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 感動写真集

2010年2月11日改訂
♪本川・霜月・銀鏡・催馬楽神楽

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            神楽宿雲を降して大団円  北舟

2006年9月26日作成

紙吹雪の中を舞い踊るフィナーレ!

紙吹雪の中を舞い踊るフィナーレ!(高千穂の夜神楽/宮崎県西臼杵郡高千穂町)

国指定重要無形民俗文化財

高千穂の夜神楽

雲降

降臨

神庭 巡幸 地固 岩潜 地割 舞開 雲降 上平 明
三十番  

御 柴おんしば

 0858
 高千穂神社の祭神と氏神が柴に乗って神遊びをする舞。この「御柴」をもって願成就とされる。白面の神が十社大明神の三毛入野命(みけいれのみこと)であり、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)である。赤面の神が氏神で、逢初天神(あいぞめてんじん)の木花咲耶姫(このはなのさくやびめ)である。
 二神は神庭で一舞した後、外注連に出て千早(ちはや 舞の上衣)を脱ぎ、赤い襷(たすき)をかけて柴にまたがり、村人たちが二手に分かれて担ぎ、外注連を廻る。柴の上の二神は日の丸扇を広げ、荒神杖を高く掲げて舞う。

三十番 御柴 0858

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 その後二神は神庭(こうにわ)入り、赤い襷(たすき)を外し、千早(ちはや)を着用のうえ、柴の上で舞遊ぶ。この時点で、天井の蛍光灯が再び点灯され、神庭は光に包まれた。

柴の上の舞遊

柴の上の舞遊

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荒神と神主の問答


神主「荒神を 祀り納める 川の瀬に 白鳥立ちて よしとよばらる」
荒神「前川や 瀬にふす石に 苔はえて 通る世までも 代は栄える」
神主「西東(にしひがし) 北と南に倉を建て 中の泉は 誰に召すらん」
荒神「東西(ひがしにし) 南と北の倉なれば 中の泉を 受くる荒神」

日の丸扇を持つ高千穂神社の祭神(右)と氏神・逢初天神(左)

日の丸扇を持つ高千穂神社の祭神(右)と氏神・逢初天神(左)

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最後に御神面を外し、紙に御神酒を染み込ませ、御神面の口に含ませる。

御神面に御神酒

御神面に御神酒

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国宝・

三毛入野命みけいれのみこと

の神面
 舞が終わったときに、「御柴」で使用した高千穂神社の祭神・十社大明神の三毛入野命(瓊瓊杵尊)の神面は、高千穂神社が保管する国宝である旨の説明があった。
 神面を使用するときには、長老又は神官が拝礼の上取り降ろして舞手(まいて)に渡し、舞終わればまた神棚に祀られる。普段は高千穂神社に保管されている。

国宝・三毛入野命の神面

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三十一番  

繰 下くりおろし

 0946

 雲降(くもおろし)の用意。雲綱をとり、入鬼神(いれきじん)が外注連に向かって舞う。「繰下」「注連口」「雲降」は、最後の三番で、神々の一夜の宿を撤回し、神々をお送りして神楽奉納の成就を感謝する舞である。

神楽歌

○注連引けば ここも高天原よ立つ 集まり給え 天地の神

三十一番 繰下 0946

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三十二  

注連口しめくち

 0954

 みどりの糸に取り付けられている日月を外し、入鬼神が日月の鏡を持ち、世界を照らすように注連の前で舞う神送りの舞。神遊びを堪能した八百万(やおよろず)の神々は、みどりの糸を伝って外注連(そとじめ)から昇天する。

神楽歌

○ 舞おろす なかのや正面 舞おろす 今は正面 おさめます
○うれしさに われはここにて 舞ひ遊ぶ  妻戸もあけて 御簾(みす)もおろさず
○立ちかへり 立ち戻り 後ろの都の ふしぎさよ いわそそ川の 流れたへず

三十二番 注連口 0954

 途中から観客も舞に参加し、全員でみどりの糸を持って神楽歌を歌い、神々を送り出す。高千穂の夜神楽は「注連(しめ)に始まり注連に終わる」という。夜神楽三十三番は最後の注連の三番で大団円(フィナーレ)を迎える。

全員みどりの糸を持って合唱

全員みどりの糸を持って合唱

三十三  

雲 降くもおろし

 0958

紙吹雪が撒かれるなか、高天原を象徴する「雲」が静かに降ろされていく。見事な三十三番のフィナーレである。

三十三番 雲降 0958

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 色紙を細かく切った紙吹雪は、雪や恵みの雨を表している。地区によっては、純白の紙吹雪であったりする。演題が「注連口」「雲降」とも「繰下」のままになっているのは、めくり忘れのためで、ご愛敬。(^^

神楽歌

○八雲たつ 出雲八重垣 妻籠めに 八重つくるその 八重垣を の神楽歌を奉唱して、舞納める。

紙吹雪の中を舞い踊るフィナーレ!

