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寒中みそぎ
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▼ 冬季に行われる「寒中みそぎ」は、いずれも大変な苦行であるが、北海道において寒が一番厳しい1月中旬の3日間、昼夜の別なく連続して行われる「みそぎ」は、正に命がけの水行である。当日も辺り一面の雪景色で、気温は−3.5℃だった。 |
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石段下の神社境内に設けられたみそぎ |
斎場 |
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かんみそぎ とじょうくわえし ぎょうじゃかな |
Midwinter ablutions, the ascetic biting a Tojo cloth. |
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▼ 白い頭巾と褌姿の行修者たちが本殿前に整列した。威儀を正し、これから石段を下ってみそぎ斎場へ向かう。 |
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▼ 勇壮なみそぎ太鼓に送られ、肌を突き刺す寒風の中、別当を先頭にみそぎ斎場へ向かう行修者たち。行修者は、ご神体を抱くに相応しい敬意と清潔を表す白い晒布(さらしぬの)の頭巾(ずきん)を被り、口には、ご神体に直接息を当てないよう、また、必死で歯を食いしばって耐え抜くため、吐錠(とじょう)と呼ばれる白い晒布をくわえている。 |
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▼ みそぎ太鼓に合わせて、まず4名のうちリーダー格にあたる別当役が桶に汲まれた真水の冷水をかぶった。他の行修者は、これを見守るように腕を組み、仁王立ちで自分の番を待った。 |
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▼ 次に、別当は、みそぎ斎場に膝をつき、腕組みをした両脇を締め、背筋を伸ばして待ち構えている行修者の背中めがけて、何度も桶の冷水を勢いよく浴びせかけていった。 |
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▼ 見物する側が寒さに震え上がるような寒気の中、1回目の「みそぎ」を終えて、濡れた体のまま本殿に向かった。 |
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ろくしゃくの よにんぎょうじゃや かんみそぎ |
Midwinter ablutions, the
four ascetics wearing six feet
loincloths. |
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1回目の「みそぎ」を終え本殿前へ向かう |
行修者 |
たち |
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▼ しかし、このあと本殿には入れず、再度みそぎ斎場へ戻り、更に厳しい「みそぎ」を行うことになった。1回の「みそぎ」だけでは、神様は許してくれないのである。 |
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本殿前から「みそぎ斎場」へ戻る |
行修者 |
たち |
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▼ 本殿前からみそぎ斎場に引き返してきた行修者たちは、すぐに2回目の「みそぎ」を開始した。見ている方が辛くなる厳しい水行である。 |
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かんみそぎ しぶきにしむる しろふどし |
Midwinter ablutions, the
white
loincloth being frozen by the splash. |
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▲ 冷水を背中に勢いよくかけられると、大きな丸太で殴られたような衝撃を感じるという。それを吐錠(とじょう)をくわえ、必死に歯をくいしばることで耐え抜いてゆく。厳しくとも顔に出さず、平然としているのは、我々には真似ができないことである。普通の人間なのに、このようなことが簡単にできるものだろうかと誰もが考える。 |
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▲▼ 別当は他の行修者への水掛役であるが、最後は自らが桶の水を頭から何杯もかぶって「みそぎ」を行った。 |
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▼ 2回の「みそぎ」を終えて本殿に戻ってきた行修者たち。最初の役目を無事に終え、心なしか安堵の表情が見える。「寒中みそぎ」の期間中、彼らは昼夜を問わずに「みそぎ」を行うため、本殿において寝泊まりをする。 |
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また、神事にふさわしく、食事も四つ足の肉を避ける。この間「みそぎ」の経験者が行修者に付き添い、身の回りの世話や「みそぎ」を遂行する上での注意や要領を教えるなど、先輩として面倒を見る。 |
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▼ 初日の深夜、4回目の水垢離が始まった。写真は、弁財天を務める17歳の高校生・久保田 翔さんである。最近は少子化の影響で、一度選ばれると4年間務めなければならない行修者の選考が難しくなっているという。しかし、選考に苦労しながらも、引き受けてくれる者は毎年出て来る。今年は彼が快く引き受け、町民から好ましく思われている。 |
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▼ さすがに4年目ともなると貫禄がでて、深夜、4回目の寒中みそぎでも、余裕の表情を見せる別当だった。 |
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余裕の |
別当 |
は22歳の大学生・平野嘉栄さん |
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