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Wa☆Daフォトギャラリー

 旅紀行日本の裸祭り

2010317日改訂

 

 

 

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♪メドレー「春の海」

絵馬語る會陽の熱気五百年  北舟

 

The votive picture expressing
the enthusiasm of Festival Eyo for five hundred years.

2010年3月13日制作

狩野永朝絵馬 西大寺会陽図 明治10年(1877) 岡山市指定重要文化財

拡大写真(1400X1300)331KB

狩野永朝絵馬 西大寺会陽図 明治10年(1877)/西大寺観音院(岡山市東区)

Wa☆Daフォトギャラリー10周年記念作品

西大寺・寺紋   西大寺観音院   西大寺・寺紋

500周年!西大寺会陽

絵馬

仁王 絵巻 観音 絵馬 少年 宝筒 花火 祝主 地押 本押 御福 会陽'05 三大奇祭 和田義男
 会陽当日の2月20日(土)午前11時、本来は日曜日しか開館していない西大寺文化資料館に行った。両備グループの特別取材でお願いしたいと電話すると、中村美佐雄館長が快く応じて下さったのである。私をサポートして頂いた地元アマチュア写真家の中井さんも一緒に来て頂いた。 西大寺文化資料館
西大寺文化資料館

西大寺文化資料館

▲▼ 西大寺は西大寺観音院の門前町としてまた吉井川を往来する高瀬舟の港町として古くから商業を中心に栄えてきた。そのような西大寺の文化や歴史を調査研究し、後世に伝えようと、昭和48年(1973)に西大寺愛郷会が発足した
 同会は、調査研究を続けているうちに、文化資料を預かったり、寄付を受けたりしたことから、歴史文化財の保存の大切さを痛感し西大寺文化資料館を発足させることになり昭和54年(1979)に旧天満屋伊原木家の衣装倉を借りて開館した。
中村美佐雄館長(左)のご厚意で特別取材

中村美佐雄館長(左)のご厚意で特別取材

▲▼ 土蔵の館内は江戸時代の会陽の宝木(しんぎ)や観音院本堂の模型、天保年間に観音院を改修した床材、天満屋の暖簾(のれん)、商家の看板、薬屋の百味箪笥、算盤(そろばん)、銭入れ、お菓子の型、切り絵図、西大寺地域から出土した土器、吉井川から出土した700年ほど前の東大寺の軒瓦、古文書など、放置していれば散逸して失われてしまう恐れのある貴重な資料が保存・展示されている。資料館となっている倉は本宅に隣接しており日本庭園はよく手入れされて、美しい姿で入館者を迎えてくれる。
大変お世話になったアマチュア写真家中井三郎さんと記念撮影

大変お世話になったアマチュア写真家中井三郎さんと記念撮影

拡大写真(1600X1100)276KB

▲▼ 今回のお目当ての会陽関連の資料は、会陽の解説とともに倉の奥の棚に整理されて、陳列されていた。有り難いことに、写真撮影のためにガラス戸を外して頂いた。
会陽えよう の意味
 会陽とは「太陽のように明るく恵み深い春の心にめぐり会う」という意味であるとするのが一般的であるが、なぜ宝木争奪戦を会陽というようになったのかは、良く分かっていない。会陽は、福奪(ふくばい)ともいい、一年の福を奪い合う真言宗の行事で西大寺以外の寺でも行われている。しかし西大寺観音院では福は奪い合うものではなく、授かるものであるとしているので、福奪という言葉は、敬遠されている。
 会陽は、俳句の季語(旧正月、現在は二月)になっており、俳句で会陽という場合は西大寺の会陽を意味する。

会陽えよう

の陳列棚

会陽の陳列棚

拡大写真(2000X1500)457KB

▲▼ 何といっても第1級の資料は現存する最古の宝木(しんぎ)で、今から150年前の安政6年(1859)に開催された350回目の会陽のもの。江戸幕府が神奈川、長崎などを開港した年で、祝主は柿屋平左衛門。現在は、地元にお住いの平松明さんが所有されている。
現存する最古の 宝木しんぎ (150年前)

現存する最古の宝木(150年前)

拡大写真(1600X1150)216KB

▲▼ 江戸時代の宝木を最古として、明治から昭和にかけてつくられたものが木箱に収められて展示されていた。江戸時代の箱蓋には、「御牛玉真木」と墨書されており、当時は、宝木を真木と書いていたことが分かる。
明治時代の 宝木しんぎ

明治時代の宝木

拡大写真(2400X1000)351KB

▲▼ 明治に入ると「御福箱」や「御福寳木」「寳木」などと表示されこの頃には宝木と書くようになっている。昭和に入ると宝木は現在と同じように円筒形の厨子に収められ観音開きの扉の内側に青い体躯の不動明王と毘沙門天が描かれるようになった。
 その理由を西大寺の僧侶に聞いたところ、牛玉所殿には会陽の守護神である牛玉所大権現と金比羅大権現が祀られているが本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)により、不動明王と毘沙門天が金比羅大権現という神様の姿を借りているので、厨子に納められている宝木は、それを包む牛玉紙の牛玉所大権現と扉の金比羅大権現に守られているということであった。
円筒形の

