直す |
全幅の晒木綿一反(10m)で褌と腹巻を締め込むのが坂越流。 |

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