松明揃 【壱】 〜松明に灯油を注ぐ〜 2015.01.07
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午後9時、境内の明かりが一斉に消される。屋台の照明も全て落とされ、境内は闇に包まれる。一番鐘が三つ。鐘を合図に手々振の持つ松明を先頭に一番松明のタイマワシの一行が隊列を組んで現れ、本殿の前を通って大松明の前に到着。 |
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次いで二番鐘が五つ。今度は、二番松明以下のタイマワシたちが一番松明と同様に現れ、それぞれの大松明の前に占位する。その際、拝殿前で組の代表者たちが御神酒を頂く。このとき酒樽から酒を汲みあげた小さな青竹の柄杓を誇らしく背中に差す人もいる。 |
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六地区のタイマワシが揃うと、それぞれの手々振が手に持った松明の火を隠し、再び境内は闇に包まれ、「オイサ、オイサ」の掛け声が絶妙に響き渡る。
掛け声をかけるのは、鬼に負けないためだという。 |
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松明揃 【弐】 〜電灯全消灯〜 21:02
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大松明への点火は、本殿から鬼火を運んで行われる。二番鐘が五つ鳴り響くなか、本殿で御神灯(ごしんとう)から鬼火松明に移された鬼火は、古来より鬼火を司ってきた赤司家(あかしけ)の手で一番松明まで運ばれ、「オイサ、オイサ」の掛け声のなか、そのまま大松明に点火される。 |
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松明揃 【参】 〜鬼火あらわる!〜 21:20:46
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撮影:吉田好幸 |
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▼ 鬼火松明は、赤司家が1月3日に肥松(こえまつ)の根と藁で作る。長さ約1m、最大直径20cmほどの大きさで、油を多く含む肥松の根を束ね、二重に巻いた藁縄で12箇所を縛ったもの。閏年には13箇所を縛る。 |
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鬼夜保存会資料 |
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松明揃 【四】 〜二番松明に点火!〜 21:21:40
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撮影:吉田好幸 |
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一番松明の点火を合図に、各松明組の手々振(ててぶり)が一斉に火を着けると、六本の大松明が燃え上がり、闇夜が赤く染まった。 |
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松明揃 【五】 〜一斉点火!〜 21:21:43
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撮影:吉田好幸 |
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松明揃 【六】 〜燃え上がる炎!〜 21:21:58
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撮影:吉田好幸 |
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六本の大松明が一斉に燃え上がり、やがて紅蓮の炎が大きく輝き、闇を照らし始めると、神苑は昼間のように明るくなった。梵鐘が幾度となく打ち鳴らされ、「オイサ、オイサ」の掛け声が響き渡るなか、壮大な松明揃を讃えて場内の観客からどよめきと拍手喝采がおこった。臨場している全ての人の心が一点に集まる感動的な瞬間である。 |
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松明揃 【七】 〜拍手喝采!/ 観覧席〜 21:22:18
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松明揃 【八】 〜火の粉が頭上に降りそそぐ!〜 21:22:54
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撮影:吉田好幸 |
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大松明の火が杉の枯葉から本体の竹に燃え進むにつれ、竹がはぜてパチパチと音を上げながら火の粉が舞い散り、裸のタイマワシたちに降りかかる。昔から、この大松明の火の粉を浴びると、難を逃れ、無病息災が叶うといわれている。燃え盛る火のそばで、火傷(やけど)しないよう、樫の枝葉で火の粉を振り払う姿が見られた。 |
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松明揃 【九】 〜パチパチと火の粉が舞い上がる〜 21:23:21
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松明揃 【拾】
〜桟敷席に最も近い六番松明「奥小路」〜 21:23:24
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松明揃 【拾壱】
〜鬼夜保存会・金栗忠義会長とタイマワシたち/六番松明〜 21:23:27
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松明揃 【拾弐】 〜燃え盛る六本の大松明 / 観覧席〜 21:24:05
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松明揃 【拾参】 〜無発光撮影 1/2〜 21:24:29
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松明揃 【拾四】 〜無発光撮影 2/2〜 21:24:51
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松明揃 【拾五】 〜大松明に登る「縄切り」たち〜 21:25:56
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タイマワシたちは、火の状況を見ながら燃えやすいように松明を縛った縄を先端の方から順次切り離してゆく。この縄切りは、熱くて危険な作業だが、炎に映し出される鬼夜褌の若者たちは何とも凛々しく、男らしい。 |
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松明揃 【拾六】 〜縄を解いて燃えやすくする〜
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松明揃 【拾七】 〜大松明の上で万歳!〜 21:25:21
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撮影:吉田好幸 |
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松明揃 【拾八】 〜高く立ち上がる火柱!〜 21:26:34
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松明揃 【拾九】 〜縄を解いて燃えやすくする〜 21:27:28
