ホームページお知らせお便りコーナー徒然日記俳句・海の風景ホームページ奮闘記作者のプロフィールリンク
 

Wa☆Daフォトギャラリー

 旅紀行日本の裸祭り

2011年2月18日改訂

今 日

昨 日

♪正調山内節

拡大写真(1200x800)88KB

煙たつ柴燈木の上の七日かな  北舟

2007年3月11日制作

山内節の二重唱

山内節の二重唱(黒石寺蘇民祭/岩手県奥州市水沢区)

 

天下一の奇祭

黒石寺・寺紋

黒石寺蘇民祭

 

柴燈

 
 
■■■    柴燈木登ひたきのぼり   ■■■
 午後11時半、梵鐘が打ち鳴らされ、柴燈木登(ひたきのぼり)の開始が知らされた。精進小屋から庫裡の入口に行くと、しばらくして角燈(かくとう)と将軍木(かつのき)(ヌルデの木)でできた長さ1尺5寸(約45cm)の手木(てぎ)の刀(式棒又は祓棒)を持った祓人(はらいびと)と呼ばれる男女が現れ、列の両脇を地面を這うようにして祓棒で魔を切り払いながら進みはじめた。

庫裏を出発する一行

庫裏を出発する一行

拡大写真(1600x1100)284KB

 

 両脇を祓人たちに護られながら、法螺貝や太鼓、柴、たきつけ、ごま殻、塩などを持った人たちが本堂前の広場に向かった。掛け声は「ユー、ユー」。地味な掛け声なので、良く聞いていないと分からない。

 25年前に黒石寺蘇民祭保存協力会が発行した「黒石寺蘇民祭のすべて」によると、掛け声は「偉容、偉容」だと書かれているが、「イヨー」が「ヨー」になり、「ユー」になったものと思われる。
焚付たきつけ しば 持つ人たち

焚き付けや柴を持つ人たち

 

たち切り

 赤と黄の手拭いを頭巾や頬被りにした二組の男たちは「たち切り(打人)」と呼ばれ、将軍木(かつのき)(ヌルデの木)でできた長さ2尺8寸(約80cm)の刀を持ち、互いに打ち込みや受けの動作を繰り返しながら行列を先導した。大小の手木による魔を払う動作がとてもユニークである。
長い

手木てぎ

の刀で切り結ぶ「たち切り(打人)」たち

長い手木の刀で切り結ぶ「たち切り(打人)」たち

 

柴燈木さいとうぎ

組み上げ作業
 行列が本堂前に到着すると、境内の山中から切り出された生(なま)の松木(まつぎ)を長さ5尺(約150cm)に切って二ッ割(ふたつわり)にした柴燈木(さいとうぎ)と呼ばれる木材を二ヵ所並べて3mほどの高さに井桁積(いげたづみ)にする作業が始まった。作業中も手木を放さないのがしきたりのようである。
1/4
2/4
1/4 2/4

拡大写真(1200x900)273KB

拡大写真(1200x900)211KB

 

手木を持つ裸の男が作業中の柴燈木の上に登ったので、作業の邪魔になるため、排除される一幕があった。

3/4
4/4
3/4 4/4

拡大写真(1200x900)183KB

拡大写真(1200x900)233KB

 

柴燈木さいとうぎ

の点火
 作業が終わると、総代が紙に火を付け、種火を二つに分けたあと、左右の柴燈木の焚付(たきつけ)に点火した。
種火たねび を二つに分ける総代
左右の

柴燈木さいとうぎ

に点火
火を二つに分ける総代 左右の柴燈木に点火

拡大写真(1200x900)274KB

拡大写真(1200x900)307KB

   やがて焚付(たきつけ)が燃え上がると柴に火がつき、しばらくして柴燈木にも火がついて煙を出して燃え始めた。
煙を出して燃え始めた 柴燈木さいとうぎ

煙を出して燃え始めた柴燈木

拡大写真(900x1200)280KB

 

柴燈木登ひたきのぼり

の本番
 準備が完了したので、柴燈木登の本番である柴燈木の上にあがる行事が始まった。待ちかねたように、瑠璃壺川で寒垢離を取った親子が手木と角燈を持って上がり、火の粉と煙を浴びた。
親子の 柴燈木登ひたきのぼり

親子の柴燈木登

拡大写真(1400x1250)135KB

 

