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■■■ 「500周年! |
西大寺会陽 |
」速報! ■■■ |
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▼ 平成22年(2010)2月20日(土)、岡山市東区の西大寺観音院で500周年の節目を迎えた「西大寺会陽はだかまつり」が開かれ、33,000人の観客と9,500人の裸が参加した。今年から飲酒による事故防止のため、全ての日程が2時間早められ、午後10時に投下された一対の宝木(しんぎ)を巡って激しい争奪戦が繰り広げられ、宝木仮受所(しんぎかりうけしょ)(西大寺商工会議所)での山主(やまぬし)(僧侶)の検分により二組の取主(とりぬし)が福男に認定された。2本の宝木は、各組20人ほどが西大寺バスターミナルに赴き、御福頂戴(ごふくちょうだい)の式典を経て100周年の節目を迎えた祝主(いわいぬし)の両備グループに引き継がれた。 |
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【凡例】 ▲:上の画像の説明文 ▼:下の画像の説明文 〈画像の左クリック〉:別窓に拡大写真を表示 |
450人が参加した少年はだか祭り出発式/西大寺市民会館 2010.2.20 15:46
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この記念すべきビッグイベントの全貌を写し撮るべく、祝主(いわいぬし)の両備グループにメールを送って密着取材を申し込んだところ、快くお受けいただき、「西大寺会陽奉賛会写真係」と表示された腕章を借り受け、全面的な支援を受けることができたため、前日から岡山に入り、2泊3日の密着取材を敢行し、OLYMPUS E-30により1,230万画素 2,130枚 5.2GBもの大量の画像を切り取ることができた。 「両備グループ」公式サイト |
褌一丁 |
で |
垢離取場 |
を駈け抜ける男児たち 16:01 |
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また、前日の実地踏査の際、幸運にもJR西大寺駅で20年間西大寺会陽を撮り続けておられる地元アマチュア写真家の中井三郎さんと知り合うことができ、翌日、撮影ポイントを案内して頂いた上に、宝木投下が近づいてから同行取材をさせて頂いた。 |
坪井全広住職による2本の |
宝筒 |
投下/5・6年生 16:31 |
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中井さんのお陰で、道に迷ったり大事なセレモニーに遅れるといったミスは一切無く、撮影計画の100%をこなすことができたことは、神仏のご加護ではないかと思われたほどである。読者の皆様にこの速報版を見て頂ければ、素晴らしい感動巨編が生まれることは間違いないと確信して頂けるに違いない。 |
1人で2本の宝筒を取って |
福男児 |
となった重松龍大君(12歳 太伯小6年生)/西大寺市民会館 16:56 |
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▲ 説明に入る前に、少年はだか祭りの写真が終わってしまったが、祭の詳細については、日程が2時間早まった以外は平成17年(2005)3月に発表した
天下の奇祭!西大寺会陽 と殆ど変わらないので、祭りの解説はそちらを参照願いたい。 |
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▲▼ 男性のはだかまつりに女性軍も貢献しようと、午後5時半と6時から踊り連 吉備人による演舞が披露されたあと、午後6時半と午後8時から会陽太鼓(えようだいこ)が打ち鳴らされた。 |
女性グループによる |
会陽太鼓 |
18:34 |
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▼ 午後7時から30分間ほど、吉井川(よしいがわ)の対岸から会陽冬花火が打ち上げられた。花火と同時に仁王門に林グループの一行が現れたので、密着取材した。アマチュア写真家の中井さんも裸になって林グループの地押(じおし)(くり込み)に参加しており、参拝ののち服に着替えて写真撮影に入った。林グループのスケジュールは中井さんに教えてもらったもので、その情報がなければ、この予定外の取材は実現できなかったので、大変有り難く思っている。 |
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林グループ(正式には「會陽 林グループ」)については、
天下の奇祭!西大寺会陽(宝木争奪) のページで紹介しており、これまで何度も取主となった有名な会陽グループで、リーダーの齋藤雅之さんとは、メールによる情報交換を行っている。 |
本堂 |
大床 |
に上がって観音様に祈願 19:05 |
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▼ 2時間前にくり込んだのは、遅くなると本堂大床(ほんどうおおゆか)が場所取りの裸で埋まり、観音様にお参り出来なくなるのと、混み合っていない時間帯なので、子供たちも安全にくり込めるという利点があるためである。争奪戦に参加するときに垢離(こり)を取るので、このときは垢離取場には入らずに引き上げていった。 |
通過するだけとなった |
四本柱 |
で記念撮影/林グループ 19:10 |
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▼ 林グループの取材と会陽冬花火とが重なったため、終盤近くになって吉井川の土手に上り、どうにか花火を撮影することができた。警備員に聞くと、境内からも見えるということだったが、ハワイのホテルのオーシャンビューと同じで、部分的に見えるということであって、美しい花火を鑑賞するには土手まで行く必要がある。 |
会陽のパンフレットに本堂や三重の塔の上に花火が写っている写真があるが、これは中井さんが西大寺商工会議所の2階から撮影したもので、一般客は撮影することができない。 |
