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▲▼ 川面流(かわづらりゅう)は、和歌を斉唱しながら行う鳥舟などの準備運動を行った後、水浴して禊を行い、終わったあとも鳥舟などの整理運動を行って完了する一連の水浴(禊)の様式を定めたものである。一般に、禊は寒い時期に行われるため、準備運動や整理運動を行って体を温め、禊を全うするための工夫が施されている。 |
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▲▼ 今回の夏の禊は、寒さの備えは殆ど必要ないが、大寒禊と同様、みっちりと行っていたのは、様式化された川面流を実践したためだろう。事情を知らない観客の一人は、禊の前後に同じ動作を延々と繰り返す様子をいぶかしそうに見守っていた。 |
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▼ 鳥船の動作の間や禊祓行事(みそぎはらえ・ぎょうじ)を通して、振魂(ふりたま)という動作を行う。これは鳥舟とともに心と霊魂を浄化統一する作法である。
腹の前で玉子を抱くように両手を上下に重ね、胸から腹にかけて上下にゆっくりと振りながら「祓戸大神(はらえどのおおかみ)、祓戸大神、・・・」と何度も唱える。 |
祓戸大神は、神道における祓(はらえ)を司る神々で、瀬織津比売(せおりつひめ)(罪・穢れを川から海へ流す)・速開都比売(はやあきつひめ)(海底で罪・穢れを飲み込む )・気吹戸主(いぶきどぬし)(根(底)の国に息吹を放つ)・速佐須良比売(はやさすらひめ)(根の国に持ち込まれた罪・穢れをさすらって失う)の四神である。 |
祓戸四神ともいい、現在の廃棄物処理と同様のコンセプトにより、我々の罪・穢れを地中深く放逐する有り難い神々で、水行中は祓戸大神を幾度と無く唱える。 |
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気合いの入る鳥舟
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ふんどしの なごしのはらえ くじゅうくり |
Kujyu-kuri, midsummer purification wearing loincloth. |
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▼ 今回、お父さんと共に男児が参加した。幼稚園児と思われ、最年少記録であろう。大寒禊は過酷な水行なので幼児の参加は難しいが、夏越の禊であれば問題なく、親子のスキンシップのためにも大いに推奨したい。子供用の褌は用意されていないので、次回は、是非お母さんに手縫いの褌を準備して頂きたい。可愛いお子さんの健やかな成長を祈念している。 |
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親子の鳥舟
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▼ 鳥舟行事を行っている行者たちの背後で太平洋に向かって一心に祈りを捧げている栗原宮司の姿があった。 |
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太平洋に向かって祈りを捧げる栗原宮司
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▲▼ 鳥船(とりふね)とは、天孫降臨の際にニニギノミコト(瓊瓊杵尊)が乗られた船のことで、鳥船行事は、身体の邪気を発散させつつ心と霊魂(れいこん)を浄化統一する作法で、略して鳥船(鳥舟)という。その実際は櫓(ろ)で舟を漕ぐ動作が中心となる。
まず左足を踏み出して漕ぎ、引くときに「イーエッ」、押すときに「エーイッ」と声を出す。動きに合わせて和歌を一首。「朝夕に神の御前(みまえ)にみそぎして、すめらが御代(みよ)に仕えまつらむ(ん)」
次に右足を踏み出して漕ぎ、引くときに「エーイッ」、押すときに「ホッ」と声を出す。息が合ってきたところで、和歌を一首。「天神(あまつかみ)、地祇等(くにつかみたち)みそなは(わ)せ、おもひ(い)たけりて吾が為す業(わざ)を」
最後に左足を踏み出して漕ぎ、引くときに「エーイッ」、押すときに「サッ」と声を出す。息が合ってきたところで和歌を一首。「遠神(とおつかみ)固め修(おさ)めし大八州(おおやしま)、天地(あめつち)共にとは(わ)に栄へむ(えん)」
。 |
ちなみに、鐵砲洲神社寒中水浴大会と比べると、和歌の順序が違っていて、第二首と第三首が入れ替わっている。一部歌の文言にも差があり、川面流の継承者によってバリエーションが見られるが、大局的には変わらない。 |
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▼ 鳥舟を一通り終えると、次は雄健(おたけび)行事。下っ腹に力を入れて大声で雄叫(おたけ)びを上げる。叫ぶ言葉は「生魂(いくたま)」「足魂(たるたま)」「玉留魂(たまたまる・たま)」。 腰に手を当てて仁王立ちの姿勢をとり、前方に向けて大きく「いくーたまー!」と叫び、同じく「たるーたまー!」、腰を落として「たまたまるー」、上方に向かって「たまーっ!」と叫び、つま先立ちをする。 |
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▲▼ 雄詰(おころび)行事は、凶事をもたらす禍津霊(まがつび)を断ち、大地の霊気を受ける作法である。名称からはその動作を想像できないが、二本の指で邪気を斬る動作をする。
足をやや開き、左手を腰に当て、天沼矛印(あめの・ぬぼこいん)(右手人差し指と中指とでつくる剣印(けんいん))を結び、額に当てる。国常立命(くにとこたちのみこと)と叫んだ後、自分の前に己の悪い部分があると想定し、それを斬る。 |
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▲▼ 気合を入れて「エイッ!」と声をあげつつ右手を斜左方に斬り下ろし、右足を引いて両足を揃える。斬った後は斬り捨てではなく、救うために、「エイッ!」の気合と共に右手、右足を元に戻し、これを三度繰り返す。 |
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▲▼ 最後は氣吹(いぶき)行事という深呼吸法である。息を吐きながら体の力を抜き、上体を前に傾けたあと、息を吸いつつ両手を開きながら上に伸ばし、上体を持ち上げてゆく。
空を仰ぎ見て一杯に空気を吸い込み、広げた両手を握手のように重ね合わせ、息を吐きながら上体を前に傾けつつ両手を静かに丹田(たんでん)(臍(へそ)下)まで下ろして力を抜く。 |
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