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竹江を出発して1時間余り経った10時15分頃、船は冠岩に着いた。冠岩は、1995年に対外開放された洞窟で、桂林から30kmほど南方の漓江左岸(東岸)に位置する草坪(そうへい)回族(かいぞく)*郷にある。 |
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漓江から見える洞窟は、冠岩幽洞(かんがんゆうどう)と呼ばれ、岩壁に穴があいていて中は鍾乳洞になっている。ここを通り抜けると、桃源郷に行けるという伝説がある。 |
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*回族(かいぞく、ホイ族/フイ族 Huí Zú):中国の少数民族の一つで、中国最大のイスラム教(回教)の民族集団。回族とされる人々は、言語・形質等は漢族・漢民族と同じだが、イスラム教を信仰する。中国全土に分散し、人口約900万人。中国に住むイスラム人口の約半数を占める。 |
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我々はこゝで下船し、1時間半にわたり、地底探検を楽しんだ。冠岩は桂林最大の鍾乳洞で、全長は約12km。三層に分かれた洞内の最下部には水量豊富な地底川が流れており、漓江と繋がっている。 |
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漓江には、川鵜が生息しており、昔から漁師が飼い慣らして鵜飼(うかい)に使ってきた。現在も投網(とあみ)のほかに鵜飼が行われている。川鵜は、水墨画にも竹筏とともに描かれている。 |
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漓江沿いの観光スポットには、写真下の女性のように竹に二羽の鵜を止まらせて客を待つ男女が散見される。有料の記念撮影を商売にしているものと思われる。 |
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川鵜の女 |
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鍾乳洞
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桂林地方は、1億八千万年前に海底が隆起し、その後石灰岩が風雨に浸食されて今の景観になった。石灰岩は川の水にも浸食され、多くの鍾乳洞ができた。その一つが冠岩である。洞内のあちこちは、カラフルにライトアップされ、まるでお伽の国に迷い込んだようである。 |
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冠岩は、山口県の秋芳洞(あきよしどう)のように水が流れる横穴で、洞内は淵あり、急流あり、山ありで、変化に富む。鍾乳石(しょうにゅうせき)*1・石筍(せきじゅん)*2・石柱(せきちゅう)*3などの石灰生成物も豊富。鍾乳石の柱や石灰華(せっかいか)*4で縁どられた階段状の池・千町田(ちまちだ)は秋芳洞の方が大きい。 |
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*1鍾乳石:天井から流れ落ちる水の石灰分(炭酸カルシウム)が再凝集して天井から垂れ下がったもの
*2石筍:天井から滴下した水の石灰分が再凝集して地面から竹の子のように発達したもの
*3石柱:鍾乳石と石荀が繋がって柱状になったもの
*4石灰華:石灰分が沈殿して固まったもの |
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綺麗にライトアップされた洞内 |
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更に進むと、美しい歌声とともにカラフルな民族衣装を着た歌姫たちがにこやかに出迎えてくれた! |
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民族衣装を着た地底の歌姫 |
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地底のトロッコ列車 |
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そこはトロッコ列車の乗り場だった。地底の洞窟の中を列車が走る! 何とも心憎いアトラクションである。 |
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洞内はエレベーターもあり、テーマパークを思わせる。洞窟内最大の空洞で、記念写真を撮った。 |
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桂林の少数民族 |
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ここでも真っ赤な民族衣装に身を包んだ乙女が、記念写真の客を待っていた。桂林市の総人口約476万人のうち、チワン(壮)族、ミャオ(苗)族、ヤオ(瑶)族、トン(イ同)族など11の少数民族約68万人が桂林市に住んでいる。 |
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赤い民族服の乙女 |
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地底の舟下り |
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更に進むと地中の舟乗場に着いた。こゝから清流が流れる地底川で舟下りを楽しむのである。トロッコ列車といい、舟下りといい、日本にはない趣向である。 |
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洞窟の舟下り |
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舟の各座席には懐中電灯が備え付けられており、真っ暗な洞窟をライトで照らしながら探検してゆく。途中でこちらにやってくる舟と出会った。左舷対左舷ですれ違う。 |
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懐中電灯で洞内探検 |
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向こうの舟着場に着くと、駕篭屋が客を待っていた。さほど険しい道でもなく、老人以外は利用しないだろう。 |
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