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 旅紀行日本の裸祭り

2012117日改訂

 

 

 

今 日

昨 日

♪獅子/邦楽鼓囃子

白褌の渦参道に雪夜かな   北舟

 

A night of snow,
a human vortex of white loincloth appeared on the approach to the shrine.

2010年11月19日制作

蘇民袋争奪戦の開始!

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蘇民袋争奪戦の開始!/熊野神社(岩手県奥州市江刺区伊手)
岩手の火まつり

井手熊野神社蘇民祭

蘇民袋

▼ やがて男たちは、歳戸木(さいとぎ)の燃えさしを引き出し地面や拝殿に叩き付け、飛び散る火の粉で邪気を払 い始めた。このシーンは、黒石寺蘇民祭でお馴染みである。

歳戸木さいとぎ

の燃えさしを叩き付けて火の粉で参道を浄める

歳戸木の燃えさしを叩き付けて火の粉で参道を浄める

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歳戸木さいとぎ

の燃えさしを拝殿に叩き付ける!

歳戸木の燃えさしを拝殿に叩き付ける!

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▼ 拝殿を守っている長老がいた。邪気払いの所作を見て、「まだまだ」、「やり直し」などと言いながら、燃えさしの木を踏みつけたり、押し戻したりして邪魔をする。これも黒石寺蘇民祭と同じで、すんなり通さないところが面白く、見所の一つとなっている。
拝殿に入るのを阻止する長老

拝殿に入るのを阻止する長老

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写真: ウチノメ屋敷 レンズの目 /撮影:及川寿郎

歳戸木さいとぎ

を振りまわす男

歳戸木を振りまわす男

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  初春や焼棒杭の邪気祓 北舟 

はつはるや やけぼっくいの じゃきばらい

Early spring, exorcism by a half-burned stick

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拝殿に入る

拝殿に入る

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写真: ウチノメ屋敷 レンズの目 /撮影:及川寿郎
▲▼ 拝殿内部の壁や床は長期間に わたって邪気祓いの燃えさしが打ち付けられてきたために焦げ跡があり墨が塗りつけられたように黒ずんで汚れている。
拝殿を浄める

拝殿を浄める

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写真: ウチノメ屋敷 レンズの目 /撮影:及川寿郎
▼ 井桁に組まれた歳戸木(さいとぎ)が燃え上がると、その火力に圧倒され、全員遠巻きになって暖を取ることになった。歳戸木(さいとぎ)の炎上は、「岩手の火まつり」を象徴する美しい光景で、さすがに元気な褌衆も早々に退散してしまった。
拝殿前で炎上する

歳戸木さいとぎ

拝殿前で炎上する歳戸木!

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別当べっとう 及び

ふくろ

登り
▼ 火たき登りの余韻が覚めない頃、四角(しかく)登りと同じように、角灯(かくとう)と手木(てぎ)を持った褌衆の邪気祓いの行列に続き、別当の菊池与(きくち・あとう)さんが蘇民袋や法螺貝の山伏、神楽、保存会員たちと共に拝殿に登り、厄払いと五穀豊穣を祈願した。
別当べっとう 及び

ふくろ

登り 22:24

別当及び袋登り 22:24

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鬼子おにご

登り
▼ 午後11時頃から鬼子(おにご)登りが始まった。この行列は、全員、黄色の鉢巻を締めるので直ぐに分かる。父親に背負われた7歳の男の子が麻衣(あさぎぬ)に鬼の面を身につけて神社に登り、無病息災を祈念する。
 蘇民袋争奪戦を撮影するのに最適な拝殿・中二階の場所取りのため、拝殿から離れることができず、鬼子登りの鬼子や鬼の面などは撮影できなかった。
拝殿に到着した

鬼子おにご

登り一行 23:31

拝殿に到着した鬼子登り一行 23:31

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▲▼ 拝殿の中二階に陣取っていると黄色の鉢巻をした鬼子登りの一行が拝殿に入ってきたところを撮影することができた。魔除けの梵天は、竹製のものが持ち込まれた。
竹の 梵天ぼんてん が到着

