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▲▼ 和尚吉三もまた二人の気持ちに応え、互いの腕から血を取って固めの血杯をかわし、百両は一旦和尚が預かることとなって決着する。 |
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▼ 幕間に、富籤(とみくじ)による景品がプレゼントされた。配付されたプログラムの左上に四桁の数字が印字されており、千両箱から引き出した当たり籤の番号を読み上げ、当選者に景品が渡された。 |
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白浪五人男 |
稲瀬川勢揃の場 |
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「白浪五人男」は、泥棒を主人公にした作品「白浪物(しらなみもの)」を得意とした河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の代表作の1つで、日本駄右衛門(にっぽんだえもん)・弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)・南郷力丸(なんごうりきまる)・赤星十三郎(あかぼしじゅうざぶろう)・忠信利平(ただのぶりへい)の5人の泥棒の因果を描いた作品である。 |
主役の弁天小僧菊之助役は、文久2年(1862)の初演時に、当時19歳だった五代目尾上菊五郎(おのえきくごろう)が大当たりを取って以来、代々の菊五郎が当り役としている。 |
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主役の弁天小僧菊之助/島津陽(月島第三小6年) |
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あらすじ |
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▲▼ 「浜松屋」の仕事がきっかけとなり、日本駄衛門一味へのお上の詮議の手が伸び、五人男は追っ手を逃れて鎌倉まで落ち延びようと、桜が咲き乱れる稲瀬川の提までやってくる。 |
揃いの小袖に番傘という粋な姿で、これ以上逃げ切れなくなったら最後の一働きをして縄目にかかろうと覚悟を決め、取り囲まれた捕り手たちに、潔く「成敗受けん」と啖呵を切り、一人一人名乗りを上げた後、捕り手たちに立ち向かってゆく。 |
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「日本駄衛門」:問われて名乗るもおこがましいが 生まれは遠州浜松在 十四の年から親に放(はな)れ 身の生業(なりわい)も白浪の 沖を越えたる夜はたらき 盗みはすれど非道はせず 人に情けを掛川から 金谷(かなや)を掛けて宿々(しゅくじゅく)で 義賊と噂高札(たかふだ)の 廻る配符のたらい越し 危ねえその身の境遇(きょうげえ)も 最早四十に人間の 定めは僅か五十年 六十余州に隠れのねえ 賊徒(ぞくと)の張本(じょうぼん) 日本駄右衛門(にっぽん・だえもん) |
「弁天小僧菊之助」:さてその次は江ノ島の 岩本院の稚児あがり 普段着慣れた振袖から 髷も島田に由比が浜(ゆいがはま) 打ち込む波にしっぽりと 女に化けて美人局*(つつもたせ) 油断のならねえ小娘も 小袋坂に身の破れ 悪い浮き名も龍の口(たつのくち) 土の牢へも二度三度 段々超(こご)る鳥居数(とりいかず) 八幡様の氏子にて 鎌倉無宿(むしゅく)と肩書きも 島に育ってその名せえ 弁天小僧菊之助(べんてんこぞう・きくのすけ) |
*美人局:夫婦が共謀し行う恐喝・詐欺行為。妻が「かも」になる男を誘って姦通し、行為の最中または終わった瞬間に夫が現れて、妻を犯したことに因縁をつけ、法外な金を脅し取ること。妻でなく、他の女性でも同様。 |
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しんりょくや こどもかぶきの めいぜりふ |
New green leaves, the fine words of child Kabuki. |
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南郷力丸
手嶋雄也(佃島小3年) |
赤星十三郎
大野千尋(豊海小2年) |
忠信利平
本間天詞(月島第三小3年) |
弁天小僧菊之助
島津陽(月島第三小6年) |
日本駄右衛門
岡部芽以(佃小5年) |
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「忠信利平」:続いて後に控ひけえしは 月の武蔵の江戸育ち がきの折りから手癖が悪く 抜け参(めえ)りからぐれ出して 旅を稼ぎに西国(さいこく)を 廻って首尾も吉野山 まぶな仕事も大峰(おおみね)に 足をとめたる奈良の京 碁打といって寺々や 豪家(ごうか)へ入(い)り込み盗んだる 金(かね)が御嶽(みたけ)の罪料(つみとが)は 蹴抜の塔(けぬけのとう)の二重三重(にじゅうさんじゅう) 重なる悪事に高飛びなし あとを隠せし判官(ほうがん)の お名前(なめえ)騙(かた)りの忠信利平(ただのぶ・りへえ) |