紙吹雪の中を舞い踊るフィナーレ!

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  神楽宿雲を降して大団円 北舟 
 

A kagura lodge,
Happy ending
by putting down the clouds.

 
 

かぐらやど くもをおろして だいだんえん

 
 神庭(こうにわ)の中央に移動した太鼓の上に天蓋(てんがい)の「雲」が降ろされ、全員が神座(こうざ)に向かって拝礼。一年(ひととせ)に一度、山間(やまあい)で生きる高千穂の里人と神々との神遊びはこうして終わった。

神楽歌
以下は、どの番付けで歌われるのか不明だが
一般に用いられるものとして紹介されているもの。

○日向なる 高千穂峰の 御注連縄 永きをかけて 住める我がくに
○花は散る 紅葉は落ちる 鞍掛の 位はいつも 有明の月
○三日月は 何とて山端を 急ぐらん 山より奥は 住み家ではなし
○山は雪 水は氷と なり果てて とけるかたより 立つは白波
○注連ばしり うきはた雲の うきはえて うきしる水は 高千穂の水
○住吉の 岸うつ波に 苔はえて 松は見事に あらわれにけり
○高千穂の 天の香具山 榊葉を その日の注連に 掛けぬ日はなし
○榊とは いつの時日に 植えそめて 天の岩戸の 口と定めし
○高山を 通りて行けば 面白し いつも絶えせぬ 御神楽の音

神前に拝礼

神前に拝礼

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 最後に、無事に神楽が終了したこと、今年の実りに感謝し、来年の五穀豊穣を願い、人々の暮らしが健やかであるよう、高千穂神社の神官からお言葉があり、全ての行事は終了した。時刻は午前10時5分であった。

千穂神社神官の挨拶

千穂神社神官の挨拶

 このあと、奉仕者たちは氏神様を揚輿に乗せて鎮守の杜の逢初天神にお送りする。その途中で、畑や田圃の角に御幣を立て、虫除けや来年の五穀豊穣を祈念する。夜神楽が終わると、村里に本格的な冬が訪れ、里人たちは新年を迎える準備に入る。

夜神楽を楽しむ観客たち

夜神楽を楽しむ観客たち

 宮崎県は、海岸平野部こそ四季を通して南国らしい温暖な気候であるが、高千穂地域は、海抜1,000mを越す山々に囲まれた山間の僻地であり、冬季は一段と冷え込み、雪が降り積もる非常に厳しい自然環境にあり、高千穂町に隣接する五ヶ瀬村には日本最南端のスキー場がある。
 このような厳しい自然環境の中で、いや自然環境が厳しいからこそ、そこに住む人々が結束して集落を維持し、生き抜くための収穫感謝祭として、夜神楽は古来から伝承され、現在に至っている。

夜神楽の笛と太鼓

夜神楽の笛と太鼓

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 神楽三十三番を舞うには最低でも20人の奉仕者が必要とされるが、近年は過疎化による神楽伝承者の減少が深刻で、奉仕者を確保できない地区では、番数を減らしたり、他の地区の応援を得て神楽を実施しているという。
 幸い、下川登神楽では、小、中学生が立派に神楽を奉納しており、後継者の育成が順調にいっているように見えた。これからも伝統ある夜神楽が末永く保存継承されることを心から願いながら、神楽宿を後にした。                        

箱入りの国宝・三毛入野命御神面

箱入りの国宝・三毛入野命御神面

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謝 辞

 最後に、高千穂神社後藤俊彦宮司様はじめ、高千穂の夜神楽を支えておられる皆様方のご協力を得て、この作品が完結したことを心から御礼申し上げます。有り難うございました。
 電話取材:高千穂神社・後藤俊彦宮司、三田井地区神楽保存会長・熊谷誠氏、高千穂観光協会・コオロギ氏
 参考文献:神楽三十三番(鉱脈社)、宮崎の神楽(みやざき文庫)、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)   
        高千穂夜神楽(鉱脈社)、高千穂の夜神楽(高千穂町教育委員会)

 
プロフィール(2003年1月2日)
撮影・原作:上平 明 (かみひら あきら)

住居:宮崎県日南市(現北海道函館市)

趣味:パソコン(インターネット)、温泉巡り、スキー

 
 
 
 