吉井川 |
に映える |
会陽冬花火 |
19:27 |
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なないろの えようはなびや よしいがわ |
Yoshii River, Eyo Ritual fire works of various colors. |
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▼ 今回、両備グループの密着取材の支援をして頂いたのは、広報部長の山木慶子さんで、当日、午後5時ころ両備バス西大寺バスセンターで腕章を受け取り、両備グループの日程を伺った。午後7時半に会陽冬花火が終わったあと、バスセンターに行くと、駐車場の一角にある大きなバス整備工場にブルーシートを巡らした巨大な支度部屋の中で、職員たちが会陽褌を締め始めていたので、ここから密着取材が始まった。 |
広い工場内で褌を締める |
両備 |
グループの職員たち/西大寺バスセンター 19:55 |
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▲▼ 創立100周年を迎えた両備グループは、過去最高の400人が裸になった。普通は60〜80人程度、祝主となったときでも200人ほどだったので、今年の熱の入れようは尋常ではない。全員、支度部屋で着替えることはできないので、自宅で着替えてバスで乗り込むグループもあり、石油ストーブで暖房された支度部屋は、最後は巨大な荷物置場となった。 |
両備 |
グループ400人の先頭集団の出陣!/西大寺バスターミナル 20:39 |
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▲▼ 両備バスの西大寺バスターミナルの二階が御福頂戴(ごふくちょうだい)の式典会場に設定されている。二階から幹部らが見送るなか、400人という大集団の第一陣が「ワッショイ、ワッショイ!」の掛け声も勇ましく、仁王門を目指してスクラム行進を始めた。本堂大床(おおゆか)の宝木争奪戦を本押(ほんおし)といい、こちらは地押(じおし)と呼ばれる裸練りである。 |
両備 |
グループ400人の第一陣が鉢巻を外して仁王門を通過 20:58 |
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さいだいじ ごひゃくねんめの えようかな |
Saidaiji temple, Eyo Ritual of the five hundredth. |
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▼ 第一陣の先頭中央で率先垂範しながら陣頭指揮に当たっている人が小嶋光信・両備グループ代表の次男で、次代を担う松田敏之・両備ホールディングス(株)常務取締役である。西大寺から生まれた両備グループ100周年の節目に、双宝木(もろしんぎ)と呼ばれる2本の宝木の祝主として、400人の裸を率いて西大寺会陽に参加しており、企業裸(きぎょうはだか)のトップとして、とても頼もしく見えた。 |
両備第一陣 |
牛玉所権現 |
を参拝 21:06 |
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▼ 両備グループの地押の取材が終わり、いよいよ本押が近づいてきた。境内で中井さんと合流し、警察・消防の救護班が待機する後方にある石門の一段上がったところに撮影位置を定めた。そこから撮ったパノラマ写真が写真下である。本番30分前になってもまだ仁王門からくり込んで垢離取場に向かう企業裸が後を絶たなかった。 |
次々と |
地押し |
に繰り込む |
企業裸 |
たち 21:33 |
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パノラマ写真(3100X1400)586KB |
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▼ 午後10時、一端照明が落とされたあと、明かりが灯り、本堂外陣(げじん)の御福窓(ごふくまど)から坪井全広住職による宝木の投下が行われ、大床(おおゆか)での争奪戦が始まったが、投下する宝木が見えてしまったらしく、あっけなく決着がついてしまった。中井さんの説明では、普段なら渦が発生し、どこで揉み合っているかが分かるということだったが、今年は何も起こらないまま、アナウンスにより宝木が抜けたことが分かり、あっけない幕切れとなった。 |
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BGMは、写真撮影をしながらICレコーダーで音声を録音したものである。撮影係と録音係の1人2役なので、上手く採録できておらず、雑音が入って耳障りと思われるが、ご容赦願いたい。このBGMを聞きながら作品を見ると、はだかまつりの臨場感を得るには、音声も大事であることが良く分かる。カシャ、カシャという音はシャッター音で、激写している様子が記録されていて、これも一興であろう。 |
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ふんどしと たんかでかえる えようかな |
The Eyo Ritual, going home with a loincloth and a stretcher. |
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▲ 勝負は早かったが、宝木が投下されるまでの本押は凄いもので、宝木が抜けた後、大床に倒れて動けなくなった裸の救護作業が続けられた。私の目の前を運ばれてゆく負傷者が3〜4人ほどいたので、その様子をタイミング良く撮影できた。また、音声にも「担架担架!」などという声が入っており、生々しい救助活動の様子が採録されていた。救護を担当した日本赤十字社岡山県支部によると、20人が手当を受けたり病院に搬送されたりしたが、いずれも命に別条はなかったという。 |
3年連続 |
取主 |
