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「なるほど。そんなに詩や歌が流行っていたとはすばらしい。君はそうしたものをつくれるのかね」と私はたずねた。
「セニョール、ベルベルの人間はどんなに落ちぶれても、詩をつくったり、歌を愛する心を失っていませんよ。昔のように、それはいいお金にはなりませんが。・・・・・何しろ、いまの金持ちの好むものは詩や音楽じゃありませんよ。チャリンチャリンというお金の音のほうですとも」
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話しているあいだも、彼の眼はこの大建造物の主人公であるイスラム教徒の君主たちの権力と栄光を追うようにうっとりしていた。・・・ 江間章子訳「アルハンブラ物語」より抜粋 |
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二姉妹の間 Sala de las Dos
Hermanas
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アルハンブラ宮殿の中で特に美しいのがライオン宮の「二姉妹の間 Sala de las Dos Hermanas 」の天井である。八角形の天井には、蜂の巣のように細密な鍾乳石飾り(モカラベ)が施され、天窓から差す光が彫刻に反射して宝石のように輝いている。「二姉妹の間」は、かつて王の寵愛を受けた姉妹が住んでいた部屋だという。
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▼ 囚われの身の二姉妹ソライダとリンダラハが「二姉妹の間」の奥にある「リンダラハの出窓」からこの中庭を見下ろしていたという伝説から、この名で呼ばれる。中央の小さな噴水を中心に、幾何学模様に整えられたこじんまりとしたパティオが当時のハーレムの様子を偲ばせてくれる。
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リンダラハの中庭 Patio de Lindaraja
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アルバイシン Albayzin |
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アルハンブラ宮殿の北方に広がるアルバイシンは、11世紀ころにイスラム教徒によって築かれたグラナダ最古の街並みが残る旧市街である。キリスト教徒によるグラナダ攻略の際には、アベン・ウメヤに指揮されたモーロ人の抵抗の砦となり、白壁と石畳はおびただしい流血に染められたという。 |
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美しいグラナダの市街
/ アルバイシン方面 09:57
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▼ 北側のアルバイシンを見下ろす位置には、パルタル宮 Palacio del Partal が池を従えて建っている。かつてはここが大ハレム Harem で、350人ほどの女たちが水浴したり、池の水鏡で化粧をしていたという。広々としたパルタル庭園 Jardines de Partal の一角にある鯉の泳ぐ小池にサンタ・マリア教会が優美な姿を映していた。
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「パラドール・デ・グラナダ Parador de Granada
」はアルハンブラ宮殿の敷地内にある。15世紀の旧修道院を利用した国営ホテルで、人気のレストランを併設している。
レストランでは伝統的なアンダルシア料理が提供され、テラスからはアルハンブラ宮殿の庭園を見渡すことができる。 |
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国営ホテル「パラドール・デ・グラナダ」 10:03
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この夜、フラメンコショーが終わった後、アルバイシン地区から南方にみえるアルハンブラ宮殿のライトアップを撮影することができた。 |
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夜の帳(とばり)が下りはじめるころからライトアップがなされ、周囲の風景と一体となった夜景は素晴らしいと思うが、日がとっぷりと暮れて、深い闇を背景に浮き上がって見えるアルハンブラ宮殿は、筆舌に尽くしがたいほど美しかった。これが篝火(かがりび)なら一層赤く見えることと思われ、アルハンブラの篝火説に納得した。 |
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♪ アンドレス・セゴビア Andrés
Segovia |
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● BGMに流れるギター独奏曲は、アンドレス・セゴビア(1893-1987)が演奏するフランシスコ・タレルガ Francisco Tarrega 作曲の3曲 'Recuerdos de la Alhambra'-'Capricho arabe'-'!Marieta!' で、セゴビアのアルバム' THE ART OF SEGOVIA' に収録されているもの。 |
セゴビアは、スペインの偉大なギタリストで、音楽史研究者やギター奏者としての功績から、「現代クラシック・ギター奏法の父」とみなされている。彼の尽力なしには、クラシックギターがコンサート・ホールに不似合いの、田舎の楽器と見られていただろうと見る向きは多い。
