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▼ 午後10時、一端照明が落とされたあと、明かりが灯り、本堂外陣(げじん)の御福窓(ごふくまど)から坪井全広住職による宝木の投下が行われ、大床(おおゆか)での激しい争奪戦が始まった。 |
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▼ 大床での宝木争奪戦の撮影は、御福窓が最良のポジションだが、特別許可を取らない限り上がれない。写真下は、中井さんが御福窓から撮影したもので、牛玉紙に包まれた2本の宝木一束が裸たちの中に落ちてゆく瞬間を見事に切り取った傑作である。 |
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↓宝木 |
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写真:西大寺会陽奉賛会 |
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▲▼ 中井さんは、撮影した写真をすべて会陽奉賛会や観音院に提供しているという。逆にいえば奉賛会や観音院の写真班ともいえる立場にあるので、このような迫力ある写真が撮れる。 |
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写真下も中井さんの撮ったものだが、ご自分の名は出さず、特別な立場を利用して撮影したものであるため、写真コンテストにも応募せず、黒子役に徹したボランティア活動を続けれおられる。キャプションがなくとも、中井さんの写真だということはみんな分かるし、地元で知らない人はいないという。 |
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現在は、梁から飛び降りるのは危険行為として禁止されている。 |
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写真:西大寺会陽奉賛会 |
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▼ 宝木投下30秒後ほどで顕著な動きが見られ、大床中央から南に移動しながら崩れてゆく渦の攻防を捉えた。 |
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本堂大床 |
の攻防! 22:00:36 |
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おおゆかの ふくとりにわく えようかな |
Festival Eyo, enthusiasm for taking lucky charms at Ohyuka hall. |
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本堂大床 |
の攻防!(クローズアップ) 22:00:36 |
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BGM は、写真撮影をしながらICレコーダーで音声を録音したものである。撮影係と録音係の1人2役なので、上手く採録できておらず、雑音が入って耳障りと思われるが、ご容赦願いたい。 |
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このBGM を聞きながら作品を見ると、はだかまつりの臨場感を得るには、音声も大事であることが良く分かる。カシャ、カシャという音はシャッター音で、激写している様子が記録されていて、これも一興であろう。 |
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撮影:ちばあきお |
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▲▼ 上下3枚の写真は、平成17年(2005)の本押の様子をちばあきおさんが望遠レンズで撮影したもの。大床の激しい攻防戦が見事に切り取られている。 |
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撮影:ちばあきお |
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▲▼ 宝木には香が炊き込まれているので、褌に隠しても匂いで分かるという。最初に手にしても、押し潰され、奪われてしまう。そこで、チームを組み、次々と宝木をリレーして、渦から逃げ出すことが成功の秘訣だという。 |
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撮影:ちばあきお |
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▼ 裸の渦が大床から南の境内に移動したあとは、まったく動きが見えなくなった。中井さんによると、例年、境内でも渦が見え、移動していく様子が分かるが、今年は何の動きもないという。4〜5分経っても何も起こらないので、「宝木は抜けた模様」との場内放送があり、間もなく「宝木は抜けた」と判定し、裸たちに引き上げるよう促(うなが)した。 |
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その後特段の動きもなく |
宝木 |
は抜けた模様 22:04:30 |
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後で参加者に聞いてみると、いつもは闇の中で宝木が投下されるが、今年は明かりがついてから投下されたために宝木が見えてしまい、直ぐに決着がついてしまったという。 |
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少年はだか祭りの宝筒争奪戦といい、本番の宝木争奪戦といい、今年の会陽は、余りにも早く決着が付いてしまったために、あっけない印象が残った。ボクシングで云えば、第一ラウンドのKO勝ちで試合が終わったときのような感じである。 |
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3年連続で |
取主 |
となった寺坂幸也さん 22:08:40 |
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拡大写真(1800X1300)302KB |
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▲ しかし、プロレスのようなショーではなく、八百長なしの真剣勝負であり、見事な会陽だったといえる。偶然にも写真上に3年連続取主に輝いた寺坂幸也さんが写っていた。 |
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▲▼ 三々五々引き上げる裸たちの中に、本押の壮絶な争奪戦を物語る赤い勲章(傷)を負った人が散見された。 |
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▲▼ 勝負は早かったが、宝木が投下されるまでの本押は凄いもので、宝木が抜けた後、大床に倒れて動けなくなった裸の救護作業が続けられた。救護班の後方に撮影位置を確保していたので、私の前を3人ほど負傷者が担架に乗せられ、救護センターに運ばれていった。 |
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BGM の音声にも「担架!担架!」という声が入っており、生々しい救助活動の様子が採録されていた。救護を担当した日本赤十字社岡山県支部によると、20人が手当を受けたり病院に搬送されたりしたが、いずれも命に別条はなかったという。平成19年(2007)には、本押で戦後二人目の死亡事故が発生したこともあり、事故防止には万全の態勢が敷かれており、担当者たちは無事に終わったことに安堵していた。 |
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▼ 下の男性は禁じられている地下足袋を履いている。これで踏まれた人は、随分痛かったのではないだろうか。この人が宝木を取っても、ルール違反で、取主に判定されないだろう。 |