竹の梵天が到着

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▼ 黒石寺蘇民祭と同じように、鬼子登りから蘇民袋争奪戦へと途切れなく続くので、争奪戦の渦の上に飛び降りるため、はやばやと拝殿の格子に取り付き、気勢を上げる男たちが現れた。
拝殿の格子にとりついた男たち

拝殿の格子にとりついた男たち

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▼ やがて御神火から移された松明(たいまつ)の火で拝殿(外陣)が清められ、蘇民袋争奪戦の準備が完了した。
火のついた松明で拝殿を浄める 23:51

火のついた松明で拝殿を浄める 23:51

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蘇民袋そみんぶくろ

争奪戦そうだつせん
 
▼ 蘇民袋争奪戦は、五穀豊穣と無病息災を願い、故事に習って疾病の護符である将軍木(かつのき)で作った小間木(こまぎ)(蘇民将来そみんしょうらい)が入った蘇民袋を奪い合う行事である。小間木と蘇民袋を手にした者は、災厄を免れるという。
   蘇民袋は平安時代の蝦夷(えみし)の酋長・アテルイ(阿弖流為)の首にみたてたものといわれる。アテルイは胆沢(いさわ)地方に勢力を持った蝦夷(えみし)の首領で坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)率いる大和朝廷軍と戦って敗れ、後に処刑された。  
小刀を口にくわえた役員の登場 23:55

小刀を口にくわえた役員の登場 23:55

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刃物入れ
▲▼ 1月17日(日)午前零時前、黄色の鉢巻をした保存会の役員が格子に取り付き、口に小刀をくわえて裸の群衆の中に飛び降り蘇民袋に切口(きりくち)を入れて小間木を取り出せるようにした。 争奪戦の端緒となるこの大事な儀式は保存会では「刃物入れ」と呼んでいる。ちなみに黒石寺蘇民祭では「刀入れ」と呼び、全裸の親方が行うが、熊野神社では、役員や一般参加者の祭り装束は、白晒の腹巻・前袋式六尺褌に統一されている。

蘇民袋そみんぶくろ

に刃を入れる役員

蘇民袋に刃を入れる役員

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蘇民袋そみんぶくろ

争奪戦そうだつせん

の開始!

蘇民袋争奪戦の開始!

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▲▼ 刃物入れをした役員は、一度格子に退避し小刀を安全な場所に移した後再度渦に乗り、気勢を上げていた。佐藤由吉(さとう・よしきち)保存会会長に聞くと人によりやり方が変わるといい、刃物入れは、保存会の役員の中から交代で行っているという。
渦の上で気勢を上げる役員

渦の上で気勢を上げる役員

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▲▼ 蘇民祭のフィナーレを飾る争奪戦は、熱気を帯び、小間木の争奪が一段落して、袋が空になったころ、蘇民袋を奪い合う人の渦が拝殿から境内に移動し、雪上で激しい揉み合いが続いた。
  白褌の渦参道に雪夜かな 北舟 

びゃっこんの うずさんどうに ゆきよかな

A night of snow, a human vortex of white loincloth appeared on the approach to the shrine.

境内に出た裸の渦!

境内に出た裸の渦!

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午前1時半頃、決着が付き、審判により取主(とりぬし)が決まった。終了時、蘇民袋の縛り口に最も近い場所をつかんでいた人が取主(1位)に認定され、3位まで表彰される。そのほかに、努力賞もある。

富士芝桜まつりで
曽根由香  そねゆか 
住居:埼玉県さいたま市(旧 大宮市)
趣味:写真撮影、MyCarスプリンターの 車内で生活する事
特技:何処でも寝れる事、運転免許第一種は制覇(第二種は普通二種と大型二種 のみ取得)

 最近は急に寒くなってきました。これから冬の雪景色が楽しみな反面…怖いですね。
 
 岩手県の伊手熊野神社蘇民祭に、大阪から向かっていた時はちょうど北陸が大雪・吹雪の中で…命がけで現地到着した感じでした。大阪→岩手コースならば、関東首都圏を経由すれば、大雪・吹雪の中を通過しなくてもすんだのですが、関東首都圏を通過しないで行けば、高速代も安くすむため(金曜日→土曜日に行ったので)に北陸に向かい走行し、命がけのETC割引になってしまいました。
 
