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湯殿山滝行 |
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厳出羽三山神社 |
山形県鶴岡市 |
平成23年(2011)8月6-8日(金-日) |
撮影・制作:和田義男 |
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平成23年(2011)8月6日(土)から8日(月)迄の三日間、山形県鶴岡市に鎮座する出羽三山神社で錬成修行道場が開催された。出羽三山は、山形県庄内地方に広がる羽黒山(はぐろさん)(414m)月山(がっさん)(1,984m)湯殿山(ゆどのさん)(1,504m)の総称で、修験道を中心とした山岳信仰の場として、現在も多くの修験者や参拝者を集める。 |
出羽三山神社の創建は、推古元年(593)に蜂子皇子(はちこのおうじ)が羽黒大神を勧請した事が始まりという。彼は、羽黒山に寂光寺を開山すると、月山と湯殿山を次々に開いて出羽三山修験の祖となった。 |
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湯殿山(1,504m)は、出羽三山の南端に位置し、その北東約5kmの月山(1,984m)に連なる霊山である。湯殿山北側中腹の梵字川(ぼんじがわ)の侵食によってできた峡谷に、五穀豊穣・家内安全の守り神として崇敬される湯殿山神社(1,100m)がある。女性の秘所に似た霊巌(れいがん)が御神体で、不思議なことにその頂上から湯が流れ出ており、社殿のない神社として知られる。 |
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たっぷりと |
鳥舟 |
(準備運動)を行う |
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二日目、午後3時過ぎ、湯殿山本宮の境内に到着。女性たちは、更衣室で滝行用の白衣に着替えたが、男性は空き地で褌一丁になった。滝行の装束は、男性は越中褌一丁の裸形、女性は白の上衣に半股引(ハーフパンツ)。男女とも出羽三山の朱印を押した白鉢巻を締め、白足袋
(靴下)・草鞋(わらじ)を履いている。 |
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梵字川 |
の沢を |
遡上 |
する 2011.8.7 15:26 |
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▲▼ 行人たちは、神の依代(よりしろ)となる梵天(ぼんてん)を芭蕉の句碑に立てかけ、
神の降臨に拝礼した後、準備運動の鳥舟(とりふね)をたっぷりと行った
あと、含満ノ滝に向かった。 |
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梵天を持つ佐藤篤班長 |
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▲▼ 含満ノ滝(かんまんのたき)は、芭蕉の句碑から月山登山道を150mほど上った左手にある。それほど大きな滝ではないが、湯殿山の雪解水(ゆきげみず)を集めて流れが速く、水量もあるので、滝壺がえぐられて深くなっており、途中、泳がないと背が立たない箇所があった。 |
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男女を左右に振り分ける太田慶春 |
道彦 |
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15:28 |
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▲▼
真っ先に佐藤班長が梵天を持ったまま滝壺に飛び込み、滝の中央で滝に向かって梵天を保持したまま仁王立ちした。班長が流されないように支える人が後ろに付くと、それを合図に行人たちの滝行が始まった。 |
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ゆどのさん しろふんどしの たきぎょうにん |
Mt. Yudono,
ascetics of white loincloth beneath a waterfall. |
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梵天 |
を先頭に滝行の開始 / |
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含満ノ滝 |
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▼ 滝の水圧に抗するため、道彦と助彦が行人の肩などを保持して、滝壺に流されないように支援
してくれる。
道彦に保持されて合掌しているのは、ベテランの五十嵐満喜子さん(山形県新庄市)。雪解水(解けた雪)の冷たさを一身に受け、堪え忍ぶひととき! |
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▼
三日目、御沢橋のたもとから2〜3分ほど進んだところから沢に入り、御沢駈けが始まった。全員、足袋草鞋なので、滑ることもなく、順調に梵字川の川床を遡上(そじょう)した。 |
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ゆどのさん なつそうちょうの おさわがけ |
Mt. Yudono,
going along a stream
early morning
in summer. |
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▼ 御沢駆けのあと到着した御滝(おたき)は、縦縞模様の赤く鮮やかな岩壁の上端から落差10mほどの雪解水(ゆきげみず)が二筋流れ落ちている。向かって左が雌滝(めだき)、
