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 旅紀行日本の裸祭り

2012年10月27改訂

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♪太鼓メドレー

長き夜や褌腰蓑鬼踊  北舟

 

A long autumnal night, Ogre Dance wearing a loincloth with a straw apron.

2009年10月11日制作

早くも佳境に入った天下の奇祭「鬼踊り」 23:00

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早くも佳境に入った天下の奇祭「鬼踊り」/見付天神拝殿(静岡県磐田市)

国指定重要無形民俗文化財

神紋:八弁菊   矢奈比賣天神社   神紋:剣梅鉢

 

見付天神裸祭

鬼 踊

▼ まだ午後11時の堂入りまでに20分もあり、かなり余裕があると思っていたが既に西区の先頭集団は、東区の宮本(住吉町)会所に差し掛かっており、何とか追い越して、宮本町会所の前を進む裸っぽたちの勇姿を捉えることができた。

見付天神に向かう西区の先頭集団/東区梯団宮本(住吉町)会所前 22:42

見付天神に向かう先頭集団/東区梯団宮本(住吉町)会所前 22:42

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▲ 堂入り一番乗りは、西区梯団の月松社(げっしょうしゃ)(中央町)と決まっている。はやる彼らを抑えるべく、横一列にスクラムを組み、青手拭いで手首を縛り付けてスクラムが解けないようにしている前〆(まえじめ)たちは、西区梯団を拝殿まで〆ている龍陣(りゅうじん)河原町(かわらちょう)の青年である。

堂入り一番乗りを目指して疾走する若者/見付天神拝殿 22:47

堂入り一番乗りを目指して疾走する若者/見付天神拝殿 22:47

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▲▼ 一足先に拝殿のスロープで待機していたところ、予定よりも13分も早く、午後10時47分に「境松」の提灯を持つ月松社(げっしょうしゃ)の堂入りが始まった。出来る限り鬼踊りを長くしたいとの思いで、堂入りを早めた西区梯団長の英断だろう。早めに待機していたことが功を奏し、一番乗りで拝殿に駆け上がる裸っぽたちの勇姿を切り取ることができた。

月松社(西区)の堂入り/見付天神拝殿 22:47

月松社(西区)の堂入り/見付天神拝殿 22:47

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月松社による鬼踊りの開始/見付天神拝殿 22:47

月松社による鬼踊りの開始/見付天神拝殿 22:47

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▼ 天井のスプリンクラーから撒水(さんすい)が開始されると拝殿の中は徐々に汗と熱気が広がり、やがて堂内を広く包んでむせ返るほどになる。褌腰蓑姿の裸っぽたちが押し合いへし合い、「オイッショ、オイッショ!」という精力的な掛け声と踏みならす床音が次第に激しくなって行く。

次々に西区祭組が堂入りし一斉に散水開始 22:53

次々に西区祭組が堂入りし一斉に散水開始 22:53

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▲▼ この拝殿内の裸練りを「鬼踊り」という。天保(てんぽう)3年(1832)、たまたま歌舞伎の地方巡業中、この裸祭に出くわした七世市川団十郎(白猿)が記した見聞録「遠く見ます」には、「御社に入りてくみ合(あい)、よんやサアもんやサアとくみ合ふ、是を鬼おどりといふ」とあり、既に江戸時代には「鬼踊り」と呼ばれていたことが分かる。当時は「よんやサア、もんやサア」という掛け声だったらしく、現在のものと違っているのも興味深い。

鬼踊りを中心に交代組が壁際で見守る 22:55

鬼踊りを中心に交代組が壁際で見守る 22:55

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観客が三方から見物 22:57

観客が三方から見物 22:57

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▲▼ 広い拝殿は裸っぽたちの独壇場で、天井のスプリンクラーの水煙が力水となり、汗と熱気と腰蓑の藁の臭いが堂内に満ち、「オイッショ、オイッショ!」の掛け声も勇ましく、地団駄(じだんだ)踏んで床音が響き渡る。

激しい散水でビショビショに 22:58

激しい散水でビショビショに 22:58

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▲▼ この鬼踊りの練りは、ゆっくりと時計回りに廻ることになっている。拝殿内で振り鳴らされる觸鈴は、1つだけで、リストバンドを付けた觸番しか使うことが出来ない。一番觸の觸番たちが觸鈴を次々に打ち鳴らすが、踊りの喧噪の中で、鈴の音は全く聞こえなかった。

肩車で鬼踊り

肩車で鬼踊り

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  長き夜や褌腰蓑鬼踊 北舟 

ながきよや ふんどしこしみの おにおどり

A long autumnal night, Ogre Dance wearing a loincloth with a straw apron.

