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▼ 大寒禊の禊場(斎場)に選定された一宮海岸は、九十九里浜南端にある海岸で、一宮海水浴場があるほか、多くのサーフポイントがあり、よい波を求めて一年中全国からサーファーたちが集まる。この日は快晴の日曜日だったが、波が弱いためか、サーファーたちの姿は殆ど見られなかった。 |
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陽光に恵まれた九十九里浜一宮海岸
2013.1.27 10:47
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▲▼
一宮海岸では、男性用と女性用のテント小屋が設営されており、ここで上着を脱ぎ、禊の支度が行われた。 |
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午前11時前、全員の禊支度が整ったことを確認したあと、青竹の大幣(おおぬさ)を持った若森権禰宜と富越道彦に続き、禊集団がテント小屋を出発し、恒例の褌ランニングが始まった。 |
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▲▼
26人の禊ぎ集団は、褌ランニングののち円陣を組み、沖に向かって拝礼したあと、櫓漕ぎ運動に似た動作をとる鳥船(とりふね)などをみっちりと行い、身体を温めた。 |
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▼ 文久2年(1862)大分県宇佐郡に生まれた川面凡児(かわつら・ぼんじ)という先人が廃(すた)れていた奈良時代の禊行法(みそぎぎょうほう)を復興し、現在、川面流(かわつらりゅう)として、東京都中央区に鎮座する鐵砲洲稲荷神社の寒中水浴や茨城県鹿嶋市に鎮座する鹿島神宮の大寒禊など、全国各地で実践されており、玉前神社の大寒禊もこの行法にのっとって行われる。 |
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鳥船 |
を率先垂範する富越 |
道彦 |
(中央) 11:07 |
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▲ 鳥船(とりふね)とは、天孫降臨の際にニニギノミコト(瓊瓊杵尊)が乗られた船のことで、鳥船行事は、身体の邪気を発散させつつ心と霊魂(れいこん)を浄化統一する作法で、略して鳥船(鳥舟)という。その実際は櫓(ろ)で舟を漕ぐ動作が中心となる。
まず左足を踏み出して漕ぎ、引くときに「イーエッ」、押すときに「エーイッ」と声を出す。動きに合わせて和歌を一首。「朝夕に神の御前(みまえ)にみそぎして、すめらが御代(みよ)に仕えまつらむ(ん)」
次に右足を踏み出して漕ぎ、引くときに「エーイッ」、押すときに「ホッ」と声を出す。息が合ってきたところで、和歌を一首。「遠つ神固め修(おさ)めし大八州(おおやしま)、天地(あめつち)共にとは(わ)に栄えむ(ん)」
最後にまた左足を踏み出して漕ぎ、引くときに「エーイッ」、押すときに「サッ」と声を出す。息が合ってきたところで和歌を一首。「天津神(あまつかみ)、國津神(くにつかみ)たちみそなは(わ)せ、おもひ(い)たけびて我が為す業(わざ)を」。 |
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▲ 禊に入る準備運動の鳥船(とりふね)の動作の間や禊祓行事(みそぎはらえ・ぎょうじ)を通して、振魂(ふりたま)という動作を行う。鳥船同様、心と霊魂を浄化統一する作法である。
腹の前で玉子を抱くように両手を上下に重ね、胸から腹にかけて上下にゆっくりと振りながら「祓戸大神(はらえどのおおかみ)、祓戸大神、・・・」と何度も唱える。おにぎりを握るように行うとよいといわれている。何となく手の中が暖かく感じられるようになるという。 |
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▲ 一通り終わると、次は雄健(おたけび)行事。下っ腹に力を入れて雄叫(おたけ)びを上げる。叫ぶ言葉は「生魂(いくたま)」「足魂(たるたま)」「玉留魂(たまたまる・たま)」。 腰に手を当てて仁王立ちの姿勢をとり、前方に向けて大きく「いくーたまー!」と叫び、同じく「たるーたまー!」、腰を落として「たまたまるー」、上方に向かって「たまーっ!」と叫び、つま先立ちをする。 |
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天沼矛印 |
を結んで悪い部分を斬る |
雄詰 |
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▲ 次は雄詰(おころび)行事。凶事をもたらす禍津霊(まがつび)を断ち、大地の霊気を受ける作法である。名称からはその動作を想像できないが、二本の指で邪気を斬る動作をする。
足をやや開き、左手を腰に当て、天沼矛印(あめの・ぬぼこいん)(右手人差し指と中指とでつくる剣印(けんいん))を結び、額(ひたい)に当てる。国常立命(くにとこたちのみこと)と叫んだあと、自分の前に己の悪い部分があると想定し、それを斬る。
気合を入れて「エイッ!」と声をあげつつ右手を斜左方に斬り下ろし、右足を引いて両足を揃える。斬った後は斬り捨てではなく、救うために、「エイッ!」の気合と共に右手、右足を元に戻し、これを三度繰り返す。 |
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▼ 最後は氣吹(いぶき)行事という深呼吸法。息を吐きながら体の力を抜き、上体を前に傾けたあと、息を吸いつつ両手を開きながら上に伸ばし、上体を持ち上げてゆく。
空を仰ぎ見て一杯に空気を吸い込み、広げた両手を握手のように重ね合わせ、息を吐きながら上体を前に傾けつつ両手を静かに丹田(たんでん)(臍(へそ)下)まで下ろして力を抜く。 |
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▼ 禊ぎ集団は、海に入った後、鉢巻に挟んでいた大祓詞(おおはらえことば)を広げ、沖に向かって大声で斉唱した。 |
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だいかんや おきにむかいて おおはらえ |
The coldest season, water purification facing the sea. |
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大祓詞 |
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▼ 「大祓詞(おおはらえ・ことば)」は、祓戸大神(はらえどのおおかみ)たちによるリレーにより、人々の罪や汚れを地中深く駆逐して祓い去ることを八百万(やおよろず)の神々にお願いする祝詞(のりと)である。 |
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祓戸大神 |
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祓戸大神は、神道(しんとう)における祓(はらえ)を司る神々で、瀬織津比売(せおりつひめ)(罪・穢れを川から海へ流す)・速開都比売(はやあきつひめ)(海底で罪・穢れを飲み込む )・気吹戸主(いぶきどぬし)(根の国に息吹を放つ)・速佐須良比売(はやさすらひめ)(根の国に持ち込まれた罪・穢れをさすらって失う)の四柱の女神である。祓戸四神ともいい、現在の廃棄物処理と同様のコンセプトにより、我々の罪・穢れを地中深く放逐する有り難い神々である。 |
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この日は波が穏やかで、後ろの行者たちは殆ど褌も濡れないという状態で、やや物足りない大寒禊となった。 |
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昨年の大寒禊は、大時化だったため、沖に向かったものの危険を感じて退避し、今回と同じような渚線で祝詞斉唱が行われた。今年は、大事を取ってライフ・セーバーを4人も配置する安全対策が取られたが、波乗りもできずサーファーも来ない穏やかな海だったので、今回は、一旦、胸まで浸かって禊をしてから祝詞斉唱に移れば良かったと思われる。 |
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