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 旅紀行日本の裸祭り

2012年1月14日改訂

今 日

昨 日

♪獅子/邦楽囃子

2003年9月14日制作

耶馬溪町無形民俗文化財

 

大野八幡神社おおのはちまんじんじゃ

大野八幡神社

資料

 大野八幡神社は、大分県中津市耶馬溪町(なかつし・やばけいまち)大野に鎮座する。建久9年(1196)、相州鎌倉より鶴岡八幡宮の分霊を勧請したことにはじまり、応神天皇、仲哀天皇、神功皇后、比淘蜷_を祀る。 耶馬渓町公式サイト
 新暦11月30日から12月2日までの3日間にわたり行われる大野八幡神社の霜月祭りの別称が「やんさ祭り」である。最終日の12月2日夜、33人の氏子がふんどし一丁の裸になり、「ヤンサ、ヤンサ」とはやしながら餅をつく神事が行われる。

やんさ祭り

 この祭りの起源は、およそ600年前の室町時代の初め応永元年(1394)、時の城主・野仲弘道が鎌倉鶴岡八幡宮を勧請したとき、家中の若侍33人に鏡餅をつかせてお供えをしたのが始まりといわれる。
 当時は、兵と農が分かれていなかった時代で、侍も平時は鋤鍬(すきくわ)を握り農業を営んでいたことから、餅つきの神事を通して五穀豊穣を願う、生産と慰安をかねた祭りであった。
 12月2日、神楽(かぐら)が奉納されたあと、午後9時頃(昔は午後11時頃)から境内の広場でやんさ祭りが始まる。

神楽奉納

樫の棒

木製の臼

神楽奉納

樫の棒

木製の臼

氏 子

 最近は若者が少なくなり、かなり年配の人も参加している。氏子たちは、神事の始まる前に白晒木綿のふんどしと水玉模様の後ろ鉢巻きを締め、裸足となる。ふんどしは前垂れ式の六尺ふんどしで、胴の部分を幾重にも巻いて、揉み合いになっても乱れないようにしている。

神事の始まる前に、氏子らは臼の前に2列に並び、神官よりお祓いを受ける。

裸の餅つき

 氏子らは、お祓いの後、モト方とウラ方に分かれ、境内に据え付けられた木製の臼(うす)と杵(きね)を使って、餅つきを始める。杵は、餅を搗(つ)く方の皮をはがして先端を丸めた樫(かし)の6尺棒である。

 氏子らは、最初、杵で臼をたたきながら、臼の周りを時計回り(各自の左手方向)に廻る。

 頃合いを見て炊きあがった餅米が臼に投入されると、裸の男たちは、太鼓方の乱打する音に合わせて、「ヤンサ、ヤンサ」と大声ではやしながら、臼の周りを時計方向に廻り、樫の棒で激しく餅をつっつくようにして餅を搗きあげる。
 氏子たちによる餅つきは、これの繰り返しで、3升3合3勺の餅米が7臼半につきあげられる。
 1番臼は神前に供え、2番臼以下を厄除け餅として見物人に振舞い最後の1臼は後の直会(なおらい)の雑煮とする。

 九州とはいえ、寒風の吹く12月の夜であり、裸の身にはこたえるはずだが、激しい餅つきにより、寒さが熱気で吹っ飛んだようで、裸衆はみな元気で威勢が良い。上着を着込んだ観衆が樫の棒に付いた餅を手にしていた。

臼倒し

 餅つきが終わると、クライマックスの臼倒しが始まる。氏子たちは臼を守ろうとするモト方と、臼を倒して来年の豊作を勝ち取ろうとするウラ方の二手に分かれ、水をまいた境内で泥んこになって揉み合う。臼を倒すとウラ方の地区が豊作になるが、引き分けだとどちらも豊作になる。
 揉み合いは熱気を帯び、バケツの水や地面の泥を裸衆にかけたりするので、揉み合いが終わる頃には、氏子たちは全員泥まみれになる。毎年、引き分けになり、来年も双方ともに豊作という結果でやんさ祭りが終わる。

 泥まみれになった氏子たちは、社務所の風呂場で汚れを落とし、直会に臨む。

 internetで「裸もちつき」を検索すると、何件かヒットするが、夜、しかも裸になって激しく揉み合うというところは見あたらない。奇祭といって良いだろう。やんさ祭りは、耶馬渓町により無形民俗文化財に指定されているだけあり、600年の歴史と伝統の重みを感じる。
 耶馬溪町の人々が歴史的神事を全く変質させることなく現代に継承していることは、とても素晴らしい。これからもこの伝統の行事に誇りを持ち、変質させることなく、子々孫々にまで伝えてゆくよう祈念したい。〈 完 〉

注:本稿は、ビデオから静止画キャプチャした画像を編集したものである。

 
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