男の晴れ舞台

男の晴れ舞台

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▼ 今回の取材で、鬼踊りの最高傑作が下の写真。映画のような演技ではないので、偶然の産物に他ならない。傑作を撮る秘訣は数多くシャッターを切ること。数えてみると拝殿での鬼踊りは880枚2.3GB撮影していた。

早くも佳境に入った天下の奇祭「鬼踊り」/西区 23:00

早くも佳境に入った天下の奇祭「鬼踊り」/西区 23:00

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▲ 一番觸の觸鈴を持った格好良い男性は、芥田晃志(あくたこうじ)さん。速報版を見てメールを頂いた。
 「鬼踊りの熱気の中に、計算されたような偶然の構図が、和田さんのステキな空間激写を芸術にし、その中に僕が入っていて光栄です。これからも、ステキな写真を追い求め、気をつけて世界を撮ってくださいね!! それでは、また来年の鬼踊りで・・・・・」

リストベルトが觸鈴を持つことができる觸番の証し/一番觸(西区) 23:05

リストベルトが觸鈴を持つことができる觸番の証し/一番觸(西区) 23:05

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▲▼ 「シャン、シャン、シャン」の鈴の音も喧噪の中に打ち消され、「鬼踊り」と称されるにふさわしい勇壮な裸練りが1時間以上にわたって繰り広げられた。褌腰蓑という独自の装束を身にまとった男たちは、群集心理の中で自己陶酔の境地を彷徨(さまよ)っているかのように見えた。

気迫の形相/一番觸(西区) 23:15

気迫の形相/一番觸(西区) 23:15

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▲▼ 前述の七世市川団十郎(白猿)の「遠く見ます」には、「氏子の形(な)り、・・・すごく坊ずのすがた也、水ごり取(とり)、さらし切立(きりたて)、ふどし(褌)、こしにあらなわ大七五三(しめ)をまく」とあり、腰蓑は注連縄(しめなわ)と見ている。

大島秀敏警固長の鬼踊り/一番觸(西区) 23:26

大島秀敏警固長の鬼踊り/一番觸(西区) 23:26

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▲▼ また、明治41年(1908)9月発行の「風俗画報」に「見付天神の裸体祭」が紹介されているが「神輿守護する人のみ烏帽子・白衣を着し、其余(そのよ)附随(つきしたが)ふ御供(おとも)の人々は皆丸裸にて腰に注連(しめ)を引きまはし」と書かれており、腰蓑を注連縄(しめなわ)(七五三縄)と説明している。
 腰蓑は、浦島太郎のように漁師が前掛け代わりにまとった防水具ではなく、横綱の土俵入りの際に化粧まわしの上に付ける横綱のように不浄を防ぐために身につけた注連縄(しめなわ)だと考えられている。

大人に混じって頑張る水陣の少年

大人に混じって頑張る水陣の少年

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二番觸の堂入り(西中区) 23:27

二番觸の堂入り(西中区) 23:27

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▲ 西区・一番觸が堂入りしてから40分が経過した後、西中区の二番觸が堂入りした。西区の堂入りが早く西中区の堂入りが遅れたため、40分もの間、西区の独壇場となっていた拝殿も、勢力が増え、更に熱気が増した。赤の二番觸の觸鈴を持った松本さんが幣殿で激写している私にアテンドしている福代さんと熱い握手を交わした。

二番觸の赤いリストバンドと觸鈴/西中区 23:28

静岡銀行前で西区と擦れ合った東中区梯団/旧東海道 21:46

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▲▼ 赤の二番觸の鈴が堂内に入ると、一番觸の鈴は振り合わせをしたあと仕舞われる。鈴は何個も予備があるが、堂内で打ち鳴らすことができるのはこの新品の1個だけ。二番觸の鈴は、赤いリストバンドの觸番(ふればん)しか手にすることができないという厳しい掟が今も守られている。

鈴の受け渡し/西中区 23:31

汗だくのスクラム行進/東中区

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▼ 主役が新しい顔ぶれに変わった堂内で、西中区二番觸の警固長・内田啓吾さんが肩車の上で赤の觸鈴を打ち鳴らし、鬼踊りを披露。堂内は熱気の渦で、更に盛り上がっていった。

内田啓吾警固長の鬼踊り/二番觸(西中区) 23:32

梯団長を先頭に東に向けてパレードする西区梯団/旧東海道 21:47

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▼ 予定通り、午後11時半頃、東中区の大梯団が堂入りし、拝殿は動きが取れないほど裸っぽで満ちあふれ、鬼踊りの名にふさわしい裸狂乱踊りの坩堝(るつぼ)とでも云うべき様相を呈してきた。

東中区も堂入りして三梯団23ヵ町がひしめき合う鮨詰め状態 23:33

東中区も堂入りして三梯団23ヵ町がひしめき合う鮨詰め状態 23:33

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