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滝のそばの空き地に茣蓙(ござ)を敷き、着衣を脱いで白鉢巻と褌の裸形になり、いよいよ滝行に入る。女性は滝の下流に白キャンバス製のテントがあり、その中で滝行用の白衣に着替える。 |
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茣蓙 |
の上で裸になる行者たち 2008.9.6 15:45 |
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一行は、綾広の滝の右奥に祀られた祓戸乃大神(はらえどのおおかみ)に拝礼した後、準備運動に入った。最初に行うのが写真下の鳥船。鳥船とは神代(かみよ)の船のことで、古代日本人の海上における雄飛を忍ぶとともに、和船の櫓(ろ)漕ぎ運動を繰り返して心身を強化させる。 |
一段目は左足を斜めに踏み出し、親指を中にして両手を握り「イエーッ」と言いつつ突き出し、「エーイッ」と言いつつ両手を胸のあたりに引き寄せる。二段目は右足を斜め前に踏み出し、同様に「エイッ」「ホッ」と唱える。三段目は 再び左足を斜め前に踏み出し、同様に「エッ」「サッ」と唱える。 |
この間に和歌「朝夕に 神のみ前に禊ぎして すめらが御世(みよ)に 仕えまつらん」を三回唱える。本来は一番から三番まで歌詞があるが、覚えられないので一番を繰り返し唱える。一段から三段までを各1〜2分行うと、体が火照ってくる。 |
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鳥船に続いて雄健(おたけび)、雄詰(おころび)、氣(気)吹(いぶき)、を行ったあと、参加者全員が一人づつ交代しながら10秒ほど滝壺に入り、落差約10m、水温7〜8℃の綾広(あやひろ)の滝に打たれる身滌(みそそぎ)(禊)を3回繰り返す滝行が行われた。 |
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れいきみつ たいこのもりの たきみそぎ |
Full of sacred air, Waterfall purification in the ancient forest. |
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行を統括指揮する須崎直洋・祭事部長(防水型腕時計が目印) |
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手の平を上に向け、両手を広げて差し上げると同時に息を深く吸い、頭上で手を組み、組んだ手を静かに息を吐きながら丹田(たんでん)に向けて下げ、横隔膜を下げ一瞬息を止める。神気、大気を体内に吸いこみ、自己の体内を浄化し、自己の魂の鎮魂を図る。三度反復する。 |
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道彦(みちひこ)(指導者)の合図で「エーイィ!」の気合いとともに雄詰(おころび)を切って滝に入り、振魂(ふりたま)をしながら祓戸乃大神(はらえどのおおかみ)を何度も唱え、頭頂で滝を受ける。10秒後道彦の合図で、「エーイィ!」の気合いとともに雄詰(おころび)を切って滝から出る。綾広の滝は垂直ではなく、やや後方に傾斜しているため、頭頂で水を受けるためには若干後ろにもたれる感じになる。 |
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身滌(みそそぎ)の間、振魂を連続して行うことにより、神から霊威・御稜威(みいず)が降り注がれるが、自身の魂の力も奮い起こされる。振魂を行うことで心身と魂が調和し、気力が満ち溢れ、心を晴れやかにすることが出来る。 |
その要領は、掌(てのひら)に空間を作るように両手をあわせ、下腹部にかまえて手を上下に振動させる。このとき手首を使わず、手首、肘(ひじ)、肩を使って上下させる。 |
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高野山・真言宗 |
阿闍梨 |
の小林宗次郎さん(61歳) |
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マウスカーソルで画面のどこかをポイントするとカラーに変わります。
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びゃっこんの あじゃりのきはく たきみそぎ |
Ajari priest of white loincloth,
fired up in the waterfall purification. |
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マウスカーソルで画面のどこかをポイントするとカラーに変わります。
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雄健は、神の御名を叫ぶことで、鳥船により奮い起こした気力や霊力を更に高める修法。足を開き手を腰に当て上空に向けて「生魂・足魂・玉留魂(いくたま・たるたま・たまたまるたま)!」と大声で叫び、これを3回繰り返す。 |