厨子ずし

に入れられた 宝木しんぎ
間違った寺紋↓

 

↓正しい寺紋

間違った寺紋↓

 

↓正しい寺紋

円筒形の厨子に入れられた宝木

拡大写真(1600X1630)367KB

  ▲ 厨子の上部の青地に金色の寺紋が二つ表示されているが、厨子の注文の際に京都の仏師に細かく指示していなかったらしく、この輪の重なり具合がまちまちである。向かって右の輪が左の輪の上から下に鎖状に連結されているものが西大寺の正しい輪違紋(わちがいもん)である。  
 西大寺の御本尊の千手観音は、奈良県桜井市の長谷寺(はせでら)で開眼供養を受け、長谷寺の光を受けていることから、寺紋も長谷寺の寺紋と同じ輪違紋にしているという。
 宝木の福を分け与えるため、宝木の投下前に串牛玉(くしご)100組が本堂御福窓から大床に投下される。写真下のように、串牛玉は、割木の束を牛玉紙で包んだものである。

宝木しんぎ

の前に撒かれる 串牛玉くしご

宝木の前に撒かれる串牛玉

もう一つの見所が明治10年(1877)に狩野永朝(かのうえいちょう)の描いた奉納絵馬「西大寺会陽図」(複写)である。実物は、今も西大寺本堂外陣(げじん)東側の天井下部に掲示されているが、アクリル板に覆われていてよく見えないので、資料館で展示されているものを撮影させて頂いた。若干剥離している部分があるが、明治期の会陽の様子が細かく鮮明に描かれた名作で、岡山市により重要文化財に指定されている。

狩野永朝かのうえいちょう

絵馬 西大寺会陽図 明治10年(1877) 岡山市指定重要文化財

狩野永朝絵馬 西大寺会陽図 明治10年(1877) 岡山市指定重要文化財

拡大写真(2670X1500)1.11MB

  絵馬語る會陽の熱気五百年  北舟 

えまかたる えようのねっき ごひゃくねん

The votive picture expressing the enthusiasm of Festival Eyo for five hundred years.

本堂外陣1番の位置にある本物はカバーがかかっていてよく見えない

本堂外陣1番の位置にある本物はカバーがかかっていてよく見えない

西大寺観音院の北東約300mの吉井川西岸に「少年はだかまつり」の会場となる岡山市西大寺市民会館がある。岡山市東部地域の文化拠点として、昭和46年(1981)に開館した。
少年はだかまつり会場となる岡山市西大寺市民会館

少年はだかまつり会場となる岡山市西大寺市民会館

拡大写真(1400X1050)313KB

観音院の北側には、戦災を免れた古い民家が建ち並ぶ五福通りがある。一見洋館風の建物は、看板建築と呼ばれ、昭和初期に道路拡張のために軒切りをした際に、表面だけを囲って洋風にしているもので、中の建物は江戸や明治時代のものという。表面だけ洋風建築となっていることから看板建築と呼ばれている。
古い民家が建ち並ぶ五福通り

古い民家が建ち並ぶ五福通り

拡大写真(1600X1200)274KB

五福通りの一角に五福座という看板の店があり、会陽のポスターなどが貼られていた。調べてみると、西大寺井戸端会議という地域グループがその活動拠点として、平成9年(1997)に内装をリニューアルして開店したもので、有料でコンサート、講演会、展示会などに利用されているという。
五福座

五福座

拡大写真(1600X1200)336KB

仁王門の入口で西大寺会陽に使う褌や白足袋が売られていた。地元では褌といわず、まわしと呼んでいる。観音院で除災招福の加持祈祷を受け、朱印が捺された会陽褌は1反10mの白晒木綿である。ロール状にしてあるので、直ぐに締め込むことができる。
腹帯に会陽褌を貰ひ受く 岡山市 浅越節子
 まわしとして売られているものは、普段は妊婦の腹帯として使われる晒木綿と同じものである。西大寺会陽では横褌(よこみつ)を何重にも重ねて前垂れ式に締める。会陽で締めた褌を妊婦の腹帯に使うと安産になるといわれ今でも実践されているという。
直ぐに締められる

会陽褌えようふんどし

を売る店

直ぐに締められる会陽褌を売る店

▲▼ 西大寺会陽の装束は、褌と座敷用の白足袋に統一されている。会陽では地下足袋は禁止されており、境内では鉢巻を外さなければならない。地下足袋は無防備な裸を怪我させる恐れがあり、鉢巻を外すのは、外れて散乱するのを避けるためだろう。
▼ 観音院西側の門前町商店街で上級者用の本まわし(ほんまわし)が売られていた。キャンバス製のやや厚手のもので、相撲褌として使われるものである。使い込まないと股ずれを起こすので初心者はまわしを選ぶ方が無難である。こちらの店は、まわしは反物のままで、加持祈祷を受けたものではなさそうだった。どうせ買うなら朱印のあるものを選びたい。
上級者用の本まわしを置く店

