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猪鼻の甘酒こぼし |
埼玉県秩父市 猪鼻熊野神社 2013年7月28日(第四日曜日) 埼玉県無形民俗文化財 |
天平8年(736)以来今日まで約1300年にわたって継承されてきた「甘酒こぼし」。六尺褌一丁の氏子たちが前日から仕込んだ甘酒を掛け合い、五穀豊穣や無病息災を祈念する裸祭です。 |
現在、奥秩父の猪鼻地区では、過疎化高齢化が進み、かつて70軒あった村落が39軒にまで減少し、もはや地元の勢力だけでは祭の催行が難しくなっています。このため、平成24年(2012)から全国連・和田グループが加勢するようになりました。 |
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この1枚に3年分578枚の画像が納められていますので、MS-Windows対応パソコンのCDドライブに挿入すると、BGMが流れるなか、5秒毎に画像がディスプレー一杯に映し出されるスライドショーを楽しむことができます。上映時間は50分です。また、DVDの原画フォルダーには最大1,230万画素の原画を同梱していますので、最大A3サイズまでプリントできます。個人で楽しむ限りは、自由にプリントアウトして構いません。(1枚2000円
リピーター価格:1枚1500円)
日本の祭りCD・DVD写真集 |
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YouTube 猪鼻の甘酒こぼし |
↓画像をクリックすると平成23年(2011)のスライドショー動画がはじまります。 |
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はじめに |
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平成25年(2013)7月28日(第4日曜日)、埼玉県秩父市荒川白久(あらかわ・しろく)に鎮座する猪鼻熊野神社(いのはな・くまの・じんじゃ)で、「猪鼻の甘酒こぼし」(埼玉県無形民俗文化財)が開かれたので、昨年、一昨年に引き続き、甘酒こぼし保存会の後援を受けて密着取材した。 |
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熊野神社や祭の解説については、
猪鼻の甘酒こぼし に詳しいので参照して頂き、本作は、必要最小限度の説明に止めた。 |
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【凡例】
▲:上の画像の説明文 ▼:下の画像の説明文 ●:筆者の私見 〈画像の左クリック〉:別窓に拡大写真を表示 |
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和田グループの応援参加 |
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● 天平8年(736)以来今日まで約1300年にわたって「甘酒こぼし」を継承してきた奥秩父の猪鼻地区では、過疎化高齢化が進み、かつて70戸あった村落が39戸にまで減少し、もはや地元の氏子だけでは祭の催行が難しくなっている。
現在、荒川西小学校の児童は53人だが、この地区から通う子供はいない。 |
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伝統文化の絶滅危惧種とでもいうべき「甘酒こぼし」に加勢するため、平成24年(2012)、Wa☆Daフォトギャラリーに
募集広告
を掲載して全国から参加者を募ったところ、北海道、栃木、埼玉、東京、神奈川から13人の有志が集まり、和田グループとして参加した。 |
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● 平成25年(2013)も和田グループ2期として
募集広告
を掲載して全国から参加者を募っていたところ、甘酒こぼし保存会の浅香文男会長から、「参加者が多くなり、準備が大変なので、和田グループは5人程度にしてほしい」旨の依頼があり、急遽募集を中止。そのため、今年の和田グループは、北海道の伊藤さんが仕事で来られなくなったこともあり、埼玉・群馬・東京・神奈川の4人(新人2人)の参加となった。 |
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▲ 武蔵国(むさしのくに)奥秩父に位置する猪鼻熊野神社の南には、南西から北東に流れる深い渓谷があり、河岸段丘(かがんだんきゅう)を形成している。荒川(あらかわ)と名付けられたこの川は、やがて大河となって東京湾に注ぎ、太平洋に流入する。 |
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三峰口 |
駅に到着 2013.7.28 09:20 |
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7月28日(日)は、心配していた雨もあがり、夏祭には有り難い美しい晴天となった。JR拝島駅07:20発八高線普通電車に乗り、東飯能駅で西武池袋駅07:05発三峰口行き(先頭4輌)に乗り換え、09:17三峰口駅に到着。 |
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↓□「甘酒こぼし
」の案内 |
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和田グループ参加者2名と合流し、三峰口駅前から出ている三峰神社行きの路線バスには乗らず、途中の景色を楽しみながら、歩いて猪鼻熊野神社に向かった。 |