生魂(いくたま)は高御産巣日神(たかみむすひのかみ)(創造・発展・完成の神)、足魂(たるたま)は足産巣日神(たるむすひのかみ)(不足を豊かに充実させる神)、玉留魂(たまたまるたま)は玉留魂神(たまとめむすひのかみ)(遊離した魂を再び静め、死者の魂を復帰させる神)のことである。 |
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あやひろの たきにうたるる ふどししゅう |
Men of fundhoshi loincloth purifying themselves beneath the Ayahiro Fall. |
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印と気合で災害や凶事を引き起こす禍津神(まがつかみ)、いわゆる悪霊や物の怪(もののけ)を調伏する修法。 |
左手を腰に当てたまま、右手は沼矛印(ぬぼこいん)(親指、薬指、小指を曲げ、人差し指、中指を伸ばす印)を結んで眉間のあたりに構え、「イエーィ」の気合もろとも右手を左斜め下に切り下ろす。これを三度反復する。 |
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雄詰 |
の |
沼矛印 |
を結ぶ羽場さん 16:30 |
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全員、身滌(みそそぎ)を3度行った後、鳥船、雄健、雄詰、気吹、拝礼を行い、一拍手にて「おめでとうごうざいます」と手締(てじめ)をして滝行を終える。茣蓙の上で身体を拭き、着替えた後、帰途につく。 |
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滝行のあと30分ほど山駆けして神社に戻り、神楽殿で練習の後、拝殿より一段高くなった御嶽大神に最も近い弊殿にのぼって全員が大祓詞(おおはらへのことば)を七回奏上しで大祓行法(おおはらい・ぎょうほう)を修めた。 |
大祓(おおはらえ)は、6月と12月の晦日(新暦では6月30日と12月31日)に行われる除災行事で、宮司の祝詞(のりと)に大祓詞(おおはらへのことば)が使われる。罪や穢れを除き去るための祓えの行事で、6月の大祓を夏越の祓(なごしのはらえ)、12月の大祓を年越の祓(としこしのはらえ)という。 |
大祓詞: 高天原(たかまらはら)に神留(かむづま)り挫(ま)す ・・・ (中略) ・・・ 罪と言ふ罪は在(あ)らじと 祓へ給ひ清め給ふ事を 天(あま)つ神 國つ神 八百萬神等共(やおよろづのかみたちとも)に 聞こし食(め)せと白(まを)す |
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大祓行法 |
/弊殿 18:10〜18:50 |
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宿に戻った一行は滝行で濡れた褌や白衣を宿の軒先に干し、全員が配膳の手伝いをして夕食の席に着いた。 |
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御師 |
の宿「秋山荘」に干された |
行者褌 |
19:15 |
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たきぎょうの しろふんどしや おしのやど |
A lodge for pilgrims, white fundoshi loincloths for waterfall purification. |
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一同正座し、一拝一拍手のあと、本居宣長が創った和歌「たなつもの百(もも)の木草(きぐさ)もあまてらす 日の大神のめぐみえてこそ」を唱え、「いただきます」で精進料理の夕食を取った。主食はお粥で、味噌汁とお粥はお代わりできる。 |
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夕食が終わり、後片づけの後、本日最後の修業であるメトロノームによる音霊鎮魂(おとだまちんこん)が行われた。 |
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要領の説明のあと、電気を消して暗闇の中でメトロノームの音を聞きながら自らの魂を身体から遊離させ、好きな場所に行かせる。そして、時間が来ると、遍歴していた魂を再び身体に復帰させるという至難の行法である。 |
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暗闇の中で魂を遊離させる修法 20:00〜20:30
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これで本日の修業は全て終了した。一息ついてから入浴したあと、お茶を飲みながら懇談したが、午後10時前には消灯して就寝した(女性は向かいの藤本荘に宿泊)。筆者は二階の別室に泊まったが、行者たちは大部屋である。かなりハードなスケジュールで、気分が高ぶっているためか、なかなか寝付けず、眠りも浅めだったので、修行が足らないことを痛感した。 |
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