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「赤星十三郎」:亦(また)その次に連なるは 以前は武家の中小姓 故主(こぬし)のために切り取りも 鈍き刃(やいば)の腰越えや 砥上ヶ原(とがみがはら)に身の錆を 研ぎ直しても抜けかぬる 盗み心の深みどり 柳の都(みやこ)谷七郷(やつしちごう) 花水橋(はなみずばし)の切り取りから 今牛若と名も高く 忍ぶ姿も人の目に 月影ヶ谷(つきかげがやつ) 神輿ヶ獄(みこしがだけ) 今日(きょう)ぞ命(おさきち)の明け方に 消ゆる間近き星月夜(ほしづきよ)、その名も赤星十三郎(あかぼし・じゅうざぶろう) |
「南郷力丸」:さてどん尻に控けえたは 潮風荒らき小動(こゆるぎ)の 磯馴(そなれ)の松の曲がりなり 人となったる浜育ち 仁義の道も白川の 夜舟に乗り込む舟盗人(ふなぬすっと) 波にきらめく稲妻の 白刃(しらは)で脅す人殺し 背負(しょ)って立たれぬ罪科(つみとが)は その身に重き虎ヶ石(とらがいし) 悪事千里というからは どうで終(しめえ)は木の空と 覚悟はかねて鴫(しぎ)立つ沢 然し哀れは身に知らぬ 念仏嫌れえの南郷力丸(なんごう・りきまる) |
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「成敗受けん」と啖呵を切る白浪五人男のフィナーレ 14:50
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今回上演されなかったが、有名な「弁天小僧菊之助・浜松屋店先の場」の名台詞をBGMの3曲目に流している。 |
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「弁天小僧菊之助」:知らざあ言って聞かせやしょう 浜の真砂と五右衛門が 歌に残した盗人の 種は尽きねえ七里ヶ浜 その白浪の夜働(よばたらき) 以前を言いやあ江ノ島で 年季勤めの稚児が淵 百味講(ひゃくみ)で散らす蒔き銭(せん)を あてに小皿の一文字(いちもんこ) 百が二百と賽銭の くすね銭せえ段々と 悪事はのぼる上(かみ)の宮 岩本院で講中(こうじゅう)の 枕捜しも度重なり お手長講の札付きに とうとう島を追い出され それから若衆(わかしゅ)の美人局(つつもたせ) ここやかしこの寺島(てらじま)で 小耳に聞いた爺(おとおや)の 似ぬ声色(こわいろ)でこゆすりたかり 名せえゆかりの弁天小僧菊之助たぁ俺がことだぁ! |
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捕手
大澤杏子(日本橋中1年) |
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捕手
石黒舞(京橋築地小3年) |
捕手
染谷凪(晴海中1年) |
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捕手
元井皓己(泰明小4年) |
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▲▼ 成功裏に終わった例大祭奉納公演の後、一座は4月30日(金)に閉館した歌舞伎座に赴き、舞台衣装のまま、正面玄関をバックに記念撮影を行った。 |
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▲▼ 舞台裏から最後の記念撮影まで、一座と共に行動して密着取材をすることができたが、芝居の完成度はかなり高かった。何より時代考証が完璧で、殆ど見えない褌までキチッと締めていることに感心した。台詞に詰まったり、とちったりすることもなかった。 |
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しかし、小学校低学年の演技は子供っぽく、大泥棒のイメージとミスマッチであるために失笑を買うシーンもあったが、身体ができていないので、それ以上期待するのは酷というものだろう。 |
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歌舞伎座でフィナーレの再演/白浪五人男 15:50
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▲▼ 諸河文子代表は、毎日新聞の取材に、「歌舞伎座は取り壊されますが、子供たちにはこの風景を記憶の中にとどめ、日本の伝統芸能を引き継いでいって欲しい」と話していたが、実に素晴らしい社会貢献であり、頭が下がる。 |
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「こども歌舞伎」は、歌舞伎座前の神輿差しと共に鐵砲洲大祭の看板の一つになったことは間違いなく、他に例のない素晴らしい文化活動として、今後の更なる発展を祈念したい。 |
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撮影:星宏幸 |
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