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平成20年(2008年)2月10日(日)から11日(月)にかけて大分県国東市(くにさきし)国東町成仏(じょうぶつ)に建つ天台宗龍下山(りゅうげさん)成佛寺(じょうぶつじ)(以下「成仏寺」と表記)で、国東半島の六郷満山(ろくごうまんざん)に伝わる修正鬼会(しゅじょう・おにえ)が開かれたので激写してきた。 |
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成仏寺の位置(衛星写真) |

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資料 |
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六郷満山は大分県国東(くにさき)半島一帯の寺院群の総称で、奈良時代から平安時代にかけて、仏教の天台宗に神道(しんとう)の宇佐八幡宮の八幡信仰を取り入れた神仏混淆(しんぶつ・こんこう)の仏教文化が形成され、山岳地域の険しい山道を歩く「峰入り(みねいり)」と呼ばれる難行(なんぎょう)が行われるようになった。 |
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伝説によれば、仁聞(にんもん)菩薩が養老2年(718)頃、国東半島の各地に28の寺院を開創し、6万9千体の仏像を造ったといわれている。 |
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煙が立ち上る成仏寺 |

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「六郷」とは、中央にそびえる両子山(ふたごさん)から放射状に伸びる谷筋に沿って点在する来縄くなわ(豊後高田市)・田染たしぶ(同)・伊美いみ(東国東郡ひがしくにさきぐん国見町*くにみまち)・国東くにさき(国東町*くにさきまち)・安岐あき(安岐町*あきまち)・武蔵むさし(武蔵町*むさしまち)の6つの地域を指す。現在でも内陸部を中心に多数の寺院があり、独特の仏教文化が継承され、磨崖仏(まがいぶつ)などで知られる観光名所となっている。 |
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*平成18年(2006)3月31日、東国東郡国見町・国東町・武蔵町・安岐町が合併して国東市(くにさきし)が発足した。 |
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4体とも天保2年(1831)の作と伝わる仁王像 |

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成仏寺は、仁聞菩薩(にんもん・ぼさつ)が養老2年(718)に創建したと伝えられており、当時は妙見山浄土院と称した。あるとき、近くの地獄谷に毒龍が住み、村人に危害を加えて恐れられていたため、この寺の僧・順清(じゅんせい)阿闍梨(あじゃり)がその入口で護摩を焚いて龍を下し、奥の院・阿弥陀堂の岩屋に封じ込めた。 |
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そのお陰で村人たちは平和に暮らすことができたので、村の名を桜吹谷村から成仏村に改名し、山号寺号も龍下山成仏寺に改称されたという。 |
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龍を封印したと伝承される奥の院の岩屋 |

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成仏寺の本堂には、不動明王が安置されており、前庭には子安大師の石像があり、九州三十六不動尊巡礼の第三番札所、六郷満山観音霊場三十三ヶ所の第二十九番札所となっている。 |
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六郷満山に伝わる「修正鬼会」は、僧と村人たちが一体となり、夜を徹して無病息災、五穀豊穣を祈る伝統の行事で、養老年間(717~724)に仁聞菩薩(にんもん・ぼさつ)が国家安穏・五穀豊穣・万民快楽の諸願成就のため、六郷28ヶ寺の僧侶を集めて「鬼会式六巻」を授けて創始したといわれ、1300年ほど昔の仏教文化を今に伝える奇祭である。 |
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この鬼会は、かつては六郷満山の天台宗の各寺で行われていたが、今では豊後高田市の天念寺(てんねんじ)と、国東市の成仏寺・岩戸寺(いわとじ)の三ヵ寺だけとなった。西満山の天念寺では毎年開催されるが、東満山の成仏寺と岩戸寺では隔年(西暦偶数年が成仏寺)で開催される。 |
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昭和52年(1977)に国から重要無形民俗文化財に指定された鬼会は「鬼を追い払う」のではなく、「鬼に姿を変えた仏を出迎える。」「鬼に出会うことは鬼籍に入って成仏した祖先に出会うことで、祖先と楽しく過ごす。」という国東半島独自の宗教観を持つ。 |
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法螺貝 |

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成仏寺の鬼会は、旧正月五日に開催される決まりなので、2008年は2月11日になるが、今年は一日早めて2月10日に開催された。これだと翌日が休日に当たるので、参加しやすいことを考えて変更したものと思われる。なお西満山の天念寺の鬼会は、毎年旧正月七日に開催される。 |
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読経する若い僧侶たち |

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鬼会は、厳しい儀式とともに、鈴鬼(すずおに)や荒鬼(あらおに)などの仏の化身が登場して、座って行う昼間の勤行(ごんぎょう)と夜の立役(たちやく)の作法が組み合わさって行われる。しかも、「オハヤシカタ」と称する楽師が奏する音律が経文の中に取り入れられ、いとも荘重である。 |
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僧侶と檀徒の |
非食 |
(午後の食事/夕食) 18:00 |
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鬼会は同時に火の祭りでもある。神前本堂前に供える4基の大松明(だいたいまつ)(オーダイ)は長さ6mもある。荒鬼は火のついた松明を持って参詣者を加持祈祷し、夜を徹して成仏(じょうぶつ)の家々を訪問して祖先を崇拝し家内安全を祈祷する。 |
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子安大師と三日月 18:50 |

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国東町(くにさきまち)の上国崎小学校児童による「荒渓龍退治太鼓」は、龍下山成仏寺(妙見山浄土院)に伝わる龍退治の様子を語りと太鼓を使って表現したもので、とても小学生とは思えないバチさばきだった。 |
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子供たちの荒渓太鼓 |

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焚き火で暖を取る参拝客 |

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午後7時、総指揮役のトシノカンジョウ(年の管掌)が鐘を打ち、僧が法螺貝を吹く中、褌一丁のタイレシ(タイレ衆/松明入れ衆)8人が本堂から現れ、参道の石段を元気よく下って、コーリトリ(垢離取り)に向かった。 |
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褌一丁になったタイレシ 19:00 |

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松明を持って走るタイレシ |

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一行は、松明を手にして寺の前を流れる谷川・田深川(たぶかがわ)の注連縄(しめなわ)が張られたコーリトリブチ(垢離取渕)に行き、手桶に清水を汲み取ったあと、一番のタイレシから順に冷水に身を沈めて水垢離を取った。 |
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田深川 |
の |
垢離取渕 |
に着いた8人のタイレシ |
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コーリトリから始まる厳格な手順と作法で行われる儀式は、修正鬼会の仏世界で、生身の人間が仏の使者として行動するための重要な儀式と位置づけられている。 |
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垢離を取るタイレシ |

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垢離取りを終えたタイレシ |

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寒さで全身が赤くなったタイレシ |

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成仏寺山門をくぐるタイレシたち |

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