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禊の伝統美
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行が終わると、観客から良くやったという拍手が一斉に湧いた。初心者が沢山いるなかでの一糸乱れない行動は、指導者の事前の説明や周到な用意が行き届いていることが伺われ、日本古来の伝統作法による清潔で美しい禊だった。 |
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拍手で解散 |
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地下水だから温かいと書いたが、相対的なはなしであって、真冬の大寒禊であってみれば、温かいはずはない。参加者の肌は赤らみ、鳥肌も見える。寒さを我慢している表情が伺われた。 |
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引き揚げる行者たち |
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その中で、笑みを浮かべて引き揚げてくる男性もいた。年初の禊を無事に終えた達成感や爽快感が伺われた。 |
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爽快感! |
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黄色のゼッケンをつけた記者がマイクを差し出し、着替える前にインタビューに答える女性参加者も見られた。一番寒さを感じるところは、手先と足先だという。特に女性の手が赤くなっているのが伺えた。 |
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家族の出迎えを受ける男性。裸のお父さんにバスタオルを差し出す奥さんの優しさ。防寒衣に身を包んだ家族と褌一丁のお父さんとの対比がユーモラス。 |
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家族の出迎え |
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グループで参加している人たちも多い。無事に禊を終えた安堵感に笑顔も見られ、楽しい記念写真が撮れた。 |
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記念撮影 |
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更衣室がないため、売店のベンチやテーブルの上に衣類を置き、地べたで着替える参加者たち。鐵砲洲稲荷神社の寒中水浴大会のように銭湯に浸かることもなく、冷えた身体のまま露天で着替えるのは、気の毒という他はない。石油ストーブが何台か置かれていたが、オープンスペースなので、申し訳程度の効果しかない。 |
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屋外の着替え |
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御手洗池(みたらしいけ)の名物は「みたらし焼だんご」。醤油が香ばしい焼き立ての団子と、御手洗池の清水で沸かしたという熱いお茶が冷えた身体にはひときわ美味く、有り難い。 |
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めぐり逢ふはじめをはりのゆくへかな鹿島の宮にかよふ心は 慈円 |
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子供は、あんこがたっぷり付いた団子が大好き。ここの団子は大きく、食べ応えがある。団子三兄弟を連想する。 |
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撮影 2007年1月20日
OLYMPUS
E-330 11-22 mm
E-500 14-54 mm
800万画素 980枚 1,545MB
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新年を迎え、1月7日(日)の金沢・加賀鳶裸放水、14日(日)の東京・鐵砲洲稲荷神社寒中水浴大会、そして20日(土)の鹿島神社大寒禊と、三週連続で日本の裸褌文化を取材した。 |
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金沢では暴風雨の洗礼を受けたが、その後は晴天に恵まれ、正月の伝統行事をたっぷりと切り取ることができた。 |
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「はだかふんどし・ぶんか」という言葉は、私の造語である。internetで検索しても他に用例がないが、まさに日本人の心やアイデンティティ(日本人らしさ)を感じる清潔で美しい文化である。これからもinternetを通じて日本独自の文化を世界にアピールして行きたい。 |
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この句は明治の俳人・村上鬼城(むらかみ・きじょう)が読んだ有名な褌の句で、「現代俳句歳時記」(昭和38年石田波郷・志摩芳次郎編/番町書房)、「最新俳句歳時記」(昭和47年山本健吉編著/文藝春秋)、「新撰俳句歳時記」(昭和51年秋元不死男編/明治書院)の「新年」に採録されている。この句のふどし(褌)は、当時殆どの日本人男性が下着に常用していた越中褌のことである。 |
三つの歳時記ともにこの褌句を採ったのは、「百事一新の願いをこめて元旦を迎える気分を、さっぱりした清潔な褌をたたんで枕元においてある情景によってとらえたところが一つの趣向で、素材の面白さが歳時記編著者たちの目をとらえたからだろう。」(吟行版・季寄せ草木花/秋〈下〉 解説:本田正次 185〜186頁) と私も思う。 |
当時、鬼城の俳句のように元旦には新しい褌を締める習慣があり、現在もそれを実践している人もいる。この慣行はいつ頃から始まったのか知らないが、戦前までは将校以上の軍人や幹部役人は年始めに斎戒沐浴(さいかい・もくよく)して新年を迎えた。神社などではその名残が今も続いている。 |
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この作品の前に「ガンジスの夜明け」を発表したが、1月23日の早朝ガンジス川で沐浴する光景を小池淳二さんが切り取ってこられたものである。インド人たちは、糞尿などの汚物や死骸などが流れる濁水に入って沐浴し、口を漱(すす)ぎ、排泄し、全てを洗い清め、死者の遺灰を水に流して、ガンジス川の神秘な力を授かろうとする。 |
日本の神社(仏閣)は清潔で美しく、禊はその極致である。初禊には新しい白褌に身をつつみ、清水で汚れを払い、心身共に清浄となって新たな年を迎える。この伝統の風習が現代人の心を捉え、毎年参加者が増えていることを歓迎したい。 2007.2.13 〈 完 〉 |
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