 大阪から…阪神道→名神道→中央道→上信越道→北陸道→磐越道→東北道で岩手県と移動しましたが、暗くなってから走行していた上、信越道・北陸道・磐越道は本当に大雪・吹雪で大変でした。妙高や磐梯山あたりは命の危険を感じました。
 
 高速走行してる車はほとんどありませんでしたが、スピンしてぶつかって動けなくなった車はいたるところにいて、上信越や北陸道は、私が通過したあとから、通過してきた場所は次々に通行止めになってました。(ハイウェイラジオより)雪で通行止め直前の高速道路は本当にやばいです。
 
 途中で家族に電話して“もしかしたら事故るかもしれない”と連絡した位ですから。何かある前に家族の声を聞いておこうと思い… 雪は綺麗ですが本当に怖いです。

 はだか祭りに参加される方々も寒い雪の中ではだかで耐える精神は素晴らしいですね。風邪をひいたり、風邪をこじらせて肺炎になどなったりしない様に…頑張ってもらいたいです。

今年も冬の雪国を思い出しながら、11月末に冬タイヤ+冬ワイパーに交換します。 
  小雪舞ふ 柴燈木登や白ふどし 北舟 

こゆきまう ひたきのぼりや しろふどし

A light snowfall, white loincloth of climbers on the smoking piles of Hitaki lumber of holy fire.

編集子の選ぶ傑作

火たき登り(

柴燈木登ひたきのぼり

)の晴れ姿! 21:33

柴燈木登りの晴れ姿! 21:33

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和田義男
 本日、曽根由香さんの第4作が完成した。蘇民祭といえばセクハラポスター事件で全国的に知られた奥州市水沢区(旧水沢市)の黒石寺蘇民祭が有名だが、今回は、神社の蘇民祭を作品化することができた。
  保存会のパンフレットによると、岩手県では、かつては20を超える寺社で蘇民祭が行われていたが、時代の趨勢で廃絶するところが相次ぎ、現在では10箇所で蘇民祭が行われているという。そこで、internetで検索してみると、8箇所を確認することができた。
 このうち完全に古来の裸褌姿で行っているのは黒石寺と熊野神社以外では、花巻市・胡四王(ごしおう)神社蘇民祭(1月2日)と岩手県胆沢郡金ヶ崎町の長岡蘇民祭(1月31日)だけだった。後者は、20年ほど前から始まった町おこしのイベントなので、古来の伝統を受け継ぐ裸祭りは、胡四王神社蘇民祭だけということになる。

 あとの4箇所は、ズボンと上半身裸が混じって行うところが2箇所、裸にならないところが2箇所と、すべて変質している。熊野神社蘇民祭保存会の佐藤由吉会長も、高齢化と参加者の減少で、この先どうなるか分からないという。黒石寺蘇民祭の山本グループのような都会に住む元気な青年たちが加勢すべきときにきているといえる。

謝 辞

 このたび、ウチノメ屋敷 レンズの目 を主催する及川寿郎さんから 2010奥州市伊手・熊野神社蘇民祭 に収録されている写真の中から7枚を使わせて頂いた。お陰様で、伊手熊野神社蘇民祭の全体像を再現することが出来、この作品に変化と奥行きが生まれたことに感謝申し上げたい。
 
 なお、奥州市にお住まいの及川さんが激写された東北の祭りは、祭りアラカルト にあるので、 推奨させて頂く。及川さんは、これまでに8箇所の蘇民祭を収録されており、残り2箇所も来年早々に取材し、10箇所全部の蘇民祭を網羅したいという。これは及川さんにしかなしえない素晴らしい試みであり、日本の歴史民俗学の貴重な映像資料になることだろう。私も及川さんの作品を見て、来年1月2日に行われる胡四王神社蘇民祭を取材したいと考えているので、ご期待願いたい。〈 完 〉 2010.11.19 監修 和田義男

感動写真集第145集 / 日本の裸祭り第122集 「伊手熊野神社蘇民祭」

撮影 ・原作 :曽根由香 監修:和田義男

  平成22年(2010)11月15日 作品:第34作 画像:(大36+小1) 頁数:2 ファイル数:81 ファイル容量:17MB
 
平成12年(2000)〜平成22年(2010) 作品数:382 頁数:1,466 ファイル数:60,886 ファイル容量:9,063MB

お便りコーナー(抜粋)