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松明揃 【弐拾】
〜炎に対峙する〜 21:27:44
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松明揃 【弐拾壱】 〜大松明南側の観客たち〜 21:28:05
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松明揃 【弐拾弐】 〜大松明北側の観客たち〜 21:28:10
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はつはるの おおたいまつや ふどしそむ |
The huge torches of the New Year, turning the
fundoshi loincloth red. |
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松明揃 【弐拾参】 〜大松明を取り囲む大観衆/無発光撮影〜 21:29:03
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松明揃 【弐拾四】 〜炎に立ち向かう縄切り〜 21:30:56
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▼ 六本の大松明が燃え盛り、明るくなった境内の舞台で、鬼夜の起源を物語る鉾面神事が始まった。「吉山旧記よしやまきゅうき」(薬師寺縁起)によれば、1600年ほど前、この地方の農民を苦しめていた桜桃沈輪(ゆすらちんりん)という悪者を藤大臣(とうだいじん)玉垂命(たまたれのみこと)が退治した。そのとき沈輪は、沼に潜って姿を隠していたため、籐大臣は大松明をかざし、鉾を持ってさぐり、沼から出て来たところを討ち取ったという。
鉾面神事は、そのときの様子を再現したものである。 |
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桜桃沈輪を討伐後、この地方に様々な災危が起こったが、沈輪の霊を慰めることで、この災危を免れることができたことから、毎年、祭祀を催行するようになった。これが鬼夜の起源である。 |
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鉾面神事 【壱】 〜
鬼堂前の仮設舞台に赤鬼が登場〜 21:33:12
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鉾面神事には、昼間、鬼面尊神神事に登場した鬼面尊神の天狗面が使われる。
天狗は鬼を意味している。 |
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鬼夜保存会資料 |
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▼ 鉾持(ほこもち)らに付き添われて登場した天狗面をつけた二人が鉾面神事の主役で、赤司家(あかしけ)の二人が務める。手前(東側)の青鬼役が鬼面尊神神事で鬼面の入った漆塗りの箱を運び、種蒔神事(たねまきしんじ)で神前に玄米を撒いた赤司家の当主である。 |
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鉾面神事 【弐】 〜
神事の開始〜 21:33:58
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天狗面の二人が鉾紙(ほこがみ)の付いた鉾を持ち、拳(こぶし)を上下に重ねているのは、沼の深さを測っている所作である。 |
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鉾面神事 【参】 〜
赤鬼と青鬼が対峙〜 21:34:27
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鉾面神事 【四】 21:34:27
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最初に鉾持が鬼の持つ鉾を奪い取ると、「ほことった!」の声が上がる。沈輪から当時最高の武器であった鉾を奪い取ったことを表現したものであろう。鉾面神事は魔払いの神事で、神事に用いられた鉾紙(ほこがみ)は、安産・幸運の御札(おふだ)として珍重される。 |
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鉾面神事 【五】 〜「ほことった!」〜 21:35:34
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鉾面神事 【六】 〜鬼面神が再び対峙〜 21:36:16
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▼ 次に
鉾持は、頃合いを見計らって鬼面を奪い取り、「めんとった!」の声がかかる。一瞬の出来事だったために撮影が間に合わず、鬼夜保存会の写真を使わせて頂いた。この所作は、沈輪を見つけて捕らえたことを表現しているものと思われる。 |
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鉾面神事 【七】 〜
「めんとった!」〜
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鬼夜保存会資料 |
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続いて、鬼役の二人は鉢巻を締めた後、左手で真剣の鞘(さや)を持って居合い腰となり、右手で間合いを計りながら対峙(たいじ)し、徐々に詰め寄ったあと後退する。これを二度繰り返す。 |
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鉾面神事 【八】 〜
「めんとった!」のあと鉢巻を締めて居合い腰に対峙〜 21:37:26
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そして、両者一斉に抜刀する。使っているのは、紛れもない真剣で、拍手と共に「そらぬいだ!」の声がかかる。鉾面神事最大の見せ場で、沈輪を一刀両断に討ち取ったことを表現したものであろう。「そらぬいだ!」を合図に子供たちの鐘と太鼓の乱打がはじまり、祭は佳境を迎える。 |
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鉾面神事 【九】 〜「そらぬいだ!」〜 21:37:51
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江戸時代には、「そら抜いだア」の掛声と共に、自分の腰の刀を抜くと、どんな鈍刀も利刀になるという伝説があり、帯刀の参詣者は、皆、この時の掛け声に合わせて一斉に抜刀したので、時々怪我人が出たという。 |
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鉾面神事 【拾】 〜「そらぬいだ!」〜 21:37:55
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鉾面神事は、燃え盛る大松明の光を頼りに鬼堂前の仮設舞台で行われる野外劇で、舞台照明は一切ない。鬼夜では、行事のアナウンスは行われないので、大松明に酔いしれている大勢の観客が気づかないまま終わる。 |
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鉾面神事 【拾壱】 〜松明揃と鉾面神事〜 21:37:56
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