右が水流の強い雄滝(おだき)である。崖の表面を彩る赤色模様は、御神体と同様の鉄分を含んだ結晶体と思われる。 |
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雌滝 |
水流の強い雄滝 |
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▲▼ 拝礼が終わると、直ちに準備運動の鳥舟が始まった。男性は流速の強い右側の雄滝で水行し、女性は左側の雌滝を利用する。雌滝には太田道彦が、雄滝には佐藤助彦が指導に当たる。 |
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滝壺の |
鳥舟 |
(男性)/
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雄滝 |
06:43 |
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▲▼ 行人たちは、既に小一時間の御沢駈けで、汗が出るほどウォーミングアップしているが、禊行法に従って、みっちりと鳥舟を実践した。ここでの鳥舟は、身体に喝(かつ)を入れ、気合を高める効果がある。 |
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滝壺の |
鳥舟 |
(女性)/
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雌滝 |
06:47 |
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▼ 鳥舟が終わると、昨日の含満ノ滝と同じように、佐藤篤班長が真っ先に雄滝に入って滝行を行い、錬成道場最後の修行が始まった。 |
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たきぎょうじゃ ふどしいっちょう ゆきげみず |
Melted
snow running,
the ascetic naked with a loincloth beneath a waterfall. |
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ほとばしる れいきにうたる たきぎょうじゃ |
An ascetic
of
waterfall, purifying himself with outpouring sacred energy. |
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千葉県佐倉市から今年初めて錬成道場に参加された足立元秀さんは、江戸時代から一定の年齢になると団体で出羽三山にお参りし、その証として、町内に碑が建てられるという。通過儀礼として行われる講のようなものらしい。 |
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▲▼ 足立さんもしきたりに従って出羽三山に参拝したが、今年、その御礼の意味もあって錬成道場に参加したという。山形県の出羽三山の威光が遠く千葉県佐倉市にまで及び、現在も存続していることに驚きを禁じ得ない。 |
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▼
石倉司さん(38歳)は、青森県むつ市に鎮座する川内八幡宮(かわうち・はちまんぐう)の禰宜(ねぎ)で、父の後を継いで宮司になるべく修行に励んでいる。有り難いことに、石倉さんはWa☆Daフォトギャラリーのファンで、彼の方から声を掛けてくれ、道彦に素晴らしいサイトだと紹介してくれた。 |
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石倉司さん(青森県むつ市 38歳)の滝行 / 雄滝
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▲▼ 明るく穏やかなお人柄で、きっと素晴らしい宮司になる方だと確信した。石倉さんが滝に打たれている姿は、仏のようでもあり、やはり日本人には、神仏習合の文化が似合う。 |
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▼
雄滝の水流は、その流量と相まって予想外に強く、水圧に屈して倒れる初心者も見られたが、佐藤助彦の支援で、男性行人の滝行は、滞りなく進められた。 |
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佐藤敬幸 |
助彦 |
の支援を受けて滝行 / 雄滝 |
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▼ 佐藤さんの冒頭の滝行は、素晴らしいものだったが、撮影ポイントを模索中の撮影で、不満が残ったため、再度滝行をやってもらった。水量が多いと、水に隠れて殆ど見えないので、今度は滝の裏側に立ってもらった。 |
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ゆどのさん おたきぎょうにん ぬれふどし |
Mt. Yudono,
the wet fundoshi loincloth of the ascetic of Otaki falls. |
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滝行を終えて滝壺から上がる佐藤さん。アップで撮影すると、顔面が赤らみ、目が充血しているのが分かる。傍目には楽そうに見えても、かなり厳しい水行である。一部、鳥肌が立っている。雪解水は英語で書くと
melted snow
つまり「解けた雪」ということなので、夏でも冷たい。湯殿山の滝行は、一回の時間がかなり長く、身体への負担は予想外に大きい。 |
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