本祭で無事に務めを果たしたことを報告する行修者たち 2011.1.15 14:52
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▼ 四年間無事に役目を果たした別当に対し、野村宮司から感謝状が送られた。この後、寒中みそぎ祭りの締めくくりとして、松前神楽五座(榊舞、福田舞、鈴上舞(すずあげまい)、七五三引舞、獅子舞)が奉納された。 |
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松前神楽は、北海道南部地方を中心に行われている神楽で、鎮釜湯立(ちんかまゆたて)の神事十二座と舞楽二十一座の合計三十三座(演目)で構成されており、国の選択無形民俗文化財と北海道無形民俗文化財に指定されている。 |
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松前神楽の特色は、「神楽司(かぐらづかさ)」などの神楽専門の者が舞うのではなく、祭典に奉仕した神職が神楽を舞うことと、能舞や津軽
など東北地方の山伏神楽や番楽*(ばんがく)などの影響を受けている。古くから神官のみに継承されてきたため、洗練された伝統芸能として育ち、現在も主に道南地域の神社において祭礼の際に踊られている。残念ながら、現在は伝承されていない演目もあり、三十三座全てが演じられるわけではない。 |
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*番楽:秋田・山形両県で行われる山伏神楽。旧暦十一月や正月などに行われ、能の古い形をとどめる。 |
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▲
榊の葉をつけた御幣(ごへい)をもって舞うところから榊舞(さかきまい)といい、神社の斎主が神楽のはじめに舞う舞である。左手に御幣、右手に鈴を持ち、進んだり退いたり、左右静かに廻る、誠に優雅な舞である。 |
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神職が朝夕に玉垣内に参進して神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、いわゆる神職の神明奉仕の姿を表現している。 |
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榊舞神歌
榊葉に ゆふしでつけてはらふには
神に社と いはひそめたり
打ちはらう しめ吹く風にはらはれて
まがごと よらで幸ぞ来る
みてぐらを まうて納むる来る年も
なお来る年も 神迎ひせん |
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御幣を左右の手に持ち、四方四隅を拝み祓い清めるもので、田畑を踏み固め、干ばつ、暴風、水害、害虫の災いを除き、五穀豊穣を祈念する舞である。 |
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福田舞神歌
天津神国社を いはひてぞ
あが葦原の国はおさまる |
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松前神楽の歴史
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松前藩はおよそ500年前、福井県若狭地方の出である武田氏によりその基礎がつくられたが、松前神楽はその武田氏がアイヌの蜂起を平定し、十余の豪族を統一した時に戦勝を祈願して種々の火狂言や社人(
神社に仕えて末端の社務に従事する神職)が舞を行ったのが起源とされる。 |
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その後、松前藩が安定してきた延宝二年(1674)11月15日、松前藩第5代藩主・矩広(のりひろ)によって各神社で古くから行われてきた神楽の演技種目を統一して、城内神楽として行われ
るようになった。それ以後隔年11月15日に大々的な恒例行事として伝承されてきた。 |
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城内神楽以外にも、松前周辺の神社や箱館(函館)の神社でも松前神楽が行われていたようで、その時にはまだ「松前神楽」という名称は使われておらず、鰊御神楽(にしんおかぐら)、秋味御神楽(あきあじおかぐら)などと云われていた。 |
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「松前神楽」の名称が
文献に現れたのは文化三年(1805)で、徳川幕府から監察に来た監察使・遠山金四郎景晋(かげちか)(入れ墨半官で有名な遠山金四郎景元の父)の下問について差し出された答書に、初めて「松前神楽」という名称が使用されている。 |
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松前城天守閣(昭和36年再建) 2009.5.10 15:00
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▲
松前城は、日本における最後期の日本式城郭であり、日本100名城の三番目に選ばれている。戊辰戦争の最末期に蝦夷が島(えぞがしま)(北海道)の独立を目指す旧幕府軍(元新選組の土方歳三が率いていた)と
官軍との戦いにおいて落城した。 |
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落城の際は、天守や本丸御門などは無事だったが、天守は太平洋戦争後に失火により焼失した。旧城内一帯が国の史跡に指定されており、築城時から現存する本丸御門が国の重要文化財に指定され、平成13年(2001)には北海道遺産に選定されている。 |