あとがき
 
   夜神楽との出会いは、昨年のゴールデンウィークであった。シーズン以外でも観光客向けに三十三番のうち「手力男」「鈿女」「戸取」「御神体」の4番がダイジェスト版として高千穂神社の神楽殿で毎日公開されていることを知り、早速出かけて行った。初めての夜神楽であったが、すっかり虜になってしまい、冬の三十三番を必ず見に来ようと決心し、この度ようやく実現できた。  
   神楽には台詞は一切無いが、面の角度により表情が微妙に変化するなど、踊りと一体となって観客に語りかけるものがあり、本当に人を引きつける不思議な魅力がある。  
 神庭固めから実に19時間以上、神楽開始から15時間以上の長丁場であった。観客は多いときで約100人、真夜中近くに最も少なくなって約10人、神楽のクライマックスを迎える「柴引」の前後からまた増えて約50人ほどだった。土地の人によると観客の数はその時々によるというが、今回は程々の人数であった。
 見終えた後は、徹夜で疲れているはずなのに、心地よい興奮とすがすがしい気持ちで一杯になり、今シーズン中に他の地区のものを、そしてまた来年もぜひ来てみたいと思わずにはいられなかった。高千穂は天孫降臨の地に相応しく、そして夜神楽には、日本人の魂を揺さぶるものがあると強く感じた。

★☆★彡

 早く出かけていったおかげで写真を撮るには一番いい場所を確保できたが、50人以上の観客ともなると一旦座った場所を移動できず、決まったアングルからの撮影となった。夜中に観客が少なくなったときに、自由に動き回れたが、神庭を示す注連が舞手を遮るため、思ったような写真を撮るのは難しかった。
 観客の中には常連の方もおり、その方によると、最も伝統的な夜神楽であるといわれている地区の神楽宿では、客席はすし詰め状態となり、写真撮影自体が困難であるとのことだった。
 ここ宮崎県は、天孫降臨を始め神話や史跡が多く存在するところであり、時間が許す限り足を運んで写真を撮りたいと思っている。今回、Pentax istDS、シグマ18-125mm を使用し、600万画素 2,936枚、4,360MB を撮影した。 和田式撮影術の「下手な鉄砲方式」を実践中だが、一眼デジカメの楽しさと難しさを実感している。
編集後記
 この作品は、2006年2月に上平さんからお送り頂いていたものだが、余りにも巨大な作品であり、どのようにまとめて良いものか途方に暮れている内に今日を迎えてしまった。
 その間に大容量5ギガのレンタルサーバーに引っ越して、2ギガ(2,000MB)のスペースを確保し、「スイス夏の旅〈上巻〉〈下巻〉」「海上保安庁観閲式」「重陽の烏相撲」と大作を発表するに及んで、迷いが吹っ切れ、夜神楽三十三番をノーカットで発表することにし、ここに8頁大小120枚という感動巨編ができあがった。ともあれ、発表が遅れてしまったことは、弁解の余地がなく、上平さんはじめ読者の皆様に深くお詫びしたい。

★☆★彡

 上平さんの原稿は、一太郎ファイルにまとめられ、フォルダーに整理された画像とともにDVDに焼き込まれて郵送されてきた。私は、上平さんのシナリオに沿って、画像と原稿をいつものスタイル・シートに貼り付けて行くだけですんだ。
 A4・32頁もの原稿は読むだけでも大変だったが、19時間にわたる徹夜の取材を敢行された上平さんの労苦と忍耐力を考えると、楽なものである。編集が進むに連れて熱が入り、すっかり神楽の虜になってしまい、気がつけば三十三番が完結していた。
和田義男
 編集に当たってはinternetで資料を検索し、種々のホームページを巡り歩いたが、所々省略されている例が多く、神楽三十三番のフルバージョンを収録しているサイトは殆どなく、しかも、これほどの画像と解説を載せた作品は見あたらないので、この作品は、千穂の夜神楽の決定版であるといえる。
 発表後、上平さんは、千穂夜神楽の神楽歌の歌詞を調査され、その結果をお送り頂いたので、10月17日に神楽三十三番に使われた全ての神楽歌を追加した改訂版をアップし、他の追随を許さない作品が完成した。

スローライフの和風ミュージカル

 それにしても山深い寒村でこのような長時間にわたる文化芸能が花開いていたことに驚きを禁じ得ない。当時は今のようなマスメディア社会ではないために娯楽に不自由しており、それぞれの地域で農閑期の冬場に手作りの文化活動が発展したことは全国各地に例が見られるが、村の鎮守の優れた神職の指導と氏子たちの熱意があればこそ、国の重要無形民俗文化財に指定されるほどの素晴らしい文化に昇華したのだろう。
 素晴らしい作品をお送り頂いた上平さんに心からお礼申し上げると共に、日本の原点ともいえる天孫降臨と天岩戸の神話を見事に描いた和製ミュージカル「千穂神楽」のロマンと感動を読者の皆さんと共に分かち合えることを嬉しく思う。
 現代は映画も2時間が限界だといわれるせっかちな時代であるが、先人たちが培ってきたスローライフを今一度見直し、是非、本物の夜神楽をゆっくりと鑑賞したいと思う。  2006年9月26日  和田義男  〈 完 〉

降臨

神庭 巡幸 地固 岩潜 地割 舞開 雲降 上平 明
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