修験道しゅげんどう

との 習合しゅうごう
 柴燈木登(ひたきのぼり)は、積み重ねた松木(まつき)の上にのぼり、火の粉を浴びて身を清める行事で、これは修験道の柴燈護摩(さいとうごま)と考えられる儀式であり、僧侶の焚く護摩が屋外に持ち出されて民衆に委ねられたものであり、修験道と天台密教とが見事に習合している。
炎の 柴燈木登ひたきのぼり

炎の柴燈木登

拡大写真(1400x1080)101KB

   25歳の厄年連中の若者たちが柴燈木にのぼり、「ジャッソウ ジョヤサ」と大声を張り上げ、盛り上がっていた。
煙の柴燈木登

煙の柴燈木登

拡大写真(1400x1050)105KB

 

しょう

ちゃんの 山内節やまうちぶし
 ほどなく、昇ちゃんが柴燈木(ひたき)に素裸であがり、火の粉を浴び、煙にむせびながら、得意の山内節(やまうちぶし)を熱唱した。大きな声を出すため、煙を多量に吸い込み、喉を痛めて声が変になった。いつものことだという。
 彼は地元の長老から山内節の手ほどきを受け、唄っているうちに地元の後継者が育っていないことに気付き、今では指導しているほどの腕前である。
山内節やまうちぶし 熱唱する昇ちゃん( 柴燈木登ひたきのぼり

山内節を熱唱する昇ちゃん(柴燈木登)

拡大写真(1400x1170)119KB

  煙たつ柴燈木の上の七日かな  北舟 

けむりたつ ひたきのうえの なのかかな

 
 

山内節やまうちぶし

ジャッソウ ジョヤサ ジャッソウ ジョヤサ(以下「掛け声」)
1 ハァー 揃(そろ)た揃たよ 皆様揃た 秋の出穂(でほ)より なおよく揃た (掛け声)
2 ハァー 場所だ場所だよ 山内(やまうち)場所だ 上は妙見(みょうけん) その下薬師  (掛け声)
3 ハァー 場所だ場所だよ 山内場所だ 奥は大師(だいし)の ありゃ座禅石(ざぜんせき)   (掛け声)
4 ハァー 一度ござれや 山内薬師 五穀豊穣(ごこくほうじょう) ありゃ守り神   (掛け声)
5 ハァー 柴燈木(ひたき)登りや 別当(べっとう)登り  鬼子(おにご)登りで ありゃ夜(よ)が明ける  (掛け声)
山内節やまうちぶし の採譜

山内節

黒石寺パンフレットより抜粋
 

山内節やまうちぶし

採譜さいふ
 山内節は、口伝(こうでん)であるため、元テープしかなく、昇ちゃんはそのテープで練習している。黒石寺のパンフレットには昭和48年(1973)に高橋亮さんが採譜したものが記載されているが、あくまでも参考程度という。
 西洋音楽のような音階があるわけではなく、何拍子何小節というようなものはないので、テンポやリズムも揺れ動いており、まさに口伝でしか伝承できない民謡である。
山内節やまうちぶし の二重唱

山内節の二重唱

拡大写真(1200x800)88KB

 

正調山内節せいちょうやまうちぶし

 バックに流れる山内節は、正調山内節というべきもので、昇ちゃんが師匠からもらった元歌である。山内節は、夜なべの藁打ちをしながら、のどかに歌い上げる農村の労働歌であり、柴燈木の上で火の粉を浴びながら唄うには地味でおとなしい。
 昇ちゃんは、柴燈木の上でBGMのように淡々と唄っていると、「もっと元気を出せ!」といわれてしまったので、以後、声を張り上げ、豪快に唄うようになった。同じ歌でもTPOで唄い分けないといけないというのが、昇ちゃんの持論である。
 正調山内節を希望される方は、メールをいただければ、yamautibusi.mp3を返信メールに添付してお送りする。そして、昇ちゃんの弟子になって、山内節の保存・普及に力をお貸し願いたい。
Wa☆Daフォトギャラリー

今 日

 和田フォトギャラリー

昨 日

 Copyright (C) 2000-2012 Yoshio Wada. All Rights Reserved. 

ホームページお知らせお便りコーナー徒然日記俳句・海の風景ホームページ奮闘記作者のプロフィールリンク