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★★★  ようこそ 写真俳句の世界へ! ★★★

Wa☆Daフォトギャラリー  和田北舟の俳句  

2011年5月7日改訂

今 日

昨 日

縄文の里・桜川・朱・想い川

水の宮・和風BGM TAM Music Factory

拡大写真(1600x1000)225KB 波の間に浮きつ沈みつ夏祓   北舟

2001年7月16日制作

波の間に浮きつ沈みつ夏祓

 

江の島天王祭(八坂神社・神奈川県藤沢市)



 
 
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2006年8月25日(金)

アルプスの針峰黒き大雪渓  

Black steep peaks
of Alps,
The big valley
covered with snow.

あるぷすの しんぽうくろき だいせっけい

 ツアー5日目の7月11日(火)、朝食後、思い出を沢山携えてホテルを出発。MGBツェルマット駅で電気自動車からスーツケースを受け取り、電車でテッシュ駅まで移動して専用バスに乗車し、フランスのシャモニに向かった。
 午前11時半国境の検問所に着いたバスは、職員の手の合図でそのままフランスに入国。正午前シャモニに入り、バスの左側の窓からシャモニの針状の峰が林立する針峰群(しんほうぐん)と、その右側にエギーユ・デュ・ミディ(ミディ針峰)(3,842m)、そしてヨーロッパ・アルプス最高峰のモンブラン(4,807m)が見えた。
 シャモニは、フランス東部オート・サボア県の町で、正式名はシャモニ・モン・ブラン Chamonix Mont-Blanc 。フランス・アルプス、モン・ブラン山群北西麓のシャモニ谷に位置する。標高1,037m。人口9,300。

笠雲や夏の峰白きモンブラン 

A cap cloud,
The white peak
of summer Mont Blanc.

かさぐもや なつのねしろき もんぶらん

 ヨーロッパ・アルプスの最高峰、標高4,807mのモンブランはフランスとイタリアの国境にあり、フランス側が「白い山」と名付けたように白雪の美しい山容を呈しているのに対し、イタリア側は荒々しい岩稜と氷壁を形成している。
 モンブランのイタリア名はモンテ・ビアンコ Monte Bianco 。フランス側からの登頂は比較的容易だが、イタリア側はアルプスで最もスケールが大きい困難なルートばかりで、熟練者でなければ登れないという。

レマン湖の夏山宿す石の城

A rocky castle,
Lake Léman reflecting
the summer mountains.

れまんこの なつやまやどす いしのしろ

 ツアー6日目の7月12日(水)も晴天に恵まれ、幸運は続いた。最初にレマン湖畔のシオン城に行った。中世の名城シオンは、モントルー Montreux のそばにある。モントルーは丁度ジャズ・フェスティバルの最中だった。
 湖に浮かぶ要塞のように見えるシオン城は、9世紀にイタリアからアルプスを越えてやってくる東方商人たちに通行税や関税をかけるための関所として造られ、13世紀までに現在の形になったという。

片陰の仕掛時計や八百年

The clock tower with dolls
of one side shadow,
recording the passing moments
of eight hundred years.

かたかげの しかけどけいや はっぴゃくねん

 昼食にスイス料理のラクレットを食べた後、旧市街が世界遺産に指定されているベルン(540m)に行き、市内を観光した。ベルンは、現在はスイスの首都であるが、人口約13万人の小さな町である。
 チューリッヒ(37万人)、バーゼル(19万人)、ジュネーヴ(17万人)に次ぐ4番目の都市で、町の語源は熊。この街を1191年に創設したツェーリンゲン公が狩りの最初にしとめたのが熊(ベアレン)だったことから名付けられ、市の紋章にもなっている。
 メインストリートのど真ん中で1218年から時を刻み続けてきた時計塔は、ツィットグロッグの愛称を持つからくり時計である。かつてはここが町の西端で、この塔が西門だったという。
 正面より裏手に回って眺める方が良く、毎正時に尖塔の鐘突男がハンマーで鐘を打ち、人形が舞う。天動説時代の天文時計も健在で、興味深い。

童食ふ鬼の噴水電車道

A tram road,
A devil eating an enfant
on the fountain.

わらべくう おにのふんすい でんしゃみち

 市内には風変わりな彫刻が施された噴水が目につく。1354年にベルンに初めて病院を建てたアンナ・ザイラーを記念して設置されたもので、「バクパイプ吹きの噴水」「射撃手の噴水」「アンナ・ザイラーの噴水」「モーゼの噴水」など、全部で11個の噴水が目抜き通りに設けられ、 「世界で最も魅力的な交通障害物」といわれている。
 コルンハウス通りの「子供喰いの噴水(食人鬼噴水)」は時計塔のすぐそばにある。この奇妙な噴水は、かつてこの付近にあった危険な井戸に子供たちを近づけないようにするため、1544年に設置されたものという。

アイガーの朝焼の峰旅の宿

Hotels for travelers,
The morning glow
of the top of Eiger.

あいがーの あさやけのみね たびのやど

 ベルン見学後、ツアーバスはベルンの南方に広がる高地ベルナー・オーバーラント Berner Oberland (ベルン州高地)に入り、グリンデルワルト(1,034m)に到着。駅前のホテル・レギーナ Grand Hotel Regina 」に二泊してスイスが誇る世界自然遺産を観光した。
 ツアー7日目の7月13日(木)の朝、早起きして散歩に出た。 町の小高い丘から南を見ると、アルプス三大北壁のアイガー(3,970m)のモルゲンロート(朝焼け)が見られた。

眩しきはユングフラウの夏の峰

Dazzling
is the summer peak
of Jungfrau.