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セゴビアの演奏技巧は、タレルガやミゲル・リョベートとはかけ離れていた。彼は指の爪で弦をはじき、同時代の演奏家よりは鋭い響きをひき出した。長らくクラシック・ギター演奏家たちは、どちらが最もすぐれた姿勢であるかを言い争ってきた。現在では、爪ではじくのが主流となっているが、指ではじくやり方の簡便さや、そのようにして得られる響きの明るさを好む向きもある。 |
多くの傑出した音楽家は、ギターはクラシック音楽の演奏には使えないというので、彼のギターがヨーロッパのクラシック音楽界から受け入れられないだろうといわれていた。しかし、彼の卓越した演奏技巧と独特なタッチは、聴衆を驚嘆させた。結果的に、ギターはもはや大衆音楽の楽器としてだけでなく、クラシック音楽の演奏にもふさわしいとみなされるようになった。ギタリストの巨匠と呼ばれるにふさわしい偉大な功績である。 |
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地中海が見えた!/ 高速道E-15をミハスへ 12:41
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▲▼ アルハンブラ宮殿の観光のあと、ツアーバスは高速道E-15に乗り、グラナダの西方約160km2時間半の距離にある地中海沿岸の白い町ミハスに向かった。 |
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資料:Google マップ |
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ミハス Mijas |
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アンダルシアの名物・白い家で有名なミハスは、地中海を見晴らす山の中腹にある。ここは、ミハス・プエブロ(ミハス村)と呼ばれ、海沿いのミハス・コスタ(ミハス海岸)と区別される。 |
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▲▼ ミハスは、ヨーロッパ各地の金持ちたちの別荘地で、山腹には、白い高級マンションが聳えている。午後の暖かい陽光は、初夏を思わせる。 |
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ミハス鳥瞰図
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資料:Googleマップ |
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ミハス村は、道路が狭く、車が入れないので、ビルヘン・デ・ラ・ペニャ Virgen de la Peña
広場のそばにある観光バス駐車場から歩いて観光する。 |
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ミハス中心部
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資料:Googleマップ |
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ここは完全な観光地で、車の代わりにロバタクシーや観光馬車が名物である。ビルヘン・デ・ラ・ペニャ広場の一角にロバタクシーの乗り場があり、ロバたちが客待ちをしていた。しかし、ロバに乗るのは楽しいが、お尻にロバの臭いがたっぷりとつくことを覚悟しなければならない。 |
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ロバタクシー乗り場 / ビルヘン・デ・ラ・ペニャ広場 12:57
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それにひきかえ、観光馬車は格好良く、狭いミハスの道を行き交うのは殆どが馬車で、今ではロバタクシーに代わって観光馬車がミハスの風物詩となっている。 |
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ミハスで一番美しいといわれているサン・セバスティアン通りでは、春の直射日光を受けて食事を楽しむ人々の姿が見られた。日本では、パラソルがないと客は席に着かないが、スペインでは太陽の日射しが好まれる。 |
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ミハスで一番美しいサン・セバスティアン通りで食事を楽しむ人々 13:02
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▲▼ アンダルシア地方では、強烈な太陽の日差しを遮るために、毎年、日差しが強くなってくる3月に壁を白く塗るという。4月は、塗り立ての白壁がひときわ美しく見える季節である。道を細くし、窓を小さくとり、壁を白く塗ることによって、建物に入る熱を少しでも抑えようという生活の知恵である。 |
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我々も闘牛の英雄・ロメーロの名を取ったレストランで昼食を取った。イベリコ豚の生ハムが食べられるというので注文すると、スライスするシーンを撮影させてくれた。スーパーに行くと、写真のような豚の片脚がぶら下がっていて、家庭でもこのようにスライスして食べるらしい。 |
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イベリコ豚 Cerdo
Ibérico / Iberian Pig
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▼ イベリコ豚は、イベリア(半島)の豚という意味で、ひとつのブランド名になっており、食用に飼育される黒豚である。地中海地方に起源を持ち、主にイベリア半島の中央部から南部、スペイン西部からポルトガル東部にかけてみられる。黒い脚と爪をもつ特徴から、スペイン語では「黒い脚