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猪鼻 |
熊野神社へのアクセス(バス5分・徒歩15分) |
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▲▼ 新緑の木々に包まれた荒川のV字渓谷を渡ると、車道の両側には、夏の花・ノウゼンカズラ(凌霄花)が咲いていた。つる性で他の木などにからまって高い位置で鮮やかな花を咲かせるのでよく目立つ。花の形がラッパに似ていることから、英語では「トランペット・フラワー」などと呼ばれる。 |
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夏の花ノウゼンカズラ(凌霄花)の咲く山里 09:39
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去年、一昨年と気が付かなかったが、荒川のV字渓谷に架かる白川橋と猪鼻熊野神社の間に、白壁土蔵の旧家があるのに気が付いた。日本の美しい原風景である。 |
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白壁土蔵のある旧家 09:41 |
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▲▼
荒川郵便局の手前に猪鼻熊野神社の参道入口があり、祭が行われることを示す大幟が立てられていた。「神徳溢四海」と墨書されており、「しんとくしかいにあふる」と読むのだろう。四海とは東西南北の海ということで、御神徳が全国に満ちあふれることをあらわしている。internetで検索したが、この熟語は見あたらなかった。 |
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▲▼ この参道を歩くのは、今年で三度目。ふるさと伝言板に夏祭りが開かれることを告げる熊野神社社務所のポスターが張り出され、赤地に白く「猪鼻 甘酒こぼし 保存会」と染め抜かれた幟が立てられている。これを目印に進むと、「甘酒こぼし」が行われる境内に着くように配置されている。 |
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上の沢放水路は、氏子たちのご奉仕によって綺麗に清掃され、清流を荒川に導いている。神仏混淆の文化を今に伝える地蔵尊が祀られている木漏れ日の参道が美しい。 |
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ばんりょくの さわのさんどう じぞうそん |
Myriad green leaves over the stream, stone statues of Jozo standing beside the approach to the shrine. |
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木漏れ日の参道 /上の沢放水路 09:45 |
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拡大写真(2400X2100)1.58MB |
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▲▼
左に曲がるU字型の参道をのぼると、右手に広場があり、熊野神社の境内に至る。広場で行われる夏祭の準備は既に終わっており、酒樽が置かれる広場の中央には、4本の笹竹に注連縄が張り巡らされた神籬(ひもろぎ)が設営されている。この日は、神々が降臨して神庭(かむにわ)となるこの広場で、1300年前から続く年に一度の夏祭が行われる。 |
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↑東 |
猪鼻区公会堂 |
神楽山牧洞院 |
甘酒かきこみ所 |
水槽 |
南→ |
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拡大写真(2600X1950)1.57MB |
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甘酒かきこみ所の朝 09:47 |
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神楽山牧洞院 |
甘酒かきこみ所 |
水槽 |
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パノラマ写真(3000X1200)1.04MB |
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▲▼
最初に行ったところは、一夜酒を造る甘酒かきこみ所。今年のかきこみ番は、荒井成、高野樹、横田晋、神岡治の4氏に甘酒造り世話役の渋谷益次さんの5人チーム。 |
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徹夜で醸造した自慢の一夜酒 /
甘酒かきこみ所 09:49
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▲▼
猪鼻熊野神社で醸造する甘酒は、20kgのお米から作ったお粥に10Kgの麦麹(むぎこうじ)を混ぜ合わせただけの素朴なもので、防腐剤などの添加物が一切無いヘルシーなアルコール飲料である。早速、蓋を開けて中を撮影させてもらった。去年、今年と出来栄えは上々で、甘い芳香がプーンと鼻をついた。 |
