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秋吉台は、太古の昔は海だった日本一広大なカルスト(石灰岩の)台地である。昭和30年(1955)その大部分が自然公園として秋吉台国定公園に指定され、昭和39年(1964)には、その一部が特別天然記念物に指定された。 |
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秋吉台のエリアは、山口県中央部のやや西寄り、美祢市(みねし)、美祢郡(みねぐん)秋芳町(しゅうほうちょう)、同・美東町(みとうちょう)にまたがり、東西17km、南北8km、面積130km2に及ぶ。 |
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カルスト台地の秋吉台 |
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パノラマ写真(2540x700)387KB |
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約3億5千万年前の古生代石炭紀に古太平洋上に海底火山が生じ、海面近くの頂上に珊瑚礁が形成された。この海底火山は複数生じ、秋吉海山列(あきよし・かいざんれつ)と名付けられている。 |
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その後、秋吉海山列は、太平洋プレート運動により北西へ移動し、海溝から地球内部へ沈降したが、約2億5千万年前になると、付加体としてユーラシア大陸の一部となった。このとき、珊瑚礁だった部分は、化石化して石灰岩となった。 |
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巨大なドリーネ(窪み)が特徴の秋吉台 |
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秋吉海山列からなる付加体は、海底下の地中深くにあったが、約2億年前に秋吉造山運動といわれる大規模な地殻変動が起こり、付加体は地上に押し上げられるとともに大きく褶曲(しゅうきょく)し、その際に地層の上下が逆転したという。(秋吉台の地質構造については、複数の解釈があり、定説を見るに至っていない。) |
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その後、地表に現れた石灰岩からなる付加体は、雨水による浸食を受けて、多数のドリーネ*(窪地)や鍾乳洞を形成し、現在のような石灰岩台地となった。 |
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*ドリーネ doline :雨で石灰岩が溶解したり、地下の鍾乳洞の天井が崩落することで生ずる窪地で、その直径は10-1000m、深さは2-100mほど。このような構造のため、カルスト地帯は保水性が悪く、土壌の発達が不十分で、森林が形成されず草原となっている場合が多い。 |
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すり鉢状の窪み「ドリーネ」 |
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秋芳洞(あきよしどう)は、山口県美祢(みね)郡秋芳町(しゅうほうちょう)から美東町(みとうちょう)にかけて広がる秋吉台の地下100mにある鍾乳洞。地下の川が滝のように流れ出ていることから、昔は滝穴(たきあな)と呼ばれていた。 |
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秋芳洞は、秋吉町(しゅうほうちょう)にあることから「しゅうほうどう」という人がいるが、これは誤りである。 |
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大正15年(1926)昭和天皇が皇太子時代に探勝され、秋芳洞と命名された。洞窟探検家による潜水調査の結果、総延長は8,790mあることが判明。昭和27年(1952)秋吉台に先んじて国の特別天然記念物に指定された。 |
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何万年もの歳月をかけて形成された高さ15m、幅4mの巨大な石灰石の柱に圧倒される。 |
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秋芳洞は、長さは日本第3位だが、入洞できる長さは1.5km、最大幅100m、高さ平均30mの巨大な洞窟であり、わが国最大の鍾乳洞で、東洋一ともいわれる。洞内の気温は1年を通 じて約17度に保たれ、快適そのもの。 |
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秋芳洞は、常に多量の水が流れる横穴で、洞内は淵あり、急流あり、山ありで、変化に富む。鍾乳石*1(しょうにゅうせき)・石筍*2(せきじゅん)・石柱*3(せきちゅう)などの石灰生成物も豊富。鍾乳石の滝・黄金柱(こがねばしら)や石灰華(せっかいか)*4で縁どられた階段状の池・千町田(ちまちだ)や百枚皿(ひゃくまいざら)は特筆すべきものである。 |
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*1鍾乳石:天井から流れ落ちる水の石灰分(炭酸カルシウム)が再凝集して天井から垂れ下がったもの
*2石筍:天井から滴下した水の石灰分が再凝集して地面から竹の子のように発達したもの
*3石柱:鍾乳石と石荀が繋がって柱状になったもの
*4石灰華:石灰分が沈殿して固まったもの |
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百枚皿は、大規模なリムストーン・プール Rimstone Pool の集まりである。リムとは縁(ふち)を意味する。石灰分(炭酸カルシウム)が溶けた地下水が水たまりをつくると、その縁に石灰分が結晶し、水を囲む方解石*(ほうかいせき)の輪ができる。 |
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水があふれ出すにつれて方解石は上へ上へと沈積し、縁は次第に成長してゆく。これをリムストーンと呼び、水をたたえたリムストーンをリムストーン・プールと呼ぶ。 |
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日本では石灰華段丘(せっかいか・だんきゅう)と呼ばれ、千町田(ちまちだ)と同様に高所から低所に流れる地下水の石灰分が皿状に沈積し、段丘となったリムストーン・プールが次々と形成されて、このような奇観となったという。 |
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*方解石:炭酸カルシウム(CaCO3)からなる鉱物で、セメントの原料となる石灰岩や大理石を構成する鉱物。 |
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秋芳洞の激流 |
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我々は上流から洞窟に入り、川の流れに沿って進み、下流の出口に着いた。かつて滝穴(たきあな)と呼ばれた秋芳洞は、春の長雨の影響を受け、洞内の川は出口付近では轟音を立てて滝のように流れ出ていた。 |
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秋芳洞の出口の急流 |
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外から洞窟を見ると、まさに滝である。実は、この日の午前中は水かさが増し、写真左のチェーンの張られた歩道は冠水して通行禁止になっていた。我々は午後に行ったため、ぎりぎりで入洞を許されたことが分かった。 |
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秋芳洞の出口 |
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