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天下枡は、松平郷館の前でひとつ500円で販売されており、この枡を買えば、樽酒を頂ける。手前の女性は、昭和42年(1967)度松平中学校卒業生の還暦祈祷や裸男などの受付を行っていた。 |
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松平中学校の受付デスクと 「 |
天下枡 |
」 | 「願布」 |
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販売コーナー / 松平郷館前 10:05 |
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天下枡の横に「崇」の願字が赤くなっている2012年の願布(ねがいぬの)が1部500円で売られていた。 |
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撮影:伊藤 修 |
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▼ こちらは、天下祭実行委員会による甘酒の無料接待所。三方(さんぽう)には御礼の心付けが載せられていた。 |
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▼ 写真下は、豊田市にお住まいの写真家原田真二さん。天下祭実行委員会の鈴木仲弘事務局長に紹介していただき、お世話になった。原田さんは、ボランティアで天下祭の記録写真を撮ってこられた方で、委員会の写真係といった立場にあり、いつ何をどこからどう撮ったらよいか知悉しておられる。委員会から紺の半纏を二着借りてもらい、この日は私も半纏を羽織って撮影することができた。 |
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お世話になった原田真二プロカメラマン / 神明社への参道 10:25
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10時半ころ、山上の神明社(しんめいしゃ)での祈願に向かう裸男や厄男たちを撮影するというので、松平東照宮前から愛車に乗せてもらい、こゝまでやってきた。東照宮から歩いて往復するとなると大変なので、とても有り難かった。 |
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↓豊田市 |
山上の |
神明社 |
での祈願に向かう裸男・厄男たち 10:26 |
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▼ 白地に「天下祭」「松平東照宮」と墨書された襟袈裟(えりげさ)を首から垂らした裸男たちが三々五々、山道を上がってくる。実行委員会では袈裟と呼び、社務所で裸男・厄男の申込をすると手渡される。袈裟は仏教の法具なので、見事な神仏習合文化である。道端の金網のようなフェンスは、田畑を猪から守るためのもの。猪の被害が深刻化しており、猪除けを設置して通行止めになった農道もみられた。 |
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裸男たちが目指していた神明社(しんめいしゃ)は、正式には神明神社(しんめいじんじゃ)といゝ、松平東照宮の北方の山腹にあり、片道約1kmの山道を歩かねばならない。 |
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Google Earth |
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▼ こゝは、この別当地の領主である松平太郎左衛門親氏が天下泰平を願い、お堂裏の岩屋戸内において七日七夜、横になることなく一心に願いをする立願(りつがん)を行った場所で、後の家康が天下統一を果たし、親氏公の願いが叶った聖地である。 |
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▲▼ この素晴らしい歴史的背景のある岩屋で、現在の親氏公である座主が祈願者に成り代わって願い事を一心に読み上げ、一年の祈願が行われる。 |
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▲▼ 祈願者は、岩屋の前に一列に並び、かつて親氏公が立願した場所に建つ岩屋戸の中で正座した座主が一人一人の願い事を読み上げ、今年一年の祈願が行われた。 |
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りつがんの いわやにざすや かれはなる |
The fallen
leaves rustling, sitting in the cave for prayers. |
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▼ 松平東照宮に戻ると、既に社務所前広場で石楠(いしなん)棒の手保存会による「豊田市松平の棒の手」の奉納が10時半から始まっていた。「棒の手」は棒術のことで、昭和32年(1957)に愛知県無形民俗文化財に指定されている。 |
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「豊田市松平の棒の手」子供たちの演技 / 社務所前広場 10:40
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▲ 最初に、男女の子供たちの演技が行われた。次代を背負う子供たちに郷土の誇る「棒の手」を伝承しようとする努力は、誠に素晴らしい。このような晴れ舞台では、子供といえども大人と同じ装束にすれば、一流の文化財となろう。 |
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石楠起倒流棒の手 |
「棒と木剣」 10:51 |
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▲▼ 「松平の棒の手の流儀」は起倒流(きとうりゅう)だという。その始祖は、現在の名古屋市に住んでいた起倒次郎左衛門と伝えられている。彼がこの流派を創始したのは、天正年間(1573〜1592)と考えられており、槍(やり)を用いる槍術(そうじゅつ)を得意とし、他に類がなかったため、学ぶ者も多かったという。 |
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▲▼ 起倒流は、尾張では日進市の岩崎、蟹甲、赤池、三河では豊田市石楠町(とよたしせきなんちょう)などに伝わった。安政6年(1858)、当時の石楠の住人、岡田周六、岡野鉄平、岡野銀蔵、岡野新六の4人が流儀の習得に励み、慶応2年(1866)に免許目録を許され、三河地方の起倒流の宗家師範となった。 |
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▲▼ 豊田市内では、中切(なかぎり)、室(むろ)、伊保(いほ)などの各地に伝えられた。当地の神明神社には、起倒流中興の祖の碑が残されている。 |
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▲▼ 圧巻は、起倒流師範による迫真の演技。皮を切らせて肉を切る妙技が素晴らしく、驚嘆の歓声が上がった。 |
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松平わ太鼓
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▼ 引き続いて、午前11時から松平東照宮の境内で「松平わ太鼓」の奉納演奏が行われた。
松平地区の和太鼓の歴史は、600年ほど前の「雲龍太鼓」に遡り、徳川の始祖・松平親氏の曾孫(ひまご)信光(のぶみつ)の初陣に際して打ち鳴らされたのに始まるという。 |
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「松平わ太鼓」の奉納演奏 / 松平東照宮 11:02
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▲▼ そのとき、信光や家臣たちが東の空に龍に似た雲が今にも勇ましく駆け登るように見えたことから三河雲龍太鼓と名付けられた。 |
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▲▼ しかし、ときのながれと共に、雲龍太鼓の継承者が減り、古文書(こもんじょ)にその名が止められているのみとなったため、地元有志が平成18年(2006)に復興したのが「松平わ太鼓」である。若者たちの演奏は迫力満点で素晴らしく、今後の発展を祈念したい。 松平わ太鼓公式サイト |
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▼ 再度、産八幡の宮に行った。既に判行(はんぎょう)のピークが過ぎて閑散としており、24枚の大絵馬を展示した社には、冬の木漏れ日が当たり、小春日和のような雰囲気だった。 |
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これまで彫られた願文24文字の大絵馬を飾る |
産八幡 |
の宮 11:21 |
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▼ 八幡社の中に入ると、座主と水姫が大絵馬の最後の仕上をしていた。第25回天下祭を象徴する願字「嵩(しゅう)」は、かなり深く彫り込まれていた。 |
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▲▼ 今年の天下祭の主役である七人のオールキャストがうち揃い、完成した嵩の大絵馬を掲げて記念撮影した。 |
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▼ 絵馬を持つ七人衆は、原田好夫委員長を先頭に一列縦隊となり、八幡社を後にして松平東照宮に向かった。 |
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原田好夫委員長を先頭に松平東照宮に向かう 11:33
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▼ 松平東照宮に到着すると、完成した絵馬を大河原宮司に返納し、之にて座主による嵩の彫刻が成就された。このあと、墨が入れられ、これまでの大絵馬とともに産八幡の宮に安置される。 |
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「崇」の大絵馬を大河原宮司に奉納 / 松平東照宮 11:35
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