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はじめに |
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日本の神社仏閣では、正月に褌(ふんどし)一丁の裸形(らぎょう)か、ところによっては全裸になって禊(みそぎ)を行う風習がある。神道では夏越(なごし)の祓(はらえ)と年越(としこし)の祓(はらえ)の夏冬二回、斎戒沐浴(さいかいもくよく)して罪や穢(けが)れを落とす行事があり、これらを総称して大祓(おおはらえ)という。 |
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また、寒い時期に心身の鍛練のために、滝行(たきぎょう)や寒垢離(かんごり)などの荒行も行われている。高温多湿の気候風土と豊富な水資源に育まれ、折にふれて水を浴び、水に打たれる風習は、日本独自の裸褌(はだかふんどし)文化である。 |
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このたび、Wa☆Daフォトギャラリー10周年記念として、これまでに発表してきた日本の裸祭りシリーズの中から、全国で行われている禊を抽出してダイジェスト版を作成し、暦順に集大成した。現在、32件を収録しているが、今後も新作の発表の都度追加して、より完璧を期したい。 |
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● 平成23年(2011)1月16日、「正月上」に「胡四王蘇民祭」(1月2日)の寒中禊を追加し、累計33件となった。 |
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● 平成23年(2011)2月14日、「正月下」に「八海山滝行」(1月29-30日)を追加し、累計34件となった。 |
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● 平成23年(2011)7月11日、「文月」として新たに「島立堀米の裸祭り」(7月3日)を追加し、累計35件となった。 |
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● 平成23年(2011)9月2日、「 葉月」として新たに「湯殿山滝行」(8月6-8日)を追加し、累計36件となった。 |
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● 平成24年(2012)2月20日、「正月下」に「五大尊蘇民祭」(1月28-29日)を追加し、累計37件となった。 |
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● 平成24年(2012)3月24日、「如月中」に「松平天下祭」(2月11-12日)を追加し、累計38件となった。 |
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● 平成25年(2013)1月12日、「正月上」に「石浦神社元旦禊」(2月11-12日)を追加し、累計39件となった。 |
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【凡例】 ▲:上の画像の説明文 ▼:下の画像の説明文 〈 画像の左クリック 〉:別窓に拡大写真を表示
タイトル「例:小松神社裸参り」をクリック:別窓に作品「例:小松神社裸参り」を表示 |
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小松神社裸参り |
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小松神社 |
大分県国東市 |
平成22年(2010)正月元旦(金) |
撮影・原作:清原 浩 監修:和田義男 |
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▲ 平成22年(2010)の元旦早朝、大分県国東市国東町見地(おおいたけん・くにさきし・くにさきまち・けんじ)に鎮座する小松神社(こまつ・じんじゃ)で、年迎え行事として800年の昔から続く裸参りが行われた。 |
▼ 小松神社は田畑に面する小高い山の上にあるため、田深川(たぶかがわ)の垢離取り場まで数百メートルの距離があり、裸参りの氏子たちは、参道と100段の石段を往復する。 |
裸参りの参加者は14人。一人の長老がリーダーとなり、率先垂範して若者13人を指導していた。氏子たちは社務所で越中褌一丁の裸形になったあと、白装束の宮司に導かれて、凍てつく参道や農道を歩き、田深川の垢離取場に向かった。 |
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懐中電灯を頼りに雪道を褌一丁で田深川に向かう氏子たち
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▲▼ 垢離取場は、田圃(たんぼ)や畑の中にあるため、深夜、暗闇の中で、懐中電灯だけが頼りの行進だった。田深川の垢離取場に着くと、先頭の長老が褌を解き、全裸となって冷水に入り、そのあとに若者たちが続いた。本来は全裸で垢離を取るの習わしだが、恥ずかしいのか、3人の若者が褌を外さずに水に入った。 |
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がんたんや ふんどしはずして こりをとる |
New Year's Day, performing water ablutions taking off loincloths. |
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石浦神社元旦禊 |
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石浦神社 |
石川県金沢市本多町 |
平成25年(2013)1月1日(日) |
撮影・原作: カウカヒゆたか 監修:和田義男 |
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平成25年(2013)1月1日(火)の早朝、石川県金沢市本多町(ほんだまち)に鎮座する石浦(いしうら)神社(
長谷吉憲宮司
38歳)で氷点下6℃の降雪の中、恒例の元旦禊が行われた。
毎年元旦の早朝2時から石浦神社で行われる寒禊は金沢を代表する元旦の行事である。戦後から続けられているこの寒禊は、大雪が降っても中止されることはなかったといい、金沢っ子の心意気が伝わる勇壮な行事である。
平成25年(2013)は、総勢62名(内女性3名)が参加し、長谷吉憲宮司(38歳)自らが褌一丁の裸形(らぎょう)となって寒垢離(かんごり)の指導者である道彦役を務め、雪の降り積もる境内で、手水舎(ちょうずや)の冷水をかぶる初禊が行われた。