2010年11月19日(金)晴  及川寿郎  様へ

写真拝借の御礼!/和田 こんばんは。先ほど、伊手熊野神社蘇民祭が完成し、アップしました。

http://wadaphoto.jp/maturi/idesomin1.htm

使わせて頂いた写真は、7枚あります。お陰様で、蘇民祭の全体像を再現することが出来、この作品に変化と奥行きが生まれました。及川さんのご厚意に、心から御礼申し上げます。

もし、加除訂正がありましたら、どんな小さなことでも結構ですので、お知らせ下さい。直ちに対応させて頂きます。

及川さんの作品を見て、来年1月2日に花巻市の胡四王神社蘇民祭を密着取材したいと思うようになりました。及川さんも取材されるようであれば、現地でお会いできますね。(^^ 有り難うございました。

□==========================================================□
■== Wa☆Daフォトギャラリー url: http://wadaphoto.jp/ ==■
■== mail: master@wadaphoto.jp ==■
□== 和田義男 ==============================================□

 
和田さん、こんばんは。

遅い時間になりましたが、今ページを拝見しうなっているところです。それと、最初のページにどーんと熊野神社の雪景色がありびっくりしております。私の場合、伊手地区にしても黒石地区にしても近場になりますので、必ずと言うほど前日に下見をして当日に想いをはせています。

記事の中にもありましたが、現在岩手で執行中の蘇民祭は10カ所あります。思いつくままに蘇民祭に惹かれあちこちを撮影していますが、調べてみたら五カ所の撮影をしていました。こうなるとあと五カ所を撮影したくなり、今年になってから三カ所訪れて撮影しています。たまたま黒石寺蘇民祭とかち合った場所があったりで、今年の黒石寺蘇民祭は出かけておりません。あと二カ所ありますが、2011年には出かけてみたいなと思います。全部撮影できたらまとめて「岩手の蘇民祭」のコーナーでまとめる予定です。

それにしても撮影なされた曽根さんはタフですね。雪道ドライブは岩手の私でも怖いので慎重になるのですが、伊手地区に来るために大阪からのドライブとは驚きです。プロフィールにもありましたが、車に泊まり込みで取材するエネルギッシュな姿に驚いております。

多分ですが、熊野神社の三角棚に女性の方が登っておりましたが、曽根さんでしょうかね。いつも思いますが、あの場所は蘇民袋争奪戦のアングルとしては最高なのですが、終わるまで降りられませんから大変です。

お便りにもありましたが、1月2日の胡四王神社蘇民祭にお出でになるようですが、現場で是非お会いしたいなと思います。胡四王神社蘇民祭は日中ですし、ストロボを使用せずに撮影できます。ただ、かなりの雪道斜面を追いかけますので体力が必要です。是非お出でになって下さい。

最後になりましたが、改めて私の画像の紹介とリンクについて感謝申し上げます。これをご縁にこれからもよろしくお願いいたします。

奥州市江刺区    及川寿郎

Toshiro Oikawa
URL http://www.uchinome.jp
 
及川 様 おはようございます。お便りありがとうございました。蘇民祭10箇所全部の取材、素晴らしいですね。地元の及川さんでないとできない偉業だと思います。

胡四王神社蘇民祭は日中行われるので、一番電車で日帰り取材できそうですので、是非、現地でご一緒に取材させていただきたいと思います。500mもの石段を上がり下りして取材するのは、体力と転ばない用心が必要だと思いますが、厳冬での徹夜の取材を考えれば、比較的楽な撮影だと思います。

おっしゃるように、曽根さんは、女性にもかかわらず行動派で、日本全国、どこにでも愛車を駆って取材されています。私も今年知り合ったばかりですが、おおいに元気を貰っています。

Wa☆Daフォトギャラリーの感動写真集のコーナーで東北におられる仲間はいません。また、裸祭りを撮影されている方は少なく、とても貴重です。もし宜しければ仲間に入って頂けませんでしょうか。及川さんの自信作をお送りいただければ、私が全て監修して、作品化させて頂きますので、ご検討いただければ幸甚です。これからもどうかよろしくお願いします。有り難うございました。
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