まぶしきは ゆんぐふらうの なつのみね

 スイスのベルナー・アルプス Berner Alpen の高峰ユングフラウは、標高4,158m。北東に連なるメンヒ Münch(4,099m)、アイガー(3970m)とともにベルナーオーバーラント(ベルナー州高地)の三名山である。雪原におおわれた山体の南東から、アルプス最大のアレッチ氷河が流下する。
 ユングフラウヨッホでスイスの誇る世界自然遺産の景観を楽しんだあとは、ユングフラウ鉄道でクライネ・シャイデック駅まで下り、ラウターブルンネン行きの電車に乗り換えて、ミューレンに行った。

谷底のふんどし村や滝の音

A sash-like village
on the bottom of a gorge,
A sound of a waterfall.

たにぞこの ふんどしむらや たきのおと

 車内でおにぎり弁当を食べながら車窓の素晴らしい景観に見とれていると、ヴェンゲン Wengen を通過して間もなく、電車は深い谷を下りはじめた。長さ300mもあるシュタウプバッハの滝 Staubbach-fäll が見え、ラウターブルンネンの村が谷底にあった。

雪渓に湧き立つ雲や天の村

A village high up
to the sky,
Clouds rising up
from the remaining snow.

せっけいに わきたつくもや てんのむら

 ラウターブルンネンからミューレン行きのケーブルカーは、ロープウェーへの切り替え工事中で利用できず、振替輸送のシャトルバスに乗ってステッチェルベルク(867m)という小さな村に行き、そこからロープウェーを二つ乗り継いで、ミューレンに行った。
 二つ目のロープウェーに乗り継いで、断崖の上空を平行に移動すると、谷底の村からは何も見えなかったベルナーアルプスの雄大な景観が眼前に迫り、天空の村・ミューレンに到着した。

アルプスの翡翠の湖や夏の色

A jade lake of Alps,
A summer color.

あるぷすの ひすいのうみや なつのいろ

 ツアー8日目の7月14日(金)も晴天に恵まれ、、朝食後、専用バスでインターラーケン・オスト駅(567m)に行き、そのそばの船着場からブリエンツ Brienz まで遊覧船のファーストクラスのデッキで1時間余りのブリエンツ湖クルーズを楽しんだ。
 ブリエンツは、スイス・ベルン州の人口約三千人の小さな村で、ブリエンツ湖の北岸、ロートホルン山(2,350m)の麓に位置し、ロートホルン山を登るブリエンツ・ロートホルン鉄道(BRB)の始発駅がある。
 ブリエンツでオモチャのような蒸気機関車(SL)に乗り、ロートホルン(2,245m)山頂まで約1時間の汽車の旅を楽しんだ。このアプト式登山鉄道は、未だ電化されておらず、1891年式か92年式の蒸気機関車又はディーゼル機関車が可愛らしい赤色の客車二両を後ろから押し上げ、平均時速約8kmでと登ってゆく。

夏雲やロートホルンの汽車の旅

Summer clouds,
A trip on a train
of Rothorn.

なつぐもや ろーとほるんの きしゃのたび

 我々のグループは、上りはSL、下りはディーゼル車に乗った。上りは機関車が後ろから客車を押して登るが、下りは機関車がバックしながら客車を引いて降りる。急勾配で馬力が少ないため、客車は2両しか連結されない。

水鳥の集ふルツェルン夏景色

Waterfowls
gathering Luzern
 of summer scene.

みずとりの つどうるつぇるん なつげしき

 ロートホルン山頂レストランで昼食を取り、下山した後、専用バスで最後の訪問地・ルツェルンに向かった。
 フィアヴァルトシュテッター湖北西岸、ロイス川 Reuss 流出部に発達したルツェルンは、中央スイスを代表する人口6万人の賑やかな町である。しかし、美しい旧市街は、車が閉め出され、静かで気品に溢れている。

ヨーデルの宴の続く夏の夜半

Yodel dinner show,
lasting
in the middle
 of summer night.

よーでるの うたげのつづく なつのよわ

 スイス最後の夜は、ルツェルン旧市街にある人気のレストラン「スタットケラー」で、チーズフォンデュなどのスイス料理を味わいながらフォルクローレ・ショーを楽しんだ。

「スイス夏の旅〈後編〉」 2006.7.11〜14

ひときわ尖った頂を見せるドリュ針峰(3,754m)/シャモニ

ひときわ尖った頂を見せるドリュ針峰(3,754m)/シャモニ

拡大写真(1700x1000)220KB

ヴェールを被ったモンブラン(4,807m)

ヴェールを被ったモンブラン(4,807m)

拡大写真(1600x1200)273KB 

モントルーとシオン城

モントルーとシオン城

拡大写真(1400x1050)367KB

800年もの間、時を刻んできた時計塔/ベルン

800年もの間、時を刻んできた時計塔/ベルン

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深く鋭い不気味なクレバス/ローヌ氷河

幼児を頭から食っている鬼の噴水/ベルン

拡大写真(1200x1400)404KB

アイガー北壁のモルゲンロートと名残の月

アイガー北壁のモルゲンロートと名残の月

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ユングフラウ(4,158m)の勇姿

ユングフラウ(4,158m)の勇姿

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深い谷底の村ラウターブルンネン

深い谷底の村ラウターブルンネン

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ハングライダーが飛び立つミューレン

ハングライダーが飛び立つミューレン

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ブリエンツ湖の館

ブリエンツ湖の館

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ロートホルン山頂付近の素晴らしい景観

ロートホルン山頂付近の素晴らしい景観

拡大写真(2000x915)337KB

花で飾られたカペル橋/ルツェルン

花で飾られたカペル橋/ルツェルン

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ヨーデルを歌うユングフラウ/ルツェルン

ヨーデルを歌うユングフラウ/ルツェルン

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2006年8月12日(土)

夏山やハイジの里の恵み雨  

Summer mountains,
A mercy rain at Haiji village.