(外気温が-6℃なので、水の方が暖かい。) |
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あらたまの ちょうずをかぶる ふどししゅう |
Men of fundoshi, pouring
hand cleaning water over head at the beginning of the year. |
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名作アニメーション |
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拡大写真:気合いの禊!/2012年元旦拡大写真(1100X1600)328KB |
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白子海岸初禊 |
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江島若宮八幡神社 |
白子海岸(三重県鈴鹿市) |
平成20年(2008)正月元旦(火) |
撮影・原作:市川 清 監修:和田義男 |
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▲▼ 平成20年(2008年)元旦(火)早朝、三重県鈴鹿市の白子(しろこ)海岸
に行った。近くに江島若宮八幡神社があり、毎年、年越し参りをした人々や、初日の出を参拝する人々が夜明け前から大勢砂浜に集まってくる。江島若宮八幡神社の神職や氏子たちの禊ぎのほか、空手や少年野球チ-ムの団参もあるという。この日も、越中褌と白鉢巻姿の人たちが、初日の出にあわせて海に浸かり、初禊ぎをする光景がみられた。 |
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はつひので うみのらいはい しろふどし |
The first sunrise of the year,
worship in the sea
wearing white loincloth. |
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白子海岸の初日の出
2008.1.1 |
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若者たちの躍動! |
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▲▼ 毎年、褌一丁で踊るグループが登場するが、今年目についたのは勝山組で、褌の前垂れに「勝山組」と表示されているので分かった。六尺褌の上に前掛けのように前垂れを付けている。褌踊り用に工夫した珍しいスタイルである。 |
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美しい初日の出とシルエット |
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雄叫び! |
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胡四王蘇民祭 |
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胡四王神社 |
岩手県花巻市 |
平成21年(2011)正月2日(日) |
撮影・制作:和田義男 |
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平成23年(2011)1月2日(日)、岩手県花巻市(はなまきし)胡四王山(こしおうさん)(176m)山頂に鎮座する胡四王神社(こしおう・じんじゃ)(杉山昌之すぎやままさし宮司)で150年の伝統を有する蘇民祭(そみんさい)が開催された。 |
神事が終わると、裸参りとなるが、出発前の午前10時ころ、社務所前の圧雪の上で、褌衆たちによる水垢離が行われた。桶の清水を頭から被る水垢離は一度だけなので、一瞬のうちに終わる。この日は8人が気合いもろとも冷水を浴びた。 |
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せつじょうの しめなわふんどし はつみそぎ |
First ritual
ablution for the year, sacred straw ropes and loincloths on the snow. |
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▲▼ 裸参りの男たちが口にくわえている三角の紙は、御神籤(おみくじ)を半紙にくるんだもの。浄場に不浄な息を吹きかけないという意味があるが、寒さに耐えるべく歯を噛(か)み締める力紙(ちからがみ)の役割を持つ。 |
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▲▼ この後、男たちは、胡四王山山頂まで登り、胡四王神社に参拝して裸参りが終わると、御神籤を開いて今年の運勢を占うというが、大抵は唾液にまみれて殆ど読めないという。 |
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▲▼
水垢離を終えた男たちは、新しい力紙をもらったあと、濡れたまま裸参りに参加する。外気温-5℃という厳しい
環境の下では、水垢離が1回だけというのも頷ける。 |
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撮影:菊池寛一 |
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夫婦岩注連縄張り |
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二見若宮神社 |
響灘二見夫婦岩/山口県下関市豊北町 |
平成17年(2005)1月2日(日) |
撮影・原作:ちばあきお 監修:和田義男 |
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▼ 平成17年(2005)1月2日(日)、長門(ながと)の国、山口県下関市豊北町の響灘(ひびきなだ)二見(ふたみ)で夫婦岩(めおといわ)注連縄張り(しめなわはり)が行われた。約160年の伝統あるこの神事は、寒風のなか、褌一丁の裸形の男たちが海に入って禊を行ったあと、夫婦岩に大注連縄を張るという勇ましい祭祀である。 |
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磯波の中の禊 |
