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山車と神輿の順行が終わった後、付祭パレードに移った。最初は山口県萩市大名行列で、先導する旗手の幟旗(のぼりばた)には「毛利三十六萬石大名行列」と書かれていた。日比谷公園は長州藩毛利家の屋敷地があったところで、その縁で毛利の大名行列が参加したのだろうか。
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江戸時代の天下祭は、華麗な江戸型山車と共に曳物(ひきもの)と呼ばれた巨大なはりぼての人形や様々な踊り子が衣装や音曲に工夫をこらして行列に加わった。これらの曳物や踊りなどを総称して付祭(つけまつり)と呼ばれ、大変な人気を博したという。
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ビルの谷間の大名行列
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拡大写真(1200x800)236KB 【E-1
108mm/28-108mm F3.5 1/80秒 ISO800】
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萩の大名行列 |
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山口県萩市の大名行列は、享保
5 年(1720)萩藩五代藩主吉元が社殿を修理した際、11月15日をもって秋の祭礼日と定め、その日に「備え行列(そなえぎょうれつ
大名行列)」を奉納するよう平安古町(ひやこまち)ら4町に命じたのが起源で、吉元はこの時、行列のために手回り調度品、武具、衣装などを下げ渡したという。 |
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荻の大名行列は全国的にもめずらしい奉納行列で、なかでも平安古町はスタートした283年前から継続して実施しており、その歴史的・文化的価値は極めて高い。
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毎年11月第二土曜日・日曜日に開かれる「萩時代まつり」では、平安古町と平成7年(1995)に復活した古萩町(ふるはぎまち)の2組の大名行列が披露される。 |
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拡大写真(1200x900)204KB 【E-1
118mm/100-400mm F2.5 1/125秒 ISO800】
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平安古町による「平安古備組」の大名行列は、奴(やっこ)着の者約130人、武士姿の者約10人、それに御駕籠をあわせて約150人による行列が「イ〜サヨ〜シ」の掛け声とともに、伝統の足踏みである六方(ろっぽう)を踏みながら毛槍や鳥毛(とりげ)を投げ、次々に持ち手を交代しながら緩やかに沿道を練り歩くもので、往時の様子を彷彿とさせる。御駕籠には姫君に扮した女性が乗り、華やかさを添える。今回の出演者は88人とのこと。
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挟 箱
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拡大写真(1200x800)237KB 【E-1
34mm/28-108mm F3.5 1/60秒 ISO400】
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大名の衣装や身の回り品を格納した箱を挟箱(はさみばこ)といい、2人1組の挟箱持が行進する。重いので2人で一つの挟箱を運搬する。独特の六方を踏みながらの交代は、不思議な光景だ。行列は遅々として進まない。
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拡大写真(1200x800)242KB 【E-1
100mm/28-108mm F2.8 1/100秒 ISO800】
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挟箱持の男
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鳥毛とは、長槍の鞘(さや)などを鳥の羽毛で飾ったもの。毛槍や鳥毛には大小様々な形があり、見ていて楽しい。それらを投げ渡す情景は、大名行列ならではのものである。
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拡大写真(1200x870)246KB 【E-1
166mm/100-400mm F2.8 1/80秒 ISO800】
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先端の鞘(さや)に黒い鳥毛をつけた長州の細長い一本槍。この槍の舞いは有名で、幸運にも目の前で、長槍(ながやり)を勇ましく振り回す妙技を見ることができた。
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拡大写真(900x1200)247KB 【E-1
100mm/100-400mm F3.2 1/160秒 ISO800】
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長州一本槍の舞
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拡大写真(1024x768)137KB 【E-1
100mm/100-400mm F2.8 1/125秒 ISO800】
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奴の中でも派手な羽織をはおった一団。奴にも階級がある。それでも裸足に草鞋履きである。中央の1組の挟箱持は、挟箱をくっつけて歩いている。これもしきたりだという。後方に武士と御駕籠が見える。
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拡大写真(1200x900)258KB 【E-1
100mm/100-400mm F3.2 1/160秒 ISO800】
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身分の高い武士は白足袋に草履(ぞうり)をはいているが、奴は素足に草鞋(わらじ)履きである。江戸時代の身分制度の厳しさが分かる。奴役を担当している大勢の人は寒さを我慢しての演技で、その労をねぎらいたい。
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若い人が奴頭の衣装を着ている。子供の頃冬に飛ばした奴凧(やっこだこ)を思い出す。奴頭は白足袋に草鞋履きである。後には武士の集団が並ぶ。
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拡大写真(1024x670)165KB 【E-1
100mm/100-400mm F3.2 1/160秒 ISO800】
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毛利の武士たち |
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御駕籠を守る武士の一行は、毛利の家紋入り陣笠をかぶり、半裃(はんかみしも 半袴を用いた裃)の正装。腰には太刀一振りと扇子を差し、白足袋に草履をはいている。