なつやまや はいじのさとの めぐみあめ

 2006年7月7日(金)から7月16日(日)までの10日間、家内と二人で阪神航空(阪神電鉄航空営業部)のベストセラーツアー「ワンダフルスイス10日間」に参加し、スイスを旅した。ツアー参加者は28名。実質7日間のツアーは好天に恵まれ、1年で最も美しい夏のスイスの旅を満喫した。
 ツアー2日目、サンモリッツのピッツ・ネイル展望台では、添乗員の小川一明さんといっしょに耳を澄ましていると、ときおり 「パチパチ、ドドーン・・・」 と、遠くで花火を打ち上げているような音が微かに聞こえた。それが氷河の崩れる音と知って、感動した。

夏の山氷河崩るる音微か  

Summer mountains,
A faint sound
of collapsing of a glacier.

なつのやま ひょうがくずるる おとかすか

 ツアー3日目、ホテルからツアー・バスでレーティッシュ鉄道 Rhätische Bahn (RhB)サンモリッツ駅に行き、午前11時2分発の氷河特急ファーストクラスのパノラマ車両に乗り、アンデルマットまで5時間の鉄道の旅を楽しんだ。
 いずれもスイスを代表するリゾートとして知られる東のサンモリッツと西のツェルマットを結ぶ東西280kmの鉄道を7時間半で結ぶ氷河特急は、レーティッシュ鉄道 Rhätische Bahn (サンモリッツ〜ディセンティス)とマッターホルン・ゴッタルド鉄道 Matterhorn Gotthard Bahn (ディセンティス〜ツェルマット)の二つの私鉄の区間を走る。

山炎ゆるアルペンローゼの川向かふ

The mountain of alpine roses
burning crimson,
on the other side of the river.

やまもゆる アルペンローゼの かわむこう

 氷河特急は、7つの谷を越え、291の橋を渡り、91のトンネルを抜けて走る。標高差1,400mの山間を走るため、平均時速は34km/hで、世界で最も遅い特急といえる。万年雪をかぶった名峰やお花畑、緑あざやかな牧草地、山間の急流や渓谷など、スイス・アルプスの絶景が緩やかに車窓を流れて行く。

カウベルのやはらかき音夏山路

A mountain path in summer,
Gentle sounds of  cow bells.

かうべるの やわらかきおと なつやまじ

 氷河特急 グレイシャー・エクスプレス Glacier Express は、オリエント・エクスプレス Orient Express がオリエント急行と呼ばれるように、かつては氷河急行と呼ばれていたが、いつの間にか氷河特急と呼ばれるようになった。
 氷河特急は、新フルカトンネルが開通してからはトンネルを通るようになったため、車窓からローヌ氷河を見ることができなくなってしまったので、我々はアンデルマット駅(1,433m)で下車し、待機していたツアーバスに乗って、フルカ峠を越え、ローヌ氷河に向かった。

夏の山クレバス青き大氷河

Summer mountains,
The blue crevasses
of the enormous glacier.

なつのやま くればすあおき だいひょうが

 ローヌ氷河は、フルカ峠(2,431m)とグリムゼル峠(2,165m)に挟まれた谷に流れる氷河で、古くから観光名所として知られる。ここから解け出た水はレマン湖を経由してフランスに流れて行き、やがて大河・ローヌ川となる。
 夏になると氷河を覆う雪が解け、薄黒く汚れた氷河の地肌が露出する。所々に鋭利な刃物で切り裂いたようなクレバスが見え、その奥が不気味に青白く光っている。

朝焼くるマッターホルンを見上げをり

I'm looking up
the morning glow
of Matterhorn.

あさやくる マッターホルンを みあげおり

 ローヌ氷河の見学後、ツェルマットに到着。マッターホルンが見えるホテルで二泊した。
 ツアー4日目の7月10日(月)、朝早く起きると、部屋のベランダから雲一つない快晴の空をバックに、マッターホルンのモルゲンロート(朝焼け)が見えた。翌日もモルゲンロートを観察することができたので、ラッキーだった。

 午前8時10分、MGBツェルマット駅前のゴルナーグラート鉄道・ツェルマット駅前に集合し、電車は、8時45分頃ツェルマットを出発。直ぐに登りはじめ、右側の車窓にツェルマットの美しい風景が現れた。村の中心となる教会のとんがり帽子の時計台や、緑の丘の上に立つ白い十字架が印象的だった。

アルプスや緑樹の丘の白十字

Alps,
The white cross
on the hill of green trees.

あるぷすや りょくじゅのおかの しろじゅうじ

 GGB ツェルマット駅から標高3,089mの終点ゴルナーグラート駅までの所要時間は約45分。ツアー一行は、一点の片雲もない絶好のコンディションに感動しながら電車を降りた。
 スイスでお勧めナンバーワンの展望台といわれるゴルナーグラート。マッターホルンだけでなく、モンテ・ローザやゴルナーグラート氷河などが眼前に迫り、360度に渡って展開するスイス・アルプスの雄大な景観は圧巻である。

群青の天に突き立つ夏の山

The summer mountain
standing sharply
up to the deep blue sky.

ぐんじょうの てんにつきたつ なつのやま

 マッターホルンをゴルナーグラートから見ると、東壁を見上げるかたちとなり、ツェルマットから北壁を見上げるかたちと比べると、かなり違った山容である。北壁はヘルンリ稜の右に僅かに見えるが、垂直に近い絶壁が行く手を阻む様子が良く分かる。
 イギリス人エドワード・ウィンパー(25歳)は、7人のパーティを組み、1865年(慶応元年)7月13日ツェルマットを出発、尾根に一泊後、翌14日ヘルンリ稜から登坂し、昼過ぎにマッターホルンの初登頂に成功した。不運にも下山途中の転落事故で4人の命が失われたが、ウィンパーと2名のガイドは無事に生還した。

雪渓の連山空を深うする

The mountain ranges
with snow valleys,
deepening the sky.

