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田代橋付近
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田代池から自然研究路の木道を北に進むと、田代橋に出る。このあたりは川が二つに分岐しており、西に穂高橋、東に田代橋が架かる。田代橋付近は特に川幅が細くなっていて、流れが速い。 |
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田代橋付近の森の中でニホンザル*に出会った。子猿が一匹、遊んでいる姿が何とも可愛い。近づいても逃げようとしないので、人間から危害を受ける恐れがないと安心しているのだろう。 |
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サル目(霊長類)オナガザル科の哺乳類。日本特産。体長60cmほど。毛色は黒っぽい褐色で、腹はやや白い。顔と尻が赤く、頬袋をもつ。サル類では最も北に分布し、青森県下北半島が最北。山林に生息し、30〜50頭の群れで生活。雑食性で、果実・木の芽・昆虫などを食べる。地域により天然記念物に指定されている。 |
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一人戯る子猿 |
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この時期、森の至る所でサラシナショウマの群落を目にする。サラシナショウマは、キンポウゲ科の多年草で日本各地の山地に咲く。高さ1.5m位になり、晩夏に30cmほどの白い穂の花をつける。春の若葉は食用に適する。根茎は肥大し、乾したものは生薬の升麻で、解毒・解熱剤になるという。 |
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キク科多年草のノコンギクが明るい林内や道ばたに見られる。初秋の代表的な花だという。高さ50cmほどで、花びらの色は薄紫から白とバリエーションがある。コンギクはこれから出た園芸品。 |
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サラシナショウマ |
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ノコンギク |
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ニホンザルがノコンギク(野紺菊)の花に囲まれて、無心にアザミの花を食べていた。近づいても逃げる気配はないので、じっくりと撮影できた。あとで調べると、食べていたのはアズマヤマアザミ(東山薊)*だった。 |
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よく見ると毛並みも良く、まるまると太っている。海抜1,500mの厳しい冬の到来に備えて、しっかりと食べて栄養を取り、冬ごもりの準備を整えるのが彼らの最大の仕事とみえる。 |
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アズマヤマアザミ
Cirsium
microspicatum : キク科アザミ属の多年草で、東(あずま)と名が付くように主に東日本に分布。植物に関する研究が当初、西日本を主なフィールドとして行われていたことがよくわかる。花は薄い紅紫色。
ノコギリ状の葉の付け根に花がつき、横向きに咲く。 |
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エメラルドグリーンの梓川
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エメラルドグリーンの梓川は珍しいので、探して歩くのも一興である。噴火に伴って湧出した鉱物成分の影響でこの色が出るようだ。田代池で見た赤い河床もあれば、このような鮮やかな翡翠(ひすい)のようなところもある。 |
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Afternoon Tea & Coffee |
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上高地帝国ホテル |
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田代橋を渡らずに、右の道を東に向かって5分ほど歩くと、帝国ホテルが経営する上高地帝国ホテルに着く。 |
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このホテルは、昭和8年(1933)、世界大恐慌の不況から立ち直るために、外国人観光客を誘致しようという国策に沿って建設されたという。
上高地帝国ホテル |
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車道から脇道に入ると、ひっそりと木立の中に佇む赤い三角屋根の洒落たホテルが見えてくる。シックな雰囲気で来客を出迎えてくれる。こゝで休憩することにし、ロビーラウンジで珈琲タイム(家内はアフタヌーンティ)を楽しんだ。 |
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この日は殆ど客がおらず、ゆっくりとくつろぐことができたが、後日internetで検索すると、大勢の行楽客が出入りするので、落ち着かなかったというコメントが目についた。 |
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赤い三角屋根の上高地帝国ホテル |
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シックなロビーラウンジ |
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おとなしいニホンザル
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帝国ホテルの近くの森でニホンザルのグループに出会った。近寄っても逃げることはなかったが、視線を合わせてしまった。眼(がん)を付けた格好になったので、襲われる可能性があると警戒したが、全くの杞憂であった。
尤もファインダー越しだったので、難を逃れたのかも・・・。(^^; |
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軽井沢では、猿が別荘を荒らしたり、通行人を襲ったりするので、害獣駆除の声が上がっているが、上高地では食べ物が潤沢にあるとみえて、人の持ち物を狙うことはなく、注意書きも見あたらなかった。 |
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眼が合ってしまった猿 |
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人の存在を気にしない猿 |
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Wolter Weston |
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資料 |
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英国人宣教師で登山家のウォルター・ウェストン(1861-1940)は、日本アルプスを世界に紹介したことで知られる。
彼の功績を讃えて梓川の右岸につくられた広場には、彼のレリーフが岩にはめ込まれたウェストン碑が建つ。 |
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ウェストンは明治24年(1891)上高地を訪問、その後、上條嘉門次の案内で槍ヶ岳や奥穂高岳の登頂を果たした。これがスポーツ登山の魁(さきがけ)となり、ウェストンは日本近代登山の父といわれるようになった。 |
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毎年6月の第1日曜日には、ウェストン碑の前で彼の偉業を偲ぶウェストン祭が開かれる。 |
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今日の最終目的地の河童橋に着いた。川面に薄い靄(もや)がかかっている。二羽の真鴨は、近づいても逃げようとしない。長い経験から、完全に警戒心がなくなっているのだろう。 |
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鴨のそばに蛇篭(じゃかご)と呼ばれる護岸工が見える。景観保護のために、コンクリートを使わない手法がとられている。針金で編んだ細長い篭に丸い石が詰められている。 |
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河童橋は、上高地で最も景観の優れた場所で、晴れた日に橋の上から見る穂高連峰の勇姿は、筆舌に尽くしがたいという。今回は霧や雲のために見えなかったのが残念だった。 |
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夏にもシベリアなどに渡らず、住みつく鴨を「通し鴨」や「夏の鴨」と呼び、夏の季語となっている。単に「鴨」なら冬の季語。 |
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 |
撮影 2004年9月10日
《 OLYMPUS E-1 》
14-54mm
50-200mm EC-14
500万画素
600枚 670MB
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今回、
初めて上高地に行ってきた。東京から日帰りで行けるから驚きである。紅葉にはまだ間があったが、ラッシュを避けたかったのでこの日を選んだ。 |
生憎の曇天で、穂高や焼岳は見えなかったが、身近な上高地の自然を満喫することができた。 |
大正池から河童橋まで、森林浴をしながら、ゆっくりと歩いた。3時間の散策だったが、平坦な道で、お年寄りでも大丈夫なように、難所には木道(もくどう)が整備されていて、安心して歩ける。 |
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マガモやオシドリ、ニホンザルにヤマメと、沢山の野生動物と出会った。お陰でひと味違った作品となった。 |
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おわりに |
上高地は周年マイカーが規制されているので、マイカー客は沢渡(さわんど)に車を置き、片道2,000円のシャトルバスを利用することになる。
東京からの日帰りバスツアーは、昼食付きで4,000〜8,000円なので、沢渡から往復4,000円のバス代は高すぎるとTD(ツアーディレクター
添乗員)がいっていた。 |
それでも行楽シーズンのラッシュ時には、河童橋を渡れない事態が生じるという。現在、釜トンネルをもう一本掘っている最中で、完成すると渋滞が緩和される。
全国から乗り入れてくる大型バスには福音かも知れないが、河童橋も、もう一本架けることになるのだろうか・・・。 |
野生動物に餌をやらないようにという表示があっても、大正池で弁当を広げると鴨が寄ってくる悲しい現実がある。餌付けも立派な自然破壊である。一旦大自然の中に入れば最低限のマナーは守りたいものである。〈 完 〉 |
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