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荒行僧は、誓願の柱の立つ祭壇の前で二列横隊となり、御前様を中心にお経を唱え始めた。三本の柱に書かれた「罪の浄化、死没者の供養、開運」を祈祷しているということであった。
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拡大写真(1200x900)181KB 【E-1
54mm/28-108mm F6.3 1/250秒 ISO200】
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拡大写真(1200x700)153KB 【E-1
38mm/28-108mm F8.0 1/320秒 ISO200】
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資料 |
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日蓮宗が世界三大荒行の一つと位置づけている寒の荒行は、300年の歴史を誇るもので、千葉県市川市中山にある正中山法華経寺の日蓮宗大荒行堂で行われる。
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正中山法華経寺は、日蓮が松葉ヶ谷(まつばがやつ)で焼き討ちに遭い、難を逃れた際、若宮の領主・富木常忍(日常聖人)と中山の領主・太田乗明が避難先を提供したことから生まれた霊跡で、大本山の格式を持つ。
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鎌倉時代文応元年(1260)創立で、鬼子母神の信仰厚く、子育安産、病気平癒の祈祷、社運隆盛のための参詣の人が多数訪れる。日蓮聖人の真蹟、立正安国論、観心本尊抄などの国宝、重要文化財がある。 |
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拡大写真(1200x900)151KB 【E-1
54mm F5.6 1/320秒 ISO200】
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拡大写真(1200x900)135KB 【E-1
84mm F6.3 1/320秒 ISO200】
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荒行僧と呼ばれる彼らは、正確には加持祈祷を行う修法師(しゅほっし)である。日蓮宗の僧侶のうち、100日間の荒行を満行した者は、伝師(でんし)(加持祈祷の師範)から秘法を受け、宗務総長より修法師として任命される。木釼(ぼっけん)を持つ以上、彼らは既に任命を受けている。
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荒行僧の右手に握られている厚味のある木札が魔障を切る木釼である。初心者は当然真っさらである。年期が入れば入るほど手垢で汚れるが、御利益(ごりやく)も大きくなるのだろう。
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左手に長い総(ふさ)の数珠(じゅず)、首に下げている円筒状の錦の袋の中には、修行中実践した自筆の写経(御祈祷経と呼ばれる日蓮が選んだ法華経の肝文(かんもん)「撰法華経(せんほけきょう)」を書き写したもの)が納められている。これらは、命がけの荒行を経て手に入れた彼らの宝物で、修法師の命であり象徴である。
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拡大写真(1200x860)157KB 【E-1
76mm/28-108mm F7.1 1/320秒 ISO200】
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寒の荒行
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毎年、全国の日蓮宗の寺院から正中山法華経寺に派遣される荒行僧は100人を超えるという。今年は130人ほどが昨年11月1日から2月10日までの100日間、荒行堂に入行し、厳しい荒行を修めた。 |
荒行僧になるには、日蓮宗の僧侶のうち修法規程に沿ったものに限られ、厳しい修行に耐えうる体力と精神力が要求される。 |
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荒行僧の一日は、早朝2時半に起床し、朝3時の一番の水から3時間毎に午後11時まで1日7回、寒水に身を清める「水行」をはじめ、「万巻の読経」、「木釼(ぼっけん)相承」、相伝書の「書写行」がある。食事は朝夕2回、梅干し1個と白粥だけという。 |
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日蓮宗大荒行堂 |
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資料 |
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冷たい水を浴び、お粥を食べ、死ぬほどの厳しい修行を通じて罪を悔い改め、心から反省するならば、生まれ変わったように尊い身となるという。
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パノラマ写真(1200x900)164KB 【E-1
76mm/28-108mm F6.3 1/320秒 ISO200】
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荒行堂の苦心談
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お粥だけでは体力がつかないので、現在では親族などから差し入れが認められているという。それでも中には環境の急激な変化に順応できず、食欲がなくなり、体力を消耗し、100日間の荒行に堪えきれない人もいるようで、途中で退堂(たいどう)となる。
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過去には衰弱死することもあったようで、規定では遺体を荼毘(だび)に付し、同僚の成満(じょうまん)を待って退堂することになるという。現代は健康管理をしっかりしているようで、そのような事故はないという。
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寒いため、あかぎれからばい菌が入り、抵抗力が低下しているため、化膿して腫れ上がり、歩けなくなることもあるというから、本当に過酷な修行である。
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拡大写真(1200x900)196KB 【E-1
28mm/28-108mm F6.3 1/200秒 ISO200】
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拡大写真(1200x900)242KB 【E-1
28mm/28-108mm F6.3 1/200秒 ISO200】
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毎年2月10日に千葉県市川市にある正中山法華経寺(しょうちゅうざんほけきょうじ)の祖師堂(そしどう)において行われる大荒行成満会(だいあらぎょうじょうまんえ)では、初心者に木釼が授与され、修法師の資格が与えられる。100日の荒行をさらに重ねて、2回目の再行から5回目の五行で免許皆伝となる。更に加行を続けたい僧侶は参籠(さんろう)として入行することができる。(荒行に耐えられる身体という配慮から満60歳以上の者は入行できない。)
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中には10回の荒行を修めた僧もいるそうで、まさに比叡山の千日回峰の阿闍梨(あじゃり)のように、千日水行を達成した修法師は極めて貴重な存在である。
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成満(じょうまん)の日は、入行時に閉ざされた瑞門(ずいもん)が100日ぶりに開かれ、大荒行成満会が催行され、全国から集まった大勢の出迎えの檀信徒が早朝より修行僧の出行を待ち受けるという。 大荒行成満会 |
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拡大写真(1200x900)196KB 【E-1
84mm/28-108mm F6.3 1/320秒 ISO200】
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行を待つ水行場
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