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拡大写真(1024x768)123KB 【E-1
100mm/100-400mm F2.8 1/125秒 ISO800】
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御駕籠 |
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御駕籠には華やかな着物姿のお姫様が乗せられ、沿道の観衆に手を振り、愛きょうを振りまいていた。大役を演じたのは、千代田区が公募して18人のうちから選んだ杉森瞳ちゃんと前田樹里ちゃん。
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拡大写真(1024x768)123KB 【E-1
176mm/100-400mm F2.8 1/80秒 ISO800】
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平安古備組(ひやこ・そなえぐみ)による大名行列の特長は、草履取(ぞうりとり)が御駕籠の前で踊る草履舞にあるという。幸いにも私の面前で御駕籠が止まり、男の子が扮する奴が二足の草履を持って姫君にうやうやしく近づいていく様子を見ることができた。このパフォーマンスが舞いであるということは後で分かった。
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「萩時代まつり」では妙齢の女性が乗るため、草履は大人用である。今回の姫様は可愛い女の子となったが、子供用の小さな草履を用意する余裕はなかったようだ。 |
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拡大写真(1024x768)123KB 【E-1
100mm/100-400mm F2.8 1/125秒 ISO800】
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千代田区民踊「流し踊り」 |
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大名行列に続き、ピンクとブルーの着物を着て花笠をかぶった千代田区民謡連盟の女性陣による流し踊りが披露され、行列に華やかさを添えていた。最後にあおぞら銀行によるパレードがあり、閉幕した。
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拡大写真(1200x730)223KB 【E-1
28mm/28-108mm F4.5 1/80秒 ISO800】
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注:文中の表記は全て35mm換算によるもので、
「274mm/100-400mm」は50-200mmズームの137mmで撮影したという意味である。
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《 2003年11月23・24日
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OLYMPUS E-1
14-54mm
50-200mm EC-14
500万画素
1180枚 1340MB
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正午から薄暗くなるまで続いた江戸天下祭のお陰で、江戸時代に繰り広げられた絢爛豪華な歴史絵巻の様子を垣間見ることができた。 |
千代田区実行委員会の真摯な取り組みや5500人もの出演者の皆さんのご協力に心から感謝申し上げたい。 |
明治時代に順行が廃止になったとき、東京には100台を超える山車があったことを考えると、今回の天下祭の規模は非常に小さく、昔は如何に盛大な祭であったかがよく分かり、その凄さを実感する。 |
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★☆★彡 |
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明治維新以後、文明開化により舶来文化がもてはやされ、古い伝統文化が廃れていったことは、明治政府の大きな失政である。今は殆ど消えてしまったチンチン電車が東京に入ってくると、電線のために山車が通れず、江戸時代から何百年も続いてきた天下祭の順行は途絶え、殆どの山車が地方へ売り払われてしまった。
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そのお陰で、地方の祭文化が花開き、川越まつりをはじめ、全国に盛大な祭が催されるようになったことは非常に喜ばしいが、東京都民にとっては寂しい現実となっている。《
完 》 |
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▼ 平成16年(2004)11月10日(水)、武蔵野書院から「四00年目の江戸祭禮 その風景と情熱の人々」という長い題名の単行本が送られてきた。A4サイズ・120ページ全てがグラビア・カラー刷りという豪華な仕様の初版第一刷で、発行日は2004年11月13日となっている。 |
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この本には、神田倶楽部の田畑秀二会長の要請を受けて無償で提供した私の写真32枚が使われている。その中には1頁(A4)大のもの3枚と半頁(A5)大のもの5枚が含まれている。これまで多くの出版社の単行本や雑誌などに写真を提供してきたが、これほど大量の写真が大きく掲載されたことはなかったので、大感激である。 |
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「四00年目の江戸 |
祭禮 |
」の表紙・背表紙・裏表紙 |
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▲▼ 本誌は徳川家康が江戸幕府を開いてから400年の節目に当たる平成15年(2003)に催された「お江戸日本橋創架四〇〇年」「神田祭」「小舟町・大提灯」「江戸天下祭」の4つのイベントを一冊に凝縮した豪華保存本である。 |
大小280余りの写真が祭りの雰囲気を伝え、祭りに情熱を傾ける江戸ッ子たちが誌面を彩っている。扇国土交通大臣や石原東京都知事の姿もみえる。現存する江戸時代の山車人形はもとより、江戸時代の版画や明治・大正・昭和の古写真など、お祭りファン垂涎の貴重な資料が多数収録されている。 |
一区一番組「よ組」の組頭(鳶頭)の西出幸二さん(日本最後の纏まとい持ち)・作家の森まゆみさん・神田倶楽部会長の田畑秀二さんによる「江戸噺あれこれ」と題する対談は、山車の御仮屋建設の苦労話を中心に話題が多彩で、江戸ッ子気質(かたぎ)を知る上で貴重である。 参照:四00年目の江戸祭禮 |
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「撮影:和田義男」のキャプション入りで掲載された青梅市森下町の武内宿禰(A4サイズ) |
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拡大写真(1340x1024)256KB |
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