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松前城が所在する松前公園は、桜の名所100選に選定されており、約1万本250品種の桜が植えられており、4月下旬〜5月下旬の1ヶ月間にわたり、早咲き・中咲き・遅咲きと時差開花する桜を楽しむことができる。 |
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▲ 鈴上舞(すずあげまい)は、鈴と扇をもって舞う曲で、神楽の中では最も優雅な舞である。舞中、たびたび鈴を上下するので「鈴上げ」といい、天女が天降るさまを表している舞である。 |
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鈴上神歌
みさかみの つづみ太鼓はなればこそ
花の若子は 舞遊ぶらん
鈴振れば み声も声も玉とかや
荒ぶる神の 杜なるもの |
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▲▼ 四方の天井に十文字の縄を張り、中央の交点を釣り上げて紙垂*(しで)を垂らす。先ず白扇で四方と中央を祓い、のちに真剣をもってこの注連縄(しめなわ)を切り払う。これは悪魔退散、国土安穏、千秋万才を祝福した舞で、斎主の舞である。このときに切られた紙垂は安産、火難除のお守りとされている。 |
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七五三払舞神歌
君をはじめて拝むには
栄ふるまつこそ目出度かりけり |
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*紙垂:注連縄や玉串、祓串、御幣などにつけて垂らす、特殊な断ち方をして折った紙 |
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獅子舞は、当初は舞い始めから終わるまで十二の手が変わる時間の長い勇壮な舞であった。しかし今日では特に函館地方では時間のかかることから一部省略して、「五方の手」(東西南北と中央を祓い清める舞)と「糸の手」(邪悪・悪神が春風に柳の枝が糸のなびくがごとく穏やかに鎮まり、信心堅固、家内繁栄を招く悪魔祓いの舞)と「両足獅子」(猿田彦が出現して、暴猛な大獣獅子を手玉にとって遊びたわむれ、平和な世の中を招く悪魔降伏の舞)だけを行っている。つまりこの獅子舞は、悪魔退散、天下泰平、福徳円満を表した舞である。 |
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獅子舞神歌
内侍所のみ神楽を
歌へば明るく天野岩戸や
拝むには神は悦ぶ拝むには
四方の神は受けて悦ぶ
これほどに育ておいたるなぎのはを
片手にさげてさげて参ろや
青柳の糸をば風がよりかけて
そめかけたりや青柳の糸 |
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註:神楽解説および神歌は、松前神楽函館連合保存会発行「松前神楽」より引用 |
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ししのまう まつまえかぐら かみのうた |
A lion dance of Matsumae kagura, the song of deities. |
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▼ 四人の行修者たちは、無事に役割を果たしたという充足感に溢れていたが、四年間を無事勤め上げた別当からは、一段とその思いが伝わってきた。 |
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住居:宮崎県日南市 |
趣味:パソコン(インターネット)、温泉巡り、スキー |
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感 想
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寒中みそぎ祭りは、昨年に引き続き2年目の取材となりました。今年は、昨年取材することができなかった3日目の本祭、松前神楽等を中心に紹介しました。
祭りの良さは3年通わなければ分らないといわれるそうですが、私もその言葉を実感する2年目となりました。大変魅力溢れる祭りで、あれもこれも撮りたいとはやる気持ちを抑え、ここだと思う場所で構えてシャッターを切るのですが、なかなか思うように撮れないのが現実です。これも、「来年もまた通って来い」という神様の思し召しなのかもしれません。 |
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謝 辞 |
昨年に続き、佐女川神社野村広章宮司様、木古内観光協会様はじめ、「寒中みそぎ祭り」を支えておられる皆様方のご協力を得て、この作品が完結したことを心から御礼申し上げます。
今回は特に野村宮司様から「寒中みそぎまつり」に関する解説と、松前神楽の映像資料をはじめ、数々のご支援をいただきました。ここにあつく御礼申し上げます。有り難うございました。 |
【取材】 佐女川神社野村広章宮司 【参考資料文献】 図説函館・渡島・檜山の歴史(株式会社 郷土出版社)、まつりと民俗芸能(北の生活文庫企画編集会議編 北海道新聞社)、フリー百科事典ウキペディア、Weblio 、松前神楽(松前神楽函館連合保存会) |
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感動写真集〈 第154集 〉「寒中みそぎ祭'11」 |
撮影・原作:上平 明
監修: 和田義男 |
平成22年(2011)2月24日 作品:第7作 画像:(大65+小2) 頁数:4 ファイル数:151 ファイル容量:44.1MB
平成12年(2000)〜平成23年(2011) 作品数:396 頁数:1,529 ファイル数:63,694 ファイル容量:9,684MB |
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