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 感動写真集

2009年4月5日改訂

今 日

昨 日

秩父屋台ばやし

秩父祭登竜門の屋台かな   北舟

 

Chichibu Ritual, the wagon with carp swimming up the rapids.

2009年4月3日制作

豪華な金糸を使った「鯉の滝登り」

拡大写真(1600x1067)811KB

豪華な金糸を使った「鯉の滝登り」の後幕/上町屋台(埼玉県秩父市)

日本三大曳山祭

秩父夜祭'08

屋台組立

夜のカメラマン

 

序 章プロローグ

 
 冬の澄んだ夜空を焦がす花火を背景に、絢爛豪華な2基の笠鉾と4基の屋台がお旅所を目指す。囃子手(はやして)たちにとって一世一代の晴れ舞台となる団子坂(だんござか)は、熱気に溢れ、気合もろとも次々と引き上げられた6基の笠鉾・屋台が御旅所に勢揃いする様はまさに壮観である。
 毎年12月3日に行われる秩父夜祭は、約300年前の江戸時代に、年の瀬の秩父で一大商業イベントが行われるようになったのが始まりで、以前は「六日まち」と呼ばれたように、12月6日頃まで出店や銘仙の商いが行われていた。神事と共に民衆の「付け祭り」として発展し、現代に至っている。
 京都・高山と並び日本三大曳山祭と称される秩父夜祭は、秩父神社の妙見宮(みようけんぐう)の女神と武甲山(ぶこうさん)(蔵王権現)の男神(龍神)が年に1度逢引するというロマンスがあり、信仰と人々と笠鉾・屋台と花火が織り成す壮大な夜のページェント(野外劇)である。

フィナーレ「御旅所の笠鉾・屋台と花火」

フィナーレ「御旅所の笠鉾・屋台と花火」

拡大写真(1800x1600)721KB

註:花火は画像合成です。

 

上町囃子手かみまちはやして

激励会
 前年度の囃子手(はやして)が幹事を務める上町(かみまち)の囃子手激励会。平成20年(2008)11月8日(土)の夜、70名もの仲間が今年の囃子手を祝福するために集い、盛大な祝宴を開いた。晴れ舞台に立つ囃子手のために、多くの仲間が集まり、激励する慣行は、秩父の氏子たちの結束の堅さを示すものである。
上町の囃子手激励会 2008.11.8

上町の囃子手激励会 2008.11.8

 

心 棒しんぼう

 屋台の心棒は毎年1本ずつ上町(かみまち)職人により欅(けやき)の未乾燥材を使用して製作される。今回作成しているのは屋台前輪の車軸部分で、次年度は後輪部へと移る。長さ8尺7寸(2m64cm) x 太さ8寸2分(24.3cm)の寸法に仕上げられる。
心棒造り 11.27

心棒造り 11.27

 
太鼓ならし
 太鼓ならしと呼ばれる太鼓の練習会。太鼓係の大人と子供たちで秩父屋台囃子を1週間程前から練習する。祭り前の秩父の街は夜9時まで、各町の秩父屋台囃子が鳴り響く。
太鼓ならしの子供たち 11.27

太鼓ならしの子供たち 11.27

 

上町屋台かみまちやたい

の組立
 11月30日(月)、上町屋台収蔵庫で上町屋台の組立が行われた。普段は見ることができない反木(そりぎ)の間から臨む土台廻り。毎年少しづつ鉋(かんな)をかける木曽桧(きそひのき)の見付柱(みつけばしら)が立てられ、本来の屋台の姿になっていく。
屋台の

反木そりぎ

 11.30

屋台の反木 11.30

拡大写真(1400x900)177KB

 

上町屋台職人かみまちやたいしょくにん

 収蔵庫で上町屋台を組み立てる屋台職人。上町屋台職人会は総勢15名程の大工(だいく)職人により編成されており、普段は大工さんとして仕事に従事している。
屋台を組み立てる屋台職人

屋台を組み立てる屋台職人

 

鬼 板おにいた

 屋台は祭り終了後に解体して保管するため、組立時には込み栓や麻縄(あさなわ)を使用して固定する。秩父のシンボル・標高1,304mの武甲山(ぶこうさん)を背景に唐破風(からはふ)に鬼板が取り付けられる。屋根への出入りは画像手前の出入口から。
屋台の屋根に鬼板を取り付ける

