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■■■ 「大和田の荒神輿」速報! ■■■ |
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平成20年(2008)7月26日(土)、埼玉県新座市(にいざし)に鎮座する大和田氷川神社の神幸祭(じんこうさい/しんこうさい)「大和田はだか神輿」(平成14年11月1日新座市指定民族文化財)を取材した。午後7時から11時過ぎまでの夜祭りだったので、東武東上線・志木(しき)駅前のビジネスホテルを確保し、終電を気にすることなく、最後まで取材することが出来た。 |
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新尺さんに褌を締め直してもらったはっちゃん(右)/大和田氷川神社(埼玉県新座市) 2008.7.26 18:00
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今回の取材では、地元新座市にお住まいで、「神輿見たまま」を主宰する「はっちゃん」にお世話になった。午後4時半、氷川神社で合流し、最初に加藤良明・氏子会長に紹介してもらい、社務所内を含む撮影の許可を取ることができた。 |
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その後、はだか祭りの説明を受けながら神輿の渡御コースを事前踏査し、神輿の境内への走り込みなど、撮影チャンスや撮影位置を確認するなど、事前に取材計画を立てることができた。時間がタップリあったので、社務所で腹ごしらえのご相伴にあずかり、午後7時から始まる神輿の宮出しまで、裸の皆さんと楽しく歓談することができた。 |
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毎年7月末の金曜・土曜に行われる大和田氷川神社の「はだか神輿」は、180年ほど前に始められたと伝えられている。主に雨乞いの効果があるといわれ、五穀豊穣、無病息災を願う人々によって、大和田地区あげての祭りとして現在に受け継がれている。 |
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はだか神輿の担ぎ手は、白足袋に一反晒(いったんさらし)(約10mの晒木綿)の褌・腹巻を締め込み、帯紐のない白法被(しろはっぴ)をはおるが、神輿を担ぐときは、法被を丸めて肩に乗せ、担ぎ棒が直接肩にあたらないようにする。褌姿で神輿を担ぐところから、いつしか「はだか神輿」と呼ばれるようになり、その勇壮な様から、「荒神輿(あれみこし)」とも呼ばれる。 |
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「やんよ〜やんよ〜」の掛け声とともに、大和田囃子(おおわだばやし)を先導に川越街道を練り歩く神輿渡御は、神輿を左右に荒々しく揉(も)むところに大きな特徴がある。また、神輿を頭上に差し上げる神輿差しや、地上すれすれに落としたり、駆け足で神輿をぐるぐる廻したりと、神輿揉み以外にも色々な技を披露してくれる。 |
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社務所で腹ごしらえ中に加藤良明・氏子会長から注意事項などの伝達があったが、神輿を担ぐときは、法被を脱ぐよう指導していた。法被をはおっていると転んだときなどに布がまといつき、瞬時に危難から逃れられないという。褌一丁の裸形であれば、汗が潤滑油となり、機敏に行動できるので、怪我をしないのだという。 |
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また、担ぎ手に褌が義務づけられているが、これは、伝統衣装へのこだわりというだけではなく、荒(あれ)神輿の激しい神輿揉みの安全性を確保するためのものだという。 |
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以前、褌からハンダコ(短パン状の半股引)に切り替えたことがあったが、腰部を圧迫するハンダコでは十分な股割りができないため、神輿揉みでしゃがんだときに両膝(りょうひざ)が前に出てしまい、たまたま後ろに転倒した担ぎ手の背中がその膝に当たって死亡するという事故があり、それ以来、安全に股割りができる褌に戻したのだという。しゃがんだときには十分に股を割り、膝を開くことが事故を防ぐ大事なポイントとなる。これらのノウハウは、長年の経験から得られた貴重な教訓である。 |
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あらぶれば かみもよろこぶ みこしもみ |
Rough mikoshi carrying, the more the gods rejoice. |
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祭は金曜・土曜ともほぼ同様のスケジュール。午後7時から9時までの町内渡御は、神社裏手の鎌倉街道から川越街道に入り、英(はやぶさ)橋付近からJR武蔵野線・新座駅周辺までの大和田地区を往復するコースで、途中3回の休憩を入れながら要所要所の辻(交差点)で神輿練りを披露する。 |
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町内渡御を終えた神輿は、赤鳥居付近から参道を疾走しながら宮入りする。これが前半の大きな見所で、はっちゃんから事前の説明を受けていたので、神輿の前方を走りながらめくら撮りをして、その勇壮な姿をうまく撮影することができた。 |
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午後9時から11時までは、後半の部で、境内の広場で、数度の休憩を取りながら、たっぷりと神輿練りが奉納された。 |
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まんりょくの みやがぶたいの あれみこし |
The rough mikoshi at the stage of shrine full of green. |
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写真を見て分かるとおり、大和田の神輿は、二本の担ぎ棒(本棒)に「とんぼ」と呼ばれる両翼の短い添棒がある。神輿の鈴が鳴らされ、「そら揉め〜!」の号令で神輿揉みがはじまると、左右のとんぼが交互にしゃがんだり飛び上がったりして神輿を左右に大きく揺らし、本棒はそれを支える動作を繰り返す。 |
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右がジャンプしているときは、左の本棒に神輿のすべての重さがかかり、歯を食いしばって支える姿は悲壮でもある。まれに支えきれず、神輿が潰れることがある。今回は4時間の間に数度腰砕けがあった。大和田の荒神輿は、全国に例を見ない勇壮な神輿練りだが、とてもハードで、神輿を支える肩は血が滲み、翌日に自覚する全身の筋肉痛は当分続くことを覚悟する必要がある。 |
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氷川神社の祭神が素戔嗚尊(すさのおのみこと) = 牛頭天王(ごずてんのう)だということで、荒ぶれば荒ぶるほど神は喜ばれ御利益(ごりやく)も大きくなるという。昔は「大和田の天王様」と呼ばれていたという。夜祭りではあるが蒸し暑く、汗は滝のように流れ、法被はビショビショになる。筆者ですら喉はカラカラになり、暑さで倒れそうになったので、水分を十分に補給する必要がある。 |
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昔の担ぎ手は大勢いたことから「はっぴ」さんと「やじうま」に分かれていたという。背に「神輿」の文字が入った正規の法被を着ることができる長男(家の跡継ぎ)と、無文字の法被しか着用できない次男以下のグループという分け隔てである。 |
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現在でも担ぎ手の長は法被頭(はっぴがしら)と呼ばれる。今では担ぎ手が少なくなり、地元の氏子を30人ほど選ぶにも苦労するという。部外の飛び入りがやじうまということになるが、全員、正規の法被が貸与される。部外者の参加は大歓迎で、体力に自信のある人は是非参加してほしいという。 |
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おおわだの たまあせおどる あれみこし |
The rough mikoshi of heavy sweat dancing at Ohwada. |
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汗だくの荒神輿を追って、筆者も汗だくになりながら連写モードで激写を繰り返し、4時間余りの間に1000万画素2,980枚6.5GBを切り取ることができた。夜間の動きの激しい被写体のため、ピンぼけ写真もかなり混じっているが、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」で、上手く撮影できたので、はだかたちが躍動する高精細画面をふんだんに盛り込んだ完成版を是非ご期待願いたい! |
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荒神輿の現場指揮・浅田浩司 |
法被頭 |
と記念撮影 |
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