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▲▼ 地元二見の男たちが褌一丁の裸形になり、豊漁と海上安全を祈って厳寒の日本海で身を清め、大注連縄(おおしめなわ
長さ約30m、重さ約120kg)を張り上げる光景は、海に生きる男たちの勇ましさを感じさせる新春の風物詩である。 |
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海中の禊 |
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めおといわ なみよすいその かんのこり |
Meoto-iwa
the conjugal rocks, cold water purification being washed by the
waves rushing to the shore. |
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荒波の洗礼! |
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しろふどし しめはりわたる めおといわ |
White
T-back loincloths, a sacred straw rope hanging across Meoto-iwa
the conjugal rocks. |
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▲ 男岩に注連縄の端を結わえ付けたあと、緩まないよう、結び目を細索(さいさく)で縛って固定。御幣(ごへい)を立て、お神酒を注いで、無事に予定の作業を終えた。 |
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二見夫婦岩の新たな大注連縄 |
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七日堂裸詣り |
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圓蔵寺福満虚空蔵尊本堂(菊光堂/七日堂) |
福島県河沼郡柳津町 |
平成20年(2008)1月7日(月) |
撮影・制作:和田義男 |
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平成20年(2008)1月7日(月)午後八時半から福島県河沼郡柳津町(かぬまぐん・やないづまち)圓蔵寺(えんぞうじ)福満虚空蔵尊(ふくまん・こくぞうそん)の本堂・菊光堂(きくこうどう)に於いて、奇祭「七日堂裸詣り(なのかどう・はだかまいり)」が行われた。 |
午後8時半丁度に一番鐘が打ち鳴らされると、下の道路で待機していた裸男たちが除雪されて滑り止めの籾殻(もみがら)が撒(ま)かれた113段の石段を裸足(はだし)で駆け上がってきた。七日堂にあがる前に手水舎(ちょうずしゃ)で冷水を浴び、身を浄める。手水鉢の柄杓(ひしゃく)などは取り外されている。寒禊をした男たちの身体からは、白い湯気がたちのぼった。 |
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霊厳山圓蔵寺 |
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只見川東岸(右岸)の崖の上ある臨済宗(りんざいしゅう)の禅寺・霊厳山(れいがんざん)圓蔵寺(えんぞうじ)は、およそ1200年前に徳一大師によって開創された古刹で、古来より丑・寅の守り本尊・柳津福満虚空蔵尊として信仰を集め、会津柳津は、温泉のある門前町として栄えてきた。 |
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なのかどう はちにとびこむ かんのこり |
Nanoka-do temple, a man jumped into the washbasin for winter purification. |
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圓蔵寺の本堂・菊光堂では、毎年正月7日に裸詣り(はだかまいり)が行われる。その日だけは、行事の舞台となるため、本堂は七日堂(なのかどう)と呼ばれる。 |
七日堂裸詣りは、正式には午王祭(ごおうさい)という。午王祭は、如意宝珠(にょいほうじゅ)信仰に由来している。今から千年ほど昔、この地方に疫病や不作が長く続いて人々が苦しんでいたとき、虚空蔵尊のお告げにより、美しく利口な弥生姫が只見川の底の龍宮に住む龍神から如意宝珠を借り受け、疫病等を退散させることができた。 |
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数年後、1年で最も静かな1月7日の夜、龍神が宝珠を取り返しに虚空蔵堂(菊光堂)に来ると聞いた信者たちは、堂内に集まり、宝珠を囲んで龍神に宝珠を渡してなるものかともみ合い、騒ぎ立てたところ、さすがの龍神も驚いて姿を消したという。 |
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このようにして人々は団結の力を知り、信仰の強さを悟って、お互いの心と力を合わせれば苦難や災厄を乗り切ることができるという自信を持った。 |
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やないづの ちょうずをあびる なのかかな |
Seventh day of the New Year, bathing in the washbasin of Yanaizu. |
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凍りつくような雪解水 |
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▼ 以来、毎年正月七日の夜、八時半の一番鐘(いちばんがね)を合図に、褌一本の裸男たちが、「ワッショイ、ワッショイ」の掛け声のもと、大鰐口(おおわにぐち)を目指して麻綱(あさづな)を登る裸詣りが行われるようになり、参加者には一年間無病息災の御利益(ごりやく)があるという午王(ごおう)の矢が贈られるようになった。 |
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はつはるや しろふんどしの つなのぼり |
Early
spring, rope climbing wearing white fundoshi sash. |
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大鰐口登りのパノラマ画像 |
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