せっけいの れんざんそらを ふこうする

 GGB ゴルナーグラート駅から下りの電車に乗り、ローテンボーデン Rotenboden で下車して、リッフェルベルク Riffelberg までの一区間を1時間半かけて歩くトレッキングを楽しんだ。

アルプスの岩山宿す夏の湖

The rocky mountain
reflected in the summer lake
of Alps.

あるぷすの いわやまやどす なつのうみ

 この区間のトレイル(山道)は、初心者でも安全に歩けるので、お勧めコースである。緩やかな下り道を進むと、間もなくリッフェルゼー湖 Riffelse に至る。この小さな湖水は、逆さマッターホルンで知られる。湖面に逆三角形の影を落とすマッターホルンの姿は素晴らしく、筆舌に尽くしがたい。

夏山路エーデルワイスの綿毛かな

The path
on the summer mountain,
The fuzz
on a edelweiss.

なつやまじ えーでるわいすの わたげかな

 アルペンローゼとエンツィアンと共にアルプス三大名花の一つに数えられるエーデルワイスは、スイスの国花である。でも自生しているのを見るのは困難なほど減少している。
 トレッキングを終えた後、電車に乗ってツェルマットに戻り、昼食後、村の中を散策した。マッターホルンの登山基地として発展してきたツェルマット は、スイス・アルプスの谷間を北流するマッターフィスパ川 Matter Vispa に沿って開けた標高1,620m、人口3,700人ほどの細長い村である。

ピッケルや墓より見上ぐ夏の山

An ice ax,
Looking up
the summer mountains
from the grave.

ぴっけるや はかよりみあぐ なつのやま

 ツェルマットの教会北側の道路を川の方に下ると、裏手の墓地にマッターホルンなどスイス・アルプスで命を失ったクライマーたちの墓や慰霊碑がある。これまでにマッターホルンを目指した500人もの命が失われており、ピッケルなどをあしらった登山愛好者らしい墓が残されている。

夏真昼村道渡る山羊の群

Midday summer,
A pack of goats
crossing
the village road.

なつまひる そんどうわたる やぎのむれ

 ツェルマットの目抜き通りで、アイベックス Ibex の一種でシュヴァルツハルスと呼ばれる雄山羊(おすやぎ)を追う牧童たちに遭遇した。体毛が胴体の真ん中で白と黒に分かれており、ヴァリアス州でしか見られないという。

風涼し鼠返の小屋の径

Refreshing winds,
An alley of sheds
with rat guards.

なつまひる そんどうわたる やぎのむれ

 墓地の北方に古い穀物小屋が残っている路地がある。小屋の床下に鼠が上がれないように石の円盤でできた鼠返しが取り付けられている。
 調べてみると、日本でも熊本県八代市で発掘された鼠返しがある。高床式倉庫の床を支える柱の根元に石の円盤を取り付けたもので、ツェルマットのものとよく似ている。日本の方はやや楕円形で、円盤の中心に柱を通すための正方形のほぞ穴があけられている。 参考:日本で出土した鼠返し 

「スイス夏の旅〈前編〉」 2006.7.8〜10

アルプスの冷水が流れるハイジの泉/マイエンフェルト

アルプスの冷水が流れるハイジの泉

拡大写真(1400x1050)337KB

ピッツ・ネイル展望台で氷河の崩れる音を聞く

ピッツ・ネイル展望台で氷河の崩れる音を聞く

パノラマ写真(3000x975)410KB

山を赤く染めるアルペンローゼの群生

山を赤く染めるアルペンローゼの群生

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カウベルをつけた牛

カウベルをつけた牛

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深く鋭い不気味なクレバス/ローヌ氷河

深く鋭い不気味なクレバス

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マッターホルンのモルゲンロート/ツェルマット

マッターホルンのモルゲンロート(ツェルマット)

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マッターホルンの登山基地ツェルマット

マッターホルンの登山基地ツェルマット

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ゴルナーグラートから見たマッターホルンの素顔

ゴルナーグラートから見たマッターホルンの素顔

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スイス・アルプスのトレイル(山道)

スイス・アルプスのトレイル(山道)

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岸辺から見た逆さマッターホルン/リッフェルゼー湖

岸辺から見た逆さマッターホルン

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エーデルワイス

エーデルワイス(撮影:南光 優)

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撮影:南光 優

ピッケルを背負ったキリストとエーデルワイス

ピッケルを背負ったキリストとエーデルワイス

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山羊を追う牧童たち

山羊を追う牧童たち

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ねずみ返しの穀物小屋

ねずみ返しの穀物小屋

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2006年7月3日(月)

金龍や蓮珠の舞の早春賦  

A golden dragon,
The dance for a lotus charm
is a poem of early spring.

きんりゅうや れんじゅのまいの そうしゅんふ

 2006年3月18日(土)、浅草寺境内において金龍の舞が奉演された。この舞は、昭和33年(1958)10月、観音堂の落慶を祝して浅草観音慶賛会が後世に伝える記念行事として創始したもの。
 隅田川で漁をしていた兄弟の網に黄金の観音像がかかり、村長(むらおさ)の家に安置したところ、金の鱗をつけた龍が天から舞い降りてきたという伝説にちなむものである。隅田川に観音像が現れた3月18日の示現会と10月18日の菊供養に奉納される。

仲見世に慈燈一列夜半の春  

Middle of the spring night,
A line of mercy lanterns
at Nakamise.

なかみせに じとういちれつ よわのはる

 3月18日(土)の夜、淺草神社の本社神輿を淺草寺観音堂(本堂)外陣(げじん)に奉安する堂上げが行われた。
 雷門から宝蔵門に至る仲見世の参道中央には「淺草寺御縁日」と書かれた灯籠が一直線に並べられており、慈灯の道と呼ばれる。
 本社神輿の一夜の奉安を慶祝するものである。蝋燭の仄かな火が縁日の雰囲気を醸し出しており、夜遅くまで参拝客の姿が絶えなかった。

白鷺の撒餌に遊ぶ桜花

Cherry blossoms,
Snowy herons enjoying
the scattered hood.

