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▼ やがてサーフィン大会が中断されて浜には静寂が訪れた。全員が禊衣装に着替えて準備が完了したので、午前10時55分からテント小屋のそばの芝生の広場で開会式が行われた。去年の夏越の禊では女性参加者が6人いたが、今年は紅一点だったのが残念である。
左端のビデオカメラは、フジテレビの取材班のもの。 |
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梅雨空の下で開会式 2011.6.19 10:55
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開会宣言の後、玉前神社・栗原崇次(くりはら・たかつぐ)宮司の挨拶が行われた。挨拶の中で、宮司がこの日のために詠まれた和歌が披露された。 |
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玉前 |
神社・ |
栗原崇次 |
宮司の挨拶 |
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六月(みなつき)の九十九里(つくも)の浜に禊(みそぎ)して
そのおみすりのいと清(さ)やけきや
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【筆者の独断的解説】 この和歌では、九十九里浜(くじゅうくりはま)を「つくものはま」と表現。つくもは九十九で、次百(つぐもも)の約。「おみすり」とは「身を磨(す)る」ということで禊のこと。「いと清(さ)やけきや」は、「とても清々しいことだ」の意。 |
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白波寄する釣ヶ崎海岸と裸の行者たち |
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▲▼ 連日、梅雨空で、雨が続く関東地方だが、この日だけは、曇り空ながらも雨が止み、風も弱く、絶好の禊日和となった。去年の夏越禊も朝降っていた雨が止み、柔らかい光の中で禊を全うすることが出来たので、毎年、神のご加護があるのかも知れない。 |
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栗原宮司の挨拶を拝聴する禊行者たち |
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▼ 夏越禊を指導する道彦(みちひこ)は、今年の大寒禊以来二度目となる若さ溢れる富越脩(とみこし・おさむ)権禰宜(ごんねぎ)だった。後ろに見えるのは、大勢のアマチュア・カメラマン。 |
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今年の大寒禊と同じ |
道彦 |
の |
富越脩権禰宜 |
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砂浜まで褌ランニング! 11:00
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▲▼
サーフィン大会関係者がテントの中から注視するなか、裸の行者たちは、砂浜まで褌ランニングを披露した。彼らは、どのような思いでこの古色蒼然たる裸文化を見ているのだろうか。 |
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▲▼ 神々が降臨する依代(よりしろ)となる大幣(おおぬさ)(御幣ごへい)の周りに円陣を張り、全員、海に向かって拝礼した後、今年3月11日に発生した東日本大震災の犠牲者の冥福を祈って黙祷が行われた。 |
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神々の |
降臨 |
する |
大幣 |
に礼拝 11:03 |
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▲▼ 黙祷の後、
富越道彦の号令で、準備運動に当たる鳥船(とりふね)が行われた。その作法は、鐵砲洲寒中水浴で行われているものとほぼ同じなので、詳しく知りたい方は、寒中水浴の栞
を参照されたい。 |
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▲ 鳥船の動作の間や禊祓行事(みそぎはらえ・ぎょうじ)を通して、振魂(ふりたま)という動作を行う。これは鳥舟とともに心と霊魂を浄化統一する作法である。 |
腹の前で玉子を抱くように両手を上下に重ね、胸から腹にかけて上下にゆっくりと振りながら「祓戸大神(はらえどのおおかみ)、祓戸大神、・・・」と何度も唱える。 |
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祓戸大神は、神道における祓(はらえ)を司る神々で、瀬織津比売(せおりつひめ)(罪・穢れを川から海へ流す)・速開都比売(はやあきつひめ)(海底で罪・穢れを飲み込む )・気吹戸主(いぶきどぬし)(根(底)の国に息吹を放つ)・速佐須良比売(はやさすらひめ)(根の国に持ち込まれた罪・穢れをさすらって失う)の四神である。 |
祓戸四神ともいい、現在の廃棄物処理と同様のコンセプトにより、我々の罪・穢れを地中深く放逐する有り難い神々で、水行中は祓戸大神を幾度と無く唱える。 |
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↓道彦 |
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▲▼ 鳥船(とりふね)とは、天孫降臨の際にニニギノミコト(瓊瓊杵尊)が乗られた船のことで、鳥船行事は、身体の邪気を発散させつつ心と霊魂(れいこん)を浄化統一する作法で、略して鳥船(鳥舟)という。その実際は櫓(ろ)で舟を漕ぐ動作が中心となる。 |
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まず左足を踏み出して漕ぎ、引くときに「イーエッ」、押すときに「エーイッ」と声を出す。動きに合わせて和歌を一首。「朝夕に神の御前(みまえ)に禊(みそぎ)して 皇御代(すめらがみよ)に仕へ(つかえ)奉(まつ)らむ(ん)」
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次に右足を踏み出して漕ぎ、引くときに「エーイッ」、押すときに「ホッ」と声を出す。息が合ってきたところで、和歌を一首。「天神(あまつかみ)地祇等(くにつかみたち)見添(みそ)なは(わ)せ、思ひ(い)猛(たけ)りて吾が為す業(わざ)を」 |
最後に左足を踏み出して漕ぎ、引くときに「エーイッ」、押すときに「サッ」と声を出す。息が合ってきたところで和歌を一首。「遠津神(とおつかみ)固め修(おさ)めし大八州(おおやしま)、天地(あめつち)共に永遠(とわ)に栄へむ(えん)」
。 |
ちなみに、鐵砲洲神社寒中水浴大会と比べると、和歌の順序が違っていて、第二首と第三首が入れ替わっている。一部歌の文言にも差があり、川面流の継承者によってバリエーションが見られるが、大局的には変わらない。 |
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びゃっこんの とりふねうみの なつみそぎ |
Summer
ablution at sea, the Torifune practice naked with a white
loincloth. |
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▼
去年の夏禊と同様、神職がお子さんを連れて禊に参加されている。子供用の褌がないので、大人用のものをまとった姿はほほえましく、アマチュア・カメラマンに取り囲まれていた。まだ小さいので、父親の言うことを聞かず、無心に遊んでいる。 |
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後白河法皇の梁塵秘抄(りょうじんひしょう)にある「遊びをせんとや生(むま)れけむ、戯(たわぶ)れせんとや生(むま)れけん (人は遊んだり戯れたりするために生まれたのである)」を思い出した。 |
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▼ 雄詰(おころび)行事は、凶事をもたらす禍津霊(まがつび)を断ち、大地の霊気を受ける作法である。名称からはその動作を想像できないが、二本の指で邪気を斬る動作をする。 |
足をやや開き、左手を腰に当て、天沼矛印(あめの・ぬぼこいん)(右手人差し指と中指とでつくる剣印けんいん)を結び額に当てる。国常立命(くにとこたちのみこと)と叫んだ後、自分の前に己の悪い部分があると想定し、それを斬る。 |
気合を入れて「エイッ!」と声をあげつつ右手を斜左方に斬り下ろし、右足を引いて両足を揃える。斬った後は斬り捨てではなく、救うために、「エイッ!」の気合と共に右手、右足を元に戻し、これを三度繰り返す。 |
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禍津霊 |
を断ち、大地の霊気を受ける |
雄詰 |
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▼ 最後は氣吹(いぶき)行事という深呼吸法である。息を吐きながら体の力を抜き、上体を前に傾けたあと、息を吸いつつ両手を開きながら上に伸ばし、上体を持ち上げてゆく。 |
空を仰ぎ見て一杯に空気を吸い込み、広げた両手を握手のように重ね合わせ、息を吐きながら上体を前に傾けつつ両手を静かに丹田(たんでん)(臍へそ下)まで下ろして力を抜く。 |
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