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食堂で遅い昼食を取ったあと、田の原を後にし、3.5合目まで下って清滝(きよたき)と新滝(しんたき)を見て回った。 |
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その昔、御嶽山に登るには「百日精進潔斎」といって100日間修業をして身を清めなければ、登拝は許されないという掟(おきて)があり、清滝での厳しい滝行が行われていたという。今日でも夏季には滝に打たれる信者の姿が見られる。冬になると清滝は氷の柱となり、ライトアップされた神秘的な氷の青さに目が奪われるという。 |
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車道の空き地に車を止め、急な山道を登ると、30mほどの高さの岩壁から流れ落ちる清滝と朱塗りの橋が見えてくる。更に進むと、清滝水行更衣所という表示の小屋が建っていた。 |
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入口の戸が開いており、中を覗くと水行褌などが干されており、まだ足跡が残っていたので、行者が少し前に滝行(たきぎょう)を終えたようだった。戸が開いているのは、浴衣を乾かすためなのだろう。 |
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資料画像 |
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更に山道を上ってゆくと、御嶽山清滝神札所があり、職員が常駐していて、護符などを受けることができるようになっていた。常駐職員が必要なほど、需要があるということだろう。 |
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清滝に着くと、飛沫を防ぐフェンスが設けられ、滝の直ぐそばに清滝不動尊の御堂が建っており、子供連れの信者が蝋燭に火を付けて献灯していた。石鳥居の扁額には清滝不動尊と刻まれていた。不動尊(不動明王)は、密教特有の尊格である明王の一尊で、神道と密教の習合が見られる。 |
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清滝の滝壺は、滝行に便利なように石畳や玉石で舗装されて、足場が平らになっていた。これなら転倒する恐れはなく、安全に水行することができる。水量も適量で、初心者でも十分に耐えられよう。 |
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車道の脇にある新滝に至る参道の入口に注連縄(しめなわ)が張られた石鳥居が建っており、その扁額には新滝不動尊・正観世音菩薩の文字が刻まれていた。神道と仏教の見事なまでの習合である。 |
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新滝にも入口に注連縄(しめなわ)が張られた更衣所があったが、閉ざされていた。鍵はなく、内部は伽藍堂(がらんどう)で、使われている形跡はなかった。 |
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新滝の裏側に窪みがあり、浅い洞窟があった。滝の両脇から洞窟に入ることが出来、滝の裏側から滝を眺めることが出来る。いわゆる裏見の滝である。洞窟の奥にはお墓があった。 |
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落水が集中する部位にひとつの岩が置かれていた。行者がそこに立って滝に打たれるためだろう。水量がかなりあり、熟練者でないと怪我をする恐れがある。 |
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あきみやま みずにうたるる ぎょうじゃいし |
A deep autumn mountain,
the falling water beating an ascetic stone. |
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御嶽を開いた覚明(かくめい)と普寛(ふかん)の両行者は、死後の安住の地を御嶽山と定め、死後、霊魂は御嶽に帰ることを歌に残している。また、彼らは、御嶽を信仰する者は、死後その霊魂は童子としてお山に引き取ってもらえるとも説いている。 |
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こうした死後の霊魂の安住の場を御嶽山に求めようとする独自の信仰が後に一般信者に浸透し、霊神碑の建立という風習が生まれた。王滝口、黒沢口の両登山道には2万基を超える霊神碑が林立しているのもこのためだという。新滝の奥の洞窟にお墓があるのも、御嶽霊神の信仰によるものであろう。 |
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新滝のそばに、行者修行道場と墨書した看板を掲げた山小屋があった。雨戸が閉め切ってあったが、煙が立ちのぼっており、先ほど滝行した行者が暖をとっているように思えた。現代でも山に籠もって修行している行者がいることに心を打たれた。 |
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やまのあき けむりたなびく ぎょうじゃごや |
Autumn in a mountain,
the ascetic hut sending up a streak of smoke. |
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