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5月27日(土)28日(日)の二日間、海上保安庁恒例の「観閲式及び総合訓練」が東京湾羽田沖で実施された。伊藤英明・加藤あい主演の海猿(うみざる)効果で、海上保安庁や海上保安官の名が社会の隅々まで知れ渡ったため、応募者は空前の数を記録し、幸運にも観閲船隊4隻の乗船券を手に入れることができた観客は、船上のラッシュ状態にもかかわらず、海の男のページェントにすっかり満足した様子だった。 |
旗艦「しきしま」率いる受閲船隊の勇姿 |
左の船は観閲船隊先導船「いず」。右から単縦陣で反航してきた受閲船隊と右舷対右舷で航過する。 |
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北側国土交通大臣と石川海上保安庁長官が観閲された土曜日は雨にみまわれたが、夜のNHKテレビで訓練の模様が報道された。 |
巡視船隊を見守る鈴なりの観客 |
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好天となった日曜日、観閲船を務める巡視船やしまに乗船し、広角・標準・望遠ズームを装着したオリンパスの一眼レフ・デジカメ3台を首に下げ、初めて三丁拳銃スタイルで800万画素1800枚3ギガを切り取ることができた。 |
登舷礼を行う最新鋭の二千トン型高速巡視船ひだ(新潟) |
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観閲船隊は4隻用意され、先導船いず(横浜)、観閲船やしま(横浜)、2番船はやと(鹿児島)、3番船ちくぜん(福岡)が単縦陣で進行。受閲船隊は、旗艦しきしま(横浜)を先頭に3小隊13隻が単縦陣で反航し、右舷対右舷ですれ違い、受閲船に一列横隊で並んだ制服姿の海上保安官が観閲官に向かって挙手の敬礼をして登舷礼を行った。 |
スマートな「護衛艦さわゆき」の登舷礼(海上自衛隊・横須賀地方隊) |
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米国沿岸警備隊(USCG)第14管区(ハワイ)から参加した巡視船RUSHの登舷礼 |
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最新鋭ジェット機・うみわし1号/ガルフV(羽田航空基地)の勇姿 |
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観閲式の後は放水展示訓練。カラフルな放水が観客の目を楽しませてくれた。人命救助訓練では、海猿でお馴染みの潜水員がかっこいい姿を披露し、観客の喝采を浴びた。訓練では、遭難船を実際に爆発炎上させ、その爆発音の凄さに観客は吃驚(びっくり)した。 |
カラフルな放水展示 |
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色々な訓練の場面でへりと巡視船との見事な連携動作が見られた。リペリング降下といって、あたかも猿のようにロープ一本でヘリから巡視船の甲板にスルスルと降下したり、海に飛び込んだりして、日頃の訓練成果を十分に発揮していた。 |
爆発炎上船からの吊り上げ救助 |
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私を含めて海上保安庁OBや現役の海上保安官は、これまで「海猿(うみざる)」という言葉を一度も聞いたことがなく、最近のテレビ・映画で初めて登場した言葉であるが、危険な作業に身命を賭して猿のように身軽に活躍する海上保安官の愛称として使われるようになれば有り難い。 |
海保のお家芸 / 遭難者の吊り上げ救助 |
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最近、海上保安官の養成機関である海上保安大学校(広島県呉市)や海上保安学校(京都府舞鶴市)の受験者が激増しており、海上保安庁は思わぬ海猿効果に嬉しい悲鳴をあげている。一人でも多くの優秀な若者たちが海の守りに着いてくれれば、一人のOBとして、大変嬉しく思う。 |
ヘリから航行中の巡視船に二人同時に降下する海上保安官(ダブル・リペリング降下) |
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今回の訓練では、米国沿岸警備隊(USCG)始め、海上自衛隊、警察、税関、消防など、国内外の関係機関の参加が増え、海難救助はもとより、テロ・ゲリラ・密輸防止対策など、水際で日本を守るために縄張りを超えて広く連携する姿勢が見られたのが印象的だった。 |
迫真の密輸容疑船の追跡! |
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海上保安庁は、平成13年(2001)12月に鹿児島県奄美大島沖で発生した北朝鮮工作船撃沈事件以来、高速船や武器など、急ピッチで最新鋭の装備資器材の整備を進めている。プログラムの最後は、自動小銃の空砲*(くうほう)射撃の模様が披露されるなど、本番さながらの警備訓練が行われ、海上保安庁が名実ともにパワーアップしたことを内外に印象づけた。
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*空砲:実包(じっぽう)(実弾)から弾丸を除いたもの。引鉄(ひきがね)を引くと、薬莢(やっきょう)・雷管(らいかん)の作用で、銃口から発射音と火炎が放出されるが、弾丸は出ないので、相手に危害を加える恐れはない。 |
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自動小銃を発射する密輸容疑者(空砲) |
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この日の観客は、いず1095名、やしま1290名、はやと890名、ちくぜん919名の合計4194名を数えた。私は東京駅南口の晴海埠頭行き都営バスを利用したが、バス乗り場は長蛇の列となり、臨時便が運行された。3台目のバスに乗ることができたので間に合ったが、1時間前に着く予定が30分前になったため、晴海停泊中の観閲船隊の撮影は汗だくだった。 |
強行接舷して被疑者を逮捕する武装海上保安官 |
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