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湖水地方は、イングランド北西端のカンブリア州 Cumbria County*に広がる風光明美な地域で、氷河時代の痕跡が色濃く残り、渓谷沿いに大小無数の湖が点在する。リゾート地や保養地として知られ、1951年にはその大部分にあたる2,292kuが国立公園に指定された。 |
イングランドとウェールズ内に13ある国立公園では最大であり、イギリス国内の国立公園としてはケアンゴーム国立公園に次いで第二位の規模を誇る。 |
*カンブリア
州 Cumbria County:1974年にかつてのカンバーランドとウェストモーランドに加え、ランカシャー、ヨークシャーの一部が統合する形で誕生した。古くはケルト系
でウェールズ人に近いカンブリア人が住み、カンブリア語が話されていた。湖水地方をはじめとした豊かな自然で知られる。 |
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湖水地方の位置 / イングランド |
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▲▼ 湖水地方は、今から約15,000年前の最終氷期の終了とともに形成されたと考えられている。氷河が衰退すると、そのあとには氷河が土砂を削り取ったU字谷や圏谷が残る。これらはその多くが水を貯めこみ湖となった。湖水地方近辺は緯度が高く、平均気温が低いために遷移が進みづらく、湖とならなかった部分は岩場やムーア(荒野)が形成されてシダなどが繁茂した。 |
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森林限界以下には、オークが茂り、19世紀にはマツのプランテーションが開かれた。標高800mから900m余りの山がいくつもあり、イングランド最高峰のスコーフル・パイク(978m)を擁し、イングランドで最も深い湖もある。 |
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6月の湖水地方 |
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画像:ウィキペディア フリー百科事典 |
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▼ 湖水地方の南部の玄関口として発展してきたウィンダミア Windermere は、
ウィンダミア湖東岸の町で、湖水地方における重要な観光拠点となっている。 |
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ウィンダミア湖の観光 / 湖水地方(イングランド) |
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画像:Google Earth |
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▼ 我々は、午後12時半過ぎにウィンダミアに到着し、レストランで昼食をとった。ウィンダミアは、かつての趣きをそのまま残している村で、イングランドの中で最も美しい風景が見られる地域のひとつと云われている。 |
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ウィンダミアのレストラン / 湖水地方 2011.6.30 12:38 |
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チューダー様式の美しい石壁の家 |
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▼ ウィンダミアの北方約5kmに位置するボウネス
Bowness
には、フェリーやクルーズ船の発着する桟橋がある。ボウネスは、正式には、ボウネス・オン・ウィンダーミア Bowness-on-Windermere といい、ウィンダミアにあるボウネスという意味である。 |
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ボウネスにあるウィンダミア湖の船着場 13:02 |
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▼ 昼食後、ウィンダミア湖西方約3kmに位置する小さな村 ホークスヘッド Hawkshead に行き、ピーター・ラビット
Peter Rabbit で知られる世界的な絵本作家 ヘレン・ビアトリックス・ポター Helen Beatrix Potter の原画や水彩画
、遺品などが展示されている美術館 「ビアトリックス・ポーター・ギャラリー」を見学した。 |
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ビアトリクス・ポター・ギャラリー /
ホークスヘッド 13:10 |
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▲▼
彼女のギャラリーは、17世紀に建てられたタウンハウス内にあり、ナショナル・トラスト運動の一環として運営されている。例年4月1日から11月8日まで営業しており、朝10時半から午後4時半まで開店している。展示は、毎年変わるという。 |
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往年のヘレンさんとピーターラビットの仲間たちが玄関でお出迎え |
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▼ ヘレン・ビアトリクス・ポター(1866年7月28日-1943年12月22日)は、イギリスのロンドン出身の絵本作家。「ピーターラビットのおはなし」シリーズで知られる。晩年はイギリスの湖水地方で牧羊場を購入し、経営した。 |
