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クレタ島のミノス王は、ゼウスの血を引く者といわれ、最高位の神官であった。人間と神の二重の権力の象徴がラブリス(両刃の斧)で、その聖域である王の住居はラビュリントス(両刃の斧の家)と呼ばれた。 |
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オリンポス12神の1神ポセイドンがミノス王に1頭の牡牛(おうし)を送り、これを殺して自分に捧げればさらなる栄光を与えると約束したが、ミノス王はこれを殺さなかったためにポセイドンが怒り、ミノス王の妻バジパエとこの牡牛を交わらせたため、牛頭人身の怪物ミノタウロス(「ミノス王の牛」の意)が生まれた。 |
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クレタ島郊外の田園風景 |
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ミノス王は、工匠ダイダロスに迷宮 ラビュリントス Labyrinthos を造らせてミノタウロスを閉じこめ、アテネに対して、この怪物の餌食として9年ごとに7人の若者と7人の乙女を献上するように命じた。 |
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アテネの英雄テセウスがこの生け贄の一人になり、クノッソスにやってきたのは、その数回目のときだった。テセウスを見て一目惚れしたミノス王の娘アリアドネは、テセウスがアテネに連れ帰って結婚してくれることを条件に助言を与え、その結果、テセウスはミノタウロスを退治し、迷宮からも無事に脱出することができた。 |
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資料:フリー百科事典ウィキペディア |
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アリアドネの助言は、迷宮の中を糸玉の糸を垂らして進み、帰りはその糸をたどってくるというものだった。 |
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テセウスは約束通りアリアドネを連れてクレタ島を出たが、途中彼女をナクソス島に置き去りにして行ってしまった。アリアドネはその後彼と会うことはなく、そこで救ってくれたディオニソス神と結婚したという。 |
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オリーブとブドウ畑に囲まれたクレタ島の美しい村 |
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この神話は、クレタ王国がアテネをも隷属させるほどの権力を持つ先進国だったことや、祭儀として牡牛が神聖視され、重要な役割を担っていたことが分かり、興味深い。 |
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春霞のイラクリオンの町 |
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「ラブリス」は元来リディアの言葉で、「両刃の斧」を意味し、「ラビュリントス」は「両刃の斧」を家紋とするミノス王の王宮「クノッソス宮殿」と、ミノス王の息子ミノタウロスの住処(すみか)である「迷宮」の両方を意味するという。英語ではラビリンス Labyrinth といい、迷宮の意で使われる。 |
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▼ 「両刃の斧」は、クノッソス宮殿のシンボルとなっており、石造建築の装飾にも使われており、金製の「両刃の斧」が宮殿から出土している。 |
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ミノス王の家紋「両刃の斧」/イラクリオン考古学博物館
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約14万人が暮らすギリシャ第5の都市イラクリオンは、クレタ島北岸のほぼ中央にあり、クレタ島最大の港湾都市である。ヘラクリオン Heraklion とも呼ばれるが、イタリアとトルコでは カンディア(イタリア語:Candia 、トルコ語:
Kandiye )と呼んでいる。これは、ヴェネツィアとオスマン帝国がこの都市を支配していたときの呼称に起因しているという。 |
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イラクリオンの中心に位置するモロシニの噴水 |
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▲▼ イラクリオンの繁華街にエル・グレコ公園があり、その一角に自画像をもとに制作されたと思われるエル・グレコ(1541-1614)の胸像が立つ。彼は、クレタ島イラクリオン出身の画家で、本名は、ドメニコス・テオトコプーロス Δομήνικος Θεοτοκόπουλος という。一般に知られるエル・グレコの名は、スペイン語で「ギリシャ人」を意味する通称だという。 |
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16世紀に活躍したイラクリオン出身の画家エル・グレコの胸像 |
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▲▼ 当時ヴェネツィア共和国の支配下にあったクレタ島でイコンを学び、のちにイタリアのヴェネツィアやローマに渡ってティツィアーノに師事し、ヴェネツィア派絵画を学んだ。1577年、36歳でスペインのトレドに渡り、没するまでスペインで宮廷画家として活躍した。 |
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エル・グレコの絵画はマニエリスム、バロック様式に分類され、全体的に暗い画面、縦に長く伸びた構図、複雑なポーズを取る人体などが特徴的で、彼の死後は長らく評価されなかったが、19世紀に評価され、パブロ・ピカソなど20世紀の芸術家に影響を与えたという。 |
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エル・グレコの自画像 |
