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 旅紀行日本の祭り

2009年4月4日改訂

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秩父屋台ばやし

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2005年12月11日制作

朝一で出陣した中町屋台

朝一で出陣した中町屋台(秩父夜祭/埼玉県秩父市)

日本三大曳山祭

秩父夜祭

中町

秩父夜祭ちちぶよまつり
 2005年12月3日(土)、埼玉県秩父市に鎮座する秩父神社の例大祭である秩父夜祭に行った。今年は土曜日と重なり、天候にも恵まれて過去最高の315,000人の人出だった。
 JR青梅線・拝島駅から八高線・東飯能駅で西武秩父線に乗り換え、我が家から約2時間、8時20分には西武秩父駅に着いた。都心からだと西武池袋線・池袋駅から西武秩父駅行き特急が走っており、1時間20分で着く。  

 
 秩父盆地は埼玉県の最西端に位置し、その中央部を荒川が北流している。荒川の河岸段丘に発展してきた秩父市は、南北に細長い街である。その南に土地の人たちから秩父嶽(ちちぶだけ)と呼ばれる標高1,304mの武甲山(ぶこうさん)が聳え、秩父地方のシンボルとなっている。  

秩父夜祭マップ

秩父夜祭マップ

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日本三大曳山祭にほんさんだいひきやままつり
 秩父神社(妙見(みょうけん)様)の女神と武甲山(ぶこうさん)(蔵王権現)の男神が年に一度お旅所(秩父公園の亀の子石)で逢瀬(おうせ)を楽しむ祭りが秩父夜祭である。京都・祇園祭と飛騨・高山祭と並ぶ日本三大曳山祭の一つで、江戸時代の寛文年間(1661〜1672)には祭りが存在していたといわれ、300年余りの歴史がある。
 毎年12月3日には、豪華な下郷(したごう)・中近(なかちか)の2台の傘鉾(かさほこ)と、宮地(みやじ)・上町(かみまち)・中町(なかまち)・本町(もとまち)の4台の屋台(やたい)が昼夜にわたり秩父屋台囃子の太鼓のリズムにのって目抜き通りを巡行する。夜7時から始まる神幸祭(しんこうさい)では秩父神社から約1km離れたお旅所まで巡行してクライマックスを迎える。  

西武秩父駅前のオーロラビジョン

西武秩父駅前のオーロラビジョン

団子坂だんござか
 
 御旅所入口の団子坂では、豪快な秩父屋台囃子(ちちぶやたいばやし)のリズムに乗って 20ton もある笠鉾や屋台がきしみ音を上げながら1台ずつ引き上げられる。その間、数千発の花火が打ち上げられ、冬の夜空を彩る。  
   「秩父祭の屋台行事と神楽(かぐら)」は、国の重要無形民俗文化財に、動く陽明門とも形容される「秩父祭屋台」6台は、国の重要有形民俗文化財に指定されている。  

御旅所西方にある僅か15mの難所・団子坂

御旅所西方にある僅か15mの難所・団子坂

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架線が外される踏切

 御旅所は、秩父鉄道・お花畑駅の東にある秩父公園に設けられる。お花畑駅の南に隣接する踏切は、団子坂の入口に当たるため、屋台の通過にあわせて架線が外され、その間、電車は運休する。

傘鉾・屋台の通行時に架線が外される踏切

 

架線が外される踏切とお花畑駅

傘鉾・屋台の通行時に架線が外される踏切 架線が外される踏切とお花畑駅

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中町屋台なかまちやたい
 
 午前9時前、団子坂を下り、屋台が引き回される目抜き通りに入り、秩父神社に向かっていると、中町通りを行く中町屋台と出会った。男女とも同じ装束をまとった若衆たちが2本の引き綱を引き回しており、その中に6人の拍子木を持った長老たちが悠然と歩いていた。

朝一で出陣した中町屋台

朝一で出陣した中町屋台

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秩父屋台

 
   秩父の屋台は、江戸時代の享保年間(1716〜1736)といわれる創建以来、それぞれの屋台町において莫大な費用が投じられて幾度となく改修が行われ、長い年月を経て、より絢爛豪華なものへと変貌してきたという。  
 屋台の屋根には黒漆塗りに金色の金具を施し、破風(はふ)や欄間(らんま)などには精巧で艶やかな彫刻が施されている。屋台前部の舞台では屋台曳き踊りや張出(はりだし)舞台を増設して屋台芝居が披露される。襖(ふすま)で隔てた後方は楽屋(がくや)で、後幕(うしろまく)に囲まれて内部が見えないが、お囃子はこの中で行なわれる。
   一般に秩父屋台は高さ6.6m、正面幅4m、側面幅5.4mに及ぶ大きなもので、囃子手(はやして)、囃子連中、鳶職(とびしょく)など数十名が乗り込むため、祭礼当日の屋台の重量は 20ton にもなるといわれる。しかも組み立てには釘一本使われていないのは京都・祇園祭の山鉾と同じであり、その匠(たくみ)の技に感動する。

朝日を浴びて進む中町屋台

半纏の背中は○に「中」の字。向こう鉢巻の後ろは白地に赤字の「中若」。

朝日を浴びて進む中町屋台

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中町屋台なかまちやたい の特徴
 
   中町屋台は、秩父屋台の中では最大級で、日本の神話を題材とした大きな鬼板*1(おにいた)が屋根に取り付けられ、正面に登り勾欄*2(こうらん)を付けた新しい様式の屋台である。水引幕*3は、緋羅紗*4(ひらしゃ)に波と亀を刺繍(ししゅう)したもの。後幕は青地羅紗に巨大な鯛が踊る豪華な刺繍が施されている。  
  *1鬼板:破風に取り付けられる鬼瓦の代りに用いる木製の棟飾り。
*2勾欄:高欄のこと。宮殿・社寺・廊下・橋などの端の反りまがった欄干。
*3水引幕:劇場で舞台前面の上方や相撲で4本柱の上などに横に張る細長い幕。
*4緋羅紗:緋(深紅)の羅紗。羅紗は羊毛で地の厚く密な毛織物。室町末期頃から江戸時代を通じて南蛮船、後にオランダや中国の貿易船によって輸入され、陣羽織・火事羽織・袋物などに用いた。今は毛織物全般もいう。

露店の軒先をかすめて進む屋台

露店の軒先をかすめて進む屋台

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中町太鼓なかまちだいこ
 
 

 屋台の宮入(みやいり)と市中引き回しが終わった午後、中町会所そばのベスト電器前広場に屋台が展示され、太鼓の実演が行われた。大太鼓は豪快な音で士気を鼓舞するもので秩父屋台囃子の大きな特徴となっている。

 

  秩父路や腕に自慢の冬太鼓  北舟 

ちちぶじや うでにじまんの ふゆたいこ

Chichibu region, A taiko drum performed by a skillful guy in winter.

中町太鼓の実演 / ベスト電器前

中町太鼓の実演 / ベスト電器前

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