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ヘレン・ビアトリクス・ポター 1866-1943 |
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▲ 彼女は、湖水地方の景観をこよなく愛した。ナショナル・トラスト運動の創始者の一人を友に持ったことから、その活動に参加し、安定した著作権使用料と両親の遺産の多くを使って、15の農場や4,000エーカー(16km2)の土地などを購入し、湖水地方の美しい自然環境の保全に努めた。 |
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1902年に出版された『ピーターラビットのおはなし』初版本の表紙 |
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▲▼ ピーターラビットは、ビアトリクス・ポターの児童書に登場する主役キャラクターであり、シリーズ作品の総称ともなっている。「ピーターうさぎ」と翻訳されている場合もある。このキャラクターは「ネザーランド
ドワーフ」という種類のウサギをモデルにしており、擬人化され、明るい青色のコートを着用した姿で描かれている。 |
1893年9月4日にビアトリクス・ポターが友人の息子に宛てた絵手紙が原型で、同日がピーターラビットの誕生日とされる。1902年には初の本「The Tale of Peter Rabbit (邦題:ピーターラビットのおはなし) 」が出版された。 |
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絵本に描かれたピーターラビット |
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資料
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▲▼
ピーターラビット・シリーズの累計発行部数は、全世界で1億5,000万部を超え、日本の福音館書店版は1,200万部が発行されている。また第1作の「ピーターラビットのおはなし」の発行部数は、全世界で4,500万部を超えるという空前のベストセラーとなっている。 |
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ニンジンを食べるピーターラビット /
ビアトリクス・ポター・ギャラリー |
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▲
ビアトリクス・ポターの最初の本「ピーターラビットのおはなし」では、ピーターと彼の家族が紹介された。ある日彼の母は森で遊んでいるピーターと彼の姉妹、フロプシー、モプシー、カトンテールを置いて市場へ出かける。 |
母の言いつけを破ってピーターはマグレガーさんの農場へ忍び込んで、野菜を食べて、マグレガーさんに見つかり、追いまわされる。辛くも逃げ出す事ができたが、上着と靴をなくしてしまい、それはマグレガーさんの新しいカカシに使用された。 |
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空を飛ぶ アヒルのジマイマ Jemima
Puddle-Duck |
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▲▼
あひるのジマイマ・パドルダックは、自分で産んだ卵が住んでいる農家の人によって取り上げられ、めんどりが温めて孵(かえ)すのに不満を抱く。そこで家から遠く離れた森の中で卵を産むことにした。 |
巣を作るのに良い場所を探していると、「黒く突き立った耳と太く長い尻尾を持った」一人の紳士と出会う。ジマイマが事情を話すと、その紳士は自分の夏の住まいを提供する事を提案する。そこにはたくさんの羽毛があり、その羽毛で巣を作ったジマイマは、卵を産むために毎日そこに通い始める。 |
産んだ卵の数が9個になり、ジマイマは次の日から卵を温め始めると紳士に告げる。すると紳士は、ジマイマにご馳走を振舞いたいので、スパイスとタマネギとパセリ(オムレツとアヒルの丸焼きに使う食材)を持ってくるように告げる。次の日、何の疑いも持たないジマイマが食材を集めていると、番犬のケップがジマイマを問いただし、事情を知ったケップは、友人のフォックス・ハウンドの子犬2匹を呼びにいく。 |
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杖を持ったキツネの紳士 |
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▲▼ ジマイマが紳士の小屋に着くと、紳士は神経質になっており、ジマイマを乱暴に小屋に追い込み、少しすると黒い鼻を持った誰かが小屋の鍵を閉める。次の瞬間大騒ぎが始まり、それ以降、そのキツネに似た紳士を見かけたものはいない。ジマイマはケップに助け出されたが、卵は猟犬たちに食べられてしまった。 |
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無事に家に帰ったジマイマは、その後、産んだ卵を自分で抱く事が出来たが、卵を抱くのが下手だったので4羽しか雛を孵す事が出来なかった。 |
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ビアトリクス・ポターの記事がトップに掲載されたウッドランド・ガゼット紙(1910.5.5)を持つキツネの紳士 |
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▲▼
キツネの紳士が手にする The Woodland Gazette
ウッドランド・ガゼット新聞(1910.5.5)のトップの見出しは、Local Author Brings Fame To Woodland Characters