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麦麹が浮き上がった甘酒 |
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拡大写真(2400X1800)1.08MB |
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湯飲茶碗に取ってもらって、ご相伴にあずかった。
表面に浮き上がった麦の粒をよけながら黄色い液体をすすった。微妙な味で、まずくはないが、市販の甘酒のような甘くて美味しい飲み物とはいかない。 |
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世界大百科事典などに解説されている本物の一夜酒だが、昔の人はこれを美味いと思って味わったのだろうか。舌の肥えた現代人にとっては、神々のご加護のある、無病息災の薬と思えば良いのかも知れない。 |
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拝殿前に設置された秩父市教育委員会作成の説明パネルには、「麦と麹で甘酒を作り、」とあり、かつては、米は貴重であり、麦だけで甘酒を作っていたのかもしれない。現在も米麹ではなく麦麹が使われているのは、その名残なのだろうか。 |
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神札授與所の受付に行き、住所・氏名を記入し、御神酒料3000円を納めて参加登録を行い、直会参加章をもらった。参加章の交付は、去年から始まったもので、直会では、このバッジと引き替えにお弁当がもらえる。奥では、御札に住所・氏名を書く係と御神酒料納付者を半紙に書く人がいる。 |
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今年から参加者に傷害保険が掛けられるようになり、保険加入者の一覧表に住所氏名年齢を記入した。保険料は主催者側が負担しているので、参加者は無料。 |
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受付に御神酒料3000円を納めて参加登録 /
神札授與所 09:57
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神楽殿では、御神酒料納付者のはり紙が掲示される。早速、私の名前も張り出された。煙火や清酒などの奉納もある。御神酒料は3000円が相場だが、2000円や5000円の人もいる。 |
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御神酒料納付者の掲示 / 神楽殿 |
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▼ 参加者への交付品は5点で、全て猪鼻公会堂で配られる。六尺褌(白晒木綿布 250x34cm)・鉢巻・草鞋の3点が祭装束で、直会が終わり、更衣のときに一斉に配られる。御札の袋に入っている手拭いは持ち帰り用で、手拭いと鉢巻は同じもの。 |
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御札 |
手拭い |
六尺褌 |
鉢巻 |
草鞋(わらじ) |
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▲▼ 御札は、熊野神社祈祷神璽(くまのじんじゃきとうしんじ)で、「神璽」と「宮司之印」の朱印が押されている。商売繁盛・家内安全・無病息災の三種があり、受付のときに希望の種類を申告する。私はいつも家内安全の御札を頂く。 |
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▼ 写真下は、社務所西側に連なる猪鼻区の風景。盛夏とあって、緑の木々が鮮やかで、山の向こうに湧き上がる積乱雲は、まさに夏の象徴である。喧噪な蝉の鳴き声は、聞こえてこなかったので、少し遅れているのかも知れない。 |
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夏雲と緑が美しい山村「猪鼻区」 /
熊野神社社務所
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予定通り、午前10時から熊野神社拝殿で神事が始まった。いつも応援に来ている両神神社の鈴木正行宮司は、都合が悪くて来られず、今年は、熊野神社の井上哲雄宮司と井上骼j禰宜の親子二人の神職が神事を采配した。 |
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午前10時から始まった神事 / 熊野神社拝殿 10:08 |
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▲▼ 今年の神事には、秩父市役所荒川総合支所・浜中紀久夫支所長、地元出身の荒川郵便局・荒井局長、荒川西小学校・豊田武志校長の三人の来賓が出席し、お三方とも直会のあと褌を締めて裸祭に参加した。 |
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祭壇には、例年通り、山里の神饌(しんせん)(神々が召し上がる食物)の中に壺入りの甘酒が奉納されていた。井上宮司による祝詞奏上や玉串奉奠(たまぐしほうてん)のあと、君が代が斉唱され、厳かな雰囲気の神事だった。 |
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