しらさぎの まきえにあそぶ さくらばな

 浅草っ子にとってもう一つの誇りは「白鷺の舞」である。この舞は慶安5年(1652)の「淺草寺慶安縁起絵巻」に描かれた祭礼行列の中にあった「鷺舞」を浅草観光連盟が明治100年を記念して昭和43年(1968)に復元したものである。
 鷺舞の神事は、京都・八坂神社の祇園祭が起源で、1100年以上の昔から悪疫(あくえき)退散のために奉演されていた。
 淺草寺の「白鷺の舞」は、京都の正統を基本に、慶安縁起絵巻の遷座供養の祭礼行列に描かれた鷺舞を復元したもので、平安時代の風雅を眼のあたりにすることができる。

観音を背負ふ江戸っ子三社祭

Sanja  festival,
A traditional Tokyoite
carrying Kannon
*
on his back.
***
*Kannon : the Goddess of Mercy

かんのんを せおうえどっこ さんじゃさい

 三社祭は、昭和38年(1963)からは17・18日に近い金曜日に神輿神霊入れ、土曜日に氏子各町連合渡御、日曜日に本社神輿の町内渡御が行われるようになった。2006年は5月20日(土)に連合渡御が行われた。
 褌・入墨姿の裸神輿で知られる西浅三北神輿は、観音堂正面に進み、お先棒(おさきぼう)に5人が立ち、神輿練りを披露。大勢の観客が見守る晴れ舞台で見せた神輿差し(みこしざし)は最高のパフォーマンスで、何度も盛大な拍手喝采を浴びた。

観音に差し上ぐ神輿江戸の粋

A portable shrine
raised up for Kannon,
the dandyism of Edo.

かんのんに さしあぐみこし えどのいき

 股引(ももしき)を脱ぎ捨て、颯爽(さっそう)と歩くこだわりの褌派。江戸時代、暑い夏祭りに野暮な股引をはいている江戸っ子は一人もいない。半纏や腹掛をしていても褌が見える。
 現代の江戸っ子は前袋式に締めているので、半纏では褌が見えない。「格好が命」といわれる江戸っ子であってみれば、半纏の裾をまくり上げて、尻からげすることになる。褌を意図的に見せる究極のお洒落である。

三社祭自慢の褌尻はしょり

Sanja festival,
Wearing fundoshi
*
and a tucking up hanten
are proud of guys.
***
*fundoshi : Japanese T-back loincloth

さんじゃさい じまんのふどし しりはしょり

夜渡の三社神輿や白ふどし

A Sanja portable shrine
in the gathering dusk,
Each wearing white fudoshi
*.
***
*fudoshi : fundoshi of Japanese
toraditional T-back loincloth

よわたりの さんじゃみこしや しろふどしし

 明るく輝く神輿はとても幻想的で、闇の中に浮き上がって見える。神輿の前後にそれぞれ前一人・後二人の定番フォーメーションをとり、白褌をキリリと締めて入墨を誇示する裸形の男たちが担ぎ手たちの最後の力を煽(あお)っている。日中とは違った独特の雰囲気があり、まるで江戸時代からタイムスリップしたかのようである。

宮神輿先棒に立つ頭かな

Portable shrine of Shinto shrine,
Leaders of firemen standing
on the front carrier.

みやみこし さきぼうにたつ かしらかな

鳶の親方衆が宮入の神輿に上がっている。有料席の観客にとって、上がると上がらないとではその迫力に雲泥の差があり、とても良いことだと思う。

「江戸っ子!三社祭」 2006.5.19〜21

金龍の舞の熱演 / 淺草寺本尊示現会

金龍の舞の熱演 / 淺草寺本尊示現会

撮影:志村清貴

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淺草寺御縁日の灯籠が点る慈灯の道

撮影:志村清貴

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白鷺の舞 / 淺草寺

白鷺の舞 / 淺草寺

撮影:志村清貴

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出発を待つ褌・入墨の男たち / 三社祭

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観音堂正面の神輿差し!

観音堂正面の神輿差し!
   

撮影:K. I.

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こだわりの褌派の人たち / 三社祭

こだわりの褌派の人たち

撮影:K. I.

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宵宮の裸神輿/西浅三北町会

宵宮の裸神輿/西浅三北町会

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親方衆が乗った一之宮 / 三社祭宮入

親方衆が乗った一之宮

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2006年5月27日(土)

春霖雨人影絶えし太鼓橋  

A long spring rain,
Nobody seen
on the arched bridge .

はるりんう ひとかげたえし たいこばし

 4月11日(火)ツアーバスは安芸の宮島を後にし、宮島口から山口県岩国市に入った。錦帯橋は、市内を流れる錦川(にしきがわ)に架かる橋で、江戸時代より日光の神橋(しんきょう)、甲斐の猿橋(えんきょう/さるはし)と並び日本三名橋と呼ばれた。その精巧で特異な構造が高く評価され、大正11年(1922)に国の名勝に指定されている。

花の寺五重塔も雨の中

A temple of cherry blossoms,
The five-story pagoda
also in the rain.

はなのてら ごじゅうのとうも あめのなか

 瑠璃光寺は、山口県庁の近くにある曹洞宗の禅寺で、境内の池泉回遊式庭園に建つ五重塔は大内(おおうち)文化の最高傑作といわれ、西の京・山口のシンボルとなっている。
 この塔は、現存する五重塔の中では10番目に古く、その美しさは日本一といわれ、京都の醍醐寺と奈良の法隆寺の五重塔と共に日本三名塔のひとつに数えられる。
 方三間の五重塔は、九輪の尖頭まで31.2mあり、珍しい檜皮葺総桧造(ひわだぶき・そうひのきづくり)の屋根を持ち、各層とも屋根の勾配はゆるやかで、軒(のき)が広く張り出した優美な形状を誇る。
 和様を主体に一部禅様を採り入れた塔は、室町時代の建築としては装飾が少ないのが特徴。大内氏隆盛時の文化を示す貴重な遺構として明治36年(1903)国宝に指定された。

花の雨山カルストのうねりかな

A rain on the cherry blossoms,
The  karst mountain swelling.