上級者用の本まわしを置く店

 同じ通りに外来者用の着物預り所があった。コネを持たない外来者でも褌と足袋を身につければ、「はだか」として会陽に参加できることから、このような臨時の施設が設けられている。まわしと足袋が各1000円、着物の預かり料1000円が相場なので、3000円出せば、誰でも西大寺会陽に参加できる。
 主催者の西大寺会陽奉賛会の説明:「衣服を脱いで、ふんどし姿になって境内に入れば参加できます。自分の身を守るために、事前に登録をして、ふんどし内に、氏名・緊急連絡先・血液型とうの記入したものを入れて参加ください。また、お酒を飲んでいる人、入れ墨をした人、座敷用の足袋以外の履物を履いている人は参加できません。宝木争奪中の怪我などには、主催者は責任を負いません。ふんどし・座敷用の足袋は西大寺観音院周辺の商店街で販売しており、着替えも有料の荷物預かり所で着替えることができます。ただし、少年はだか祭りは(社)西大寺青年会議所(岡山商工会議所西大寺支所内)へ申し込みが必要です。」
 会陽奉賛会の説明では、「まわし」を「ふんどし」と表記している。「まわし」では相撲褌のまわしを連想するので、「ふんどし」と言った方が良く分かる。
外来者用のテント小屋

外来者用のテント小屋

仁王門の南西数10mに岡山商工会議所西大寺支所がある。地元では西大寺商工会議所と呼んでいるが、会陽当日は宝木仮受所(しんぎかりうけしょ)が置かれ、取主(とりぬし)はここに宝木を持込み、山主の検分ののち福男の認定を受ける。

宝木仮受所しんぎかりうけしょ

となる西大寺商工会議所(岡山商工会議所西大寺支所)

宝木仮受所となる西大寺商工会議所(岡山商工会議所西大寺支所)

拡大写真(1600X1200)364KB

福男凱旋パレードのコース

福男凱旋パレードのコース

拡大写真(956X763)227KB

資料

▲▼ 今年の福男たちは宝木仮受所から上図の福男凱旋パレードのコースを歩いて今年の祝主である両備グループの福受会場(ふくうけかいじょう)に向かうことになる。あらかじめ中井さんに教えてもらっていたので、このコースをたどって西大寺バスセンターに行った。
祝主・両備グループの

御福頂戴ごふくちょうだい

会場/西大寺バスセンター

祝主・両備グループの御福頂戴会場/西大寺バスセンター

▲▼ 西大寺バスセンターの南側に両備西大寺バスターミナルがあり、仁王門と同じ御福頂戴(ごふくちょうだい)と表示された垂幕がかかっていた。石段をあがって二階に行くと、御福頂戴の式典が行われる会場がある。
 御福は普通「おふく」と読むが、西大寺ではあえて「ごふく」と読んで五福にかけ、福男から宝木(しんぎ)頂戴して、五福(長寿・財運・無病・積徳・天命成就)を授かりたいという願いが込められている。

御福頂戴ごふくちょうだい

の垂幕

御福頂戴の垂幕

バスターミナルの二階には西鉄記念ホールという洒落た講堂があり西大寺会陽福受会場と表示されていた。
西大寺会陽福受会場になった西鉄記念ホール/両備西大寺バスターミナル2階

西大寺会陽福受会場になった西鉄記念ホール/両備西大寺バスターミナル2階

拡大写真(1400X1050)159KB

▼ 中井さんに案内されて岡山駅北側の岡山市デジタルミュージアムに行った。中井さんの紹介で、飯島章仁さんから説明を受けた。西大寺会陽の展示入口には、西大寺文化資料館にあった狩野永朝(かのうえいちょう)の絵馬「西大寺会陽図」(複写)が掲げられていたが、別の特別展が催されていて、会陽の展示品は少なかった。
 目を引いたのが、床に描かれた実物大の「命をかけた足形」である。60cm四方の広さに12人の足形があった。計算すると、60×60÷12=300 となり、1人の立つ面積は300cm2になる。一升枡(いっしょうます)の広さは一尺五分(約31.82cm)四方なので、31.82×31.82÷300=3.375 となり、本堂大床では、一升桝に3人強が立っていることになる。信じられないほどの過密である。
命をかけた足形(岡山市デジタルミュージアム)

命をかけた足形(岡山市デジタルミュージアム)

ここにも厨子に入った宝木(しんぎ)が展示されていた。観音院や西大寺文化資料館で見たものと同じ昭和期以降のものだが、寺紋のデザインが気になった。向かって右側が正しく、左側は間違っている。
岡山市デジタルミュージアムに展示されている宝木

岡山市デジタルミュージアムに展示されている宝木

拡大写真(1200X1600)258KB

仁王 絵巻 観音 絵馬 少年 宝筒 花火 祝主 地押 本押 御福 会陽'05 三大奇祭 和田義男
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