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プロのカメラマンに負けじと、更に密着し、標準レンズのシャッターを切り続けた。よく見ると、寒さ厳しい中にも笑顔があり、余裕がある姿が見えた。テントの中から遠望していたのでは、とても見ることのできない光景である。 |
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濡褌の筒先たち |
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彼らは全身濡れ鼠になりながらも、はだか放水を愉しんでいた! 纏持と筒先との連携がとても素晴らしく、夢中でシャッターを切りながらも、ファインダーの中で躍動するこの光景が今年の初感動であることを実感した。 |
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放水を愉しむ男たち |
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気がつくと、放水の戦列に加わった纏持たちのお陰で、筒先は俄然賑やかになっており、正月の出初式にふさわしい華やいだ光景が現出し、暴風雨に晒されているという惨めな気持ちは吹っ飛んでいた。 |
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纏持の合流で賑やかになった筒先 |
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下の写真は、今回の出初式を激写した485枚756MBの写真の中のベストショットである。全体の構図や男たちの配置、そして彼らの表情は、ほぼ申し分なく、もう一度撮ろうと思っても絶対に撮れない偶然の一瞬である。 |
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纏舞で景気付けるはだか放水 |
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下の写真は、セカンドチョイス。金沢城菱櫓がぼんやりと見えているのが良く、5本の水柱が綺麗に揃っている。 |
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天まで届け、はだか放水! |
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放水止め! |
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午前10時44分過ぎ、一斉放水が終了し、次々に筒先から迸(ほとばし)る水柱が消えてゆき、ふたたび菱櫓がはっきりと姿をあらわした。撮影中はとても長く感ぜられたが、放水時間は予定通りの2分だった。 |
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放水止め! |
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この光景を切り取りたいために、わざわざ東京から一泊二日の旅をしてやってきたのだ。終わってみればあっけないが、想像通りの感動写真を切り取ることができたので、満足の2分間だった。 |
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消防車に引き揚げる団員たち |
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消防団員たちは、所属の消防車輌に戻り、寒風に晒されながら、濡れたままの身体を拭くこともなく、防寒衣を着込んでいた。無事大任を果たした安堵感からか、あちこちで笑顔がこぼれていた。 |
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無事終了して笑顔がこぼれる団員たち |
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中には寒さで肌が赤くなっている人もいる。平然としているように見えたが、矢張り大変な寒さだったに違いない。 |
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濡れたまま着る防寒衣 |
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拡大写真(1400x1200)266KB |
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放水に使った水源は、湿生園(しっせいえん)の池の水。去年から水中にビニール製の水槽を沈めて水を濾過しながら採水し、放水の水に微生物や泥などが入り込まないように配慮しているという。 |
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パノラマ写真(1600x700)335KB |
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午前10時58分、纏を載せた消防車輌が列をなして金沢城を後にした。約一時間のページェントはかくて閉幕した。 |
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纏を載せて引き揚げる消防車輌 |
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パノラマ写真(1570x800)323KB |
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 |
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OLYMPUS E-330 E-500
11-22mm
14-54mm 18-180mm
800万画素
1,050枚 1,740MB
撮影 2007年1月7日
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強風でポンチョが煽られて2台のカメラもずぶ濡れになるなど、未経験の厳しい取材だったが、オリンパスの愛機2台とも完全に作動し、タオルでカメラやレンズを拭きながらも感動の光景を多数切り取ることができた。 |
帰りの飛行機は荒天のため欠航となり、JRの金沢〜米原〜東京の代替ルートで何とか午後7時半頃帰宅できたのは幸いだった。 |
「分かっていながら行くんだから本当に物好きね。」とは家内の感想。 |
これほど過酷な取材は初めてで、これを乗り切った自信は大きく、思わぬ収穫となった。 |
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歴史浪漫溢れる城下町 |
北陸といえば、冬は雪に閉ざされた暗いイメージがつきまとうが、地元の人に聞くと、雪は少なく、寒さもそれほどでもないので、暮らしやすいところだという。事実、雪の兼六園を撮るために何度か足を運んだが、いつも雪が少なく、今回も猛烈に発達した今年一番の低気圧も雪を運んではくれなかった。兼六園の冬のライトアップも二月中旬ということで、金沢の本格的な雪は二月に入ってからのようである。 |
金沢は、江戸時代に最大の禄高を誇った加賀百万石の歴史浪漫あふれる城下町。その浪漫の一つが藩政時代から続いている加賀鳶の出初式である。このイベントを知ったのは、2年前に鐵砲洲稲荷神社の寒中水浴大会で金沢から毎年参加されている奥村次郎さんに撮影を勧められたからである。 |
早速ホームページで検索すると、確かに素晴らしく、是非取材したいと思ったのだが、去年は鐵砲洲の寒中水浴大会と日程が重なって行くことが出来なかった。今年も同じことかと半ば諦めかけていたところ、幸いにも今年は一週間ずれていたので、取材を決意し、早割チケットを手配して臨んだのである。 |
暴風雨に見舞われることは出発前から予想していたが、今年を逃すと、来年はどうなることか分からないので、荒天を承知して出掛けた結果、僅か2分間のはだか放水で感動を切り取ることができたのは幸いだった。 |
金沢城は、天守閣がないため、いまいちだと思っていたが、広大な城跡に濠や石垣などの遺構が残されており、大名庭園である兼六園と併せて、たっぷりと江戸時代の栄華を偲ぶことができる。戦災を免れたことから茶屋町や武家屋敷なども残っており、美しい町並みは多くの旅人たちの期待を裏切ることはない。 〈 完 〉 2007.1.13 |
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