はなのあめ やまかるすとの うねりかな

 秋吉台は、太古の昔は海だった日本一広大なカルスト(石灰岩の)台地である。
 昭和30年(1955)その大部分が自然公園として秋吉台国定公園に指定され、昭和39年(1964)には、その一部が特別天然記念物に指定された。
 秋吉台のエリアは山口県中央部のやや西寄り、美祢市(みねし)、美祢郡(みねぐん)秋芳町(しゅうほうちょう)、同・美東町(みとうちょう)にまたがり、東西17km、南北8km、面積130km2に及ぶ。
 2億年ほど前の地殻変動で地表に現れ、雨水による浸食を受けて、多数のドリーネ(窪地)や鍾乳洞を形成しながら現在のような石灰岩台地となったという。

白壁の菊屋横丁春の雨

A spring rain,
Kikuya alley
of white walls.

しらかべの きくやよこちょう はるのあめ

 国指定史跡・萩城下町は、菊屋横丁、伊勢屋横丁、江戸屋横丁、呉服町すじなどの道があり、江戸時代の地図が使えるといわれるほど当時の街並みがそのまま残されている。
 純白の海鼠(なまこ)壁の土蔵や土塀、武家屋敷、町屋などを見るにつけ、明治維新の立役者たちを多数輩出したかつての栄華が偲ばれる。

白壁に鯉群れ泳ぐ里の春

A village in spring,
Carp forming a school
beneath
the white walls.

しらかべに こいむれおよぐ さとのはる

 島根県鹿足郡津和野町(かのあしぐん・つわのちょう)は、島根県の南西に位置する人口約1万人の町。かつて津和野藩の城下町であり、山間の小さな盆地に広がる美しい町並みは、山陰の小京都として知られるほか、津和野駅は「SLやまぐち号」の終着駅でもあり、山口・萩とセットで訪れる観光客が多い。
 殿町(とのまち)通りは、城下町・津和野の最も古い佇まいを残す本通りで、カトリック教会、津和野藩校養老館跡、郡庁跡、家老多胡家表門(かろう・たごけ・おもてもん)など多くの史跡がある。
 海鼠塀(なまこべい)に面した掘割には錦鯉が群遊している。武者窓のそばの白壁の土塀を背景に白や紫の花菖蒲が咲き、錦鯉がその花陰で群れ遊ぶ季節は、優雅な絵巻物を見るようだと賞賛される。

 津和野路や稲成鳥居の花の雨

Paths in the province of Tsuwano,
A rain on the cherry blossoms
at Inari-torii.

つわのじや いなりとりいの はなのあめ

 津和野川が流れる津和野盆地を見下ろす山上にある太皷谷稲成神社は、産業発展、願望成就の大神として代々津和野城主の崇敬厚く、四季を問わず参拝者を集めているが、正月には数十万人が訪れるという。全国4万社ある稲荷神社の中で「稲成」と書くのはここ一社だけと珍しい。
 津和野のシンボルともいえるこの神社の参道には、トンネルのように連なる朱塗りの鳥居があり、千本鳥居と呼ばれる。

「中国路の春雨桜」 2006.4.11〜12

雨の錦帯橋 / 山口県岩国市

雨の錦帯橋 / 山口県岩国市

パノラマ写真(2000x850)291KB

瑠璃光寺五重塔(国宝) / 山口県山口市

瑠璃光寺五重塔(国宝) / 山口県山口市

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巨大なドリーネ(窪み)が特徴の秋吉台 / 山口県岩国市

巨大なドリーネ(窪み)が特徴の秋吉台 / 山口県岩国市

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白壁の続く菊屋横丁(日本の道百選) / 山口県萩市

白壁の続く菊屋横丁(日本の道百選) / 山口県萩市

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武家屋敷が並ぶ殿町通り / 島根県鹿足郡津和野町

武家屋敷が並ぶ殿町通り / 島根県鹿足郡津和野町

パノラマ写真(2000x770)351KB

錦鯉の泳ぐ町 / 島根県鹿足郡津和野町

錦鯉の泳ぐ町 / 島根県鹿足郡津和野町

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つづら折りの鳥居 / 島根県鹿足郡津和野町

つづら折りの鳥居 / 島根県鹿足郡津和野町

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2006年5月20日(土)

春林に雲湧き出づる厳島  

Clouds coming out
on the spring forest
at Itsuku-shima.

しゅんりんに くもわきいづる いつくしま

 平成16年(2006)4月10日(月)家内と共に2泊3日の日程で中国路を旅した。中国地方の桜の開花は、例年になく遅れ、今年二度目の花見となったが、この旅は雨が降り続き、春雨桜を鑑賞することとなった。

宮島や鹿桜木に雨宿る

Miya-jima,
Deer taking shelter
from the rain
under a cherry tree.

みやじまや しかさくらぎに あまやどる

 宮島に上陸すると、桜の木の下で雨宿りをしている二頭の鹿が我々を出迎えてくれた。宮島の鹿はニホンジカで、今から800年ほど前に書かれた西行法師の説話集・撰集抄(せんじゅうしょう)に宮島には鹿が多いと書かれている。
 宮島の鹿は、古来より神の使いである神鹿(じんろく)として大事にされてきた。鹿は山と町に住み分かれており、「野生の鹿に餌を与えないように」という看板があるそばで餌が売られており、餌にありつけることから町に居着く鹿が多く見られる。奈良市の奈良公園では、神鹿の餌・鹿煎餅(しかせんべい)が売られている。

宮島や堂塔洗ふ花の雨

Miya-jima,
The spring rain
washes the shrine and pagoda.