(地方作家がウッドランドのキャラクターに名声をもたらす)とあり、そこに掲載された写真をinternetで入手したが、今から約100年前に撮影された写真である。初めて本が出版されてから8年後のことで、44歳という計算になる。これを機に、彼女は世界的に名の知れた絵本作家へと飛躍する。 |
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ウッドランド・ガゼット紙(1910.5.5)のトップに掲載されたビアトリクス・ポター(44歳)の写真(100年前) |
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▼ ツアー一行は、ビアトリクス・ポター・ギャラリーの見学を終え、本日最後の観光となるウィンダミア湖の湖上遊覧を楽しむべく、ボウネスに
引き返した。ボウネスは、ウィンダミア湖最大の港で、日本で見られるFRP製の量産型ではなく、全て木造の立派な手漕ぎボートが用意され、行楽客を待っていた。そのそばでは、白鳥や小鴨たちが午後のまばゆい日差しを受けて楽しんでいた。 |
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我々の目前で無情にも出港してしまったのが、ウィンダミア湖最大の遊覧船SWAN(白鳥)である。我々は、この同型姉妹船のTEAL
(ティール
小鴨)の到着を待った。両船ともやや古めかしいが、ツイン・スクリューのスマートな白い船体を清らかで美しい湖水に浮かべていた。 |
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手漕ぎボートと遊覧船
SWAN(白鳥) / ボウネス 13:50 |
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▲▼ ウィンダミア湖は、英国イングランド北西部カンブリア州湖水地方にある幅1.6km、長さ17kmの南北に細長い氷河湖で、イングランド最大の湖である。「湖畔の主な町は、ウィンダミアとボウネス」とデジタル大辞泉にあるが、他にも北岸のアンブルサイド
Ambleside や南岸のレイクサイド Lakeside、西岸のフェリーハウス Ferryhouse などの村落がある。 |
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ボウネスの湖岸で遊ぶ白鳥や小鴨たち /
ウィンダミア湖 |
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▼ 我々は、ボウネスからTEAL (ティール 小鴨)に乗船し、ウィンダミア湖北岸のアンブルサイド Ambleside まで、約30分ほどの湖上遊覧を楽しんだ。行楽シーズン前ということで、船影は殆どなく、静かな船旅だった。 |
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遊覧船 TEAL(小鴨) でアンブルサイド Ambleside に向かう / ウィンダミア湖 14:50 |
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ひょうがこや よっとしずかに いちもんじ |
Glacier made lake, a sailing boat drawing a beeline quietly. |
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途中ですれ違ったクルージング・ヨット |
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▼ アンブルサイドに近づくと、船着き場のそばに建つ立派なリゾートホテルが目に入った。その前では、カヌー教室が開かれているのか、大勢がカヌーを楽しむ姿がみられた。カヌーの塗色は、安全重視なのか、派手な色で、日本の美しくスマートなカヌーを見慣れている筆者には、イギリス人のセンスはこんなものか?と思ったりした。 |
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カヌーを楽しむ人たち / アンブルサイド |
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▼ カヌーのどぎつい塗色に比べ、湖岸に美しい姿を投影しているリゾートホテル(総合施設)は、湖水地方の伝統建築を踏襲したもので、石壁を使い、チューダー風の白黒の色使いや白い出窓など、うっとりするほどセンスが良く、何泊でもしたくなるような素晴らしい建物だった。 |
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湖岸の美しいリゾートマンション / アンブルサイド |
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▼ 遊覧船 TEALが着桟したたとなりの桟橋では、マホガニー製の高級家具を思い出させるシックなデザインの小型遊覧船 PRINCESS OF
THE LAKE(湖の王女)が乗客を乗せて到着したところだった。カヌーのことは、悪夢だと思って、早く忘れてしまおう。(^^; |
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木目の外板が美しい小型遊覧船 PRINCESS OF THE
LAKE(湖の王女) 15:10 |
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▼ 湖水地方の観光を終え、連泊するチェスターに向かった。車窓からは、肉牛の放牧が見えた。イングランドは、山岳地帯が少なく、このような平原が延々と続いている。 |
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肉牛の放牧 16:28 |
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