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▼ 1922年、当時フランスに滞在していた児島虎次郎は、パリの画廊でエル・グレコの「受胎告知」が売りに出されているのを眼にした。この作品の素晴しさを見抜いた児島は、出資者の大原孫三郎の送金を受けて購入し、日本へ持ち帰った。結果的に二人の判断は的中し、現在では「受胎告知」が日本にあることは奇跡と迄いわれている。 |
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受胎告知 / エル・グレコ画 (大原美術館蔵) |
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写真:フリー百科大事典 |
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イラクリオン港に入港してきた同型船 FESTOS PALACE |
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▼ イラクリオンは壁に囲まれた旧市街とその外側に形成された新市街とに分かれる。ホテルや観光客用のレストラン、博物館は旧市街にある。午後の自由時間に徒歩で旧市街からオールド・ハーバーを巡った。 |
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ヴェネツィア占領時代の城砦が残るオールド・ハーバー |
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▲▼ オールド・ハーバーには、入口に築かれたヴェネツィア占領時代の巨大な要塞がある。船溜まりには、白と青のペンキで塗色された小さな漁船が繋留されており、漁師たちが刺網の陸揚げをしていた。愛らしい漁船の姿を見ると、穏やかな気候に恵まれたエーゲ海の特徴をうかがい知ることが出来る。 |
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刺網を陸揚げする漁師たち/オールドハーバー |
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海から臨む巨大な要塞 |
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ヴェネツィア時代の要塞 Venetian Fortress
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▲▼ この巨大な要塞は、クレタ島の厳しい歴史を象徴している。クレタ島は824年にアラブ人に占領されたが、250年後にヴェネティア人によって統治され、経済的、文化的発展を遂げた。要塞はヴェネティア時代の16世紀に建造されたものである。モロシニの噴水も同時代のもので、保存状態が良かったことから、旧市街のあちこちで当時の建造物を目にすることが出来る。 |
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要塞の内部は巨大なトンネル |
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1699年にオスマン・トルコに占領されて、ヴェネティアの栄華が絶たれた後は、長期にわたって「トルコのくびき」が続いたが、クレタ人たちの長い闘争の末、1912年クレタ島は最終的にギリシャに併合され、今日に至っている。 |
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広々とした要塞の屋上 |
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はるのうみ いりひにそまる くれたとう |
The spring sea, Crete island being dyed by the setting sun. |
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クレタ島の入日 / 要塞の屋上より西方を臨む |
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旧市街のタベルナ(食堂)で夕食を取ったあと、春の陽気に誘われて、再びオールド・ハーバーを散策した。ライトアップされた要塞を眺めているうちに、おもちゃのような漁船が漁獲物を選別して水揚げしている光景に出くわした。大きなロブスターや赤魚、イカなど、刺網で捕れた海の幸が並べられていた。 |
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夜のオールド・ハーバー 20:50 |
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えーげかい はるほうじょうの えびやたい |
Lobsters and sea breams, spring fertility of the Aegean Sea. |
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夜の収穫 / オールドハーバー(フラッシュ撮影) |
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旧市街を囲む城壁もライトアップされていて、とても美しかった。心ない落書きを残念に思いながら、城壁にそってホテルまで歩いて帰った。春宵一刻値千金(しゅんしょう・いっこく・あたい・せんきん)といったところである。 |
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城砦のライトアップ |
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エル・グレコ公園の近くに建つギリシャ正教の教会もライトアップされ、美しかった。青いドームのほか、夜に外から眺めるステンドグラスもとても綺麗だということを知った。 |
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ライトアップされた美しい教会 |
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