みやじまや どうとうあらう はなのあめ

 厳島は、周囲31km、面積30km2の花崗岩からなる島で、海岸には「安芸の宮島まわれば七里、浦は七浦七恵比寿」と謡われる小規模な砂浜がある。
 古くから海抜530mの主峰・弥山(みせん)が崇敬の対象となり、島全体が神聖視され、厳島神社の門前町として発達した中心集落は、弥山北麓の海岸にある。

厳島春雨踊る高舞台

Itsuku-shima,
Spring rain
dancing
on the high stage.

いつくしま はるさめおどる たかぶたい

 神の島であるため、現在でも約二千人の住民の墓地は島内にはなく、対岸に埋葬されるという。
厳島神社は海に建つ木造建築物として過酷な環境下にありながら、歴代政権の厚い庇護に支えられて、寝殿造りの建築様式を巧みに取り入れ、本殿は切妻両流造り(きりづま・りょうながれづくり)といわれる古い様式を今に伝える。

 花の雨五重塔の淡き色

Cherry blossoms in the rain,
Five-story pagoda
looks hazy.

はなのあめ ごじゅうのとうの あわきいろ

 拝殿の前に張り巡らされた板間(桟橋)が国宝の平舞台で、その中央から沖合の大鳥居に向かって伸びる桟橋を火焼前(ひたさき)と呼ぶ。かつてはこの桟橋が唯一の玄関で、ここに舟を横付けして神社にお参りしたという。
 平舞台の中央に一段と高くなった舞台が舞楽の奉納に使われる高舞台(国宝)である。

朝桜山塔霞む利休雨                 

Cherry blossoms in the morning,
The mountain and pagoda
look hazy
in the gray green rain.

あさざくら さんとうかすむ りきゅうあめ

 厳島は神の島で島全体がご神身体であることから、神聖な島の陸部を避けて海上に神社が建てられたという。
 反橋は、長さ26.7m、幅4.3mのみやびな太鼓橋で、勅使橋(ちょくしばし)とも呼ばれ、かつて朝廷の勅使が厳島神社に参拝するときに使われたもの。

春霖雨朱塗りの塔のしっとりと

Spring long rain,
The pagoda cinnabar red
in a quiet mood.

はるりんう しゅぬりのとうの しっとりと

  厳島神社は、総延長が百八間(約200m)という長い回廊が大きな特徴で、とても美しい。宮島見学時は、丁度干潮で、大鳥居から社殿まで完全に干上がっており、潮干狩りをしてアサリを採っている人たちがいた。また、野鳥が舞い降りて干潟(ひがた)で餌を漁っている姿も見られた。白い鳥はシラサギ。

春雨に洗わる鳥居舟提灯                 

Lanterns
on the boat,
The torii washed
by the spring rain.

はるさめに あらわるとりい ふなちょうちん

 雨の中、ホテル近くの桟橋から 宮島遊覧観光 の遊覧船「もみじ」に乗り込んだ。屋形船ということだったが、龍頭があしらわれた定員72名の遊覧船である。
 高さ16m、横幅23mの現在の大鳥居は8代目にあたり、明治8年(1875)に完成。拝殿より108間(194m)、火焼前(ひたさき)より88間(158m)の沖合に立つ。
 厳島神社は、日本独自の文化を伝える優れた建築であり、島全体が文化的景観を成している点が高く評価され、平成8年(1996)12月UNESCOの世界文化遺産に登録された。遺産区域は431.2haにのぼる。

世界遺産「宮島の春雨桜」 2006.4.10〜11

春雨に煙る厳島

春雨に煙る厳島

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神鹿(じんろく)の雨宿り

神鹿の雨宿り

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干潮時の厳島神社回廊

干潮時の厳島神社回廊

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平舞台(桟橋)と朱塗りの回廊(国宝)

平舞台(桟橋)と朱塗りの回廊

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拝殿の前に常設されている高舞台(国宝)

拝殿の前に常設されている高舞台(国宝)

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廻廊と反橋

廻廊と反橋

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春雨に煙る厳島神社五重塔

春雨に煙る厳島神社五重塔

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闇夜に浮かぶ大鳥居

闇夜に浮かぶ大鳥居

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2006年4月23日(日)

 4月1日(土)、東京の桜は満開を迎え、絶好の行楽日和となったこの日、終日都内の桜の名所めぐりをした。

隅田川岸辺も船も花の宴

Sumida river,
Feasts of cherry-blossom viewing
on the banks and boats.

桜橋東岸の見事な桜(隅田川/東京都墨田区)

桜橋東岸の見事な桜

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★彡 日本初の写真俳句 ★彡

. 俳句「海の風景」文頭

東京 2005年8月15日  二年前の盆休みに句集のコメントを記載してもう2年経つ。今日、300句を超えたため、一集を50句単位にしているので、第七集を追加した。最近は、毎日100人前後のゲストがあり、俳句も手を抜けなくなった。五年間で5万件を超え、リピーターも増えている。フォトギャラリーに説明文を加え、BGMを設定し、そして俳句を挿入するという作業は、大変だが、馴れてしまうと結構楽しいものだ。

 下手な俳句も、たまには自己満足できるものが増えてきた。何より、英訳を施すことで、俳句の意味がより鮮明になり、深みを増してくるように思う。英訳も最近はコツを覚え、どう訳して良いか分からないようなことはなくなった。英訳できないような句はあり得ないし、あったとすればそれは悪首なのだろう。俳句に写真と英訳をつけ、解説する。このような構成の句集は私以外には存在しない。