となった寺坂グループ/西大寺商工会議所 23:01 |
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古屋野幹仁(38歳 倉敷市) |
加島谷祐司(30歳 東区西大寺) |
寺坂幸也(41歳 東区西大寺) |
敬称略 |
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▲▼ 中井さんと救護班のテントのそばから場外に抜け出し、宝木仮受所となっている西大寺商工会議所に行った。腕章がものをいい、直ぐに中に入ることができたので、最後の難関を無事に突破できたのが嬉しかった。 |
既に場所取りで頑張っている記者がいたので、トイレを済ました後、二列目に陣取ることが出来、山主による宝木の検分作業や取主たちの勇姿を写界を妨げられることなく完璧に撮影することができた。 |
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田坂大地(34歳 東区瀬戸町) |
飯田耕太郎(40歳 姫路市) |
岡田勲(66歳 東区竹原) |
敬称略 |
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ふくおとこ えようでみせる はつわらい |
Lucky men, showing their first smiles for the year at Eyo Ritual. |
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▼ 後は、それぞれ20人ほどのグループ二組と共に行動し、両備グループの「御福頂戴(ごふくちょうだい)」会場まで随伴した。途中で飯田さんから宝木の臭いをかがせてもらった。前日500円払って本堂の内部を拝観・取材した際に頂いた護符の香りとほぼ同じもので、ほのかで上品な御香が炊き込まれていた。拾った人が褌の中に隠しても分かるといわれたが、それほど強烈ではなかった。1時間以上経っているので、香りが飛んでしまっていたのかもしれない。 |
福男 |
たちによる |
宝木祝込み |
/福受式典(西大寺バスターミナル) 23:27 |
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▲▼ 40人の裸たちは、途中から馬を組み、両備バスターミナル二階の会場に乗り込み、間もなく福受式典(ふくうけしきてん)が始まった。宝木祝込みの儀式(取主が一升桝の米に宝木を突き立てる)、牛玉(ごおう)封じ(住職らが宝木を逗子に納める)、読経、祝主行燈の揮毫(祝主が御福頂戴と行燈に墨書する)、祝主挨拶、奉賛会代表挨拶、寺の世話人と消防への祝儀の伝達、来賓らの挨拶のあと祝宴となった。 |
坪井全広住職らによる |
牛玉封じ |
/福受式典(西大寺バスターミナル) 21:33 |
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拡大写真(2000X1500)438KB |
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西大寺会陽は、高野山真言宗金陵山西大寺の宗教行事であるため、このままでは地方公共団体などの支援が受けられないことから、岡山県商工会議所西大寺支所に置かれた西大寺会陽奉賛会が主催する「西大寺会陽はだかまつり」として催行されている。こうすることで、公共団体や市民団体の支援を受けることが可能となり、伝統文化の保存と地域振興の両面を持つ岡山市民の祭礼として発展を続けている。 |
祝主 |
小嶋光信両備グループ代表の挨拶 2010.2.21 00:01 |
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パノラマ写真(3000X1500)709KB |
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西大寺会陽は、現在、岡山県の重要無形民俗文化財に指定されているが、国の指定を受けていないのが不思議な程である。日本全国の祭礼を取材して思うことは、国が一元的に審査して仕分けしているのではなく、申請を待って審査するというシステムになっているらしく、何故これが指定され、これが入っていないのかといったアンバランスが見られる。地元民や教育委員会の熱意に左右される部分も大きいと思われるので、是非、国の指定を受ける努力を重ねて頂きたい。 |
曼荼羅 |
と |
双寳木 |
の前で挨拶する小嶋光信両備グループ代表 |
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岡山県では、西大寺会陽を筆頭に、かつては100箇所を超える会陽が行われていたが、現在では2月6日の金山寺会陽(岡山市北区)や2月13日の安養寺会陽(美作市)など、13箇所にまで激減している。その理由は、廃寺や喧嘩沙汰などのためというが、伝統文化が次々に消滅してゆくのはとても残念である。会陽は、裸で垢離を取るという日本国民に共通する正月行事であり、日本が世界に誇る裸褌文化として、これからも幾久しく存続して欲しいと思う。 |
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樽酒の鏡開きのあと、両備グループ100周年記念の一合升で乾杯し、祝宴に入ったのを最後に取材を終えた。最後までお世話頂いた山木さんに御礼を言って腕章をお返ししたところ、山木さんから記念の一合升と折り詰めを頂いた。 |
電車は23:41が最終だったので、バスセンターのタクシー乗り場からタクシーで岡山駅前のホテルに向かったが、ホテルに着いたときには三日目の午前1時頃になっていた。翌日体重を計ってみると1kg以上減っていたので、仕事以上にきついものがあったが、好きなことを好きなだけやり遂げた充実感があり、疲れは全く感じなかった。本日、速報版が完成したので、これから完成版の編集作業に入り、完璧な作品に仕上げる予定なので、どうか楽しみにお待ち願いたい。〈 完 〉 |
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