pata negra 」とも呼ばれる。 |
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ドングリを餌にして育てるため、肉質が良く、ドングリ由来のオレイン酸を多く含む脂身は、さらりとして甘味がある。その特徴は、餌や飼育法に拠るところが大きく、品種的なものではないという。 |
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レストランから見えるミハスのメイン道路 13:10
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▼ 細長い村の道を西に上ってゆくと、ミハス闘牛場がある。1900年に建てられたという歴史を感じさせる白壁の建物で、世界最小ともいわれる楕円形の闘牛場である。 |
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ミハス闘牛場 14:32
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▼ 闘牛は、シーズン中、毎週日曜日に開催されるので、この日は閉まっていたが、入場料を払って見学することができるというので、中に入ることにしたが、「入口」と日本語で書かれた矢印があるものの、どこから入るのか分からず、建物を半周してしまった。結局、元に戻って、入口は売店であることが分かり、やっと中に入ることができた。入口の表示は、売店の入口に掲げるべきである。 |
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ミハス闘牛場の入口
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スペインでは、こんな小さな村にも闘牛場がある。人と牛とが戦う闘牛は、日本の相撲のように、スペインの国技であることを実感する。首都マドリッドの巨大なラス・ベンタス闘牛場も素晴らしいが、闘牛するには広すぎる気がした。むしろ、これくらいの広さの方が間近に観戦でき、闘牛士と観客とが一体となって心を通わせることができるのではないか。 |
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ミハス闘牛場の全景 14:40
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▼ 闘牛場の北側に広がるミハスの庶民たちが暮らす密集した白い家並みが美しい。ガイドもなく、パンフレットにも書かれていないが、私には闘牛場から見るミハスの街並みこそが絶景だと思われた。 |
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しらかべの ましろきみはす はるさかる |
The height
of spring,
the pure white of white walls of Mijas. |
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白い町ミハスの絶景
/ ミハス闘牛場
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ガイドからもらった観光マップには、闘牛場のそばの小さな教会の展望台からの眺めが素晴らしいと書かれていたので足を運んだ。地中海が遠望できるスポットで、山懐に抱かれたミハスの素晴らしい景観が広がっていた。 |
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ミハスから地中海を望む 14:45
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▼ 日本人の店員がいる押し花を使った手作りの店アマポーラ
Amapola (ヒナゲシ)のそばも眺めが良いというので行ってみた。狭い場所に地中海を見下ろす展望レストランが軒を連ねていた。 |
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地中海を見下ろす展望レストラン 14:50
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狭いミハスの村をひとまわりして、また、サン・セバスチャン通りにもどってきた。食事が終われば、テーブルが片付けられるらしく、狭い小道も少し広く感じられた。 |
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車道を行くミハスの観光馬車 14:58
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▲▼ 「地球の歩き方」には、ロバタクシーが人気だと書かれており、観光馬車の紹介がなかったが、その情報は古い。今では、観光馬車の方が人気があり、出会うのは馬車ばかりで、車道でも馬車が闊歩(かっぽ)していた。 |
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ミハスで大人気の観光馬車
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我々のツアーバスが待つ駐車場に戻ってきた。ここからの眺めは、高級マンションが立ち並ぶリゾート地としてのミハスである。しかし、私には、闘牛場から見た庶民の街並みが一番印象深かった。 |
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高級マンションが建ち並ぶミハス / 観光バス駐車場そば 15:00
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