 「海の風景」というタイトルも、陸に上がった河童となってしまった今では、ふさわしくないかも知れないが、せめて、カバー写真だけでも海の風景を入れて続けていきたいと思う。どこまで続くか分からないが、「継続は力なり」を信じて、やれるところまでやってみたい。

東京 2003年8月16日
 8月の盆休みで日本列島は里帰りのシーズンだ。今週は会社全体が夏休みなので、私も休みを取っているが、東京は雨続きで、外出ができない。一日中、家の中で過ごしている。お陰で、未編集の作品を数本、一気に仕上げてアップすることができた。また、これまでの作品に手を加えたりして、時間を有効に使っている。

 
俳句「海の風景」は、50句を束ねてアップしており、既に第4集に入っている。今年の4月に神戸から東京に転勤となり、海の句が殆どなくなってしまった。タイトルを修正しようかとも考えたが、既に2年を超えるシリーズとして定着しており、タイトルは従来のままとすることにした。

 世界の旅の写真館としてWa☆Daフォトギャラリーはこれからも歩み続けてゆくが、それとともに、この俳句も続けてゆきたい。そして、英訳と写真とをあわせて添えてゆく。このような試みは私しかやっていないと思う。かなり骨の折れる作業であるが、やる価値はあると思う。

神戸 2002年8月11日
 暑い夏が続いている。昨日は夏休みの帰省ラッシュのピークを迎えた。おかげさまで、Wa☆Daフォトギャラリーも無事に二周年を迎え、毎月一万件のアクセスをいただけるサイトに成長した。一周年記念として始めた俳句「海の風景」も未だに続いており、継続は力なりで遂に百句を超えてしまった。読み返してみると、駄作もあるが、なかなか良い句だと自慢したくなるような作品もある。

 徒然日記を書くごとに折々の俳句を挿入し、それを俳句「海の風景」に写し、英訳と解説文を加えてきた。この作業もかなり大変だが、何とか続けてきた。俳句は本来のフォトギャラリーとは必然性のないコンテンツではある。しかし、映像と17文字の言葉の違いこそあれ、情景を写し取ることには違いがない。むしろ情報過多の映像より、シンプルな文字の方が味わい深いこともあるのではないだろうか。私の拙句をそれなりに楽しみにして下さる読者もおられるようで、励ましのmailをいただくと、止められなくなる。写真の方も風景写真から始まって祭りや花の写真まで手を広げてビッグサイトになってしまったが、今更引き返すこともできない。これからも情熱と体力の続く限り、現在のコンセプトで進んでいきたい。

神戸 2001年7月29日 平成13年4月1日、広島から神戸に赴任。俳句は、相変わらず月に一回うつみ会に7句を投句し、高橋三洋子先生の添削と講評を受けている。いわば通信教育という形で続いており、先生のご厚意に感謝申し上げる。

 昨年7月から個人のホームページ・Wa☆Daフォトギャラリーを始めて1年余りになる。アクセス13,000件を突破し、すっかり軌道に乗ってきた。そこで一周年記念として、これまで徒然日記の冒頭に折々の俳句を載せてきたので、それを集めて、俳句「海の風景」というタイトルにまとめ、それに写真とコメントを付けてみた。また俳句の英訳もつけた。英訳にも意訳が入り、イメージの広がりが期待できる。

 まだまだ素人の域を出ていないが、当ホームページのビジターに海の素晴らしさや季節感などを画像と同様に感じとっていただければ有り難い。わずか17文字でイメージ(画像)を表現できれば幸いだ。これまで海で仕事をしてきた経験を生かし、海の風景を一幅の絵のように切り取ってみたい。これが作者のテーマでありコンセプトである。ただ、海の句に限定したわけではないので、折々の身近な風景を適宜織り込んでいきたい。

パノラマの神戸の港春霞

風光る館の空に風見鶏

Panoramic view
of Port Kobe
in the spring haze.

A weathercock on the roof
under sky
with a glistening wind.

広島 2000年4月23日 平成12年4月1日、函館から広島に赴任した。友人から勧められ、俳句同好会「うつみ」に入会、月一の例会に出ることになった。仕事の合間を見て俳句づくりに専念する毎日が始まった。稚内在任中から俳句を創作していたので、ある程度の自信があるが、句会に出席し、先生に講評を仰いだり、添削を受けるのは初めてである。少し緊張するが、楽しみながら自然流で俳句をつくりたい。先生の俳号は高橋三洋子で、正岡子規の弟子である高浜虚子の流れを汲むという。種田山頭火のような自由律の俳句ではなく、古典派ともいうべき俳句で、キチッとした季語が必要であり、自然で平易なものでなければならないと教わった。

白藤や水面に鯉の浮き沈み

草鞋揺る仁王門より遍路発つ

Carp sink and float
to the surface
under white wisteria.

Pilgrims started
 thorough Deva gate
on which straw sandals swinging. 

稚内 1994年3月26日 平成6年は吹雪で明けた。日本最北端の地・稚内市に来て一年足らずであるが、現在貴重な冬の体験を積みつつある。窓の木枯らしを聞きながらテレビで正岡子規のドキュメント・ドラマを見ていたら、ふと、この稚内市を中心とした宗谷の出来事を点描してみたら面白いのではないかと思った。今まで俳句などというのは創ったことがないが、挑戦するのも楽しいのではないか。稚拙ではあるが、北国の思い出をファイルする趣旨で詠んでみたところ、アッという間に百首を越えてしまった。思ったより簡単である。粗製濫造気味ではあるがこれからも続けたい。俳号は日本最北端の地にちなんで北舟とした。

正月や昆布拾いの海人ふたり

流氷の接岸告げる尾白鷲

Two fishermen
pick up kelp
on New Year's Day.

A white-tail eagle signals
the arrival of drift ice
to the coast.

日本伝統俳句会 現代俳句協会 インターネット俳句会 俳句センター 帆船 俳句庵 see haiku here

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