屋台の屋根に鬼板を取り付ける

 

勾 欄こうらん

 土台廻りを組み、見付柱を立て、屋根廻りを完成させる。勾欄と呼ばれる手摺部分を大勢で支え、一気にホゾ穴(ほぞあな)へ差し込む。いつもながら、先人たちの技術と知恵に、尊敬と感謝の思いが生じる。

ホゾ穴ほぞあな

勾欄こうらん 差し込む

臍穴に勾欄を差し込む

 

曳き綱ひきづな

 勾欄を組み終わりと、屋台の構造部分がほぼ出来上がる。運行係「い組」の面々により、曳き綱を屋台に取り付ける。上町屋台の組立の日は、多くの祭り関係者が参加し、昼食も150食程用意される。

づな 取り付ける

曳き綱を取り付ける

 

後 幕うしろまく

 夕方に差し掛かり、完成間近の上町屋台。屋台内部の造作を完成させ、勾欄廻りを組み、後幕(うしろまく)を吊る。この後に唐獅子柄の赤い水引幕(みずひきまく)と下げ幕を取り付ける。

こい

の滝登り
 大きな軒(のき)の出が深い点が特長の上町屋台。もう一つの大きな特長でもある後幕(うしろまく)は、川島織物謹製の「鯉の滝登り」である。「流れの急な龍門という河を登りきった鯉は龍になる」という伝説から登竜門という言葉が生まれた。「登竜門」とは「竜門(という河)を登る」という意味なので、「天安門」のような門のことではない。
後幕うしろまく 取り付ける

後幕を取り付ける

  秩父祭登竜門の屋台かな  北舟 

ちちぶさい とうりゅうもんの やたいかな

Chichibu Ritual, the wagon with carp swimming up the rapids.

豪華な金糸を使った「鯉の滝登り」の後幕

豪華な金糸を使った「鯉の滝登り」の後幕

拡大写真(1600x1067)811KB

 

天井絵てんじょうえ

 下から見上げた上町屋台の天井絵。秩父夜祭においては屋台上で所作事(しょさごと)と呼ばれる日本舞踊が披露される。また上町(かみまち)・中町(なかまち)・本町(もとまち)・宮地(みやじ)が交代で4年に1度張り出し舞台を設け、歌舞伎芝居が上演される。
龍の

天井絵てんじょうえ

龍の天井絵

拡大写真(1800x1200)400KB

 

腰支輪こししりん

の「唐獅子」
 勾欄の下部にある支輪*(しりん)(腰支輪)には、「籠彫り」と呼ばれる見事な技を駆使した透かし彫りの「唐獅子」がある。高度な技術を要する匠の技である。各町会ごとに施されている彫刻が違うので、屋台の腰回りの彫刻を見比べるのも一興である。
*支輪(しりん)二本の平行材の空間を埋める化粧材

腰支輪の彫刻「唐獅子」

腰支輪の彫刻「唐獅子」

拡大写真(1400x933)335KB

 

唐破風からはふ

 絶妙な曲線が美しい唐破風。破風板*(はふいた)も各町会の屋台を見比べてみると、微妙にラインが違うのが良く分かる。上町屋台正面の鬼板**(おにいた)は「一弦琴の名手応婦人」。懸魚***(げぎょ)は「波に金龍」。
*破風板(はふいた):破風(屋根の妻側の三角部分)の屋根に添って取り付けられた雨の吹き込みを防ぐ板。
**鬼板(おにいた):社寺などの魔よけと装飾を兼ねた鬼瓦に相当するもの。
***懸魚(げぎょ):火伏せのまじないとして社寺の屋根の破風板部分に取り付けられた妻飾り。

曲線の美しい唐破風

曲線の美しい唐破風

拡大写真(1400x933)335KB

 

懸魚げぎょ

 上町屋台右側の妻に飾られている絶極彩色の懸魚(げぎょ)「鳳凰(ほうおう)」である。懸魚は元々社寺建築に用いられ、魚の字が示すように水に関係し、防火の願いが込められている。その下に見える「雲に鳳凰」の彫刻部は軒支輪(のきしりん)の飾りである

極彩色の懸魚「鳳凰」

極彩色の懸魚「鳳凰」

拡大写真(1400x930)412KB

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