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ふんどしと たんかでかえる えようかな |
The Eyo Ritual, going home with a loincloth and a stretcher. |
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▼ 警察官の肩を借りて救出された男性の友人が心配そうに見守っている。遠くから見ていただけでは分からない激しい攻防戦があったことが伺われる。 |
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【追記】救出された男性は、木原さんで、この写真は、NHK総合 平成23年(2011)4月29日(金・祝)18:10〜18:44 「激闘!9000人 岡山・西大寺裸祭り」の中で、「裸の群衆の中で倒れて意識不明になったにも関わらず、今年も会陽が大好きだった亡き父のためを思う一心で、一年間の厳しい鍛錬ののち形見の褌を締めて裸の渦に飛び込んだ木原さん」の救出シーンに使用されている。(発表当初、写真はモザイクを施していたが、ご本人の了解を経て、原画に差し替えた。) |
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▼ 中井さんと救護センターのテントのそばから場外に抜け出し、宝木仮受所となっている西大寺商工会議所に行った。腕章がものをいい、直ぐに中に入ることができたので、最後の難関を無事に突破できたのが嬉しかった。 |
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既に場所取りで頑張っている記者がいたので、トイレを済ました後、二列目に陣取ることが出来、山主による宝木の検分作業や取主たちの勇姿を写界を妨げられることなく完璧に撮影することができた。 |
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宝木仮受所 |
に入る |
取主 |
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/ 撮影:2005年2月19日 |
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撮影:ちばあきお |
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▲▼ 最初の取主の宝木が仮受所に持ち込まれたので、早速、宝木を作成した西大寺の僧侶が寺から持参した片割れの木片を宝木に合わせ、大きさや木目などを照合し、真正であるとの判定を下した。 |
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僧侶による |
宝木 |
の検分/宝木仮受所(西大寺商工会議所) 22:44 |
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拡大写真(1800X1450)354KB |
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▲▼ 最初に持ち込まれた宝木の取主は寺坂グループで、3人が仮受所に呼ばれ、住所氏名などを記帳した。 |
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▲▼ 宝木投下1時間後に福男に認定されたのは、寺坂グループの古屋野幹仁さん(38歳 倉敷市)、加島谷祐司さん(30歳 東区西大寺)、寺坂幸也さん(41歳 東区西大寺)の3人。一升桝に山盛りの米に宝木を突き立てて、報道陣にポーズを取った。今回、3年連続福男に輝くという快挙を成し遂げたので、ことさら注目を浴びた。 |
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3年連続 |
福男 |
となった寺坂グループ/西大寺商工会議所 23:01 |
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古屋野幹仁(38歳 倉敷市) |
加島谷祐司(30歳 東区西大寺) |
寺坂幸也(41歳 東区西大寺) |
敬称略 |
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拡大写真(1800X1520)237KB |
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▼ 間もなく、二組目の取主が仮受所に姿を現し、検分の結果、飯田組の田坂大地さん(34歳 東区瀬戸町)、飯田耕太郎さん(40歳 姫路市)、岡田勲さん(66歳 東区竹原)の3人が福男に認定された。 |
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ふくおとこ えようでみせる はつわらい |
Lucky men, showing their first smiles for the year at Eyo Festival. |
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二組目の |
福男 |
飯田組の3人 23:07 |
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田坂大地(34歳 東区瀬戸町) |
飯田耕太郎(40歳 姫路市) |
岡田勲(66歳 東区竹原) |
敬称略 |
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拡大写真(1800X1450)244KB |
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▲▼ 取主たちは、宝木を取ったあと、拠点に持ち帰ったり、林グループのように大床で参拝したりするので、いつ仮受所に現れるか誰にも分からない。いつ来るか分からないまま、場所取りをして待つ記者たちの苦労も並大抵ではない。 |
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資料 |
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▲▼ 二組の福男たちは、あらかじめ決められた20人ほどの集団となり、宝木仮受所を出発し、福男凱旋パレードと記した径路を歩いて両備グループの御福頂戴(ごふくちょうだい)会場に向かった。 |
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祝主 |
の式典会場に向かう |
福男 |
たち 23:17 |
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▲▼ 途中で飯田さんから宝木の臭いをかがせてもらった。前日500円払って本堂の内部を拝観・取材した際に頂いた護符の香りとほぼ同じもので、仄(ほの)かで上品な御香が炊き込まれていた。 |
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拾った人が褌の中に隠しても分かるといわれたが、それほど強烈ではなかった。1時間以上経っているので、香りが飛んでしまっていたのかもしれない。 |
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▲▼ 福男たちの凱旋コースはあらかじめ決まっており、寄り道ができないので、飯田グループの拠点に立ち寄ることは認められなかったが、寺坂グループは、コース上に寺坂邸があったので、記念撮影をすることができた。 |
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▼ 両備バス西大寺ターミナルの交差点に近づいたところで、福男たちは馬を組み、「わっしょい!わっしょい!」と威勢よく掛け声をかけて福受会場に向かった。幸いにもこの勇壮で晴れがましい光景を切り取ることが出来た。 |
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馬を組んで福受会場に凱旋する寺坂グループ 23:25
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